説明書はなぜゲーム制作の起点になるのか
今回のエピソードのテーマは、ボードゲーム説明書、いわゆるルールブックのフレームワークです。Manaさんはまず、買った人がちゃんと遊べるかという点で説明書が重要だと話します。
さらにManaさんは、説明書を制作の起点にすると作りやすいと述べます。アイデアを初めからある程度説明書の形に書き込んでいき、解像度を上げていく作り方です。
検討すべきところ、明確にしなければいけないところがわかっていれば、日々アイデアノートやメモを取るときにも捗りやすいといいます。
今回のフレームワークは、すでに説明書への起こし方に悩んでいる人と、これからボードゲームを作っていく人の両方に向けた内容だとされています。
紙面のボリュームや見やすさは「後から決まる」
Manaさんは、説明書のサイズやページ数は紙面によってさまざまだとしつつ、レイアウトは見やすさで決まり、ページ数はボリュームで変わると整理します。
そのうえでManaさんは、ボリュームも見やすさも、結局は内容をどう表現するかの話になると述べます。
内容によって、どういう見せ方が見やすいのか、図版を入れるのかどうかというようなものって、一旦叩きのルールブックができてから考えることです。
説明する事項が多ければボリュームは上がっていきます。そのため最初は、図版は手描きでもよく、Wordファイルやメモ帳でもいいので、縦に行が増えていく考え方でいいとManaさんは話します。
Manaさん自身は手帳を使い、どんなことをどこに書くかを大体決めておき、思いついたところから書いていくといいます。セクションが埋まっていき、最終的にWordファイルで整形してテストプレイに挑む流れです。
説明書の主な構成と、インストで理解されやすい順序
ここからManaさんは、説明書の主な構成を説明します。これは説明する順序としても意識してほしいもので、人にインストールする(ルールを説明する)ときにも理解されやすい順序だといいます。
1つ目のセクションはテーマや設定の紹介、いわゆる世界観やフレーバーテキストです。「あなたたちは魔法使いです」といった導入が冒頭には必要だとされます。
Manaさんは自身の最新作を例に挙げます。プレイヤーは高名なる調香師で、調合して最高の香水を作り名声を手に入れる、というフレーバーテキストを入れているそうです。
世界観を先に聞いておくと没入感が促されるため、まずそこを話しておこうという趣旨です。
2つ目は勝利の主な目的です。Manaさんは、ここは厳密な勝利条件でなくてよいとします。点数計算の詳細まではこの段階で語らず、方向性を示すセクションです。
こういう風にしてより多くの点数を獲得しましょうだとか、こういったところにいち早くゴールしましょうだとか、そういう風に勝利の主な目的ですね。何を目指していくべきなのかっていう方向性です。
3つ目はゲームのセットアップ方法です。どんなコンポーネントがあるか、初期配置、ゲームを始めるまでの準備を語ります。
Manaさんは、カードをシャッフルして山札を中央に置き、各プレイヤーに7枚ずつ配る、といったゲーム開始前の準備段階を説明する例を挙げます。
4つ目はゲームの進め方、ゲームプレイです。ターンの進み方や駒の動き方の詳細など、ゲームルールの本筋を書く部分で、ここがボリューミーになりやすいといいます。
5つ目はゲームの終了条件や勝利条件です。2つ目の「主な目的」とは異なり、何をしたら終わるのか、勝利条件はどうか、計算式も含めた詳細を書きます。
6つ目は補足情報です。QAやイレギュラー要素、考え方のコツなど、ここまでの説明のどこにも入らないものを最後に入れておくとよいとされます。
なぜこの順序だと理解されやすいのか
Manaさんは、この構成に倣って書き、その内容を改めて見つめ直して記入していくと、説明書の型が出来上がってくると話します。テストプレイで説明するときも、この順序だとイメージしやすいといいます。
たとえばテーマなしでいきなりゲームルールに入ると、ワクワクせず、世界観も理解できないため、テーマは初めのほうがよいとされます。
また目的が先に明確でないと、ルールを聞きながら勝利へ向かう道筋がイメージできないといいます。何のためにそのアクションをするのかがわからなくなるためです。
大まかな方向性、目的といったものはまず伝えておいて。そこに目指すためにどういうふうなルールで右往左往していくのかっていったものに続いていくわけですね。
スタート位置がわからないと同じくイメージできないため、プレイや進め方より前にセットアップ方法を説明します。終了・勝利条件は準備とプレイの後に置くことで、ゲームの流れに沿って理解が進むとManaさんは述べます。
埋める順序は説明する順序と違う。何から考えるべきか
ここでManaさんは注意点を挙げます。テーマから勝利条件までの順序で説明したものの、実際に埋めていく順序はそれとは違うというのです。
Manaさんは、フレーバーから考える作り方もあるとしつつ、フレーバーのアイデアばかり溜まってもゲームとして完成させるのは難しいと指摘します。
