休日と休暇は、そもそも何が違うのか
今回のテーマは「休暇」です。吉田さんは、サラリーマン時代に休暇の計画を立ててワクワクしていた思い出に触れつつ、休暇という言葉には意外と難しいところがあると切り出します。
最初の論点は、休日と休暇の違いです。吉田さんは、この業界に入る前は休日と休暇を全く同じものだと思っていたと明かします。
休日とは、雇用契約のうえで最初から働かなくていいと決められている日です。例えば「平日出社、土日祝日はお休み」という契約なら、土日が休日にあたり、月から金までが労働日になります。
一方で休暇は、本来は働かなければならない日について、会社が労働の義務を免除した日を指します。先ほどの事務職の例なら、月から金のどこかでルール通りに休める日が休暇です。
休日っていうのは最初から働かなくていい日、で、休暇というのは本来働かなきゃいけないんですけれども、会社が働かなくていいですよって言った日です。
雇用契約で最初から働かなくてよいと決められている日。土日祝日など
本来は労働日だが、会社が労働の義務を免除した日。年次有給休暇など
休日に有給は使える?年次有給休暇のよくある誤解
休暇の代表格が年次有給休暇 ── 労働基準法で会社に付与が義務づけられている休暇。一定期間勤続した労働者に対し、賃金が支払われる休みとして与えられる。です。労働基準法で会社が労働者に付与しなければならないと定められています。
そのため、有給休暇を持っている人が休暇を申請したら、会社は働かせるのではなく休ませなければならない、と吉田さんは説明します。
ここでよくある誤解が、時給者やパートの方が「本来は労働日ではない休日に有給を使いたい」というケースです。
休暇は本来働かなければならない日に使うものなので、休日に休暇は使えません。休みの日に給与を発生させるために有給を使うことはできない、というのが吉田さんがよく受ける質問への答えです。
「うちに有給はない」は通用しない
有給休暇は法律で定められたもので、どんな会社であっても、勤続半年が経てば10日以上付与されます。
そのため「うちの会社は有給なんてないからね」という取り扱いは違法だ、と吉田さんは指摘します。
仮に有給について何も書かれていない就業規則や、「あなたに有給はありません」と書かれた雇用契約書に労働者がサインしていたとしても、有給休暇は発生します。
労働者の方が有給を取りたいですって言えば、それは当然に使える、有給が使えるようになります。
有給の買い取りは禁止、でも近い運用はある
有給休暇でよく出てくるもう一つの論点が「買い取り」です。吉田さんは「有給いらないから、その分お金をくれないか」という人が時々いる、と紹介します。
気持ちはわかるとしつつ、有給休暇の買い取りは法律で禁止されているのでできない、というのが結論です。半年後に付与された10日分を「1日1万円で買い取る」といったことはできません。
ただし、買い取りに近い運用をしている会社はあります。退職時に残った有給について、給与水準に照らして合理的な金額を設定し、特別に退職金として出すケースは珍しくないといいます。
また、有給休暇は2年経つと時効になります。半年で付与された10日を使わないまま2年が経過すると、その分は使えなくなります。
それはかわいそうだというケースで、買い取りではなく、使えなかった有給の相当額を賞与として出す会社も時々ある、と吉田さんは補足します。
夏季休暇は業態しだい、大企業と中小企業で差も
ここからは代表的な休暇の紹介です。まずは夏季休暇で、お盆にあたる8月ごろに与えられることが多い休暇です。
中小企業ではお盆の期間に合わせて3日から4日ほど付与することが多い、と吉田さんは話します。
与え方は業態によって変わります。いつ休んでもいい会社では、7月から9月の間で好きな日を選んで休む形も珍しくありません。
一方で、工場など製造ラインを持つ会社では、自由に休ませると全体の生産性が下がるため、あえて夏季休暇の日をお盆の期間に指定しているケースも珍しくないといいます。
