ボドゲ作家はなぜ「職人」だと思われがちなのか
この回のテーマは「ボドゲ作家は職人か商人か」です。
職人はものを作る人、商人はものを売る人、というイメージが前提に置かれています。
ボードゲームを作る人と考えると、普通に考えて職人なのではないか、とManaさんは話します。
細かいルール、アートワーク、遊んでくれる人にどんな体験を味わってほしいのか。そうした要素にしっかり向き合い、テストを繰り返して絶妙なゲームバランスを実現させる。そう考えると職人だ、というわけです。
作るだけでは遊んでもらえないインディーズの現実
ただし、特にインディーズに関しては、作るだけでは遊んでもらえない、という壁があります。
インディーズは全部自分でやらなければいけない場面も多く、求めている人にどう届けるかが問題になります。
自分の作品を楽しいと思ってもらえる人に、どうやって遊んでもらうのか。そう考えると、プロモーションやマーケティングの努力も必要になっていきます。
楽しそうに思えること、遊んでいる中でも楽しいと思えること。そうしたものには、商人という才能や力も必要になってくる、とManaさんは考えています。
ボドゲ作りは総合格闘技だとよく言われます。せっかく面白いものを作っても、知ってもらえなければ遊んでもらえません。
だからこそ、どうプロモーションしていくべきかという壁にぶつかる、と話されています。
多くの人は、どれだけ面白いものを作れるかに注力しがちです。Manaさん自身も、まずそこに注力すると言います。
しっかり作るのはもちろんですが、それだけでは成し得られない。だから今回のテーマである職人か商人かという問いには、両方の力がないとなかなか成し得られないという考え方があります。
ルール、アートワーク、体験設計、ゲームバランスなど「面白いものを作る」ことに向き合う力
プロモーションやマーケティングで「求めている人に届け、遊んでもらう」ための力
企業所属とインディーズで変わる立ち位置
企業をお抱えのボードゲーム作家であれば、商人の部分を企業の専門の担当者に任せる、というパターンもあり得ます。
その場合は自分は面白い作品づくりに集中すればよく、とことん職人でいいのかもしれない、とManaさんは言います。
一方で、インディーズだと全部自分でやらないといけないという事情があります。
そして、向いている人・向いていない人はやはりいる、とも話します。
面白いものを作りたいと皆がガッツリやっていても、実は見せ方や広め方、説明の仕方、宣伝や広報が上手な人もいます。
逆に、広報は全然ダメだけれど、すごく面白いボードゲームを作れる、という人もいます。
そうした人たちは、得意分野を掛け合わせられるようにチームとして動くのも一つの手ではないか、という提案です。
その意味でサークルという形は柔軟だと言います。サークルで広報をやりつつ個人で小さめに作品を作る人、元々サークルにいたけれど移動して専門でゲームを作る人など、Xを見ているとそうした動きがあると感じているそうです。
「売れるもの」と「作りたいもの」の分かれ道
両方のスキルが必要とは言うものの、では実際どうプロモーションを打っていくべきか。それは何を売りたいのかにも関わってくる、とManaさんは考えます。
商人寄りに考えすぎると、とにかくたくさん売れるボドゲはどういうものか、流行っているもの、需要があるものは何か、という発想がベースになります。
そうした作り方は商業的なもので、商業ボードゲーム作家であればそれを意識する必要はある、と整理します。
一方でインディーズは、自分が作りたいものを作るというのが起源だと言います。作ったものはたくさんの人に遊んでほしい、という思いはある、という立場です。
ManaさんもXで発信したように、たくさん売れるボドゲを作りたいわけではないと言います。
自分がこれは面白い、いろんな人に楽しんでもらえると思って作ったボドゲを、たくさん売っていきたいわけです。
つまり、自分が信じたものを売っていきたい。それがまた難しいのだ、と話します。
世の中で流行っているものの方がプロモーションはしやすい。けれどニッチなもの、自分が面白いと信じたものを、売るものが決まった状態から販売方法を考えていくことになります。
流行や需要をベースに「売れるもの」から作品を組み立てる。商業ボードゲーム作家に必要な視点
「作りたいもの」が先にあり、売るものが決まった状態から販売方法を考える
「作って満足」は甘えになるのか
職人か商人かでいえば、商人的には売れるものにどんどんコミットした方がよい。けれど作家になるなら、職人としてしっかりものを作るところに落ち着くのではないか、とManaさんは見ています。
ただし、作って満足という小ぢんまりした姿や、ひたすらコンテストに応募するだけの姿とは違うイメージを持っています。
職人でありながらイノベーションを起こすような、新しいタイプの職人もいるのではないか。だからどう広めていくかの努力はすべきだ、という考えです。
作るだけで満足、広めることはしない、興味がない。そう言う人もいるけれど、遊んでもらって初めてボードゲームは完成だ、とManaさんは話します。
だからそれをしないのは、正直ちょっと甘えにもなっていくのではないか、という少し厳しい見方も示します。
もちろん考え方は千差万別で、身内の中だけで遊べば満足という人もいます。
ただ、そういう人の作品も、世界中の人が遊んで「面白い」「楽しかった」「すごいね」となれば、それはそれで嬉しいはずだ、と語ります。どの作品にもその可能性はある、というわけです。
徹底的に職人、そのうえで商人の動きを
せっかく作ったのなら、どんないいものを作るかだけに集中するのではなく、少しでもいいから商人的な要素として、どう広めていくかを考えてほしい、とManaさんは呼びかけます。
結論としては、職人か商人かに明確な答えは出せない、というのが正直なところです。
商人メインであれば、企業のボードゲーム作家としてどこかのサークルに所属するか、商業ボードゲーム作家として企業に属する方が向いているかもしれない、と整理します。
一方インディーズ界隈は、ボードゲームを作りたいという思いからスタートしているはずなので、まずは作ることに集中する。そこは徹底的に職人であるべき、こだわりにこだわるべきだ、と言います。
ただ、作るだけではダメで、職人が商人の動きをするのが最強だと話します。あるいは商人やマーケティング担当、そうした企業にお願いしてしまうのもありだ、という選択肢も挙げています。
職人であるなら、どういう体験を与えて、どんな人たちに喜んでもらえるのか、そこまで引っくるめて設計してほしい。そこまで考えた職人であってほしい、とManaさんは述べます。
これは自分自身にそうあるべきだと言い聞かせている側面もある、と本音も明かしています。
最後に、聞いている人にも「自分は職人向けか、商人向けか」、そして「職人としての動き、商人としての動きができているか」と、自分の活動を見つめ直すきっかけにしてほしい、と締めくくっています。
まとめ
ボドゲ作家が職人か商人かに明確な答えはありません。ただしインディーズなら、まず職人として作りたいものを作り抜き、そのうえで商人的にどう広めるかまで考える姿勢が大事だ、というのがこの回の中心でした。
- 職人はものを作る力、商人はものを売る力。インディーズは両方が必要になりやすい
- ボドゲ作りは総合格闘技で、知ってもらえなければ遊んでもらえない
- 遊んでもらって初めてボードゲームは完成する、という考え方が軸になっている
- インディーズはまず徹底的に職人にこだわり、そのうえで商人の動きをするのが理想
- 広報が苦手なら、チームやサークル、マーケティング担当に任せる選択肢もある




