週4・1年半続いたワカモレ生活
田中はメキシコ料理のワカモレアボカドを潰して玉ねぎ・ライム・塩などと和えたメキシコのディップ。トルティーヤチップスにつけて食べるのが定番。に1年〜1年半ハマり、週4ペースで作り続けていたといいます。きっかけは、マラソンに向けて絞っていた時期にたどり着いたカロリーと栄養のバランス。アボカドはカリウム、ビタミンB群、葉酸、食物繊維が豊富で、腹持ちもよく、田中なりの「解」だったそうです。
会社のバーベキューに自作ワカモレを持参したところ評判は爆発。「肉より先にワカモレが消える」状態になり、以降いろんなバーベキューに呼ばれるようになったといいます。
あいつのワカモレは本当にうまいとか言って、それしか食べないで肉を食べないやつとかが続出するぐらい。
本格化のポイントはシンプルで、クミンとコリアンダーを入れること。これだけで一気にメキシコ料理らしさが出るとのこと。さらに深みにハマるとアボカドの品種にも手を出し始めるそうで、市場の9割を占める「ハス種」以外のフェルテ洋ナシ型で皮が緑のまま熟す品種。ハス種より甘みが強いとされる。日本ではあまり流通していない。やベーコンといった品種に行くと「もうやばい」と田中は笑います。
基本のワカモレ
アボカド・玉ねぎ・ライム・塩
クミン+コリアンダーを足す
これだけで再現度が一気にメキシコ料理寄りに
深みハマりゾーン
アボカドの品種違い(フェルテなど)に手を出し始める
ルーローハンをプロの味にする3つの素材
もう一つ田中がハマり込んだのがルーローハン台湾の家庭料理で、甘辛く煮込んだ豚肉をご飯にのせた丼物。八角や五香粉で香りをつけるのが特徴。。日本にも数店舗あったという「髭長」というルーローハン専門のファストフード店が閉店してしまい、「もう自分で作るしかない」と決意したのがきっかけだといいます。
普通のレシピなら醤油・酒・にんにく・生姜で十分ですが、プロっぽい味に近づけるためのキー素材は3つあると田中は言います。
ただし、豚バラを使うと脂がすごいので、田中は豚の皮に置き換えるという独自の方法に行き着きます。コラーゲンたっぷりでカロリーは控えめ。問題は、豚の皮は普通のスーパーには売っていないこと。そこで田中は毎週、新大久保の韓国系・アジア系スーパーに2kg単位で豚の皮を買いに行っていたといいます。
毎週2キロの豚の皮を買いに行って、魔女みたいにずっとグツグツ煮込んでました。
変な人。
そんなルーローハン狂いも、ある日突然パタッと終わりが来るのが田中流。「もう二度と食べたくない」と急にスイッチが切れ、以後一切食べなくなったといいます。
卵焼き100日チャレンジで起きたこと
けんすうは、下手な料理をどこまで極められるかという実験として、卵焼きを毎日焼き続けたといいます。最初は下手でも、30日くらいから明らかに上達する手応えが出てきて、その様子をXで発信。100日近く続けたところで、思いがけない副産物が生まれたといいます。
100日ぐらいやって極めたかなぐらいまでいくと、「この人やりきる人だ」って思われて仕事が来るようになりました。
毎日の発信が、料理の腕だけでなく「最後までやりきる人」という信頼につながったというわけです。
技術的なポイントもかなり細かい。卵は泡立てずに「切る」のが鉄則で、専用の切り器具まで存在するそうです。フライパンは銅製がよく、けんすうもそれを使用。お箸で巻く練習までしていたといいます。砂糖を入れるとコクは出るものの焦げやすくなるので、量の見極めが腕の見せどころ。
熱伝導率が高く、寿司屋でも使われる定番。温度の見極めができれば仕上がりが安定する。
ヘラより小回りが利き、慣れると圧倒的に巻きやすい。練習でしか身につかない感覚。
フライパンに少量の卵液を落とし、「ジュッ」と鳴る音で適温を判断する。
派閥論争もあり、田中は鉄鍋派。鉄は油で「育てる」楽しみがあり、植物性油の方が動物性より重合油が加熱で酸化し膜状になる現象。鉄鍋の表面に油膜ができ、焦げ付きにくくなる「育つ」状態を作る。しやすいといった、プラモデル好きと近い感覚で語っていました。
食感がKPIになった男のゴリゴリ玄米生活
けんすうの妻が買った「酵素玄米ラボ」で炊く酵素玄米玄米と小豆・塩を炊いて数日保温熟成させたご飯。三日目あたりからモチモチとした食感になり、寝かせ玄米とも呼ばれる。は、3日目くらいからモチモチ感が増し、1週間ほど食べられるという話題から、田中の独自路線がスタートします。田中は通常の玄米を、水を一般的なレシピの3分の1まで減らして炊くため、食べるとゴリゴリと砂のような音がするほど硬いといいます。
食感がめちゃくちゃ硬いものじゃないと、何か食べた気がしない病気になっちゃって。
この「硬さ=KPI」志向は徹底していて、プリンも昔ながらの硬めじゃないと食指が動かず、焼肉・すき焼き・鉄板焼きはほとんど噛まずに飲めてしまうから好きじゃない、と言うほど。ステーキは厚切りなら好物だそうです。
