鉄パイプは本当に自分で切れないのか?
第13回の本編のテーマは「なんとなく苦手の壁を越えていけ」です。ごうさん自身の、収録当日の反省を込めた話だと前置きされています。
きっかけは、近く控えている大きなイベントです。ごうさんはその出展で店に飾る大道具を作っていて、頑丈さが必要だったため、AIに作り方を相談しました。
AIからの提案は、イレクターパイプ ── 鉄パイプの表面を樹脂でコーティングした組み立て用のパイプ。専用の継ぎ手でつなぎ、棚や作業台などをDIYで作るのによく使われますを組み立てて作るというものでした。
ごうさんの説明では、イレクターパイプは直径約3センチの鉄パイプで、表面が黒や白の樹脂で覆われています。いわゆる単管パイプ ── 工事現場の足場などに使われる、むき出しの鉄パイプ。丈夫ですが見た目は無骨で、現場らしい印象が強い素材ですと比べると現場感が出ず、丈夫さと見た目のよさのバランスがよい素材だといいます。
ごうさんはイレクターパイプの存在を以前から知っていましたが、自分が使う素材の候補には長らく入れていませんでした。見た目は整っていても中身は鉄パイプで、自分で切ることを想像すると難しく感じたからです。
水道管のような塩ビパイプなら、これまでに切断や組み立てをした経験がありました。けれど鉄パイプとなると話は別だと考えていたようです。
いや、鉄パイプ切断するとかめっちゃ大変じゃんって思っていて。
それでも今回は、イベントまで時間がないこと、予算の都合、ほかに方法がなさそうなことが重なり、ごうさんはしぶしぶイレクターパイプを使うことにしました。
実際に専用の道具で切ってみると、イレクターパイプは意外とあっけなく切れたそうです。道具にパイプを挟んで固定し、パイプをぐるぐる回すと切断できる仕組みでした。
ね、不思議っすよね。鉄パイプなのに。
何本も切るうちに、パイプを強く握って回し続けたせいで右腕の握力はプルプルになったといいます。それでも、思っていたよりはずっと簡単だったというのがごうさんの実感です。
鉄パイプの切断は大変そうで、自分の使う素材の候補に入れていなかった
専用の道具で挟んで回すと意外とあっけなく切れ、苦手意識は何だったのかと感じた
あれ、今までなんとなく苦手って思ってたのは何だったんだぐらいな感じでした。
車の運転も発電機も、最初は「ありえない世界」だった
イレクターパイプの一件を振り返るなかで、ごうさんは似たことがほかにもあったと思い出します。車の運転、イベント出展でのテント設営、ガソリンで動く発電機です。
東京で会社員をしていたころのごうさんは、車を運転することもなく、超インドア派でテント設営もしませんでした。そのため、どれも最初はめちゃくちゃ苦手意識があったといいます。
ましてやなんかガソリンをね、自分でね、使って、ましてやそれを使った発電機をね、ブルブルルンとね、稼働させるみたいな、ありえない世界にズブズブと入り込んでいくようになり。
ところが、どれもやるようになると、今ではまあまあ難なくできるようになりました。ごうさんは、このパターンがイレクターパイプの経験とよく似ていると感じています。
ごうさんは、「自分にもできる」という感覚はやってみることで育っていくものだと話します。心理学でいう自己効力感 ── ある行動を自分はうまくやれるという見込みや自信のこと。心理学者アルバート・バンデューラが提唱した概念で、成功体験によって高まるとされていますもそれにあたるという見立てです。
人がやっている姿を見ることや、知識として知っていることと、自分で体験することでは、情報量があまりにも違います。会社員を辞めて移住し、わたあめを仕事にしたことも含め、知っているのと体験するのとでは別物だと改めて思ったといいます。
人がやる姿を見たり、知識として知っている状態。情報量が少ない
実際にやってみることで情報量が段違いに増え、「できる」感覚が育つ
ごうさんは、仕事の分野でも近い考え方があると紹介します。経営学者が言うように、リーダーやマネージャーになるときは誰でも最初は未経験で、その知識や経験はやっていく中で積み重なっていくという考え方です。
もちろん向き不向きはあると、ごうさんは断ったうえで話を続けます。それでも、食わず嫌いのような苦手意識は、やってみるとやれる、やり続けるとやれるというのが、イレクターパイプを発端に振り返って感じたことだといいます。
ごうさんによれば、苦手意識の根っこには「自分はこういう人間だ」と勝手に縛っていることがあります。その縛りは大人になるほど増え、固まっていきがちです。
何でもやれというわけではないものの、なんとなく苦手なものを何か1つでも乗り越えるのはやる価値がある、とごうさんは話します。そして、壁を越える力を自分が持っていると信じてみるのもいいのではないかと呼びかけます。
本編の締めくくりでは、ごうさんは苦手だったパクチーを一口食べてみたものの、「やっぱりダメなもんはダメなんだな」と思ったというオチもついています。
苦手な役割を頼まれたら、何を基準に引き受ける?
