ニューヨークにいると、なぜ仕事がはかどるのか?
番組の冒頭、川原さんとすがけんさんは、ジャパンポッドキャストアワードに選ばれたことを喜び合います。二人とも、開始から半年での受賞は無理だろうと考えていたそうで、すがけんさんは「まさか」という言葉で驚きを表しています。
この回のすがけんさんはニューヨークから参加していて、日本が朝9時のとき、ニューヨークは夜8時です。すがけんさんは30代で忙しく働いていたころ、ニューヨークへよく行っていて、この時差がとてもありがたかったと振り返ります。
ほとんどこっち(ニューヨーク)の昼の元気な時間は、日本は完全に寝てるんで連絡が来ない。
すがけんさんによると、東京ではメールやメッセンジャーの通知が次々に届き、集中力を削がれます。一方で、ニューヨークにいれば日中は誰からも連絡が来ません。
ただ、すがけんさんには失敗談もあります。早起きして朝6時か7時にパンケーキ屋へ行ったところ、日本はまだ働いている時間でした。結局、パンケーキを食べながら電話対応をすることになったそうです。川原さんも、時差をうまく使った働き方は確かにあると応じます。
外資の「年収2倍」は本当に高いのか
すがけんさんは、時差に振り回される働き方の例として、グローバル企業で日本のカントリーマネージャーを務める人を挙げます。会議の時間は、まずアメリカ、次にアメリカとヨーロッパの時差が合うところで決まります。日本チームはその隙間に押し込まれるため、夜中の3時に会議が入ることもあるといいます。
川原さんにも同じ経験があり、地球上のどこかで常に仕事が動いていて、24時間ずっと勤務中のような感覚だったと話します。
すがけんさんは、外資系のコンサルやテクノロジー企業は日本の会社と比べて年収が2倍ほどになるものの、労働時間も2倍になっていると指摘します。
倍働いちゃってるから、時給で言うとめちゃ安いみたいな。そんな感じですよね。
年収が国内企業の2倍ほどで、厚利の仕事に見える
労働時間も2倍で、時給にすると高くない
すがけんさんの友人には、50歳前後で「体力的に無理」と外資系企業を辞め、国内企業へ移る人が多いそうです。50歳ともなればそれなりに責任のある役職に就いています。3か月に1回サンフランシスコへ出張しながら、毎日2倍働く生活は続けられないといいます。
川原さんは、収入が高く見える仕事も、実は薄利多売で長時間働いているだけ、というケースが多いとまとめます。すがけんさんも、プレミアム感やブランドに目を奪われやすいけれど、その分しっかり倍働いていると重ねます。
これからの10年も、今までの延長でいいのか
すがけんさんは、年齢に合わせて、自分に合う厚利少売の働き方へ少しずつ変えていく必要があると話します。すがけんさん自身、年齢を重ねてそれほどお金も必要なくなってきたといいます。
欲望は無限にあるのに、体はどんどん働けなくなるみたいな話になると、やっぱり不幸なんで。
川原さんは、心も体も、そして頭のキレもよい状態に保つことが大切だと応じます。最新の情報や地球規模の情報がきちんと入ってくる、クリアな状態を維持することが大事だといいます。
すがけんさんはさらに、ここまでの10年を惰性も含めて頑張ってきたとしても、これからの10年もその延長線上でやるのかを考えてよいと提案します。数年後にやめるつもりのことなら、今からやめてもよいのではないか、という問いかけです。
川原さんの「変えようと思えば、実は変えられることは多い」という言葉に、すがけんさんも同意します。すがけんさん自身は、何でもすぐにやめたいタイプなので、適当な理由をつけてどんどんやめていると笑います。
副業サッカーコーチから届いた、こだわりのスクール運営
ここから本題の「お悩み相談」コーナーに入ります。1つ目は、平日は訪問看護師として働き、日曜日に副業でサッカースクールを運営している方からの相談です。
普段は平日に訪問看護師をしながら、副業で日曜日にサッカースクールを運営しています。自己成長を楽しむサッカー教室とテーマを掲げ、人数も1クラス最大8名までに制限し、一人一人に寄り添っています。コーチや監督から怒られることでサッカーが嫌いになった子も多いため、僕のスクールでは基本怒らず、挑戦を褒める指導をしています。