夏季休暇は大企業と中小企業で差が大きく、工場を止める大企業では2週間ほどの夏季休暇がある会社もあるようだ、と吉田さんは語ります。
年末年始休暇は「任意」、インフラ系はほぼ暦通り
もう一つよく見るのが年末年始休暇です。ここで吉田さんは重要な前提として、夏季休暇も年末年始休暇も会社にとっては任意だと強調します。
「うちの会社は夏季休暇がない」「年末年始休暇がない」という取り扱いは違法ではありません。制度を作るかどうかは会社の考え方しだいです。
年末年始は「ゆっくりしたい」という人間の感情もあり、取引先も動かないことが多いため、それに合わせて休みになるケースが多いといいます。
一方で、銀行などのインフラ系の会社では、暦通りに12月30日まで営業し、年始は1月4日から営業する、といった年末年始の休みがほとんどないケースも珍しくありません。
慶弔休暇はどう設計する?弔事・結婚・出産のケース
最後のテーマは慶弔休暇です。ほとんどの会社にありますが、これも夏季休暇や年末年始休暇と同じで、作るかどうかは会社の自由です。
慶弔休暇が付与される場面は主に3つです。吉田さんは、弔事・結婚・出産のケースを挙げます。
- ご親族が亡くなったとき
- 結婚して新婚旅行に行くとき
- 配偶者が出産し、立ち会いやサポートをするとき
まず親族が亡くなった場合です。実の父や配偶者が亡くなったケースでは5日ほど、遠い親戚が亡くなった場合は1日から2日ほど与えることが多いといいます。
この差の背景には、喪主を務めるかどうかがあります。参列するだけなら時間的な拘束は大きくありませんが、喪主は多くの手配が必要で時間がかかるためです。
喪主を務める場合は、まあ、あの5日ぐらいないとなかなかできないんじゃないっていうのが世の中の社会通念だと思います。
喪主を務めない場合は、お通夜と告別式で合計2日ほど与えるケースが多い、と吉田さんは説明します。
結婚の慶弔休暇に「取得期間」を設けたほうがいい理由
結婚したときの慶弔休暇は、付与日数を5日とするケースが多いといいます。月曜から金曜まで取れば前後の土日と合わせられ、新婚旅行の計画も立てやすくなるためです。
注意点として、吉田さんは取得期間を設けておいたほうがいいと話します。
困ったケースとして挙げるのが、「実は5年前に入籍していた」と言って慶弔休暇を申請される例です。会社が意図している休暇制度とは違うかもしれません。
入籍へのお祝いというメッセージで制度を作るなら、「入籍から1年以内」といった制限を設けることが多い、というのが吉田さんの説明です。
出産の場合は、配偶者の出産に立ち会いたい人も多く、1日から2日の休暇を与えることがあります。
| 場面 | 付与日数の目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 実父や配偶者の死去(喪主) | 5日ほど | 多くの手配が必要で時間がかかる |
| 遠い親戚の死去 | 1〜2日ほど | お通夜と告別式に対応 |
| 結婚 | 5日ほど | 入籍から1年以内などの取得期間を設けることが多い |
| 配偶者の出産 | 1〜2日 | 立ち会いやサポートのため |
まとめ
休日と休暇はしばしば混同されますが、休日は最初から働かなくていい日、休暇は本来の労働日を会社が免除した日、という違いがあります。有給休暇には法律上のルールがあり、夏季・年末年始・慶弔休暇は会社が任意で設計する休暇です。
- 休日は労働義務がない日、休暇は労働義務を免除された日で、休日に有給は使えない
- 有給休暇は勤続半年で10日以上付与され、就業規則の記載に関わらず発生する
- 有給の買い取りは法律で禁止だが、退職時の残日数を金銭で清算する近い運用はある
- 有給は付与から2年で時効になる
- 夏季・年末年始・慶弔休暇はいずれも会社が任意で設ける制度で、設計は会社しだい




