イヤホンのつもりが爆音で、なぜ縁が生まれたのか?
厚利少売ラジオは、薄利多売のビジネスモデルから抜け出すための考え方やヒントを語る対談型Podcastです。この回は、あるリスナーのハプニングの話から始まります。
そのリスナーは、イヤホンで聴くつもりが間違えてスマホから大音量で番組を流してしまい、タイトルコールの「すがけん」の声が周囲に響いてしまったそうです。
イヤホンで聞こうとしたら、間違えてスマホで爆音で鳴らしちゃって、スガケンが始まっちゃったんでしょ。
ところが話はそれで終わりません。流れた音声を聞いた近くの人が「実は自分も厚利少売ラジオを聴いている」と声をかけ、会話が盛り上がったといいます。
すがけんさんは「自分なら声をかけるか」と首をかしげますが、川原さんは、まだメジャーではない番組だからこそ声をかけたくなる気持ちがわかると話します。
インディーズの好きなバンドを同じく好きなやついたぐらいの距離感で声かけちゃう気がする。
川原さんは、その二人がお互いの推しの回を語り合うほど深い会話をしていたことに、熱量を感じてうれしかったと振り返ります。やりとりがX上で続いたことも含めて、ラジオらしいコミュニティの面白さだと二人は話しています。
川原さんはこのリスナーを、街中で音源を流す「アンバサダー」に勝手に任命したと笑い、余談を締めくくりました。
締切当日のオーディション、マスタークラスまで定員超え
この回のテーマは「最大のリスクは落選ではなく機会損失」です。配信日は、二人が1社に伴走する「厚利少売プロデュースオーディション」のエントリー締切当日にあたります。
川原さんによると、オーディションは「ポチっとするだけ」ではなく、あえてエントリーのハードルを高く設定したにもかかわらず、それを超える熱量の応募が数多く集まっているそうです。
あわせて用意された「マスタークラス」は、グループでみんなで厚利少売に取り組む有料のコミュニティです。すがけんさんは、伴走より「みんなで頑張る」ほうが人気なのかと冗談めかしてすねてみせます。
伴奏いらないんで、みんなと頑張ります。どうよこれ。
川原さんによれば、マスタークラスも収録時点で定員以上の申し込みがあり、お金を払っても参加できない人が出る状況です。商売でいえば、需要が供給を上回っている状態だと説明しています。
すがけんさんは、プランの構成を整理しています。オーディション応募者向けの割引価格と、定価で受ける一般コースがあるそうです。
| プラン | 内容 | 価格 |
|---|---|---|
| オーディション | 選ばれた1社に二人が伴走 | 無料 |
| マスタークラス(応募者向け) | コミュニティでみんなで取り組む | 割引で30万円(会話内の確認ベース) |
| マスタークラス(一般) | 同上を定価で受ける | 定価60万円(会話内の確認ベース) |
すがけんさんは、オーディションの結果を待ってから一般コースに行こうとする人が多いはずなので、確実に席を押さえたい人は早めに一般コースへ申し込むのも手かもしれない、と話しています。
パソコンを捨ててiPadを買う理由とは
話題はすがけんさんの近況に移ります。収録は4月初めで、すがけんさんは3月中旬からAnthropic ── アメリカのAI企業。対話型AI「Claude」を開発していますのClaudeを使い始め、Claude Codeやクラウドワークを仕事に取り入れたそうです。
すがけんさんは、Claudeで仕事ができるようになってから、わずか2週間の間に海外へも行き、収録時も大阪にいるなど、場所を選ばず働けるようになったといいます。
AIでもうあーだこうだ言うだけでできちゃうから、タイピングとかさえしなくていいぐらいになっちゃったんで。
パワーポイントの修正も、最初から作る作業も不要になったため、すがけんさんはこの日、パソコンではなくiPadを買いに行くと話します。最終的にはスマホで足りるものの、字が小さくて読めないのが「おじさんの戦い」だと笑います。
