「日本一生産性の高い社労士事務所」という目標
今回のエピソードで吉田さんが最初に掲げるのは、会社としての経営目標です。社会保険労務士法人ONE HEARTが目指すのは「日本一生産性の高い社労士事務所」だといいます。
2021年2月に開業し、この放送が流れる2025年1月でおよそ4年が経過しました。吉田さんはこの4年間で、生産性の重要性を痛感したと話しています。
生産性が高くないと、つまり会社がたくさん儲かってないと、新しいこともできないし、いい人に来てほしいと思ってもいいオファーも出せないし、やっぱり力がないんです。
儲かっていなければ新しい挑戦もできず、優秀な人を迎えるためのオファーも出せない。だからこそ、まず生産性を上げていきたいというのが吉田さんの考えです。
転職活動で受けた衝撃。社労士の原体験
生産性へのこだわりは、開業後に初めて生まれたものではありません。吉田さんには、社労士になった当初の原体験があると語ります。
吉田さんは2012年の試験に合格し、2013年から社会保険労務士法人で働き始めました。しかし転職活動の時点で、想像とは違う現実に直面したといいます。
当時、吉田さんは社労士になれば勤務社労士でも稼げると思っていました。その根拠は、公認会計士の初任給に関する伝聞でした。
監査法人の初任給って、大体月給で50万ぐらいというか、賞与含めて年収600万ぐらいだみたいなことは聞いたんですね。
公認会計士がそのくらいなら、社労士でもスタートで月30万ほどはもらえるだろう。2013年当時の吉田さんはそう考えていました。ところが求人を探しても、そうした条件は見つからなかったといいます。
未経験なら月給20万で雇ってもらえるだけマシ、という空気だったと吉田さんは振り返ります。さらに衝撃を受けたのが、社会保険に関する言葉でした。
社会保険労務士なのに、社保に入れるだけいいよとか言われたこともあります。
個人事業の社労士事務所が多く、社会保険に加入できるだけでもよいという雰囲気だった。人事や労務の専門家である社労士自身が、そうした状況に置かれていたことが残念だったと話しています。
この資格で一念発起して人生変えるんだぐらいの感じで社労士取ったのに、かなり就職の選択肢が実は狭かったっていうことに衝撃を受けました。
その後の勤務社労士としての生活も苦労した印象があると吉田さんは語ります。自分の未熟さもあったとしつつ、この難しさをなんとか変えたいと思ったことが原体験だといいます。
一人の能力より、組織としての成果へ
転職時代の悔しさと、開業後4年の苦労を踏まえて、吉田さんは会社の仕組み作りの重要性にたどり着きます。しっかりとした会社を作りたいという思いです。
その背景には、経営を通じて痛感したことがありました。個人の能力だけでは、組織全体の成果は伸びていかないという実感です。
だからこそ経営側としては、ちゃんとした職場と活躍の場を用意し、優秀な人が入りたいと思える環境を作っていきたいと吉田さんは話しています。
なぜリモートワークに振り切るのか
一つ目の目標を実現する手段として、吉田さんが挙げるのが徹底的なリモートワークへのこだわりです。
もともと会社は出社が当然だと考えていたものの、開業時期にコロナ禍が重なり、リモートワークが広がりました。ONE HEARTも最初は出社だったものの、その波に乗ってリモートワークへ切り替えたといいます。
今振り返ると、これは正解だったと吉田さんは言います。そのおかげで優秀なメンバーが入社してくれていると考えているためです。
一方で、出社かリモートワークかという論争についても言及しています。生産性という観点では、出社のほうが高いはずだと吉田さん自身は見ています。
Amazonや、最近ではYahooも出社を求めるようになったとされ、出社を取り入れないと生産性は上がりきらないのかもしれないとも話しています。ただし、そこには重要な前提があるといいます。
中途半端に出社してる会社よりも、徹底的に磨き込まれたリモートワークの会社の方が生産性は高いはずです。
出社が高い生産性を生むのは、出社の仕組みが洗練された会社の場合だと吉田さんは整理します。だからこそ、磨き込まれたリモートワークの会社を目指していきたいという考えです。
社労士業務の電子化と、DXへの見立て
リモートワークに振り切る理由として、吉田さんは社労士業務の電子化という見立ても挙げています。10年後にはほとんどが電子化されているはずだという予測です。
現時点で電子化されていないものの代表例として、吉田さんは傷病手当金を挙げます。医師の証明などが紙で残っている領域ですが、これもいつか電子化されるのではないかと話しています。
たとえば電子カルテと傷病手当金が統合されれば、不正受給も減るのではないかと吉田さんは指摘します。派遣の許可申請なども、いつかは電子化されるのではないかという見立てです。
こうした電子化が進む時代を前提にすると、ペーパーレスでDX化されたリモートワークの社労士事務所が強いのではないか。それがリモートワークに振り切る理由だと吉田さんは説明します。
社労士業務の電子化
将来的に多くの手続きが電子化・ペーパーレス化していくと見立てる
DX化との相性
電子化を前提にすると、DX化されたリモート事務所が強い
優秀な人材の獲得
リモートでしか働けない優秀な人と一緒に会社を作れる
リモートワークでしか働けない優秀な人たち
リモートワークの会社を4年ほど経営して、吉田さんが強く実感したことがあります。それは、リモートワークでしか働けない優秀な人が世の中にたくさんいるという事実です。
たとえば地方都市で周りに会社がないものの、何らかの理由でその土地に住まなければならない人。社労士資格を持ちながら、近くに社労士事務所がない人もいます。
家族の都合で家を離れられない人もいると吉田さんは挙げます。介護や、小さな子どもがいるといったケースです。こうした人に活躍の場を提供し、一緒に良い会社を作っていきたいと話しています。
吉田さん自身、挫折した経験があり、あまりアクティブな人間ではなかったといいます。当時もしリモートワークがあれば、自分の人生も変わっていたかもしれない。だからこそ、経営する側としてそうした場を提供したいと語っています。
コンサルティングへの拡充と、目標へのつながり
最後に吉田さんは、ONE HEARTとして提供していきたいサービスについて語ります。会社の中でリモートワークやDXなど新しい挑戦を続け、顧問先から模範にしてもらえる会社を作りたいという考えです。
社労士業務には社会保険手続きや給与計算といったベーシックな業務が多いものの、体制が整ってきたことで商品を拡充できるようになったといいます。
具体的には、労務コンサルティング、働き方の設計、就業規則の作成、採用コンサルティング、人事評価制度の構築などです。マイナスをゼロにするのではなく、ゼロのものをプラス1にしていく仕事に着手できるようになってきたと話しています。
こうしたサービスの強化が、元の目標である「日本一生産性の高い社労士事務所」につながればというのが、吉田さんの2025年の抱負です。
というのが2025年の抱負です。とにかく頑張りますっていう感じですね。
まとめ
吉田優一さんは、転職時代の苦い原体験と開業4年の経験を踏まえ、生産性、リモートワーク、サービス拡充という3つの軸で2025年の抱負を語りました。目指すのは「日本一生産性の高い社労士事務所」です。
- 目標は「日本一生産性の高い社労士事務所」。儲からなければ挑戦も採用もできないという実感が背景にある
- 社労士になった当初、想像より就職の選択肢が狭かった経験が、事務所づくりの原体験になっている
- 一人の能力より組織としての成果を重視し、優秀な人が入りたい職場を目指す
- 業務の電子化・DXを見据え、磨き込まれたリモートワークに振り切る方針を取っている
- 労務コンサルや人事評価制度など、ゼロをプラス1にするサービスへ拡充していく