「ずっと噛んでられるのが幸せ」という田中。けんすうは、満腹中枢が刺激されやすい合理性は理解しつつも、「変な人」と素直に反応していました。
熱々派 vs 冷え冷え派
けんすうはオートミールを今でも食べ続けていて、大さじ5杯に出汁・醤油・オリーブオイルを入れる独自スタイル。豆苗とえのきを加えると血糖値の上がりが特に低かった、という話を血糖値センサーの実測ベースで語っていました。
もう一つの強いこだわりが温度。けんすうは「やけどしそうなくらい熱い」が好みで、オートミールにオリーブオイルを入れるのは冷めにくくするためでもあるといいます。一方の田中はガチの猫舌。冷え切ったご飯の方がむしろ美味しいタイプで、好みが見事に正反対でした。
みんなが毒味して「アチアチ」と言っているのを眺めて、ちょうどよくなるまで手をつけない。冷えて固まった炭水化物の方が好き。
地獄のように熱くないと嫌。やけどしそうなくらいが理想。喉とお腹に「カーッ」と来る感覚が好き。
けんすうはこの違いを「口の中に残しておきたいタイプと、喉とお腹に熱が落ちる感覚を楽しむタイプの差」と整理し、ウイスキーをショットで飲む人のような志向だと表現していました。
アサイーボウル50杯の果てに見えた答え
田中はハワイ好きが高じて、現地でアサイーボウル凍らせたアサイーを果物などとミキサーで撹拌し、グラノラやバナナをトッピングするハワイの定番フード。アサイーは南米原産のスーパーフルーツとして知られる。を50店舗ほど食べ歩き、「BOGART'S」と「TROPICAL TRIBE」という2店に行き着いたといいます。そして、自宅でその再現にチャレンジ。
バナナの凍らせ加減、豆乳とリンゴジュースのどちらを入れるかなど、延々とABテストを繰り返した末の結論は、意外にもシンプルでした。
美味しくないアサイーボウルはシャバシャバになる。ドロッとした正しい仕上がりにするには、刃が強くしっかり回り切るバイタミックスアメリカ発の高出力ブレンダーブランド。プロ仕様の馬力を持ち、アボカドの種すら粉砕できることで知られる。家庭用でも10万円前後する高価格帯。クラスのブレンダーが必要で、2〜3万円台のミキサーでは刃が回り切らないうちに溶けてしまう、というのが田中の結論。
もうひとつのこだわりはグラノラ。50種類ほど試した結果、ドライフルーツが入っておらず、ココナッツが入っているものが一番再現度が高かったといいます。
グラノラ
炒め物はナンプラーで全部いける
最後に田中が紹介したのが、すぐに真似できる炒め物の一手間。それが「ナンプラータイの魚醤。小魚を塩漬けにして発酵させた調味料で、独特の香りとうま味が特徴。タイ料理の味付けの基本。を醤油代わりに使う」というアイデアです。
炒め物は何でもかんでもナンプラーでやれっていうのが、僕の最近のひとつのゴール。
発酵調味料で炒めるとコクが出るというのは、日本だと醤油がその役割を担っているもの。ナンプラーに置き換えると、ちょうどいい深みが出て、独特の臭みも炒めることで飛ぶといいます。スーパーで売っているナンプラー1本は「一生使い切らない量」に見えるが、慣れると月1ペースで買い替えるくらい使い道があると田中。
まとめ
ワカモレ、ルーローハン、卵焼き、ゴリゴリ玄米、アサイーボウル、ナンプラー炒め。話題は次々と変わりますが、共通しているのは「一品にハマったら、納得いくまで突き詰める」という姿勢でした。
田中の「美味しい店を再現するために自宅でABテストを繰り返す」スタンスも、けんすうの「下手な料理を毎日続けてどこまで上達できるか実験する」スタンスも、出発点は違っても、続けるうちにレシピや道具の選び方、自分の好みの正体までが解像度高く見えてくるという点では同じ。
そして、ただ続けるだけでなくその過程を発信していくと、卵焼きが仕事のきっかけになるように、思いがけない副産物までついてくる。一品狂いの自炊は、料理の話に見えて、実はやりきる力の話でもあるのかもしれません。
- ワカモレはクミンとコリアンダーを入れるだけで一気に本格化する。深みにハマるとアボカドの品種違いまで行きつく
- ルーローハンをプロの味に近づける素材は「フライドエシャロット・八角・五香粉」の3つ。豚バラを豚の皮に置き換えるとカロリーも抑えられる
- 卵焼き100日チャレンジは、料理スキルだけでなく「やりきる人」という信頼を生み、結果的に仕事のきっかけにもなった
- 田中の「硬さがKPI」な食生活は、玄米を水1/3で炊くほど徹底。焼肉やなめらかプリンが好みから外れるほど一貫している
- アサイーボウル再現の最大の答えは「ブレンダーの質」。バイタミックス級の力でドロッとした食感を作る
- 炒め物の醤油をナンプラーに置き換えるだけで、コクと深みが段違いに増す。応用範囲が広く、ヘビーユースできる