では何ベースで骨子を作るのか。Manaさんは、一番初めに考えるべきはゲームの進め方、ゲームプレイをどれだけ具体的に考えられるかだと話します。
コマを動かしてターン制でいくのか、カードを出していくのか、その結果コマを動かすのか、といった詳細をまず作ると、遊び方が見えてくるといいます。
その後にゲームの終了条件や勝利条件を決めます。遊び方だけではゲームが終わらないため、どこで終わらせるか、誰がどうなったら勝ちかを明確にする段階です。
やっぱりゲームの進め方っていったものを色々と検討して、右往左往しながら、それを決着させるためにはっていう風に考える方が、作りやすいかなと思います。
Manaさんは、ここまでできればほぼゲームとして成り立っていると述べます。あとは説明書としてわかりやすくし、没入感を高めるために、主な目的やセットアップ、フレーバーを書いていく流れです。
テンプレートを埋める順序と、フレーバーの扱い
Manaさんは、説明書の骨子や枠だけを先に作っておき、何から埋めるかを整理します。まず埋めるのはゲームの進め方・ゲームプレイです。
次にゲームの終了条件や勝利条件を書き込みます。それが明確になると主な方向性が見えるため、その次に勝利の主な目的を書きます。
そして、なぜその目的を目指すのかという理由付けを考えます。この理由がテーマやフレーバーにあたるため、そこからテーマや設定の紹介を入れるという順序です。
ただしManaさんは、フレーバーはゲームルールを書く中で思いついたらどんどん書き込んでいいとします。最終的に、勝利条件に向かうフレーバーか、システムとマッチしたテーマかを考えて決めていく流れです。
セットアップ方法も、コンポーネントが決まってからの部分です。山札や初期手札などは思いついたタイミングで書いてよいものの、盤面のどこに何を置くかは後半でないと見えてこないとされます。
Manaさんは、制作ノートやボドゲ手帳、Excelなどにあらかじめ要素ごとの枠を作っておき、この順序で書き込んでいくと、制作メモが整理されて蓄積されると勧めます。
乱雑にあちこち書き込むと、最終的な整理が大変になり、どこまで検討できていてどこが未検討かも見えなくなります。だからこそテンプレートに則り、ゲームを作る=ゲームの説明書を作るという気持ちで進めるのがよいとManaさんは話します。
初心者ファーストで説明書を自問自答する
ここまででゲームは遊べてテストプレイもできる状態になります。Manaさんは改めて説明書自体の話に戻し、一度作り上げた後に自問自答すべきポイントを挙げます。
1つ目は、徹底的に初心者プレイヤーを意識することです。普段ボードゲームで遊ばない人を常に意識して、自分の説明書を読み直してほしいといいます。
自分が遊び始めた頃にわかる言葉遣いか、専門用語を使っていないか、話す順序はどうか。普段遊ぶ人なら端折ってもわかる部分が初心者にはわからないため、丁寧に書くことを意識するためのチェックです。
2つ目は、作った自分がいなくても、プレイヤーが説明書を読むだけで遊び方が伝わるかどうかです。
理解できるっていうよりも、説明書がプレイヤーに教えてくれるっていうような感じになっているのかってことです。
Manaさんは、業務マニュアルを読み込んで自力で理解するのではなく、読み進めるうちにスーッと理解できるインストの要素があるかを問うべきだといいます。あちこち調べたり行き来したりせず、順序よく読めば読み終わりに遊べる状態が理想です。
必要な情報が網羅されているか疑いながら読む
3つ目のチェックとしてManaさんは、初めて遊ぶ人を対象に、必要な情報がちゃんと網羅されているかを挙げます。
自分で作っていると「あって当然」という先入観が生まれ、説明していなくても頭の中で勝手に補完してしまうといいます。その補完がないか、情報として網羅されているかを、全部疑いながら読んでいくことが勧められます。
Manaさんは、ここをしっかりやらないと、買ってくれた人が説明書がわからず遊べなかったり、遊び方が違って面白さが伝わらなかったりすると指摘します。
だからこそ説明書は手を抜けない部分で、しつこいくらい自問自答し、疑いながら進めるのがよいとManaさんは話します。そうして疑いながら、同時にアイデアを書き留めていくという進め方です。
まとめ
今回の回でManaさんが伝えたのは、説明書のテンプレートを起点にゲームを作ること、そして説明する順序と埋める順序は違うということです。埋める順序に沿って書けばアイデアが整理されて蓄積し、最後は初心者を意識して説明書を自問自答することが大切だとまとめられています。
- 説明書は「買った人が遊べるか」を左右する重要なもので、制作の起点にすると作りやすい
- 説明する順序はテーマ→主な目的→セットアップ→進め方→終了・勝利条件→補足で、インストでも理解されやすい
- 埋める順序は逆で、まずゲームの進め方を具体化し、次に終了・勝利条件、主な目的、テーマ、セットアップの順に決める
- テンプレートに枠を作って書き込めば、検討済みと未検討が見え、アイデアが整理されて蓄積される
- 完成後は初心者ファーストで、読むだけで遊べるか、情報が網羅されているかを疑いながら自問自答する



