化粧箱のサイズがなぜ重要なのか
ボードゲームには、カードや駒など様々な内容物があります。これらをまとめて収める箱が化粧箱です。
化粧箱の役割は、内容物を綺麗に収めることだけではありません。店頭に並べたときの印象やパッケージデザインによって、ゲームの印象は大きく変わります。
だからこそ、箱の形だけでなくサイズ感も重要になってきます。この回では、そのサイズ感に絞って話が進みます。
海外のボードゲームはなぜ「おせちスカスカ事件」のように大きいのか
Mana(マナ)さんがまず取り上げたのが、海外のボードゲームの箱の大きさです。ドイツやアメリカなど、海外で発売されるゲームは日本のものよりも箱がかなり大きい印象があると話されています。
国ごとに流行っているゲームのタイプは様々です。アメリカではフィギュアなど内容物がぎっしり入ったボリューム感のあるゲームが主流で、ドイツにはオーソドックスなものもあります。
ただ、内容物の重さで箱のサイズが決まっているわけではない、という点が面白いところです。とにかく大きいのだといいます。
実際に開けてみると中身がスカスカで、固定されずにガランガラン動くものもあるそうです。Mana(マナ)さんは、その様子を「おせちスカスカ事件」に例えていました。
このくらいの内容物であれば、もっとコンパクトでいいのになってよく思うんですね。
海外の箱が大きい3つの理由
では、なぜ海外の箱は大きいのか。Mana(マナ)さんはX(旧Twitter)で聞いたり調べたりして、いくつかの理由を挙げています。
1つ目は、店頭で目立たせるためです。パッケージデザインでどんなゲームかを伝え、箱の裏にはルールや概要、プレイ中の写真まで載せて、箱だけで情報を伝えられるようにしているといいます。
海外では通販よりも店頭での販売が主流に見えるとのことです。送料が安いわけではないため、店頭に多く卸してインパクトで手に取ってもらう狙いがあると考えられます。
2つ目は、万引き防止です。小さいゲームはポケットに入って簡単に持ち去られてしまいます。日本より万引きが多い海外では、大きな箱にすることが犯罪抑止の意味も持つと聞いたそうです。
3つ目は、箱に対する考え方の違いです。海外では箱は中身を守るためのものという位置づけが強く、扱いも比較的雑だといいます。
日本のように、箱が潰れると商品にならないという考え方ではないようです。箱にそのまま伝票を貼って送ってくる場合もあると話されています。
店頭で目立たせる
箱だけで情報を伝え、占有面積とインパクトで手に取ってもらう
万引き防止
大きな箱にして持ち去りにくくする犯罪抑止の狙い
箱は守るためのもの
中身を運び守る箱という位置づけで、そのまま伝票を貼って送ることも
日本のボードゲームが小さい理由
一方の日本は事情が違います。住宅事情も店舗のスペースも限られており、箱が大きすぎると他の商品が並べられず嫌がられることもあるといいます。
ボードゲームカフェも同様です。何百個、何千個と並べる店舗でもスペースには限りがあり、大きい箱ばかりだと用意できる数が限られてしまいます。
コスト面もあります。特に個人で動くインディーズにとって、大きい箱のコストは死活問題になり、いかに安く抑えるかを工夫しているとのことです。
さらに、買って持ち帰ったあとの収納問題もあります。ボードゲーム専用の棚を用意している人は稀で、家に溢れてどこにしまうか困りがちだといいます。
日本ではボードゲーム会に持って行って遊ぶ文化が活発なため、持ち運びやすさも重要です。海外の「家に集まって遊ぶ」スタイルとの違いが、箱のサイズにも表れていると考えられます。
店頭販売中心・万引き防止・家で遊ぶ/箱は大きい
省スペース・低コスト・持ち運び前提/箱は小さい
「スモールボックスゲーム」と呼ばれる日本の強み
こうした背景から、日本のボードゲームはスモールボックスゲームと呼ばれることがあります。海外から見ても、日本のゲームは小さいというイメージがあるようです。
一方で、日本のボードゲームはルールが緻密で、小さな箱の中に濃い遊び体験が凝縮されていると評価されています。小さく開けたら中身みっちりというのが日本のボードゲームの特徴だと話されています。