料金は他のサッカースクールより高い設定で運営しています。チケット制が1枚あたり4300円、もう一つが月額制で月3回1万2000円です。チケット制の方が月額制よりも料金は高いですが、人気です。本質価値を磨くため、今月には親子ご飯会を開き、親がサッカー教室にどんなことを求めているのか聞く場面を作りました。
僕自身、本業以外に収益が出るくらい拡大したいと考えていますが、子供たちの習い事が平均3から5個と多いことがアンケートで分かったため、自分の教室ではどのような価格設定が適切なのだろうと検討中です。お二人だったらどんな厚利少売を活かした教室を作られるか教えていただきたいです。
相談文によると、フクちゃんさんは他者評価ではなく自己評価を大切にしています。子どもたちが自分で決めた目標に向けてPDCAサイクル ── Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Act(改善)を繰り返して、目標に近づいていく考え方。ビジネスの業務改善でよく使われますを回せる評価表も作っているそうです。サッカー合宿とキャンプを組み合わせた企画も準備中です。
川原さんによると、一般的なサッカースクールの月会費の相場は7700円から9900円ほどです。フクちゃんさんの月額1万2000円は少し高めで、すがけんさんは相場の1.5倍くらいと見ています。
売上を倍にするなら、人数か回数か値段か
すがけんさんはまず、自分が欲しい売上から逆算して考えるべきだと話します。8人から月1万2000円ずつ受け取ると、売上はおよそ10万円です。これを20万円にしたいとすると、単純に考えて3つの方法があります。
| 方法 | 具体的なやり方 | すがけんさんの見立て |
|---|---|---|
| 回数を増やす | 8人のクラスを週2回、別の子どもで開く | 本人の稼働が増え、できるかどうかの問題がある |
| 人数を増やす | 1クラスを16人にする | 一人一人への寄り添いが薄まりそう |
| 値段を上げる | 1万2000円を2万4000円にする | 払ってくれる人はいなさそう |
すがけんさんは、どの方法にも無理がありそうだと感じたうえで、フクちゃんさんの話を聞いて思い浮かんだものがあると切り出します。それが、スクールの価値そのものを捉え直すという発想です。
プロにならないサッカーに、親は何を求めるのか?
すがけんさんは、フクちゃんさんのスクールはモンテッソーリ ── イタリアの医師マリア・モンテッソーリが考えた教育法。子どもが自分で活動を選び、自発的に取り組むことを重視しますっぽいと感じたといいます。モンテッソーリは、親が遊び方を教えるのではなく、子どもが教室にある遊び道具を自分で選び、1時間しっかり遊ぶというやり方です。
すがけんさんは、子どもにサッカーをさせる目的には2種類あると考えています。サッカーがうまくなりたいという目的と、どうせサッカー選手にはならないから、教育や将来のためにやらせたいという目的です。川原さんは、後者を「人間形成」と言い換えます。
すがけんさんは、この違いをスターバックスのアルバイトに例えます。スタバでのアルバイト経験は、就職活動で好印象を与えるといわれることがあります。
スタバのバイトって、究極的にはスタバの社員になりたくてやってるわけじゃなくて、就活とか諸々いいからやってるわけですよ。
すがけんさんによれば、子どもはプロを目指していても、ほとんどの子はプロにはなりません。だからこそ、「就活スタバ」のような目的でサッカーをやらせたい親もいるはずだといいます。川原さんも、チームプレーができるようになる、体が健康になるといった要素を挙げます。
本当にうまくなるかが勝負で、厳しくしごく指導が合う場合もある
自主性や健康、中学の勉強につながる力に「効く薬」として提供できる
すがけんさんは、「自主性や健康に効く薬です」と伝えられれば、まったく違う話になると話します。そうすれば、今より高い料金でも受け入れてもらえそうだと見ています。
習い事が3〜5個は多すぎる?
