2026秋のゲムチャレはどんなレギュレーションか
今回のテーマは、ゲームマーケット2026秋のゲムチャレです。ゲムチャレとは、あらかじめ決められたレギュレーションに沿ってボードゲームを作り、販売してみようという毎回恒例の企画です。
2026秋のレギュレーションが先日発表されました。対象となるのは、紙の立体コマが4体、円形のチップが4枚、カードが18枚のみで構成されたゲームです。
Manaさんが特に難しそうだと感じているのが、カードが18枚のみという点です。プレイ人数が4人で手札を配ると考えると、手札の枚数がかなり少なく、ゲームの幅が狭まると話されています。
4体。プレイヤー駒などに使うかはゲーム次第
4枚。得点やトークンなど使い方は自由
18枚のみ。この枚数の少なさが設計の難所
年々厳しくなるレギュレーションと小ロット対応パック
Manaさんは、このレギュレーションが年々厳しくなっている印象を受けているそうです。前回は厚紙のチップが加わり、今回はさらに立体駒が加わって、コンポーネントの種類は増えて面白くなっています。
一方で、もう少し前はカード36枚のみといった構成だった時期もありました。種類が増えて楽しくなる半面、それぞれのコンポーネントの数がかなり制限されるようになっています。
もちろん制限がある中で最大限面白いものをっていう風に考えると、無理ではない
制限の中で面白いゲームを作ること自体は可能だとしつつ、その制約の中で作っていくのは厳しそうだと話されています。
ゲムチャレは基本的に小ロットで作るパターンが多く、レギュレーションに沿ったパッケージ商品を印刷会社が用意してくれます。前回はジェリジェリプリント、カード36枚の頃はマーインドがパック商品を出していました。
今回は盤上遊戯製作所(BGM)が、このレギュレーションに沿ったパッケージ商品を出しています。立体駒や円形チップは小ロットで作ると大変ですが、それに対応したパックが準備されている状況です。
ゲムチャレに参加するメリットはどこにあるのか
Manaさんは当初、ゲムチャレのメリットが何なのか分からなかったそうです。ただ、いろいろな意見を聞いて考え直した結果、いくつかはあると整理しています。
1つ目は宣伝面です。ゲームマーケットにはゲムチャレ専用の展示コーナーが新作展示コーナーのような形で置かれるため、そこに並んで見られる機会が少し増えるかもしれない、という点です。
2つ目は、何を作ればいいかがある程度決まっていることです。自由すぎるとゲームが完成しなかったり、何から考えればいいか分からなかったりする人にとって、制限があるほうが作りやすいという面があります。
特にボードゲームを初めて作ろうっていう人たちこそ、どっから考えたらいいのかなっていう風に考えてしまう
そのため、初めてボードゲームを制作するきっかけや動機付けにもなると話されています。
3つ目は、購入する側の楽しさです。同じレギュレーションの作品が集まるので、横に並べたときに各作者の工夫の違いを比べる楽しさがあります。
例えばカードをイベントカードのように使う人もいれば、マップとして初めから並べておき、その上に立体駒を置く人もいます。円形チップをスートの強さや必殺技のトークンとして使うなど、作者による工夫を比較できます。
4つ目は業界関係者向けのメリットです。ゲムチャレのたびにパックを出す印刷会社が順繰りに変わっていくため、ボードゲームに対応した印刷会社を知るきっかけになります。
実際に初めての会社さんと取引をするのってちょっと怖かったりするじゃないですか
比較的安価な小ロットのパックがあることで、初めての印刷会社とも取引しやすくなり、作る側も会社を知れる相互のメリットがあると整理しています。
販売活動として見ると効果が薄い理由
ここからは難しい側面です。Manaさんは、ゲムチャレにチャレンジしたうえで販売して利益を出そうと考えると、厳しいものがあるのではと話されています。
まず、ゲムチャレに参加したというプロモーションがあまり効果を発揮しなさそうだという点です。並べて比較する楽しさはあっても、その楽しさを味わいたいユーザーがどれだけいるのかが問題になります。
