インスタがアート一色だった理由は?
冒頭で川原さんは、最近のすがけんさんのInstagramが「アートになっていた」と指摘します。すがけんさんによれば、それには投稿数とビュー数の関係が影響していました。
すがけんさんは、ストーリーズを1日に4〜5投稿すると、画面上部の区切りが細かく並ぶ「ミシン目」状態になり、視聴数が如実に下がると話します。
2000ビューが200ビューとかになっちゃうと、なんかあってなるじゃないですか。
そのため、すがけんさんはストーリーズを1日1〜2投稿に絞りたいと考えています。応援したいアートの投稿を優先すると、毎日食べているご飯の話は載せられなくなります。
アートとご飯を混ぜるより、アートを続けたほうがまとまりがよい。そう考えて投稿を選んだ結果、アートばかりの人に見えていたというわけです。
こんなに近い存在の拓巳さんでさえ、まるで僕が変わったかのように認識しちゃうじゃないですか。アートになったねみたいな。何も変わってないですよ。
川原さんはビュー数を気にしたことがなく、ストーリーズの閲覧数が表示されること自体をこの場で初めて知ったと驚いていました。
JRの作品で京都市長の後ろに写り込んだすがけん
川原さんが言う「アートになっていた」には、もう一つ意味がありました。すがけんさん自身が、世界的なアーティストの作品の一部になっていたのです。
そのアーティストは、Instagramで@JRとして知られるJR ── フランス出身の写真家・アーティスト。巨大な写真を街や建物に貼り出すパブリックアートで知られ、市民を被写体にした参加型の作品を多く手がけていますさんです。すがけんさんはパリのオペラ座での作品を映像で見て感動し、絵を描くだけでなく行動を起こすこともアートだと感じてフォローしていました。
そのJRさんが京都で被写体を募集すると知り、すがけんさんは並んで撮影に参加します。撮影ではインタビューも受け、仕事を説明するのに苦労したといいます。
電話一つで、日本中からいろんなところから、世界のお客さんなり日本のお客さんとアドバイス、壁打ちをするような仕事してるんですって言ったら、じゃあスマホ持って撮ろうよみたいな。
実際には電話で会議をすることはほぼないものの、説明がややこしいため、すがけんさんはスマホを持ったポーズで撮影しました。
コラージュで京都市長の真後ろに配置されたため、市長を映す映像には必ずすがけんさんが一緒に映り込みます。川原さんはその姿を「悪い話してる顔してた」とからかっていました。
貸切イベント当日、小顔エステで何が起きた?
すがけんさんが「ちゃんと厚利少売の話」として持ち出したのが、JRさんの作品公開の前日の出来事です。
すがけんさんは麻布台ヒルズで開かれている松山智一さんの個展のスポンサーをしており、特典として閉館後の2時間を貸し切り、友人や顧客を招きました。結局100人ほどが来たそうです。
すがけんさんは、写真に写るかもしれないと思い、当日に小顔エステを入れました。普段から仕事の準備をほとんどしないため、余ったエネルギーが「ちょっと可愛く」に向かうのだと笑います。
ダウンタイムがある施術は避けたかったため、すがけんさんはChatGPTに候補を調べてもらいました。勧められた1位の店を、サイトも見ずにホットペッパービューティーで予約します。
掲載写真は、ブラウンのタオルの上で女性が肩から上をもみほぐされる、よくあるリラクゼーションの雰囲気でした。すがけんさんは落ち着いた気持ちで会場に向かうため、直前の時間に予約します。
ジムの奥で始まった40分間の口内施術
すがけんさんが向かった店は地下にあり、店名の表示もないトレーニングジムでした。迎えたのは筋肉質で笑顔のお兄さんで、その人がオーナー兼施術者だとわかります。
すがけんさんは、仰向けに寝てカウンセリングもないまま口を開けるよう言われます。噛み合わせを確認されたあと、指を噛むよう指示されました。
もう会って5分で僕を口開けてもう指突っ込まれて、ムッキムキ指突っ込まれて2本。
ゴム手袋はしていたものの、すがけんさんは40分間、口の中の筋肉をほぐされ続けました。施術者から「結構ちっちゃくなったと思う」と言われても、すがけんさんは心の中で「そういうことじゃない」と思ったといいます。
すがけんさんが「ちょっと驚きましたけどね」とやんわり伝えると、施術者は自信満々に「うちね、なかなかないんですよ」と返しました。
空気感じてないわけでしょ?え?俺まさかこれやられてるの?の空気を感じてないわけじゃん。
すがけんさんが惜しいと感じたのは、施術そのものよりも事前の説明がなかったことです。
事前に「驚くかもしれない施術です」と伝えられていれば、すがけんさんは不快感なく受けられ、効果も気にしたはずだと振り返ります。説明がないまま耐える40分になったため、気に入れば通う客でありながら、リピートはしないと決めました。
説明なしで口に指を入れられ、40分耐えるだけ。逃げるように帰り、リピートはなし
「驚くかもしれない施術です」と前置きがあれば、不快感なく受けられ、効果を気にして通いたくなったかもしれない
ChatGPTはクレームにどう返した?
