相談者はまさかの川原さんの母。宿の値段を2倍にした結果は?
今回の厚利少売ラジオのお悩み相談に便りを寄せたのは、「談話室村上女将」さんです。川原卓巳さんによると、この相談者は川原さん自身の母親で、読み上げる直前に気づいて驚いたといいます。
えー、またの名を私のおふくろさんです。
私のおふくろさんです、この人。リアルな母です。
すがけんさんも、自身の母親がインスタを始めてインスタライブにメッセージを送ってくるようになったと明かし、二人で「元気なおふくろズ」の話に花を咲かせます。そのうえで川原さんが母からの便りを読み上げます。
テーマは仲間と育てる宿にしたい。感想。厚利少売ラジオを聴いて、宿の値段を思い切って2倍にしました。
最初申し込みがゼロで不安でしたが、1か月後から順調に以前と同じ件数の予約が入り始めました。
2倍の価格なので利益が生まれ、宿の補修費用のストックが生まれて運営が安定してきました。
今では2倍の価格にも慣れて納得しています。最初はドキドキしましたが、お客様は半分にはならないというすがけんさんのアドバイスを信じて挑戦して良かったです。ありがとうございます。
すがけんさんは「これぞいい経営」と応じ、川原さんは「ただただおめでとう」と息子の立場から感謝を述べます。
お悩みを一言で表すと、常に調整し続ける体質が家族をハラハラさせること(笑)。
このお悩みについて川原さんは「めちゃくちゃある」と認め、母は自分よりはるかに挑戦志向だと話します。すがけんさんが「リスクテイカー」と書かれたTシャツを贈ると言い出すと、川原さんは「ヒヤヒヤする頻度が増える」と苦笑いします。
ビジネスの概要は1日1組限定の上質なお宿です。ビジネスの目標は年商900万円で、公務員時代と同じ収入にしたいです。課題だと感じていることは、一人でやっているけど、チームで取り組む体制にしたいということです。
すがけんさんはまず、根拠がなくても一度2倍にしてみるという判断そのものを評価します。売上は単価と人数の掛け算なので、単価を2倍にしても人数が半分にならなければ、売上も利益率も上がるという考え方です。
もう根拠なく一旦2倍にしてみて、申し込み半分になんなかったら、売上は上がるし、なんなら利益率上がる。
すがけんさんは、仮に空室が出ても、その空いた在庫をどう使うかを考えればよいと付け加えています。
従来の価格で予約が入り、補修費用の余裕は限られていた
価格2倍。最初はゼロでも1か月後から以前と同じ件数の予約が入り、補修費用のストックができて運営が安定
英語が話せなくても、なぜ海外ゲストに選ばれるのか?
川原さんによると、母の宿にはスイスの人が泊まった翌日にオランダから人が来るなど、海外からの客がひっきりなしに訪れています。女将本人は広島弁しか話さないといいます。
すがけんさんはこの点について、超有名な寿司店から聞いた話を紹介します。世界中から客が来るその店で大事だったのは、正しい英語よりも、ムスッとせず、何語でもいいから話しかけてニコニコする歓迎ムードだったそうです。
テンパってるとムスッとしてるように見えちゃうからムスッとしないとか、とにかく話しかけてくれる。
すがけんさんは、シャイだと言われる日本人にとってこの振る舞いは難しく、だからこそフレンドリーに歓迎できること自体が強みになると話します。川原さんも「実は希少価値なんだよね」と同意します。
「はい、どら焼き」って渡してニコニコしてればいいわけ。
すがけんさんの見立てでは、旅館やホテルに求められるものは基本的にほぼ同じで、唯一ばらつくのがホスピタリティです。言葉が通じなくてもニコニコと話しかけていれば、ゲストは「あの会話がわかったらよかった」と思って帰るといいます。
すがけんさんはGoogleマップのレビューを確認することも勧めます。その場で川原さんが調べると、母の宿のレビューは16件で、すべて5つ星でした。すがけんさんは、海外の客には帰り際に「レビュー書いてよ」と頼むだけで十分だと話しています。
成功の理由は「ワンオペ」。チーム化で失ってはいけないものとは?