これ、なかなかなボードゲームファンだと思うんですね
比較して遊ぶにはそれぞれ買う必要があり、ゲムチャレばかり買う人はそういないため、参加が販売数の増加に直接つながるわけではないと考えています。
展示コーナーに置かれる点についても、Manaさんは「置かれるだけ」だと指摘します。コーナーにテーブルがあり作品が並ぶだけで、どれだけ人が集まって比較するのかイメージが湧かないそうです。
さらに小ロットの場合、そもそも販売できる在庫が少ないという問題があります。ゲムチャレ展示用に1個、新作展示に1個提供すると、それだけで2個の在庫が失われます。
結構死活問題だったりします、小ロットの時は
在庫が少ない中で展示用に手放す2個の重みは大きく、これも販売を難しくする要因だと話されています。
原価が丸わかりになることの難しさ
もう1つ、Manaさんが挙げるのが原価の分かりやすさです。ゲムチャレパックの価格は一般に公開されているため、製造費がすぐに分かってしまいます。
通常、ユーザーは相場観から製造費を推測できても、実際いくらかけているかは不透明です。しかしゲムチャレでは製造費があからさまに分かってしまいます。デザイン費など別途かかる費用は分からないものの、という前提つきです。
原価が同じなのに販売価格は各自が自由に決められるため、ゲムチャレパックの相場観のようなものが出てきてしまいます。デザインに実はお金がかかっていても、単価を上げにくくなるという面があります。
Manaさんは、これは感覚的なものだと断りつつ、原価が分かった状態で買うのはやや嫌な感じがすると話されています。
実際原価が分かった状態で使う使わない、買う買わないって結構なんかちょっと嫌な感じするじゃないですか
化粧品が数1000円でも原価は十数円、飲食店の原価率は15パーセントほど、といった例を挙げます。1000円の食事なら原価150円と意識して買うと高く感じるのと同じで、原価が分かりやすすぎることが懸念だと整理しています。
一番安いプランの原価率と損益分岐点
Manaさんは、盤上遊戯製作所(BGM)が用意したゲムチャレ対応パックを実際に見て検証しています。今回のパックは説明書のありなしや箱の形状が指定されておらず、選べるようになっていました。
一番安く作れるプランは、キャラメル箱に立体駒とカード、説明書なしという構成です。これが50個で85000円で作れます。
85000円を50個で割ると、原価は1個あたり1700円です。紙の立体コマ4体、円形チップ4枚、カード18枚という明らかな小箱に対して、この原価はかなり高いとManaさんは話されています。
これを原価率で見ると、2000円で販売して85パーセント、2500円で68パーセント、3000円で販売してようやく56パーセントです。3000円で売っても利益は半分も残りません。
理想的な原価率は3割程度と言われています。通販や委託に回す分、販売手数料や出店費用を考えると3割に収めたいところですが、この小箱では3000円で売っても56パーセントで、かなり高い水準です。
| 販売価格 | 原価率 | 損益分岐点 |
|---|---|---|
| 2000円 | 85% | 43個 |
| 2500円 | 68% | 34個 |
| 3000円 | 56% | 29個 |
損益分岐点で見ると、製造原価だけで考えても、2000円なら43個、2500円なら34個、3000円なら29個売らないと赤字です。ここまで売って初めて利益が出て、その中からデザイン費を賄う形になります。
三千円で売ったとして完売した、綺麗に完売したって形ですと、利益が六万円残る
3000円で29個が損益分岐点なので、20個ほどが利益に乗る計算です。きれいに完売しても利益は6万円ほどで、出店費用に2、3万かかると、遠征費やデザイン費はほとんどかけられないと話されています。
説明書と化粧箱付きプランはさらに厳しい
差別化できるのはルールとアートワークしかない分、デザインにお金をかけたいところです。ただ、Manaさんはそれでもやはり説明書は欲しいと話されています。