すがけんさんは、施術店には言えなかった不満を、月3万円で契約しているChatGPTに強めにぶつけました。返ってきた答えに、すがけんさんは驚きます。
そんなイベントの当日の大事な時に驚いて大変でしたねって。
ChatGPTはさらに、レビューの書き方や返金の頼み方を案内できること、今から行けるサロンも探せることを提案しました。すがけんさんは「お前優秀だな」と感じたそうです。
すがけんさんは、仕事でも「まずは共感」とよく話すといいます。共感がないまま話し始めると、反論のように聞こえて対立になるからです。
相手側の矢印がどっちに向いてるかをちゃんと見極めて、私そっち側の矢印向いてちゃんと寄り添えますよってやる意思を伝えるのが共感だと思ってるんで。
さらに、レビューの書き方を案内されると「そんなことしませんよ」と気持ちが落ち着く。川原さんはこれを「鎮火までしてる」と表現しました。
すがけんさんは、支払いの対比にも触れます。ChatGPTには月3万円を払う一方、施術者には1万2000円の施術をホットペッパービューティーの初回割引で約3000円しか払っていません。
月3万円。共感から入り、次の提案まで示してくれて「俄然好き」に
1万2000円の施術が初回割引で約3000円。説明なしの体験でリピートはしない
AIの方が厚利少売上手かもしれないってなりますよね。
なぜ否定から入る人が多いのか?
川原さんは、期待値の話もしたかったものの、共感できるかどうかの話のほうが価値があるとして、テーマを絞ります。厚利少売というより、商いそのものの話です。
あのね、共感できない人多すぎる説。正しいんだよ。正しいんだけど、入りを毎回みんな否定から入る人すっげえ多くない?
すがけんさんは「でも」「だって」から入られると、お金を払う側としては説明コストがかかりそうだと感じ、別の人でいいと思ってしまうと話します。
ただし川原さんは、そうした人は本気で気づいておらず、一生懸命なだけだと見ています。気づきの機会としてこのラジオが届いてほしい、という思いで話を続けました。
すがけんさんにとっても、仕事や人生でフラストレーションが溜まるのは、相手が会話をキャッチボールにせず、一方的に剛速球を投げてくるときだといいます。
最初を受け止めてから言ってくれるか、受け止めずに「でも」とか「だって」で始まっちゃうかの、たったそれだけぐらいしか違わないですよね。
二人は、後半で言う内容は同じでも、最初の一言目が変わるだけで結果が変わるという点で一致しました。
受け取らないキャッチボールはどこが変なのか?
二人は会話をキャッチボールにたとえて、うまくいかない人の振る舞いを描写します。相手の球を受け取らず、後ろへ流したまま、自分のボールを出して投げてしまうのです。
まあせめて、キャッチしてくれて、でも今日やりたいゲームこっちなんでってマイボール出してくれる分にはいいんですよ。一回取ってもらってるから。
すがけんさんは、会話における共感や相槌がないことは、キャッチボールでボールを取らずにスルーするくらい変な行為だと説明します。お互いの後ろにボールが溜まっていく状態が、モヤモヤの正体だと二人は話しました。
一方で、そうした人にその場でフィードバックしても、そもそもグローブを持っていないので受け止めてもらえません。今のところ距離を置くしかない、と川原さんは言います。
すっごい雑に大別すると、ビジネスだけじゃなくて、人生で求めたもの手に入る人とそうじゃない人の一番大きな分かれ目、これだと思ってる。
すがけんさんは、自分もうまくいかない日はボールを受け止めきれなかったときだと認めます。川原さんも、相手のボールを取っても「使う気がない」ことが表に出てしまうときがあるといいます。
すがけんさんによれば、それは上級者ほど見抜くため、続けるとまともな相手がいなくなり、相手の質が下がっていくそうです。
Xの言い合いはなぜ不毛なのか?