フクちゃんさんが相談文で触れた「子どもの習い事は平均3〜5個」という点について、すがけんさんは、そもそもやりすぎだと考えています。子どもがやりたいと言うこともあるにせよ、どちらかといえば親がやらせたい気持ちが強いのではないか、という見方です。
川原さんは、すがけんさんの言う散漫さを「選択と集中が効いていない状態」と言い換えます。すがけんさんは、習い事が増える原因を次のように説明します。
一個のことでは一個のことしか学べないっていう感覚があるからそう思うわけじゃないですか。
すがけんさんの考えでは、1つの習い事で複数のことを学べるようにすれば、習い事は1つで足ります。サッカーでもバイオリンでも、どうせプロにならないなら、教育的な目的でやっているはずだからです。
これに対して、実際に子どもを習い事に通わせている川原さんは、理屈はよくわかるけれど、親の立場では実行するのが難しいと率直に話します。
すがけんさんは、厚利少売の考え方なら、すべての親を集める必要はないと続けます。川原さんも、自分が提供したいものを求めてくれる人に届ければよいとうなずきます。
監督不在で、子どもが戦略を考えるサッカー
すがけんさんは、サッカーは上達だけでなく、自分で決める力や仲間意識など、多くのことを学べる場になると話します。オーディション番組のように、歌もダンスもチームワークも学ぶイメージです。そのうえで、もう1つの切り口として「戦略」を挙げます。
(試合の戦略は)基本的にコーチや監督が考えることなんですけど、その8人が自分で考える。
すがけんさんの案は、監督をあえて置かず、子どもたちに考えさせるというものです。今のチーム力はどのくらいか、相手にどのくらい勝てそうか、基礎力で劣るならどう戦えば勝てるか。こうした問いをみんなで話し合えば、ビジネスにも勉強にも役立つといいます。
サッカー経験者の川原さんは、自分はそうしたことを一切考えずにサッカーをしてきたと打ち明けます。すがけんさんは、普通は監督に怒られるので意見など言えないと応じます。
考えるなつって、部品として最善を尽くせだったから。
すがけんさんは、こうした指導を、昭和的な大量生産品、つまり薄利多売寄りの育て方だと表現します。川原さんも、NOと言わず体だけが強い、使い勝手のいい選手が求められていたと振り返ります。
すがけんさんによれば、プロを目指すなら監督が考え、選手は言われたことを実行するのでよいかもしれません。けれど、プロにならない前提なら、みんなで考えて結論を出す方向に振り切ったほうがよいといいます。川原さんは、戦術を理解して勝ち方を考えられる子が育つスクールは面白いと乗り気です。そこまで考えられれば、むしろプロになる子も生まれそうだとも話します。
親子ご飯会を、親向けサービスへ広げられないか
川原さんが注目したのは、フクちゃんさんが親子ご飯会を開き、親の要望を聞けるほどの関係を築いている点です。そこに、もう1つの本質価値があると見ています。
親がサッカー教室に何を求めてるのか聞くんじゃなくて、どんな子になって欲しいと思ってるのかを聞いて。
川原さんの提案は、その答えをもとに、どんな教育をするかを親と一緒に考えるサービスを始めることです。そうすれば、子ども向けと親向けの両方で収益を得られるといいます。すがけんさんも、8人を16人にするのは、子どもではなく親のほうかもしれないと応じます。
川原さんによると、親にはすでに支払い能力があり、スクールを評価してくれています。だから、売上を伸ばす先は親向けのサービスだという考えです。頭を使う講座なら、みんなで考えるほうが学びが深まるので、人数が増えても成り立つともいいます。すがけんさんはマイケル・サンデル ── アメリカの政治哲学者。ハーバード大学で、学生に問いを投げかけて議論させる講義で知られ、『これからの「正義」の話をしよう』の著者ですの授業のようなやり方を思い浮かべ、二人とも「やってみたい」と盛り上がります。
すがけんさんは、三者面談のように親子で一緒に参加する形もありうると話します。そうすれば、子どもと話すための共通言語を持ちたいという親の願いにも応えられるといいます。