すがけんさんは、女将の宿がうまくいっている理由を、人を雇わずワンオペでやっていることに見ています。女将そのものがイコール宿になっている状態が、評価の源だという見方です。
ここで川原さんは、Googleレビューに自分の実家の写真が写っていて変な気分だと笑います。宿は母屋、つまり川原さんの実家そのものだったのです。
多分ね、ほんとお母さんのホスピタリティのみの評価だと思うんですね。
そのためすがけんさんは、チーム化するときには、このワンオペの良さをどう残すかを考える必要があると指摘します。選択肢は、女将が常にフロントに立つ形にするか、女将以上にホスピタリティのある人に対応を任せるかです。
(英語が)喋れるからじゃなくて、心底いろんな人が来ることが嬉しい人に、まあそういう対応を任せたい。
年商900万円なら1泊いくら? 単価から逆算する考え方
すがけんさんは、来たい人が増えればさらに値上げしてよいはずだと話し、年商900万円を1泊の単価に置き換えて考えます。仮に女将が月10日働くとすると、年間120日です。
だから7万5000円で泊まってもらえるにはどうしたらいいかでだんだん考えていけばいい。
すがけんさんは、近隣に5万円や10万円の良い宿があっても関係ないと話します。ありきたりなラグジュアリーホテルではなく、「現地のお母さんの宿」という体験の方向に持っていけば、十分いける金額だという見立てです。
足りないと感じるところ、たとえば料理や部屋の綺麗さだけを頑張ればよく、全部を一律に上げる必要もありません。すがけんさんは、まずベストシーズンだけ7万5000円で売ってみる方法を提案しています。
一人でもできる。それでも人を雇うならどう始める?
すがけんさんは、チームでやりたい気持ちは理解しつつも、この宿は一人でも目標に届きそうで、一人の良さがかなりあると感じています。そのうえで、単価が上がった先にチーム化の道があると説明します。
1泊7万5000円になれば、1人1日5000円で2人を雇うような余裕が出てきます。売れた金額がわかっていれば、その一部を観光案内や料理のグレードアップなど、客に返すために使うことができます。
何かをしてあげるみたいなのに、お金を投資家のように使う側にもう入ってくるお金が決まってるんで。
逆に避けたいのは、東京からマーケティングが得意な人やホテル経験者を急に雇うことだといいます。女将であること、ホスピタリティ、地元らしさで評価されている宿を、他と同じ東京のクオリティに寄せるのは良くないという理由です。
川原さんも「それで喜ばれてるなっていう感じ」と、この見立てがずれていないことを認めています。すがけんさんは、一気に100万円使うのではなく、3万円を誰かに頼んでテストするくらいから、いただいたお金を客に返していくのがよいと話します。
宿は「究極のおまかせ」。自由演技でどう喜ばせるか?
すがけんさんは、宿を料理の「おまかせ」にたとえます。信用のないレストランはアラカルトで、店の外にメニューと値段を張り出して中身を見せないと客が入ってこないといいます。
信用がない分、入る前にメニューと値段を見せて「損しなさそう」と思ってもらう
予約時点で大将に代金を払い、中身も場合によっては値段さえも任せる
川原さんが「なんなら値段もわからんもんね」と応じると、すがけんさんは、1年前に取った予約が行ったら1万円上がっていたこともあると笑います。そのうえで、宿はまさに究極のおまかせだと話します。
(宿は)払った分何してくれるのがあんまりよくわかんない。
これめちゃくちゃ自由演技なんですよ。
建物、お風呂、料理、ホスピタリティとなんとなくの要素はあっても、お品書きは決まっていません。すがけんさんは、自由演技の中で何にお金を使ってどう喜んでもらうかを女将が試しながら進めれば、とても良い宿ができると締めくくります。
一番素晴らしいのは「お母さんの勇気」
川原さんは、まるで実家にすがけんさんが来て話してくれているような感覚だと感謝し、すがけんさんも「行きたいよもう」と返して、実家への訪問を約束します。
お母さんが2倍にしてちゃんとできましたって言ってくださってるから、じゃあもう2倍でお金もあるはずだから、こうやって使ってみたらとかってアドバイスができるんで。
すがけんさんが「家族ハラハラさせつつ」と付け加えると、川原さんは自分がその家族代表だと笑い、「是非また次の挑戦してハラハラさせてください」と母に呼びかけて相談コーナーを終えました。
番組の最後には、すがけんさんの著書『厚利少売 薄利多売から抜け出す思考・行動様式』、川原さんの著書『人生を捨て自由に生きるための47の秘訣』書名表記の告知と、厚利少売経営者合宿の開催要望やお悩み相談を概要欄のフォームで募集していることが案内されました。
まとめ
宿の価格を2倍にしても予約が減らなかった女将の挑戦は、ホスピタリティという差別化があってこそでした。すがけんさんは、そのワンオペの強みを守りながら単価を上げ、得たお金を客に返す形で少しずつ人を雇っていく道筋を示しています。
- 単価を2倍にしても客数が半分にならなければ、売上も利益率も上がる
- 言葉の上手さより、ニコニコと歓迎する姿勢が海外ゲストに響くホスピタリティになる
- 年商900万円は、月10日稼働なら1泊7万5000円。ベストシーズンから試すとよい
- チーム化は外から経験者を急に雇うのではなく、小さく発注して筋のいい人に任せていく
- 宿は「究極のおまかせ」であり、何にお金を使って喜ばせるかを自由に試せる


