溺れる人を泳げない人は助けられるか
第14回の本編は、誰かの力になりたいと考えている人に向けた話です。ごうさんは、困っている人を助けたい気持ちは立派だとしたうえで、気持ちだけでは難しいと感じることがあったと切り出します。
ごうさんが最初に挙げる例えは、目の前で誰かが溺れている場面です。自分が泳げず、自分も溺れている状態では、助けたい気持ちがあっても助けることはできません。
(溺れてる人を)助けたいっていう気持ちがあっても、ちょっとやっぱり無理じゃないですか。もうね、自分が溺れているわけだしね。
2つ目の例えは、飛行機の酸素マスクです。機内の案内動画では、他の人を手伝う前にまず自分のマスクを着けるよう説明されます。
ごうさんは、酸素マスクの順番を「相手を見捨てる」ことではなく、相手のために動ける状態を最優先で確保することだと説明します。
3つ目が、今回のタイトルにもなった自分のコップに水を注ぐ例えです。器が空のままでは人に水を渡せず、渡せたとしても量は少なく、渡し続けることも難しくなります。
自分のコップを満たす
まず自分という器に、溢れるくらいまで水を入れる
周りに分け与える
溢れた分を、周りの人にしっかり渡していく
渡し続けられる
空の状態と違い、量も継続性も確保しやすくなる
ごうさんは、まず自分のコップを溢れさせてから分け与えるという考えが、自分にはすごくしっくりくると話しています。
自己犠牲の美談に潜む落とし穴
ごうさんは、自己犠牲の精神で誰かの役に立つ話は美談になりやすいとしつつ、そこだけに注目することに危うさを感じると言います。
ただし、ごうさんは「コップが満たされるまで周りに何もしない」という意味ではないと補足します。溺れている人の例でいえば、自分で助けられなくても、周りを見渡して困っている人に気を配ることはできます。
困っている人を見つけたら、助けられる人を呼ぶ、できる人につなぐ。ごうさんは、助ける力をつけることと、今の自分にできることを考えることは両立でき、二択ではないと話しています。
ごうさんは、人のためという大義名分があるからこそ気づきにくい落とし穴だとして、自分の進む道がその方向に向いていないか一度立ち止まってもよいと提案します。
ごうさん自身も、まだ自分のことで手一杯だと打ち明けます。20代のうちに自分のコップを満たせればよかったものの、30を過ぎて「やり残した宿題」をやっている感覚だそうです。
さっさと自分の船を作り終えて、早いとこ周りのね、手を差し伸べられる状態っていうのにたどり着かなきゃなと思う今日この頃でございます。
コップを満たし続けたほうが、その先々も分け与えやすいという続きの話もあるとのことで、そちらは別の機会に触れる予定だと話されています。
オーダー対応と定番商品、どちらを優先する?
後半はお便りコーナーです。この番組では、AIに作らせた質問に答えるのが基本で、たまに人間からの質問も混ざっていますが、ごうさんはどれが人間の質問か知らないまま答えています。
ハンドメイドの布小物をネットで売っています。最近、色やサイズの個別変更を頼まれることが増えました。注文が来るのは嬉しいですが、その対応で元々売りたい定番商品の制作が後ろにずれています。ごうさんなら個別に希望に応える範囲と定番の商品を作る時間をどう決めますか?
箱のリボン さんから
ごうさんは、わたあめの販売でも似た状況があったと共感したうえで、結論として「定番の商品に振り切る」のがゴールだと答えます。
色やサイズの個別変更をすることで、前後のコミュニケーションだったりとか、原料の調整だったりとか、例外対応っていうのがめちゃくちゃ増えているじゃないですか。
作れる布小物の数には限りがあるため、個別対応はそれがなければ売れたはずの定番商品の伸びを削っている、というのがごうさんの見立てです。
ごうさんは企業向けのビジネスでも構造は同じだと話します。個別対応やイレギュラー受注が増えると売上は伸びても、運用や間接部門の工数が膨らみ、利益が残らないケースが多いそうです。
一方で、ごうさんは例外が2つあると付け加えます。1つは販売を始めたばかりで需要が固まっていない場合で、個別変更の中に新しい定番商品のヒントが隠れているかもしれません。
この場合、ごうさんは以前のエピソードでも触れたパレートの法則 ── 全体の成果の大部分(約8割)が一部の要素(約2割)から生まれるという経験則。「80対20の法則」とも呼ばれますを当てはめ、8割を定番、2割を個別対応にして次の商品の芽を探す棲み分けを提案します。
もう1つは、そもそもオーダーメイドに応えることが強みである場合です。その場合は比率を逆にして8割を個別対応に充て、ただし販売価格は価値に見合うだけ上げることをセットで考えるべきだとしています。
| 状況 | 配分 | ポイント |
|---|---|---|
| 基本 | 定番に振り切る | 例外対応の工数を減らし、強みを多くの人に届ける |
| 販売を始めたばかり | 定番8割・個別2割 | 個別変更から新しい需要や改良の芽を探す |
| オーダーメイドが強み | 定番2割・個別8割 | 価値に見合うよう価格を上げる |
AIが作った文章、どこを自分で確認する?
AIで仕事の案内文を作ると、文章が自然なので確認したつもりでそのまま出しそうになります。ごうさんもAIに作ってもらったものを外に出す際、どこを自分で確認するか、どう決めていますか?