川原さんが、Appleが折りたたみ型の端末を出すというリーク情報に触れると、すがけんさんはApple幹部の高齢化と結びつけ、イベントに登場する姿を往年のロックバンドにたとえます。
iPhone以降出さねえのかよ、お前は。次の曲来いよとか言われててもさ、往年のね、iPhoneとかiPadをこすり倒して歌いまくるじゃないですか。
そのうえですがけんさんは、そういう「おじさん」にならずに挑戦したいと語ります。自身も49歳で、ここまでAIを触るとは思っていなかったそうです。
すがけんさんは、これまでのガジェットは一部のアーリーアダプターが騒ぐだけで社会にも個人にも影響がなかったのに対し、Claudeは働き方や生き方が変わるレベルだと比べています。GPTは聞いて答えてくれて便利で終わっていたが、今は「X投稿しといて」と言えば投稿までしてくれるといいます。
厚利少売は「薄利多売のアンラーン」だった
すがけんさんの変化を受けて、川原さんは、これまでのやり方にこだわるより、なりたい未来に向けてアンラーンし、捨て、挑戦することでしか人は成長しないと話します。
すがけんさんも同意し、社会の変化のほうが激しいのだから、変わることを嫌がらず楽しんで変えていくべきだと語ります。
車が出てきたのに私は馬車でとか、CDが出てきたのに、私は家で音楽を奏でないと聞きませんとか、すごい面倒くさい人になっちゃうから。
川原さんはここで、二人の活動は厚利少売という概念を広めることであると同時に、薄利多売をアンラーンすることの後押しでもあると言い換えます。
すがけんさんによると、厚利少売の本は当初「高く売る技術」というタイトルで書き始めたそうです。変えた理由の一つは、新しい概念だけでは比べる対象がなく、何を捨てればいいかが見えないからだといいます。
新しいやり方だけを示す概念。比較対象がなく、アンラーンするものが見えない
薄利多売との対比になる。「いっぱい売るのは大変だから、高く買う少数に売ろう」とアンラーンできる
川原さんは、オーディションで選ばれる1社は薄利多売をアンラーンするモデルケースに、マスタークラスの参加者は厚利少売を新しい生き方としてインストールする存在になると整理しました。
アドバイザーを辞めてノートを売り始めた理由
川原さんは、すがけんさんがAIと働くことも、少ない稼働で最大の成果を出すという意味で厚利少売の一部だと指摘します。すがけんさんは今年、自身の知見を記事として売る「ノート販売」という仕事をしています。
確立したビジネスモデルと地位のある人がなぜノートを売るのか、と川原さんが尋ねると、すがけんさんは「母も番組を聴いているので刺激的なことは言えない」と前置きして経緯を語ります。
すがけんさんは40歳から48歳までアドバイザー業がうまくいきすぎて飽きてしまい、みんな最初は高いと言いながら続けてくれるので辞め時を失っていたそうです。それでも頑張って辞めたといいます。
次に何をするか考えたとき、個人向けに10万円や30万円で対面アドバイスをしても1時間の価値はそこで頭打ちになります。そこで、時間をかけて書いたものなら多くの経営者やフリーランスに届けられると考えたそうです。
すがけんさんは12月中旬、GPTの助けを借りて3日間で13万字のノートを書き上げ、5万円で販売しました。本当は10万円にしたかったものの、販売サービスの上限で5万円になったといいます。
既存のコミュニティでは買ってもらえたものの、普段はまったく売れません。理由は知られていないからだと気づき、すがけんさんは3月にClaudeへマーケティングの方法を教え込みました。
みんながシェアしたくなったり、いいねしたくなるいい記事を書いて、最後にお知らせだけ載っけとけとかって教えたら、もう見事に書いてくれるんですよ。
アドバイザー業を辞める
うまくいきすぎて飽き、辞める決断をした
ノートを執筆
GPTを使い3日で13万字、5万円で販売
売れない壁
既存コミュニティ以外では知られていなかった
Claudeにマーケティングを教える
押し売りではなく役立つ記事で知ってもらう方針
毎日更新
3月中旬から3月末までに100人が購入
