そもそも聞きづらい生理休暇を、なぜ法律から整理するのか
今回のテーマは、他社に聞きづらい生理休暇です。吉田さんは、このテーマが難しくなりやすい理由をまず挙げています。
難しさの背景にあるのは、男性と女性で生理に対する理解度が違うという点です。男性は自分で体験していないため、どの程度大変なのかがわかりにくいと説明されています。
自分で体験してないからどの程度大変なのかっていうのもわからない。じゃあ教えてよっていうのも言いづらい。
だからこそ、感覚ではなく法律の構造から整理することが重要だと吉田さんは話します。どう対処すればいいか迷ったら、まず法律の構造を整理するという進め方が、この回の土台になっています。
生理休暇なしは違法。どの会社にも必ず存在する休暇
最初のポイントは、生理休暇は必ずどの会社にも存在する休暇だという点です。慶弔休暇や夏季休暇のように、会社が設定してもしなくてもよい休暇とは性質が違うと説明されています。
その根拠は労働基準法にあります。生理日に就業が難しい女性が休暇を請求した場合、会社はその人を就業させてはいけないというルールがあるためです。労働基準法の生理休暇 ── 生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したとき、使用者はその者を働かせてはならないと定められています。日数の上限規定はありません。
有給か無給か。中小企業がほとんど無給にする理由
制度設計の最初の論点は、生理休暇を有給にするか無給にするかです。これは、取得したときに給料を出すかどうかという話です。
吉田さんによると、結論として中小企業はほとんど無給です。有給にするといろいろな不都合が出てくるためだと説明されています。
一方で、女性にも活躍してほしい、働きやすくしたいという善意から、生理休暇を有給にした会社も珍しくないといいます。ただし工夫なく有給にすると、不都合が起こると指摘されています。
善意で有給にしたら起きる、男女双方からの不平等感
有給にしたときに起こる問題の一つが、取得日数の差から生まれる不平等感です。生理休暇をよく取る人と、そうでない人が出てくるためです。
まず男性側からは、よく休んでいる人が給料満額なのは不平等ではないか、という声が出てくると説明されています。
吉田さんが女性から聞いて気づかされたのは、女性同士の不平等もあるという点でした。体調が悪くても出社して働くスタッフと、休むスタッフの給料が同じだと、不平等に感じられるという話です。
体調が悪い中、それを押して会社で就業して頑張ってるスタッフがいて、その横で同じように(生理休暇で)休んでるスタッフがいると。給料が同じだとやっぱり不平等じゃないですか。
さらにもう一つのリスクとして、善意で作った制度でも悪用する人が出てくる点が挙げられています。月初から月末までずっと生理休暇を取るような、珍しいケースもあるといいます。
揉め事を避けるための落としどころは「日数制限」
こうしたリスクを踏まえ、吉田さんは有給にする場合の落としどころとして日数制限を提案しています。
具体例として、月1回までは有給、それ以降に2日、3日休む場合は無給にして給料が減る、という設計が挙げられています。
揉め事を作りたくない場合の無難な方法。中小企業ではほとんどが無給。
善意で導入できるが、日数制限を設けないと不平等や悪用のリスクが出やすい。
吉田さんは、揉め事を避けたいなら無給が無難であり、有給にする場合でも日数制限を設けたほうがよいと話します。最後は会社のリスク判断だという整理です。
先進的な会社では、生理休暇を拡張して不妊治療などにも使える休暇を認めるケースもあると紹介されています。ここは会社の考え方がよく出てくるポイントだと述べられています。
「ズル休みでは」と相談されたとき、診断書は求められるか
吉田さんは、社長から実際に受けそうな相談として、よく生理休暇を取る人がいるがズル休みではないか、という声を挙げています。
そうした相談では、社長から診断書を取ってきてもらおうという発想が出やすいものの、これは難しいと説明されています。
理由は、生理休暇を証明する義務が労働者にはなく、同僚の証言程度で会社は生理休暇を認めなければならないルールになっているためです。
悪用が疑われる場合、診断書はどんな文脈で求めるか
とはいえ、制度の悪用にあたるケースもあります。月初から月末までずっと生理休暇を取り、給料を満額受け取る人が出てくる可能性です。
さすがに診断書を求めたくなる場面ですが、吉田さんは求め方の文脈が重要だと指摘します。生理休暇の証明としてではなく、労務提供ができるかを確認する文脈にするという考え方です。
(生理休暇かどうか証明するためというよりは、)婦人科系の病気の疑いがあるから、会社として働けるかどうか、労務提供できるかどうか証明してくださいっていう文脈で診断書の提出を求めるのがいい。
ただし、このあたりはセンシティブな問題を含むため、迷ったら専門家に相談してほしいと吉田さんは話しています。
相談先の選び方と、会社がやってはいけない対応
相談先としては、顧問社労士や、いれば顧問産業医が挙げられています。婦人科系の病気がある場合は、主治医の意見も重要だと説明されています。
主治医と直接話せるとは限らないため、業務が滞っている状態であれば、どこまでどういう業務ができるのかを、労働者本人を経由して間接的に確認する方法がすすめられています。
最後に注意点として、生理休暇は労基法で認められた与えなければならない休暇である以上、強硬的な態度は避けるべきだと念を押されています。
こうした強硬な対応は、後で揉めたときに会社がすごく不利になる可能性があると説明されています。結論としては、迷ったら専門家に相談してほしいという締めくくりでした。
まとめ
生理休暇は労働基準法で定められた、どの会社にも必ず存在する休暇です。制度設計では有給か無給かが論点になり、有給化には不平等感や悪用のリスクが伴うため、日数制限などの工夫が現実的だと整理されました。
- 生理休暇は必ず存在する休暇で、「うちにはない」と言い切るのは違法
- 中小企業はほとんど無給。有給にするなら日数制限が無難な落としどころ
- 善意で有給にすると、男女双方から不平等感が出たり、悪用されたりするリスクがある
- 生理休暇の証明義務は労働者になく、診断書を一律に求めるのは難しい
- 悪用が疑われる場合は「労務提供できるか」という文脈で確認し、迷ったら専門家に相談する