送信ボタン さんから
ごうさんも、油断するとAIの出力をそのまま出してしまいそうになると認めます。ごうさんは商品パッケージの裏面表記やイベントの告知文をAIに作ってもらうことが多く、その出力を「タタキ」として扱っているそうです。
タタキ、下書きなので、要は自分はね、それに対するツッコミ役に回るんですよ。
ごうさんは、AIとの関係を上司と部下にたとえます。部下が出してきたもののチェックやダメ出しは、自分でゼロから作るよりずっと楽だという感覚です。
さらにコツとして、自分がダメ出しして直したものを、もう一度AIにチェックさせるそうです。ごうさんの修正に誤字脱字が混ざっていても、AIで拾えるからです。
ごうさんは、外に出す文章や画像はこの順番で仕上がるパターンが多いと振り返り、これ自体を1つのテーマとして話したくなったと語っています。
こだわりを知ると、味は変わる?
綿あめを買って帰る時、袋に入った見た目にもワクワクします。ごうさんが商品の包装を考える時、開ける前に楽しんでもらう見た目と持ち帰りやすさがぶつかったら何を決め手にしていますか?実際そんな場面があれば、その時の話も聞きたいです。
空の紙袋 さんから
ごうさんは、見た目と持ち帰りやすさがぶつかるものだとは考えておらず、両立させるように考えていると答えます。そのうえで、近い話としてラーメン屋での体験を挙げます。
商品注文して待ってる間に、カウンターの自分の目の前にこだわりを書いているお店、これめちゃくちゃ好きなんすよ。
麺の小麦の産地、スープの素材、京都産のネギ、徳島から仕入れたすだち。ごうさんは、こうした情報があるかないかで、出てくる一杯への解像度がまったく違うと感じるそうです。
プラシーボ効果もあるかもしれないとしつつ、ごうさんは自分のわたあめでもこの点を意識しています。マルシェではこだわりを口頭で伝え、パッケージの裏に余白があれば一言二言を添えているといいます。
初対面の自己紹介、何から話す?
初対面で仕事を聞かれると説明が長くなって相手が質問する隙までなくしてしまいます。ごうさんは番組ではなく、初めて会った人に自己紹介する時、仕事やこれまでの経歴のうち、何から話すか、どう選んでいますか?
名無しのすみ さんから
ごうさんは、自己紹介がめちゃくちゃ得意なわけではないと前置きしつつ、相手が知りたいことは何かを考えるようにしていると答えます。
具体的には、誰に対してどんな場面で、ほかにどんな人がいるかを見て、自分の中で仮説を立てます。そのうえで、相手に届きそうなキーワードを2〜3個散りばめておくそうです。
自己紹介をね、そのキーワードの提示に留めておいて、相手がね、気になったらそこについて聞いてくると思うので。
相手が反応したキーワードについて厚めに話せば、自己紹介が自然に会話へつながります。ごうさんは、自分ももっと上手くなりたいと話しています。
楽しむことと仕事目線は分けられるか
旅先でお土産を買うと、渡す分より自分の分が多くなります。しかも帰りの電車で開けちゃいます。ごうさんは仕事抜きで出かけた先でつい作り手の目線で見てしまって、普通に楽しむつもりが観察家になったことってありますか?あれば何を見てしまったのか聞きたいです。なければ仕事の目線が入らずに楽しめるものの話を聞きたいです。
お土産袋 さんから
ごうさんにとって、楽しむことと仕事目線は完全に溶けて混ざり合っているそうです。客として楽しみながら、商品を作る大変さやキャッチコピーの良さを考えてしまうのが日常だといいます。
ごうさんは、素材もデザインも文章も、身の回りの商品には学べる情報があふれていると考えています。良い例も悪い例も含めて、吸収できるものは貪欲に吸収したいと話しています。
最近刺さった例が、コンビニで見つけたカルビー ── ポテトチップスなどで知られる日本のスナック菓子メーカーのポテトチップスです。10年以上かけて開発したジャガイモ(ホロシリ)を使った商品だそうです。
ごうさんは、パッケージデザインからこだわりの表現、そして「買いたい」という気持ちを揺さぶるまでの流れが恐ろしく綺麗で、感動して買ってしまったといいます。こうした体験を言語化し、自分の商品に生かす思考のトレーニングも楽しんでいるそうです。
ごうさんは、この日の質問の質の高さに感動したと語り、言いたかったことが引き出された感覚があったとお便りコーナーを締めくくりました。
新商品の準備と東京のマルシェ告知
エンディングでは、2026年11月3日の収録日の様子が語られます。急遽新商品を作ることが決まり、ラベルやパッケージデザイン、裏面の成分表示、こだわり文を作ったあと、大道具の組み立てやニス塗りもしていたそうです。
最後は告知です。瀬戸内川三豊マルシェが11月22日日曜日の11時から16時まで、東京の有楽町駅前広場で開催されます。
出品するのは、三豊のフルーツを使った「大人のクラフトわたあめ」がコンセプトの三豊ふわりとです。大阪や福岡の百貨店では持っていった分が足りなくなるほど喜ばれた商品で、東京で食べられる機会は貴重だと話されています。
まとめ
第14回は、人を助けたいならまず自分のコップを満たすという本編を軸に、仕事の優先順位やAIとの付き合い方、日常の学び方まで、ごうさんの考え方が一貫して表れた回でした。
- 溺れる人や酸素マスクの例えのように、人を助けるにはまず自分が動ける状態を確保することが大切
- コップが満たされる前でも、周りに気を配り、できる人につなぐことはできる
- ハンドメイド販売は基本は定番に振り切り、状況に応じて8対2の配分や価格の見直しを考える
- AIの出力はタタキとして扱い、人のダメ出しのあとに再びAIでチェックする
- 身の回りのものは全て誰かが作った商品で、楽しみながら学べる材料にあふれている