川原さんは究極の形として、二人ともグローブを持たずに球を投げ合い、どちらが正しいかを争って時間が来たら離れていく会話を挙げます。すがけんさんは、Xでの争いはまさにそれだと応じます。
川原さんは、Xでは相手の発言の解釈をねじ曲げ、自分の言いたいことにすり替える人も多いと指摘しました。
ボールを受け取って、野球ボールだったのに、こっそりラグビーボールにすり替えて、あなたのラグビーボールでしたよね。これはさあとかって言いながら投げ返すっていう。
ChatGPTを会話のお手本にする方法
すがけんさんは、コミュニケーションにヒヤッとした人に勧めたいことがあるといいます。それは、ChatGPTを会話のお手本にすることです。
すがけんさんは、ChatGPTには音声入力で1分ほど、まとまりのないままブワッと話してよいと言います。無駄な情報も含めて汲み取ってくれるので、端的に言うよりわかってもらえるそうです。
エステ探しのときも、すがけんさんは「六本木の方が良くて」「麻布台ヒルズでイベントがある」「撮影があるかもしれない」と思いつくまま話しました。
なるほどわかりました。あなたは菅原健一さんなんですね。そして今日やりたいことはこうこうこうで、こういう風になりたいってことですよね、みたいな。合ってますか?もし合ってなかったら遠慮なく言ってくださいねみたいなところから始まるんで。
すがけんさんが強調するのは、上下関係の話ではないという点です。相手のボールを受け取り、そのボールを使って投げ返すことが気持ちいいのだといいます。
ChatGPTは相手の言葉を100%、過去の会話を覚えていれば120%まで受け止めてくれる。その返し方を見て、自分も同じように返せばいいと学べる、という提案です。
受け止める
まとまりのない話から要点と目的を言い直す
確認する
「合ってますか?違ったら遠慮なく」と聞く
修正する
違えば「勘違いしていました」と受け入れる
動く
「じゃあこれについてお調べしますね」と次の行動へ
AIの方が会話上手なのはエゴがないから?
川原さんは、共感を基礎として身につけている人を探すのが難しいほどだと話します。それを受けてすがけんさんは、その場でAIのほうが上手な理由を考えました。
川原さんは「無我であることが実は究極で、利他的になる」と応じます。すがけんさんは、自分のアドバイザーの仕事もChatGPTに近いと話しました。
すがけんさんは広告やシステムなど売りたい商品を自分に禁じています。売るものがあると、そちらに誘導するインセンティブが働いてしまうからです。
だってほら、嫌なら会わなきゃ終わりだし。結局その人が10年後に、あの時大事だったなと思ってくれればいいだけだから。
すがけんさんによれば、実際に10年ほどたってからDMをくれる人がいるそうです。川原さんはそれを「恩師になるタイプの教師」と表現しました。
すがけんさんは、相手の要望を120点で理解できれば、あとはそれを叶えられる人間になればいいと言います。変に売ろうとしなくても、ビジネスは成立するという考えです。
他社の商品を勧める営業マンが勝つ理由
川原さんは前職で営業マンの育成に関わっていた経験から、超優秀な営業マンの共通点を挙げます。自社商品にこだわらず、クライアントに本当に合うものを提案してしまうことです。
車の例でいえば、相手に合うのが他社の車ならそれを勧めます。満足した客は「この営業マンは嘘を言わない」と信頼し、周りで車が欲しい人を全員紹介するようになります。
しかも本当に余裕がある人だったら、いや別にNだったのは分かったけど、君から買いたいからTで買うよってなるんすよね。
本当に合うものを勧める
自社か他社かを問わず提案する
全幅の信頼
「この営業マンは嘘を言わない」と思われる
紹介が集まる
周りで欲しい人が出ると、その営業マンを紹介する
指名される
余裕のある客は「君から買いたい」と選ぶ
すがけんさんは、これはビジネススクールや資格で身につくものではなく、心の問題だと言います。聞いて納得すれば、今日からできることだといいます。
だから僕ビジネスは超簡単だっていつも言うし、本当に思ってんすよ。だって相手が困ってて、それを助けてお金をいただく活動なだけだから。
すがけんさんによれば、「私はこうしたい」「何々であるべき」という自分で作ったルールが邪魔をし、取引相手がいなくなるのだそうです。
やりたいことは手段ではなく目的で考える
川原さんは、二人のアプローチの違いを整理します。川原さんは自分らしく生きることを発信しているため、自分のやりたいことを軸にビジネスを成り立たせる側から考えます。