後半はお便りのコーナーです。このコーナーでは、ごうさんがAIに質問を作らせて答えていきます。マシュマロに届いた人間からのお便りもAIの質問に混ぜていて、ごうさんはどれがAIでどれが人間か分からない状態で答えているそうです。
会社で初めて新人に仕事を教える係を頼まれました。これまでは自分の担当を黙々と進める方で、人に説明するのは得意じゃありません。同じ給料のまま自分の作業も残るので、引き受けるか迷ってます。ごうさんなら、今の自分には得意でない役割を頼まれた時、何を基準に引き受けますか?
空いた机 さんから
本編とそっくりな内容に、ごうさんは「なんだ、やらせか?」と驚きつつ答えます。基準は、その役割ができるようになった自分が望ましいかどうか、今後のキャリアにつながるかどうかという、先を見据えた視点だといいます。
ね、さっきも話したように、得意ではない役割って。だってやったことないし、シンプルに経験がないだけだし。
ごうさんは、得意でない役割にも後天的にできるようになる余地があると話します。向き不向きで伸び方の角度は違うかもしれませんが、ゼロからのスタートなら少しでもできるようになったほうがよく、やってみて分かることは絶対にあるという考えです。
さらに、空いた机さんの上司も、そのまた上司も、みんな同じ道をたどっているはずだと続けます。自分の仕事がある中で人に教える役割が降ってきたとき、どう広げるかがポイントになります。
役割が降ってくる
自分の仕事を抱えたまま、人に教える役割を任される
工夫する
時間をやりくりし、やり方を工夫し、誰かの手を借りる
枠組みが広がる
自分の仕事のやり方の枠組みが広がり、成長につながる
そうやって自分の仕事のやり方、枠組みっていうのを広げていくのが一番、なんか自分の成長にもつながるからいいかなというふうに思いました。
移住先の集まりにはどこまで参加する?
2つ目のお便りは、移住後の人付き合いについての相談です。
移住した後の人との付き合い方で迷っています。知らない土地で知り合いを増やしたくて、誘われた地域の集まりにはなるべく参加しているのですが、土日休日が全部埋まりそうです。まだ来たばかりなので、断ったら次から声をかけてもらえない気もします。ごうさんは移住してきた頃、地域の集まりに参加する範囲をどう決めていましたか?
駅前のベンチ さんから
ごうさんも、移住した最初のころは行けるものはできるだけ行くようにしていたといいます。その後、自分の仕事の割合が増えるにつれて、全部には出られなくなり、徐々に絞っていきました。
移住した最初のころは、行けるものはできるだけ行っていた
仕事の割合が増えるにつれて、参加する集まりを徐々に絞っていった
で、声かけられないことをなんか、うーん、そんなむやみやたらに怖がらなくてもいいんじゃないかな。
ごうさんは、自分は人付き合いが得意なほうではなく、聞く相手を間違えている可能性もあると断ったうえで、大事なのは自分の中の優先順位だと話します。
ごうさん自身も、今後仕事が軌道に乗って時間が増えたら、もう一度いろいろな集まりに時間を取れるようになりたいと考えているそうです。今その集まりに時間を使うべきか、ほかにやるべきことがあるかを、長い時間軸で考えるのもいいかもしれないと提案しています。
装飾は自分で作るか、人に頼むか?