川原さんは、習い事にかける予算はすでに決まっているので、そこから取り合うのは難しいと指摘します。一方、親が収入を増やすところまで含めて成長を後押しすれば、自己投資という別の予算になるといいます。すがけんさんは「伝説のスクールが生まれそう」と期待を込めます。
創業30年の老人ホーム、利益は1000万円
2つ目の相談は、老人ホームを運営する方からです。ラジオネームの「私もいちじく大好き」は、相談内容とは関係がなく、川原さんのチャンネルを聴いているという意味だったそうです。
私は創業30年の老人ホームを運営しています。老人ホームの主な収入は国からの報酬ですが、国からの報酬だけでは収入の上限が決まっており、高い利益を出しにくい状況です。現状、国からの報酬は12億円ですが、人件費が10億円、その他の費用が1億9000万円かかり、利益は1000万円しかありません。
職員の給料をアップさせたいのと、老朽化による修繕費用が必要なことを考えると、収入を20億円に増やしたいと考えています。収入を増やす方法があれば教えていただけますでしょうか。
すがけんさんは、このテーマをとてもよいと評価します。介護や保育のように社会に必要なインフラは、「そんなことで儲けないでくれ」と言われやすく、厚利少売には向かないとされがちだからです。
(介護や保育を)結局他人なのに優しくしてくれる、すごく優しいボランティア精神がある人を、本当に儲けもさせず搾取し続けてるような感じに思っちゃうんですよね。
すがけんさんは、自分の親にさえしないことをしてくれる人が高く稼ぐのはダメなのか、と問いかけます。そして、担い手がいるうちに「やってよかった」と思えるだけの対価を払える仕組みにしよう、という立場で考えたいと話します。
高くても入りたい老人ホームにするには
すがけんさんは、人件費10億円をもっと安い人材で賄う方法は取りたくないと話します。そもそも人件費を削るから担い手がいなくなる、という考えです。国からの報酬12億円も、増やすのは難しいと見ています。
そこですがけんさんが挙げるのが、入居を決めた人からきちんとお金を受け取る、厚利少売の老人ホームにするという方法です。老人ホームは一度入ると10年ほど住み続け、いくつも渡り歩いてよいところを探すものではありません。だからこそ、最初から高くてもよいところに入りたい人に選ばれる施設を目指すべきだといいます。
ただし、本質価値がどこにあるかは相談文だけではわからない、とすがけんさんは話します。家族がすぐに会いに行けることを望む人もいれば、事情があって会えなくても幸せに暮らしてほしいと願う人もいます。入居者や家族と話しながら見極めてほしいと伝えます。
「老人扱いされない」現役の老人ホーム
すがけんさんは、老人ホームの入居者は、認知症の人や立ち上がれない人ばかりというイメージがあるけれど、実際はそうではないと考えています。頭が元気な人なら、むしろビジネスをしてもよいといいます。
すがけんさんは、去年の年末、40代から50代手前の親しい友人とのパーティーで、すでに老人ホームの話が出たと明かします。いつか入るなら仲のいいみんなで入り、体は動かなくても頭を使って一緒にビジネスをしたい、という話です。川原さんは「シェアハウスの老人版」とたとえます。
すがけんさんは、名前そのものも変えたほうがよいと話します。すがけんさんが「顧問」ではなく「アドバイザー」と名乗っているのは、古いビジネスに見られたくないからです。それと同じように、「老人ホーム」も入りたいと思える名前ではないといいます。
すがけんさんは、中目黒のチーズケーキ店「ヨハン」について聞いた話も紹介します。真偽はわからないと断ったうえでの話です。
(ヨハンは)ケーキってレシピ通りにちゃんとグラム量るのが大事らしいよってなって。うわぁ、僕たちちゃんとグラム量るのめっちゃ得意だわってやり始めたらしいんですよ。
すがけんさんが聞いた話では、ヨハンは工作機械を作っていた人たちが定年後に始めた店です。精密な仕事で培った力を生かしたという話で、老人ホームでも集まった人たちでビジネスを考え、稼いで自分たちを幸せにできるのではないかといいます。