一方のすがけんさんは、相手の困りごとから出発して解決策を考える、我のないやり方です。川原さんは、自分のやり方がうまくはまらない人も多く、ビジネスとしてはすがけん流のほうが確実だと感じていると打ち明けました。
自分のやりたいことを軸に、我がある状態で相手を満たす
相手の困りごとから出発し、我のない状態で解決を考える
すがけんさんは「山の登り方だから、どっちからでもいい」と応じたうえで、好きなことの抽象度を上げる考え方を示します。
だって全部手段の話じゃん、それって。目的は人を幸せにしてお金もらって自分も満たされることだよねっていう、そこが私はやりたいですってなれば、手段はちょっと変えれるわけですよ。
料理が得意な人なら、料理教室でもレシピ作りでも食材作りでもよいとすがけんさんは説明します。手段に固執すると、相手とマッチするまでに時間がかかってしまいます。
川原さんは、この考え方で自分の中のちょっとした違和感が解決されたと話しました。すがけんさんは、相手がいる場所で信頼を築いてから、本当にやりたいことをやればいいと付け加えます。
でもじゃあ僕は自分らしく生きてないかっていうと、そんなことはないわけで。だって、みんなのおかげで自分らしく生きていけるわけだから、そのみんなを忘れちゃいけないっていうか。
すがけんさんは、例えば映画監督になりたいと思っていても、それをすぐ商売にはしないといいます。お金を払ってくれる相手へのこだわりを少し緩めれば、選択肢が増え、取れる正しい行動も増えると考えています。
嫌な出来事は「ネタ」として書き換えられる
話の終盤、すがけんさんは「口に指を突っ込まれるのも悪くはなかった」と振り返ります。エステでの体験があったからこそ、この対話にたどり着けたからです。
川原さんは、その瞬間には違うことであっても、何かで昇華されれば良い方向へ向かうのは哲学的だと応じました。
悪いことも良いことが起きる原因になるわけじゃないですか。だから僕、あんま落ち込まないんですよね。だって結局落ち込んだっていいことが減るだけだから。
すがけんさんは、48歳の男性として40分間はかなり屈辱的だったと率直に語ります。それでも「あれがあったからこうなった」と思えば、記憶は書き換えられるといいます。
さらにすがけんさんは、施術自体は正当なもので相手が悪いわけではなく、自分がそう見えただけだと話します。被害者として返金を求めても、言い合いになるだけです。
「そんなことがあった」と笑って話すほうが、ダメージも少なく面白い。川原さんはこれを人生はネタとまとめました。
人生そのものを捨てると新しい人生が入る?
告知コーナーでは、すがけんさんが著書『厚利少売』を、川原さんが新刊『人生は捨て』を紹介しました。川原さんは、今回のキャッチボールの話を本に書きそびれたので、次回以降のネタにするといいます。
すがけんさんは、川原さんの本から考えたことを話します。服を捨てれば空いた箱に新しい服が入り、友達も同じように入れ替わる。捨てたものと同じ大きさの分だけ、新しいものが入ってくるという考え方です。
そしたら最も捨てれるのって何かなと思ったら、僕、人生そのものなんですよ。人生そのものを捨てれたら、新しい人生が入ってくるんじゃないかと。
川原さんは「まさに僕が伝えたかった真理がそこです」と応じました。すがけんさんは、こんまり流のように少しずつ始めれば、やがて大胆に捨てられるようになると話します。
最後に川原さんは、生きにくさや違和感、ビジネスのガチ相談をお便りフォームで募集します。「どのボールでも受け取って返せる二人」だとして、リスナーにキャッチボールを呼びかけて番組を締めました。
まとめ
小顔エステでの戸惑いと、ChatGPTの共感から始まる返答。その対比から、二人は商売の本質は相手のボールを受け取ることにあると語りました。エゴを手放し、手段ではなく目的で考えることが、信頼と厚利少売につながるという回です。
- ChatGPTは「大変でしたね」と共感から入り、確認と提案まで行うため、会話のお手本になる
- 否定から入るか受け止めてから話すか、最初の一言目の違いが信頼を大きく左右する
- 売るものへのこだわりを捨てて相手に本当に合うものを勧めると、紹介と指名が集まる
- 好きなことを手段ではなく目的のレベルで捉えると、選べる手段が広がる
- 嫌な出来事も、次の良いことの原因として捉え直せば「ネタ」に変えられる




