リスナーから届いた「相手の話が聞き取れない」という悩み
この回で吉田さんが取り上げるのは、リスナーから寄せられた1通の質問です。リモートワーク一本で仕事をしたいと思っているが、なかなかできていないという相談でした。
相談者はZOOMやTEAMSを使うと、相手の音声や共有画面が見にくいと感じているそうです。そのため相手の発言の微妙なニュアンスが聞き取れなかったり、理解しにくかったりすることがしばしばあると書かれていました。
無線Wi-Fiを止めて有線の光回線につないでも聞き取れないことがあるといい、何か工夫していることがあればアドバイスがほしい、という内容でした。
こうやってご質問いただくというのは、すごくポッドキャストを続けていく励みになるので、とても嬉しいです。
吉田さんはこの悩みを、リモートワークをしたいのにZOOMやTEAMSでは相手の顔色や発言の微妙なニュアンスがわかりづらく苦労している状態、と整理しました。ここから、どう考えればうまくいくのかを4つの切り口で解説していきます。
1つ目の理由「ツールにこだわっていない」
吉田さんが挙げる1つ目の切り口は、シンプルにツールにこだわった方がいいということです。まずディスプレイを大きくすると、一緒にZOOMをしている相手の表情がわかりやすくなると話します。
吉田さん自身は4Kの42インチのディスプレイで仕事をしているそうです。ただしこれは大きすぎたといい、普通の人には32インチくらいで十分だと補足しています。
42インチは買ってみたものがデカすぎたんで、普通の人は32インチぐらいでいいんで、真似しないでください。
次に見直すべきは音声、つまりイヤホンだといいます。最近は外部の音を遮断するノイズキャンセリング機能付きのイヤホンが多く出ているため、それを使えば相手の声が聞き取りやすくなるはずだと説明しました。ノイズキャンセリング ── 周囲の騒音を打ち消して低減する機能。外の音が遮断され、相手の声などに集中しやすくなる。
吉田さんは外出時にAirPods Proを使っているそうで、耳につけた瞬間に外の騒音が遮断される耳栓のような感覚になると話しています。
最後はマイクへのこだわりです。吉田さんは収録にも使っているBlueの約2万円のマイクを使っており、これで話すとクリアに音が届けられるため、こちらから伝えるときに役立つといいます。
さらに、ZOOMはマシンパワーを使うため、高性能なパソコンを買うのも一案だと付け加えました。遠隔で相手の顔が映る分、タイムラグが発生しやすいですが、それも減ると考えられます。
2つ目の理由「マインドが相手に向いていない」
2つ目の切り口はマインドです。ただし吉田さんは、これはリモートワークに限った話ではないと前置きします。相手の話がうまく聞けない、うまく対話できないというケースでよく起きていることだと指摘しました。
どういう状態かというと、次に相手が何を話すのか、この質問をされたらどう返そうか、ということに意識が行き過ぎてしまっているケースです。
吉田さんは社労士など専門職を例に挙げます。お客さんからは「この商品でいいのか」「労働法だとこれはどうなっているのか」といった質問が来るため、プロとしてスムーズにかっこよく答えたいという望みが先行しがちだといいます。
そこ(うまく答えたい気持ち)が先行しすぎちゃうと、お客さんの話(が頭に)返ってこないです。
答えられなかったらどうしようと考えているうちに、目の前のお客さんが何を話しているのかが頭に入ってこない、というのです。だからこそ、聞くターンは聞くことに集中した方がいいと吉田さんは話します。
その裏付けとして、吉田さんは印象に残った体験を紹介します。ある人が1分間話した内容を、そのまま書き出してくださいと言われても、意外と書き出せないのが人間だというのです。
つまり、聞くターンは聞くことに集中する。その意識を持つだけで、対話は変わってくるのではないか、というのが2つ目のマインドの話です。
3つ目の理由「経験による見立てが足りない」
