AIが「穴はない、完璧です」と褒め続けたゲーム
今回のテーマは、AIに絶賛されたゲームがテストプレイで面白くなかった、という失敗談です。Mana(マナ)さんはテストプレイ会を終えたばかりで、正直へこんでいると打ち明けています。
持ち込んだのは、前回の配信で説明書をアップロードしてブラウザゲーム化したゲームです。説明書自体もブラッシュアップを重ねていました。
Mana(マナ)さんはAIに対して、確率論的に大丈夫か、偏りはないか、辛口に評価してほしいといった形で壁打ちを繰り返し、懸念点を一つずつ潰していったと話します。
いや素晴らしいです、穴はないです、だとか、もうアートワークデザインに進みましょう、ゲームルールは完璧です、みたいな。
さらに辛口に評価してほしい、こういうところが懸念だと投げ込んでも、AIは問題ないと返し続けたそうです。最後には数式まで出して、確率論的にバランスが取れていてジレンマも発生していると褒めてきたといいます。
素晴らしいですねみたいな、やけに褒めてくれるわけなんですよ、AIは。
ただ、AIの言葉を鵜呑みにしてもしょうがないので、Mana(マナ)さんは壁打ちを続け、自分の懸念も潰していきました。ブラウザゲーム化してコンピューター対戦で試すと普通に遊べ、ここに人との会話や心理戦が入ればもっと面白くなるはずだと感じていたそうです。
自信満々で持ち込んだテストプレイ会が「お通夜」に
AIに聞く限り似たようなゲームは存在せず、相当なレベルのゲームができたという手応えのまま、Mana(マナ)さんは自信満々でテストプレイ会に持参しました。
ところが実際にプレイしてみると、面白くなかったと率直に語ります。頭の中やブラウザゲームでは面白いと思えていたのに、人が集まった場では違ったのです。
一方で、プレイ人数が最適だったか、参加者の好みが影響したかもしれず、面白くなかったと一概には言えない部分もある、とMana(マナ)さんは補足しています。
Mana(マナ)さんはこれまでもテストプレイ会で何度も失敗してきたと明かします。面白くないときの会場の空気は独特だといいます。
ほんとお通夜みたいな状態で、みんなちょっと気を使うみたいな感じだし、もうつまんねーな、早く終わんねーかなみたいな感じだし。
今回は自分が持ち込んだぶん傷つき、むしろ迷惑をかけてしまったと振り返りながら、何が悪かったのかを反省したそうです。
失敗に共通する「作業になってしまう」という落とし穴
Mana(マナ)さんが過去の失敗と今回に共通すると考えたのが、ゲームが「作業」になってしまうかどうかという点です。
作業になるゲームとは、思考停止でも進められ、単調で、展開がないものだといいます。ここまではこれまでの経験で掴めていたと話します。
今回のゲームは、Mana(マナ)さんが意図的にルールを相当シンプルにしていました。インストがすぐ終わり、幅広い人がパッと理解して遊べるパーティーゲーム要素を狙ったためです。
シンプルながらも考えるポイントのエッセンスは盛り込んでいたので、頭の中でも実際のプレイでも面白いと思えていた、とMana(マナ)さんは説明します。
最善手がわかりやすすぎて、打ち続けるだけのゲームに
実際にプレイしてわかったのは、プレイの最適解、つまり最善手がわかりやすすぎたことだ、とMana(マナ)さんは指摘します。
最善手が明確だと、参加者全員がそれに気づき、あとはひたすら最善手を打ち続けるだけになってしまいました。これはMana(マナ)さんにとって盲点でした。
この最適解を早く見抜いたのは、テストプレイを手伝う友人でした。勝ち筋を見つけるのが得意なその友人が「こういう場合はこれしかない」と会話しながら進めるうちに、周りもそれに感化されていったといいます。
ルールを少し変えて再度試しても、参加者はルールを熟知し最適解もわかっているため、ゲームはすぐ終わってしまいました。