すがけんさん自身は、入居するなら、ありったけのお金をかけて贅沢な体験をすることにはあまり惹かれないそうです。それより、仲のいい人と入れることや、老人扱いされずにビジネスができることに魅力を感じるといいます。川原さんはそれを「現役でい続けられる老人ホーム」と表現します。
稼ぎたいっていうより、役に立つだと思うんですよね。
入居者が互いに世話をし、人件費を1割変えると
すがけんさんの第3の案は、入居者同士でお世話をするというものです。助けてもらうだけではなく、お互いに助け合う感覚で運営すれば、お金もかかりません。稼ぐ必要はないので、過度な運動や労働も求められないといいます。
すがけんさんは、トイレの介助のような場面でも、自分が誰かを手伝うことで、自分が手伝ってもらうときにもできるだけ協力しようと思えるかもしれない、と話します。川原さんも、誰かの役に立っていることがわかりやすいと賛成します。
川原さんはここで数字に注目します。報酬が12億円のまま人件費が9億5000万円になれば、利益は急に増えます。すがけんさんも、人件費10億円の1割を変えるだけで、利益は1000万円から1億1000万円になると計算します。
ただし川原さんは、今いる職員の給料を不当に下げるのではないと強調します。本来は自分たちでやらなくてもよい仕事はないか、もっと効率のよい方法はないか、本質価値に役立っていないのに流れでやっている仕事はないかを見直すという意味です。川原さんはこれを、仕事そのものを片付けることだと表現します。
すがけんさんは、これを入居者による「事業ごっこ」と組み合わせてもよいと話します。「ここはみんなでできるよね、我々ちょっと暇だから」という仕事があるなら、入居者がやってもよく、新しいモデルが作れそうだといいます。
「老人」と呼ぶ前提は、人口が減る時代にも続くのか
すがけんさんは、そもそも「老人扱い」することの理由に気づいたと話します。景気がよかった時代は、入居者を「老人」と呼ぶ必要があったという指摘です。
だってお世話しないとお金もらえないもん。
すがけんさんによれば、今はその仕組みが破綻しかかっています。だから、「あなたはできないから、私たちがやるのでお金をください」という前提が変わってもよい、という考えです。一方で川原さんは、報酬をもらうには何かを提供しなければならない決まりがおそらくあると話します。すがけんさんも、詳細は相談者から聞いて答え合わせをしたいとしています。
すがけんさんは、日本の介護を支える前提が崩れてきた流れを説明します。
人口が増える時代
多い労働人口が年金を納め、引退した人の年金と介護を支えられると考えられていた
人口減少
年金で支えきれなくなり、労働人口も減って上の世代の人数が逆転する
負担の集中
働く世代がお金も介護も労働もすべて支えることになり、バランスが崩れる
現場への表れ
その変化が、今回のような老人ホームの相談に表れ始めている
すがけんさんは、この傾向は来年、再来年、5年後、10年後とさらに強まると見ています。だからこそ、人口が減っていく時代のモデルケースを今から作るつもりで設計してほしいと、いちじくさんに伝えます。
スリランカの人材と、老人ホームの中の学校
川原さんは、最近訪れたスリランカで考えたことをすがけんさんにぶつけます。川原さんによれば、スリランカは一度経済破綻を経験していて、日本の半分ほどの費用で人を雇えます。また、日本語を必修で学んでいる人たちもいるそうです。
さらに川原さんによると、日本で働きたいスリランカ人は多いものの、ビザが出ずにあふれている状態です。川原さんは、思いやりがあっていつもニコニコしている人たちに最期を見てもらうのはいいな、と感じたといいます。
人件費(10)億とは言わなくても7億5000ぐらいまでで、今までと同じか、よりやる気があって、若くて動いてくれる人員確保できるだろうなって見えてるんだよね。
ただし川原さんは、自分が経営者でもそれが認められるかはわからないと話します。すがけんさんは、日本に呼べば日本の生活費がかかるので、給料が半分では暮らせないと指摘します。そのうえで、建物の半分を職員の住まいにする方法もありうると応じます。川原さんは、国策レベルの話になり、1つの施設だけでは実現できないかもしれないとも認めています。