立体駒が入るとキャラメル箱は扱いにくいため、貼り箱や化粧箱も欲しくなります。化粧箱と説明書が付いたプランをBGMが用意しており、こちらは50個で99000円になります。
このプランの原価は1個あたり1980円で、2000円近くが作るのにかかります。原価率は2000円で99パーセント、2500円で79パーセント、3000円で66パーセントと、一番安いプランよりさらに上がってしまいます。
| 販売価格 | 原価率 | 損益分岐点 |
|---|---|---|
| 2000円 | 99% | 50個 |
| 2500円 | 79% | 40個 |
| 3000円 | 66% | 33個 |
損益分岐点は、2000円なら50個すべて売れないと赤字です。つまり完売必須になります。
さらに新作展示とゲムチャレ展示で2個を渡すと在庫は48個になります。50個売らないと赤字なのに手元は48個しかないため、展示コーナーに置いた時点で赤字になってしまうという状況です。
なのでもう二千円でって言ったものはそもそももう無理
2500円でも40個、3000円でも33個売れないと赤字で、この化粧箱付きプランで2000円販売は成立しないと結論づけています。
作る楽しさは十分、でも赤字と向き合う覚悟がいる
Manaさんは、少ないコンポーネントの小箱でどこまで販売価格を上げられるかが鍵だと整理します。2000円ではほぼ厳しく、2500円や3000円で比較のために複数買うユーザーがどれだけいるかは難しいところです。
もうちょっとゲムチャレに対してですね、このゲームマーケット自体が特別な宣伝をしてくれるだとか、そういったメリットとかもあると、より参加しやすい
一方で、作る楽しさそのものは大きいとも話されています。立体駒は普通に作るとある程度のロットになりますが、小ロットで一度作ってみられる手軽さは意義があると評価しています。
初制作のきっかけとしても、自分の作品がリッチなコンポーネントで完成する体験は楽しいものです。ただ、Manaさんはそれだけで満足できないユーザーの現実にも触れています。
実際に赤字を目の前にすると、やっぱり食う、食らうものがあると思うんですよ
とりあえず作りたいだけでは50個完売は稀です。一番安いプランでも3000円で29個が損益分岐点なので、30個売れなければ赤字確定になる人だらけになると見ています。
4000円で売るのは無謀で、そうするとより売れなくなります。宣伝も限られ売れ行きを伸ばす要素が少ない中で、これだけ売らないと赤字になるため、作って満足で終わってしまう恐れがあると話されています。
趣味だけで本当一撃十万とかするようなお金を捻出できる人、どれだけいるのかな
Manaさんは、ゲムチャレには十分な意義があるとしたうえで、参加者にもう少しメリットが付与されればいいと提案しています。
例えば、有料で募っているXでの紹介を、ゲムチャレ対応パッケージなら全部ツイートで紹介する、といった形です。ゲームマーケット側に支出の損失はなく、そのくらいのところから少しずつ始めてほしいと製作者の視点で話されています。
そういったものが入ってくると、うん、僕もゲームチャレちょっと出てみようかなとは少し思いますね
結果的にManaさんは毎回ゲムチャレには参加していないものの、機会があれば出てみたいとし、企画がよりよい方向に進むことを願って回を締めくくっています。
まとめ
ゲムチャレは制作のきっかけや比較の楽しさなど意義が大きい一方、公開された原価と損益分岐点から見ると、小ロットでの販売は赤字と隣り合わせだと分かる回でした。参加のハードルを下げるメリット付与への提案も語られました。
- 2026秋のレギュレーションは立体コマ4体・円形チップ4枚・カード18枚で、種類は増えたが各数は制限が厳しい
- メリットは展示コーナー、作りやすさ、比較の楽しさ、印刷会社を知るきっかけなどにある
- パック価格が公開されているため製造原価が丸わかりになり、価格を上げにくいという難しさがある
- 一番安いプランでも1個1700円、3000円販売で原価率56パーセント、29個で損益分岐点という厳しさ
- Manaさんは、Xでの紹介など参加者への低コストなメリット付与から始めてほしいと提案している