パンパンパンパンパンパンってみんな最善手を打ってって、はい終わりみたいな、そんな感じでしたね。
脳死でも勝ててしまう——ブラウザ版での検証
その最善手が本当に最善手なのかを、Mana(マナ)さんは手元のブラウザアプリで検証しました。何も考えず、脳死で最善手通りに打ってみたのです。
最善手でなくてもセオリーから大きく外れない手を、何も考えずに打っていくと、コンピューターAI相手にそこそこ勝ててしまったといいます。
最初は場の状況を考えながらプレイして勝率を上げ、パターンやセオリーが見えてくると、思考レベルをどんどん下げても勝てるようになったと振り返ります。
もう悩まなかったとしてもいけちゃうっていうゲームになっちゃっていました。これとってもほんと盲点でしたね。
作っている最中は、この場面ではこう思考して悩んでほしい、といろいろ考えていたのに、悩まなくても勝ててしまう。ここからMana(マナ)さんは、ゲームが面白くなる条件を再確認します。
選択肢を絞りすぎたことで最適解が見えやすくなった
もう一つの反省点として、Mana(マナ)さんはプレイヤーができるアクションの幅が今回狭かったことを挙げます。ルールをシンプルにした関係で、選択肢が少なかったのです。
選択肢が少ないほど最適解は見つけやすく、最適解でない手を打ってもそこまで痛手にならない、とMana(マナ)さんは分析します。
例えばAをプレイするのか、Bをプレイするのかみたいな、そんなものですと、それは2分の1だったらAだよねみたいな。
たとえ二択でも片方に大きなペナルティがあれば悩めますが、それはそれで悩むだけで面倒になりかねず、微妙だとも話しています。
ルールをシンプルに
インストがすぐ終わる幅広いパーティーゲームを狙い、選択肢を絞った
最適解が見えやすい
選択肢が少ないほど最善手が見つけやすくなった
作業ゲーム化
全員が最善手に気づき、それを打ち続けるだけになった
AIを信じるな——人とAIは違うと痛感した学び
今回の経験からMana(マナ)さんが強く感じたのは、AIはあてにならないということです。数学的、論理的な検証には向くものの、面白さの判断は別だと語ります。
確率が変わるパターンやアクションを設計するという意味では、研究対象としては面白いゲームだったかもしれない、とも述べています。
一方で、人が遊ぶうえで大事なのは、以前も話した「心理的安全性の中で保たれる意外性」だといいます。今回はその意外性が少なかったと振り返ります。
うん。ゲームなのかこれ?って感じでした。
このゲームはいったん綺麗な状態にはなったので、ノイズを入れたり壊したりアンバランスにするだけで化ける可能性はあるものの、今のところ具体案は思いつかないそうです。もともと来年出す予定だったため急いではおらず、しばらく塩漬けにするとのことです。
最後にMana(マナ)さんは、AIでゲームを作ろうと考えている人へ、AI上でうまくいっても、必ず人を相手にテストプレイしてほしいと呼びかけています。人とやってみないとローンチまではいけないと深く感じた、と締めくくりました。
まとめ
AIに絶賛され、確率論的にも穴がないとされたゲームでも、人が遊ぶと面白くないことがある——Mana(マナ)さんの失敗から見えてきたのは、面白さは最終的に人が感じるものだという事実でした。
- AIに何度壁打ちして「穴はない、完璧」と言われても、面白いかどうかを感じるのは人間だった
- ルールだけでなく最適解までわかりやすいと、最善手を打ち続けるだけの作業ゲームになる
- 脳死でプレイしても勝ててしまうゲームは、不安や意外性がなく面白くならない
- 選択肢を絞りすぎると最適解が見えやすくなり、外しても痛手にならないため悩みが生まれない
- AI上でうまくいっても、ローンチ前に必ず人を相手にテストプレイする必要がある