ただし弊害もあります。あまりにみっちりだと、一度遊んだあとにどう収まっていたか分からなくなり、しまうためのパズルが始まってしまうといいます。
最悪なのは蓋の方に入れてしまったときで、もう一度しまい直さなければなりません。Mana(マナ)さんは、これはあるあるの余談だと話していました。
箱サイズを決めるときの勘所
では、どのくらいの箱サイズにすべきか。最後に、気にすべきポイントが語られます。
カードがメインのゲームでは、ポーカーサイズやカードハーフサイズなど、カードに合わせた箱があります。ただカードが入ればいいのか、遊んだ後のしまい方まで考えるのかで変わってきます。
見落としがちなのがスリーブです。ユーザーはスリーブに入れて遊ぶことが多く、その分だけ厚みや幅が増えます。スリーブを入れた状態で箱に収まるかは、実際によく聞かれるといいます。
だからこそ、スリーブに対応しているなら、その旨を告知や宣伝の際に伝えておいた方がよいと話されています。
インサートや仕切りでズレないようにするか、チャック袋を入れた状態でどう収まるかなど、内容物に合わせて最適なサイズを考えるべきだとのことです。
スリーブを入れた状態で箱にしまえるのかといったところ、そこは結構聞かれたりとかもします。
バーストオブマナに見る、箱づくりのこだわり
Mana(マナ)さん自身の作品「バーストオブマナ」も例に挙げられます。正方形のコマを使うため、開けたときに綺麗に見せたいという思いから、箱も正方形にしているといいます。
ただ、使うタイルは16枚しかないため、正方形の箱では中身がスカスカになってしまいます。そこで、開けたときにぴったり見えるよう、底上げの中敷きを特注で発注してつけているそうです。
中身がガラガラ動くのが嫌なら、底敷きや中敷き、インサート、仕切りを入れるとよいといいます。ただし既製サイズがないことが多く、コストは一気に跳ね上がると話されています。
もう1つの盲点が説明書です。箱に入れるために折る必要が出てくる場合があり、説明書のためだけに箱を大きくするのはもったいないと指摘されています。
そこで、コンポーネントがきっちり入り、説明書を折って入れられるサイズを考えるべきだといいます。A4だと折っても入りにくいことがあり、B5なら折ってちょうど入るなど、サイズと折り方の相性も確認すべきとのことです。
横に並べても選ばれるための側面デザイン
箱サイズ以外の観点として、店頭や家、ボードゲームカフェでどう並べられるかを意識する必要があると話されています。
正面に置かれることは少なく、本棚のように横向きで並べられたり、引き出しに縦に入っていたりすることが多いといいます。
そのとき、遊ぶゲームは何人用かやどんなゲームかで判断されます。正面と裏面に情報があるのは当然として、側面にもスペック情報を載せておくとよいと話されています。
対象年齢やプレイ人数、所要時間などの情報が側面にあると、判断材料になります。特にボードゲームカフェでは、知らないゲームの中から選ぶ場面が多いためです。
本棚のように横向きで並んでいるとき、遊ぶゲームは何で判断されるのか
リスナーへの問いかけ さんからの質問
2人で遊びたいときに、プレイ人数が書かれていないと手に取ってもらえません。側面に「2人用」とあれば、まず手に取ってもらえ、内容を見てもらえます。だから横にした状態でもスペック情報を載せておくべきだと話されています。
これはパッケージデザインの盲点になりやすいため、考慮に入れてほしいと締めくくられています。次回以降は、パッケージやアートワークの考え方にも触れていく予定とのことです。
まとめ
この回は、海外と日本で箱サイズが違う理由を出発点に、化粧箱を設計するときの勘所を整理した内容でした。箱は中身を守るだけでなく、店頭での見え方や収納、選ばれ方まで左右する要素だと語られています。
- 海外の箱が大きいのは、店頭で目立たせる・万引き防止・箱は守るためのものという考え方が背景にある
- 日本は省スペース・低コスト・持ち運び前提で箱が小さく、「スモールボックスゲーム」と呼ばれる
- 箱サイズは内容物の収まりに加え、スリーブ対応やインサート、説明書の入れ方まで考えて決める
- 横向きで並べられることを想定し、側面にプレイ人数などのスペック情報を載せると選ばれやすい