すがけんさんは、将来的に日本人の半分ほどが高齢者になり、要介護の人も数千万人規模になりうると見ています。だからこそ海外から人に来てもらうことも必要になるといいます。さらに、老人ホームの中に学校をつくり、半分引退した人たちからノウハウを学ぶのもよいと提案します。川原さんによると、スリランカは平均年齢33歳と若い国です。すがけんさんは、日本も若い時代があり、そういう国でなければ成長しないと応じます。
国全体ではなく、まず小さなモデルを1つつくる
川原さんが「日本の再生を本気で議論したい」と言うと、すがけんさんは、こうした問題を国全体で考えがちなこと自体が間違いだと指摘します。全体に当てはめようとすると、そこで問題が起きて結局何も進まないからです。
すがけんさんの案は、特区を1つつくることです。シンガポールやドバイへ移住する代わりに富裕層が税金を納めるような場所から始め、住みやすい街の中で持続できる方法を少しずつ試していきます。そこへ人が移っていき、最終的に1億人になるほうが進めやすいといいます。
地方創生に関わっている川原さんも、首長たちが「まずは自分のところでモデルをつくる」と取り組んでいると話します。すがけんさんは、日本は世界的に見て人口が多いので、全体から考えると重すぎると重ねます。
スリランカを訪れた川原さんは、今も日本は経済大国だと実感したといいます。すがけんさんも、ニューヨークでは道路がボコボコでも気にされないのに、日本は少しへこんだだけで問題になると話し、日本は清潔で安全な、レベルの高い国だと応じます。川原さんは、だからこそ超少子高齢化社会の理想を日本でつくってみたいと話します。
すがけんさんは、国を復活させるには人口を増やすしかないと話します。そして、不採算事業を抱えた会社の経営にたとえて、社会の問題を考えます。
(今の日本には)支えられないし、支えられないって分かった途端、誰も子供は産まなくなりましたよっていうところを、やっぱどう考えるかって感じですよね。
社会を考える前に、まず自分が自立する
最後にすがけんさんは、リスナーに大事なことを伝えます。社会の大きな問題は、すがけんさんや川原さん、相談者のいちじくさんのように、関わりがあって余裕のある人が考えればよい、という話です。聴いた人全員が考えなければと思う必要はないといいます。
まずは自分が厚利少売になって、お金や時間からなんか不安をなくして、人助けられる状態になってから、こういうことを考えてくださいっていうのは、ちゃんとお伝えしとかないと。
すがけんさんは、川で溺れている人を助けようとして一緒に溺れてしまうのはよくないとたとえます。時間的にも経済的にも何にも依存せず自分で立てるようになり、その証明として人を助け始めればよい、という考えです。
すがけんさんは、どちらが偉いという話ではなく役割の違いだと付け加えます。できる人は取り組んだほうがよいけれど、焦る必要はないといいます。川原さんは「焦るべきは、早く厚利少売を始めること」とまとめ、この考え方を広めることが最短の道だと情熱をあらわにします。
番組の終わりには、二人がそれぞれの著書を紹介します。すがけんさんは『厚利少売』を、1年は52週しかないので少しずつでも実践してほしいと勧めます。川原さんは、捨てる技術や考え方を47個まとめた徳間書店の著書『人生は捨て自由に生きるための47の秘訣』を紹介します。
まとめ
2つの相談への答えに共通していたのは、提供しているものの本質価値を捉え直し、それを高く評価してくれる人に届けるという厚利少売の考え方です。老人ホームの話から日本の少子高齢化の話へ広がった後、すがけんさんは、まず小さなモデルを1つつくること、そして一人一人が自立することが先だと話しました。
- サッカースクールは「上達」ではなく「教育」という価値で捉え直すと、料金の考え方が変わる
- 親の願いを聞ける関係があるなら、親向けのサービスが新たな収益源になりうる
- 老人ホームは、高くても入りたい施設づくり、入居者が現役でいられる仕組み、仕事の見直しで収益を改善できる可能性がある
- 社会の課題は全体で一気に変えようとせず、小さな成功モデルをつくってから広げる
- 社会を考える前に、まず自分が厚利少売で自立し、人を助けられる状態になる

