なぜ「面白い」ではなく「面白くない」を考えるのか
今回のテーマは「面白くないボドゲの共通点」です。出発点は「面白いゲームとは何か」という問いだったと、Manaさんは話します。
Manaさんによると、面白いゲームには再現性がなく、狙ってヒットを当てるのは難しいといいます。日頃から面白いゲームを考えて作っていても、当てるのは簡単ではないと悩む人も多いのではないか、という前提です。
面白いゲームって言ったものって、正直再現性といったものってなかなか難しいんですよね。
一方で、面白くない要素には再現性がある、というのがこの回の核心です。面白くない要素は簡単に真似でき、真似すればやはり面白くなくなる、とManaさんは指摘します。
逆にですね、面白くないなっていうものって結構再現性があるんですね。
だからこそ、面白くない要素を避けるだけで、面白いゲームになる打率は格段に上がる、というのがこの回の狙いです。
Xで募集した「面白くない共通点」
Manaさんは先日の配信でも、作業ゲーになる、選択肢が少ない、最適解が見えてしまう、といった面白くない要素に触れていたと振り返ります。
そこで、他にどんな共通点があるのかをXで募集したところ、多くの意見が集まったといいます。今回はそれを紹介していく構成です。
面白くないボドゲの共通点って何ですか?みたいなものを投稿させていただきました。
この回は「自分のボードゲームは面白いか」以前に、面白くない要素はないかをチェックするポイントとして聞いてほしい、とManaさんは位置づけています。
そもそも遊べない。説明書とルールの問題
最初に挙がったのは、面白いかどうか以前の問題です。ルールが読めない、書いてあることがバラバラで把握できない、というケースです。
Manaさんは、これは面白い面白い以前に「遊べない」レベルだと話します。せっかく面白いゲームを考えても、遊ぶ人に伝わらなければ正しく遊んでもらえず、面白さも伝わらないという理由です。
作者が考えている通りの動きなんて絶対してもらえないので。
そのため、作者が思った通りにプレイヤーが遊べる状態を作るには、説明書の品質がとても大事だといいます。ボードゲームの説明書は理解が難しく、読めること自体が特殊スキルという意見もあるほどだそうです。
説明書作りは奥が深いため、この回では深入りせず別の機会にするとのことです。別の配信で説明書のフレームワークを扱っているので、そちらを参照してほしいと案内しています。
点の取り方が直感的でないゲーム
次に挙がったのは、得点を稼ぐタイプやラウンドを重ねるタイプのゲームで起こりがちな問題です。
Manaさんは、何点稼ごうというゴールが示されていても、点の取り方が分かりにくく回りくどいと、どう点を取ればいいのかイメージが湧かないと指摘します。こうしたゲームは説明書も回りくどくなりがちだといいます。
この状態では、楽しさよりも計算や考えるべきことが多すぎて、ゲームに集中できなくなります。だからこそ、点数の取り方や進め方はできる限りシンプルなほうがよい、というのがManaさんの考えです。
ラウンドを重ねる設計と、早すぎる脱落
ラウンドを複数回まわす設計には理由がある、とManaさんは説明します。一つは、手札運を平坦化するためです。手札運が悪くて負けて即終了では運の要素が強すぎるので、何回か繰り返すことで運をならすという狙いです。
ただし、ラウンドごとに何かが積み重なっていくタイプは注意が必要だといいます。特に、早い段階で脱落者が出るゲームでは、抜けた人が残りのラウンドを暇に過ごすことになります。
早期に脱落してしまうと残りのラウンド暇なわけなんですよ。
救済措置がないと、最後まで生き残った人だけが楽しいゲームになってしまいます。Manaさんは、脱落者のことも考えたゲームデザインにすべきだと話します。
目的が見えず、迷子になるゲーム
「最終的にこれは何をするゲームなのか」が分からないのも問題だ、とManaさんは指摘します。勝利条件が複数あっても方向性がバラバラだと、どこに向かえばいいのか分からなくなるためです。