3つ目の切り口は経験です。経験が足かせになることもあると断りつつ、経験が増えると「大体こういう人はこういう質問をする」というのがわかってくると吉田さんは話します。
例として挙げたのが建設業のお客さんです。残業代が支払われるということを感覚的に理解しづらい人がいる、と吉田さんは言います。これは建設業の方を差別する意図ではなく、業界特有の価格の付け方が背景にあるという説明です。
建設業では、たとえば1つの現場に入ると5万円の工事代金をもらい、そのうち半分ほどが職人さんに流れる、といった前提があるといいます。この5万円は、かかった時間の長短とは関係ないケースが多いそうです。
その残業代の話をストレートに言っても、なかなか理解してもらえないんです。
日本の労働基準法は時間で給料を決めるという考え方が根付いています。だから吉田さんは、まずその基礎から低いところで説明し、建設業界が持つ文化との違いを話していくと、納得してもらえるケースが多いと語ります。労働基準法 ── 労働時間や賃金など、働くうえでの最低基準を定めた法律。原則として労働時間に応じて賃金を算定する考え方が前提になっている。
こうした業界ごとの文化の違いは、社労士がさまざまな顧客と関わるなかで蓄積されていきます。それが積み重なると、リモートやZOOMでも「このお客さんはこういうことが言いたいんだろう」と見立てられるようになる、というのが3つ目の話です。
4つ目の理由「顧客の層を見直せていない」
最後の切り口は、相談者が聞いてくれたポッドキャストの回と同じ「お客さんを選ぶ」ことです。吉田さんはこれをとても重要だと位置づけています。
ツールの話にしても、こちらだけが良い環境を整えても意味がありません。お客さんの側にも同じようにいいツールが入っていないと、リモート会議は成り立たないからです。
不慣れなお客さんの場合、ZOOMに入ってきてもマイクをオンにできず話せない、カメラのオンの仕方がわからず自分の顔が映らない、といったことが起きます。その操作に気を取られると、お客さん自身も話に集中できず、質問したいことがこちらに伝わりにくくなると吉田さんは指摘しました。
そのため、本当にリモートワークでやっていきたいなら、お客さんの層を見直すのも一つだといいます。ただし賛否両論あるかもしれない、とも添えています。
一方で、これまでの付き合いがある以上、合わないからと取引を簡単に切り捨てることは、金銭面でも人情的な面でも難しいものです。そこで出てくるのが、お客さんを教育していくという発想です。
最初はできなくてもやってみようかな、チャレンジしてみようかなっていうお客さんだと、数ヶ月経てば使い慣れなかったっていうのを忘れちゃうぐらい、いい感じに使いこなしてらっしゃるケースが多いです。
吉田さんは、ZOOMやチャットワークの利用を提案しても、お客さんにその気がなければ覚えてもらえないといいます。それでも、やってみようという意欲があるお客さんなら教育する価値があり、ITリテラシーを高めてもらう発想も持てる、とまとめました。ITリテラシー ── パソコンやオンラインツールなどを理解し、使いこなす能力のこと。
4つの糸口をどう活かすか
吉田さんは、質問者の悩みに答えられているかわからないと率直に述べつつ、ツール、マインド、経験、お客様を選ぶという4つのどこかに解決の糸口があるのではないか、と締めくくりました。
まとめ
この回は、リモートワークで相手の話が聞き取りにくいという相談に対し、吉田さんがツール・マインド・経験・顧客選びという4つの視点から答えた回でした。機材の見直しだけでなく、聞く姿勢や相手側の環境まで含めて考える点が特徴です。
- ディスプレイ・イヤホン・マイク・パソコンなど、ツールにこだわると表情や音声が格段に聞き取りやすくなる
- うまく答えたい気持ちが先行すると相手の話が頭に入らないため、聞くターンは聞くことに集中する
- 経験を積むと業界ごとの文化の違いがわかり、相手が言いたいことを見立てられるようになる
- リモート会議は相手側の環境にも左右されるため、顧客の層を見直すか、ITリテラシーを教育する発想を持つ





