前回のおさらいと今回のテーマ
この回は全3回シリーズの第2回です。前回は、背景にある理論や現状把握のための指標を3つほど紹介しました。
今回は、その理論をふまえて、療育施設や家庭で具体的にどんな遊びができるかを一緒に考えていきます。
テーマは、上手に喋らせることではありません。伝わることの大切さや、子ども自身が何かをしたら大人が動いてくれたという「伝わった」体験を繰り返すことです。
上手に喋るっていうよりかは、伝わったっていうことを繰り返しやっていくことが大切かなっていう話もしましたし、子供がやってることを逆に真似してあげたりとか、言ってることを真似してあげるみたいなところをしながら楽しく関わっていくことがとても大切なのかなと思います。
療育施設の支援者さんからのテーマなので、療育施設でできることと、時間の短い療育を補うために家庭でできることの両方を考えていきます。
好きな遊びで「真似して返す」ミラーリング
まずは、子どもが好きなもので遊ぶのが大切です。トミカやプラレールを一緒に並べて走らせたり、子どもの動かし方に合わせてこちらも動かしたりします。
子どもが「パペペ」「バババ」などと言って何かを貸してほしがったら、ただ貸すのではなく、同じトーンと動きで「パペペ」と真似して返してあげます。
「貸して」が言えるようになってきているなら、「貸してだね」と正しい言葉に言い換えながら、持っている電車を渡してあげます。
好きな遊びだと意欲的にやりたいことが出てきます。動くから真似でき、言うから真似できるので、動きや音が出る遊びをどんどんやっていくのがよいと話されています。
狙いは、子ども自身が動いたり走ったりすると、それに連動して大人が動くという心地よさを味わうことです。だから電車やミニカーでなくても構いません。
なんでもいい「連動する遊び」を作る
ケンさんは、子どもが動いたら大人が動く、という形なら何でもいいと話します。鬼ごっこ、だるまさんが転んだ、電車ごっこなど、身近な遊びが意外とことばの発達につながります。
子供がジャンプしたら踊ったりするとか、なんか考えたらありますよね。そういうオリジナルゲームを作っちゃえば。
大事なのは、子どもが何かしたら大人がその動きに連動している、と味わえることです。豆をまいたら鬼が倒れる、ボールを投げたら大げさに倒れる、といった遊びは特に盛り上がります。
ボール投げられたら「うわぁ」って吹っ飛ぶとか。それだけでキャッキャッてなるけど、「これ言葉の勉強?」みたいになるんだけども、根本は一緒かなっていう。
これはことばがなくても成立するコミュニケーションです。何かをしたら何かが起きる、その関係性が土台になります。
投げる、倒す、覗くといった動きは子どもが好みます。トイレットペーパーの芯を覗いたら向こうからも覗いてくる、といった遊びも同じ考え方です。
遊びに「音」を重ねていく
連動する遊びに、今度は音を重ねていきます。子どもがトミカを黙って走らせているときに「プップー」と効果音をつけたり、カエルが跳ねたら「ぴょんぴょん」と言ったりします。
タンバリンを「ポンポン」と叩きながらボールを投げ、落ちたタイミングで音を出すなど、動きと音を合わせるのも効果的だと話されています。
自販機のおもちゃなら「押す」「出てくる」に「ガチャン」「ポチ」と音をつけ、出てきた缶を「ちょうだい」と受け取って「ゴクゴク」と飲み、空き缶を「ポイ」と捨てる、といった流れを見せます。
こうして真似する対象を増やしていくと、だんだん分かる事柄も、言える事柄も増えていくと考えられます。
さっきのが連動で、今回のは音声解説というか、音を付けていくみたいな。
独り言や口の動きにも付き合う
言える言葉は「貸してだね」のように言い直し、言えない言葉は音を真似て一緒に言ってあげます。お子さんによって、言葉ごとに段階が違うと考えられます。
宇宙語のようにパ行をひたすら話す独り言が多い場合も、「パパパパ」と一緒に楽しそうに言ってあげるのが効果的だと話されています。
鼻歌がてら口のトレーニングでもしとこうかな、みたいな副音声がつくかなって感じです。日頃から口を動かしていくと言える言葉が増えると思うんで、付き合ってあげるのがすごい大事かなと思いました。