さらに、勝ちへの道筋がまったく見えないと、プレイヤーは迷子の状態になります。進む方向も、組み立て方も分からない状態を、Manaさんは森の中で迷子になるのと同じだと表現します。
森の中で迷子になってるのと一緒なんですね。
自由度が高すぎると迷子になる
迷子になりがちな原因として、Manaさんは「自由度が高い」ゲームを挙げます。取り得るアクションの幅が多すぎると、逆にこのターンで何をすればいいのか分からなくなるという指摘です。
Manaさんによれば、自由度の高さは一見メリットに見えますが、裏を返せば「何をしてもいい、何もしなくてもいい」状態になりがちです。ちょっとしたアクションが次につながらず、ミスも勝敗に影響しないゲームも多いといいます。
正直何やってもいいし、何もやらなくてもいいし、間違ってもいいし、当たっててもいいし、ほんとただの迷子なわけなんですよ。
そこでManaさんは、ある程度のゴールを定め、そこへ向かう道筋やレールを用意する必要があると話します。選択肢は複数あってよいものの、完全に放置された状態では面白くないと感じられがちだといいます。
作業ゲー化。補助レールのやりすぎ
一方で、補助レールをやりすぎると今度はつまらなくなる、とManaさんは指摘します。これがよく言う「作業ゲー」です。
勝利に近づく手順が分かりすぎて選択の余地がないと、あれをやってこれをやってと順番にこなすだけになります。自分で考えて選択し、成功や失敗を味わう体験がなくなるためです。
それってほんと遊びで遊びじゃなくて、ただの作業なんですね。
Manaさんは、作業ゲーはきれいにゲームを作れば作るほど意外と起こってしまいがちだと話します。だからこそ、AIだけでなく人を交えたテストプレイでしっかり検証する必要があるといいます。
プレイヤーがいてもいなくても成立するゲーム
人を交えたテストプレイで防げる問題として、Manaさんは「プレイヤーがいてもいなくても成立する」ゲームを挙げます。意外とよくあるパターンだといいます。
他プレイヤーとの絡みがなく、みんなで遊んでいるのに一人でゲームをしている感覚になるものです。他人のプレイングが自分に影響しないため、作業系に近い面白くなさが生まれます。
せっかくみんなで遊んでいるのに全然みんなと絡まないみたいな、そういったものになってしまっても面白くないのかなっていうふうに思っております。
コンピューター対戦で十分、あるいは自分すらいなくてもオートマチックに最良手を選べばいい、という状態になると面白くない、とManaさんは話します。
中盤でオチが見えると冷める
目的も道筋も見えているゲームでも、もう一つの弊害があるとManaさんは言います。ゲームのオチが途中で見えてしまうことです。
中盤あたりで誰が優勝か、自分は勝てないだろう、と見えた瞬間に冷めてしまいます。「どうせあいつが勝つ」と分かると、終了までハラハラしなくなるためです。
陥りがちなのは、序盤で失敗すると後半巻き返せない、逆転できないゲームです。単なる積み重ねゲーになり、早期脱落と同じように手番をこなすだけになる、とManaさんは指摘します。
逆転の余地と、最後だけ勝負問題
Manaさんは、最後まで挽回できる道筋を用意したほうがよいと話します。ギリギリまでデッドヒートを繰り返せるほうが面白いためです。
ただし、逆転をできすぎるようにすると、今度は最後の勝負でうまくやればいいだけのゲームになってしまう、とManaさんは注意します。それまでのプレイが無に帰すからです。
それまでやっていたプレイが全て無に帰すみたいな。
Manaさんは、最終問題の正解者に一気に高得点を与える昔のクイズ番組を例に挙げます。それまでの積み重ねが最後の一問で覆るような設計は、ボードゲームでも一気に冷める、というたとえです。
そのため、前半で脱落せず、後半で巻き返せて、しかし一発では全部覆せない、というバランスを取る必要があるといいます。システムで自動的に引き上げるのではなく、プレイヤー自身が少しずつ巻き返せて、大差がつきにくい設計が望ましい、とManaさんは話します。
盛り上がりのピークをどこに置くか
続いてManaさんは、ゲームの盛り上がりのピークをどこに置くかが重要だと話します。前半で盛り上がるゲームも、中盤が一番のゲームもありますが、ピークが早すぎると、その後がただの消化試合になってしまうといいます。