3つ目のお便りは、本編の鉄パイプの話を受けた質問です。
鉄パイプの話を聞いて、わたあめ屋さんってわたあめ以外の仕事も随分あるんだなと感じました。装飾みたいに、自分で作ることも誰かに頼むこともできる仕事は、ごうさんはどこで線を引いていますか?自分でできるようになる楽しさと、本業に使う時間の間でどう決めてるか聞きたいです。
工具箱 さんから
ごうさんはまず、今日話した話題をQAにしないようAIに言っておかなければ、と苦笑します。そのうえで、自分は人に頼むのが苦手で、つい抱え込んでしまうのはよくないところだと自認していると話しました。
いろんなものの優先順位次第で、もうこれは誰かに頼まざるを得ないなという状況には、まあ頼んでいるようになってるかな。
ごうさんは、自分は何かと自分でやることに夢中になりがちなので気をつけたいと話します。この線引きはごうさん自身が今後もっとうまくやれないかと考えているテーマで、何かアップデートがあれば番組で話したいとしています。
人の言い回しは借りていい?合わない誘いはどう断る?
4つ目のお便りは、前回の放送で話した「自分にとってのわかりやすい」を集める話を受けたものです。
前回の「自分にとってのわかりやすい」集めを聞いて、伝わる説明を見つけたら残すようにしました。ただ、自分で説明するとき、気に入った人の言い回しをそのまま借りたくなってしまいます。ごうさんは参考になる説明を見つけた時、それを自分の言葉にするまでどう扱っていますか?
本の栞 さんから
ごうさんは、前回「パクりに気をつけよう」という話をしたので、それに引っ張られすぎているかもしれないと前置きします。そのうえで、本の栞さんのケースなら言い回しをそのまま借りていいという考えを示しました。
それ(借りた言い回し)を何回も何回も言っていく中で、自分流になんとなく、うーん、離れていくというか、形作られていくようなものなので。
最後のお便りは、本編のパクチーのオチを受けたものでした。
パクチーのオチで笑いました。友人に勧められた激辛カレーを食べたら、味より、食べきれたという達成感だけ残りました。ごうさんは周りが楽しそうに勧めるけど自分には合わないものであった時、どうやって断ったり、その場を楽しんだりしますか?
カレーの代わり さんから
ごうさんは「さすがにそれはないですよ、AIさん」と前半部分を忘れることにし、合わないものとの付き合い方に絞って答えます。真っ先に思い浮かんだ例は、カラオケだったそうです。
カラオケとかがですね、なかなか、なかなか難しいなというふうに思っております。
ごうさんの対処は、ほかにやることがあってこの後時間がない、とシンプルに伝えることだといいます。あるいは、自分が楽しむよりも、その場にいる人たちが楽しめるように自分にできることはないかと考えるそうです。
ごうさんは、カラオケが大好きな人は周りにたくさんいて否定するつもりはないとも話します。歌の練習をして楽しめるように努力する道もあり、そこは人それぞれだと締めくくりました。
お便りコーナーの最後に、ごうさんは今回の質問を「二重でしんどかった」と振り返ります。当日話した内容をAIが質問にしてくることと、言語化に困りがちなテーマを突いてくることが重なり、過去一しんどい質問コーナーだったそうです。
イベント準備の近況と有楽町マルシェの告知
エンディングでは、収録日が2026年11月20日であることが伝えられます。ごうさんは、イレクターパイプでの工作をしながら、急いで商品の仕込みも進めなければならない時期だと近況を話しました。
告知は、東京・有楽町で開かれる瀬戸内川三豊マルシェへの出店です。11月22日の日曜日、11時から16時まで有楽町駅前広場で、ごうさんとは別のスタッフが三豊のフルーツを使ったわたあめ「三豊ふわりと」を販売するとのことです。
番組では匿名質問サービス「マシュマロ」でお便りを募集しており、ラジオネーム付きで投稿したい人はSpotifyのコメント欄からも送れると案内されています。
まとめ
今回のごうさんは、鉄パイプを切るのは大変だという思い込みが、実際にやってみると簡単に崩れた体験から、苦手意識の多くは経験がないだけの食わず嫌いかもしれないと語りました。お便りでも、苦手な役割は先のキャリアを見据えて引き受け、時間の使い方は優先順位と長い時間軸で考えるという姿勢が一貫していました。
- イレクターパイプは専用の道具で挟んで回すと意外とあっけなく切れ、長年の苦手意識は何だったのかと感じた
- 車の運転やテント設営、発電機も、やるようになってからは難なくできるようになった
- 「自分にもできる」という自己効力感は、知識ではなく体験によって育つ
- 得意でない役割は、できるようになった自分が望ましいか、キャリアにつながるかで判断する
- 向き不向きはあり、パクチーやカラオケのように合わないものは無理せず付き合い方を工夫する