さらに、話すのがあまり得意でない子には、抱っこして高い高いをして笑ってもらうことも大切だと言います。複雑な音でなくても、笑い声のように口から音を漏らすこと自体が口のトレーニングになるからです。
体を使って「息を合わせる」遊び
言葉のやりとりだけでなく、体を使う時間も作るとよいと話されています。一緒に転がったり、シーツにくるまって「しー」と言いながら隠れたりします。
筒があると覗きたくなり、股を開くとくぐりたくなるように、人は物や動きに体を合わせようとします。これを利用すると、自然とお互いに真似し合う関係が生まれます。
例えば脇に手を入れて高い高いのポーズで持ち上げると、子どもは上のものに手を伸ばして取ろうとします。子どもの「取りたい」と大人の抱っこが連動する形です。
体で、なんかいわゆる息を合わせるみたいな。そんなのをやると、いわゆる自然とお互い模倣し合ったりとか、コミュニケーションの連動が生まれますっていう。
遊びは「好きなもので遊ぶ」「やりとりしながら遊ぶ」「体を使って遊ぶ」「音をつけて遊ぶ」と分けられます。一つ七、八分ずつやれば、五種類ほどであっという間に四十分ほどになります。
家庭では「ながら」「めんどくさくない」が鉄則
家庭で伝えるときは、「ながらでできる」「めんどくさくない」を重視すると話されています。生活動線の中でできる遊びを考えるのがテーマです。
ながらでできるっていうのは、やっぱめんどくさくないっていうのは結構大事だったりするんで。生活動線の中でできる遊びっていうのを考えるのを結構僕はテーマにしています。
おむつ替えのときにお尻が出たら「プリン」、ズボンを履かせるときに足が出たら「ポン」と言うなど、動作に音をつけます。言いやすい言葉を使うと、子どもが真似しやすくなります。
「ポン」と言ったら足を出す、というように音と動作が結びつくと、コミュニケーションの連動が生まれます。頭を拭くとき、寝る前など、余裕のある場面で親御さんと一緒に考えるとよいと言います。
口を育てる遊びと絵本・食事のことば添え
口の中を使うと発音の土台が育ちます。前回はおせんべいをボリボリ食べるなどの話もありましたが、日常だと衛生面が気になる場合もあります。
そこでお風呂でストローを使ってブクブクしたり、外でピロピロ笛を吹いたりします。吹く練習や吸う練習ができ、コップやストロー付きマグなど飲み方を変えるのもよいと話されています。
最後は絵本や食事の中でことばを添えます。豚を「ブーブーだね」と指差しし、様子を見ながら「ガオーじゃなくてライオンだね」と、言えそうな言葉から少しずつ言い直していきます。
食事でも「つるつるだね」と言いながら食べます。お家の人と相談し、土曜のこの時間だけ、などできる範囲で決めるとよいと話されています。
療育と家庭に共通する土台
療育でも家庭でも、根底にあるものは同じです。動作や音を実況し、「ガオー」を「ライオン」と言い直して単語に近づけるといった関わりを、いろいろな場面で重ねていきます。
解説の中でその音声的な解説もあるし、「ガオー」を「ライオン」って言い直すとか、より単語に近づけるみたいなことを、いろんな場面でやってくのが療法として大事なんだろうなって思いました。
次回の第3回では、療育施設と家庭に加えて保育園や幼稚園も含めた三者が、どんなことを共通認識として連携できるかを扱う予定だと話されています。
まとめ
発音を無理に練習させるのではなく、子どもが動いたら大人が連動し、その動きや遊びに音や言葉を添えていく。療育でも家庭でも、笑い合いながらやりとりを繰り返すことが、ことばの土台になると語られた回でした。
- 目標は上手に喋らせることではなく、「伝わった」体験を繰り返すこと
- 子どもが動いたら大人が連動する遊びは、鬼ごっこなど何でもよい
- 遊びの動作に効果音や言葉を重ね、言える言葉は正しく言い直す
- 家庭では「ながら」「めんどくさくない」を鉄則に生活動線の中で行う
- ストローや笛で口を育て、絵本や食事でことばを添えるのも効果的