ピークを過ぎ去った後ってただの消化試合になってしまうんですよ。
Manaさんは、面白さは後半に向けて徐々に高まる緊張感があるほうがよいと考えています。前半が地味でも後半に盛り上がれば、それは布石として成り立つため、終わり方がとても重要だといいます。
序盤・中盤・終盤の展開を設計する
面白くない要素として「ゲームが平坦」という意見もあったと、Manaさんは紹介します。盛り上がりもなく一定のまま最後まで進んでしまう状態です。
そこでManaさんは、序盤・中盤・終盤の展開を意識すべきだと話します。序盤は探りや牽制、準備のフェーズです。
中盤はそれが成功したり失敗したりするメインステージで、いろいろなことが起こっていく段階です。
終盤は、ごちゃごちゃしたものの答え合わせや、勝つか勝たないかのギリギリの詰めの部分です。この3つでどんな体験をしてもらいたいかを考えて作るべきだ、とManaさんは話します。
序盤
探り・牽制・準備をするフェーズ
中盤
成功や失敗が起こるメインステージ
終盤
答え合わせと、勝敗を分ける詰めの部分
繰り返し遊びたくなるか、成長を感じられるか
Manaさんは、1ゲーム内だけでなく、繰り返し遊ぶ観点も挙げます。遊ぶたびに結局同じ、という作業ゲーは、2回目3回目で違う景色が見えなかったり、メンバーが変わっても違う面白さを感じられなかったりするといいます。
さらに、プレイ中に成長を実感できるかも大事だといいます。遊ぶうちにルールや展開の仕方が分かり、思考の持っていき方が身につき、プレイングの質が上がっていく感覚です。
相手の動きが読めるようになった、妨害できるようになった、出し抜けた、といった成長の機会があるかどうか。それがないと面白くない、という意見も多かったとManaさんは話します。
すべては「作者の意図」に行き着く
ここまでの共通点をふまえて、Manaさんはどれも「作者がその体験を与えたかったのか」に行き着くと総括します。おそらく意図した体験ではなく、意図と実際の体験がずれているから面白くなくなるという見立てです。
だからこそ、作者がどんな体験を与えたいのか、どこで盛り上がってほしいのかを明確に意識しているかが重要だといいます。意図が明確なら、遊ぶ人にも作者の狙いが伝わり、はまれば面白くなるためです。
これの作者って何をしたいんだったんだろうみたいな。何したいんだろう、全然意図がわからないみたいな。
Manaさんは、面白くない問題を抱えたゲームは、作者の意図がないか、意図が明確に表せていないのだと考えています。逆に意図が明確なら、問題がクリアされ、面白さに昇華される可能性もあるといいます。
そこでManaさんは、まず与えたい体験という作者自身の意図を明確にし、今日話したような事故に陥っていないかをチェックし、該当すれば改善することを勧めます。
面白くないゲームは、誰が遊んでも面白くない
最後にManaさんは、面白いと感じるものは千差万別なので、数多く出してどこかでヒットを当てるのがよいと話します。何かは誰かに刺さる、という前提です。
一方で、面白くないゲームは、誰が遊んでもきっと面白くないとManaさんは言い切ります。だからこそ、面白くない要素は意識的にチェックし、改善していくべきだという結論です。
まとめ
面白いゲームは再現しづらい一方で、面白くない要素は再現性が高い。だからこそ、面白くない共通点を避けるだけで面白いゲームに近づける、というのがこの回の主張です。制作者が「どんな体験を与えたいか」を明確にし、事故に陥っていないかをチェックすることが出発点になります。
- 面白い要素は再現しづらいが、面白くない要素は再現性が高く、避けるだけで打率が上がる
- 遊べない設計(説明書・目的の不明確さ・自由すぎて迷子)は面白い以前の問題になる
- 作業ゲー化、プレイヤー同士が絡まない、途中でオチが見える、平坦な展開は冷める原因になる
- 序盤・中盤・終盤の展開と盛り上がりのピーク、逆転の余地のバランス設計が重要
- すべては作者の意図に行き着き、面白くないゲームは誰が遊んでも面白くない