タイトルさえ決めれば5分で2本の記事ができる速度で毎日更新した結果、3月中旬から月末までに100人が購入し、100万円規模の売上になったそうです。
AIが話す「世の中央値」は薄利多売だった
すがけんさんはここで、AIは集合知なので「みんなの中央的な言葉」を使う、という発見を語ります。そこには良い面と悪い面があったといいます。
良い面は、売り方です。Claudeが書く記事の誘導は、すがけんさんには「ダサい」と思えるものでしたが、試してみるとよく売れたそうです。
(AIの言葉は)中央値だからね。僕ら異常値で生きてるからそれが全くわかんないんだけど。でも別に変なものを売ってるわけじゃないから、あ、これが正解なんだと思ったんですよ。
悪い面は、世の中央値の考え方そのものが薄利多売だということです。厚利少売のやり方を教えないと、AIは数字を盛ったり、あざとい売り方をしようとしたりするため、すがけんさんは「嘘つくな、実直にやれ」と矯正したそうです。
多くの人に心地よく伝わり、人を動かす言葉や売り方になる
考え方が薄利多売に寄り、数字を盛るなどあざとい売り方をしがち
川原さんは、人間側が判断の軸を持たずにAIの言うことを聞いていると、あっという間に中央値の自分になり、無価値化に向かうと受け止めます。
すがけんさんは次のノートとして、厚利少売の考え方をClaudeにインストールする内容を書いているといいます。大企業にも展開予定で、新入社員の使うClaudeにも入れられるので、大げさではなく1000万円でも買われる価値があると話しています。
すがけんさんによれば、GPTにはできずClaudeにできる点は、こうした「教育」ができることです。数千円から数万円で使えるので、みんな使ったほうがいいと勧めています。
江戸時代なら斬られていた?機会損失を避けるという選択
すがけんさんは、自分たちは江戸時代なら身分が低く、変なことを言えば一瞬で斬られる人生だったと語り、川原さんが「僕は死なない」と笑って返します。
すがけんさんの主張は、家柄に関係なく、少しバイトして稼いだお金でClaudeを使い、ノートを買い、オーディションに応募できる今は、チャンスにあふれた時代だということです。
昔だったらお前の家柄じゃ無理だろうとか、お前は野菜を作っとけばいいんだとか、(身分が)全部分かれていて、何もさせてもらえなかった。
川原さんは、このプロジェクトを始めたとき、学問のすすめ ── 福沢諭吉が明治初期に著した書物。身分ではなく学問によって人は自立できると説き、広く読まれましたのように次の時代の当たり前を提案すると話していたことを振り返ります。かつて身分を越えるのが学問だったように、今は厚利少売をインストールすることで選択の自由が得られる、という見立てです。
そのうえで川原さんは、自身のプロデュースの学校では受験料だけで3万円かかることを引き合いに出し、無料で二人の目と時間を使えるオーディションは「めちゃくちゃお得」だと強調します。落選より、応募しないことのほうが損失だというのが、この回のタイトルに込められた考え方です。
最後は、概要欄のフォームから聴きながらでも応募してほしいと呼びかけ、パソコンを手放そうとしているすがけんさんをいじりつつ、AIとの付き合い方は次回以降に深掘りすると予告して締めくくられました。
まとめ
この回は、オーディション締切日の告知を軸に、すがけんさんがClaudeで働き方とノート販売を一変させた体験から、AIの「中央値」が薄利多売であること、そして変化を楽しみ挑戦することの価値が語られました。
- 厚利少売は、薄利多売との対比によって「何を捨てるか」をアンラーンできる概念として名づけられた
- すがけんさんはClaudeにマーケティングを教え込み、ノートを約2週間で100人に販売した
- AIの言葉は多くの人に届く一方、その考え方は薄利多売寄りなので、人間側が軸を持って矯正する必要がある
- 家柄に関係なく挑戦できる今、最大のリスクは落選ではなく、挑戦しないことによる機会損失だと語られた

