Twitterから始まった社労士とCFOの対談
番組のアシスタントは安田祥子さん。この回はゲストとして、元スタートアップのCFOをつとめていた植西さんを迎えて、吉田さんと3人で進みます。
そもそも吉田さんと植西さんはどういう関係なのか。安田さんが尋ねると、出会いのきっかけはTwitterだったと吉田さんは話します。
植西さんが「社労士で意見交換できる人を探している」と呟いていたのを見て、吉田さんがプロフィールを確認したところ、優秀な人だと感じたそうです。
すかさずダイレクトメッセージを送って、そこから仲良くさせていただいてる関係です
勉強会でも一緒に活動しており、ほかの社労士からも「植西さんはすごい」と言われるほどの人だと吉田さんは紹介します。
そもそもストックオプションとは何か
話題の中心となるストックオプションについて、まず吉田さんが基本を説明します。
ストックオプションとは、あらかじめ決められた価格で自社の株を購入できる権利のことです。
たとえば上場して1株が10万円になったとき、1株1万円で買える権利を持っていれば、差額の9万円がその人のプラスになる、という仕組みだと吉田さんは例を挙げます。
ここで吉田さんは、このテーマにゲストを呼んだ理由を説明します。ストックオプションは労働基準法上の賃金には該当せず、社労士が扱うものではないからです。
ストックオプションって給与賞与と並べて考えてもいいぐらい、スタッフさんのやる気を起こす効果もあるので
そのため、給与・賞与とストックオプションの関係や、どう設計すればいいのかを専門家の植西さんに聞きたい、というのがこの回の狙いです。
なぜストックオプションは「3番目の手段」なのか
植西さんはまず注意点として、ストックオプションにはいくつか種類があることを挙げます。
最も主流な形。今回の話の中心となるタイプ
最近流行しているが、導入のハードルやコストがかかる
この回では、多くの経営者が悩む税制適格の無償ストックオプションを中心に話が進みます。
植西さんが強調するのは、ストックオプションは賞与のように気軽に渡せるものではない、という点です。投機や株式に近いため、綿密な計画が必要だと言います。
一方で、飛び道具的にも使われるとも話します。スタートアップは最初のうち給与を高くできず、上場前は利益を高く見せたいため賞与も出しにくいからです。
上場する時ってやっぱり利益を高く出したいじゃないですか。だから賞与を出しちゃうと業績が下がって見えるようになるので
そのため、給与・賞与に続く3番目の手段としてストックオプションが使われる、というのが植西さんの整理です。
実際は3番目と言いつつも、メインのところで使ってはいるんですけれども
キーパーソンに一気に配る「メリハリ」の設計
では、会社が成果を出し、上場に向かうためにどう設計すればいいのか。植西さんは配分の考え方を語ります。
スタートアップはもともとオープンで成果主義的な文化が多く、成果を出そうとする人が集まりやすい環境だと言います。
そのうえで植西さんが挙げるのが、80パーセントの成果を20パーセントの人が生み出すという考え方です。
賞与みたいに満遍なく配布するというよりも、割とその20の人に対して一気に配布するっていうのがあります
実務上、ストックオプションは全体の株式の10パーセント程度しか発行できないという投資家との取り決めが多く、配れる量には限りがあります。
だからこそ、将来の上場を担うキーパーソンに集中的に配り、そこでカバーできない人を賞与や基本給で抑えていく、という設計になると植西さんは説明します。
他の社員から不満は出ないのか
ここで吉田さんと安田さんが同じ疑問を口にします。キーパーソンに集中して配ると、それ以外の人から不満が出るのではないか、という点です。
キーパーソンに集中して配ると、それ以外の社員から不満が爆発しないのか
植西さんによれば、ポイントは情報をオープンにするかどうかにあります。信託型は賞与的にオープンに配りますが、税制適格の無償型は誰に配っているかがオープンになりにくく、キーパーソンを狙い撃ちでクローズに配れるといいます。
ただし例外があると植西さんは付け加えます。上場の直前になると、社員もストックオプションのメリットを理解し、「自分にはないのか」という空気が出やすくなります。
そのため、最後に全員へ薄く配るという使い分けをすることもあると言います。
キーパーソンは数千万のメリットを出すけれども、薄く渡す人は本当に百万とか数十万っていう、そんなバランスをかなりメリハリ利かせてますね
配分の量もタイミングも、最初に植西さんが挙げた「計画性」が重要になる、という点で吉田さんと認識が一致します。
スタートアップに向く「ダイナミックな配分」という強み
番組の締めとして、植西さんがスタートアップの経営者へのメッセージを語ります。
少数の、リスクを高く取ってモチベーションのある人ほどインセンティブを得られる。この点がストックオプションの強みであり、スタートアップに向いている理由だと植西さんは話します。
資本政策とも関わるものの、ダイナミックにどんどん使っていくのがベースになる、という言葉でこの回の話をまとめます。
植西さんはYouTubeチャンネル「社長を支える経営参謀の学びや」でも発信しています。会計士・社労士・CFOの経験をもとに、経営管理全般をテーマにした情報を届けているとのことです。
まとめ
ストックオプションは賃金ではなく、給与・賞与とは別の性質を持つインセンティブです。だからこそ気軽には配れず、計画性と配分のメリハリが設計のカギになる、というのがこの回の要点でした。
- ストックオプションは、あらかじめ決めた価格で自社株を買える権利であり、労働基準法上の賃金には該当しない
- スタートアップでは給与・賞与に続く3番目の手段として、飛び道具的に使われることが多い
- 発行できる量に限りがあるため、キーパーソンへ集中的に配り、他の人は賞与や基本給でカバーする設計が実務的
- 税制適格の無償型は配布先がオープンになりにくく、狙い撃ちの配分がしやすい
- 労働基準法ではできない極端でダイナミックな配分ができる点が、スタートアップに向く最大の強み






