リモートワークで上がった電気代、会社は負担すべき?
今回のテーマは、リスナーから寄せられた1通の相談から始まります。
従業員からリモートワークになって電気代が急激に上がったので、少し会社で負担してほしいという不満の声が聞こえてきました。光熱費は会社が負担するべきでしょうか。
夏場のリモートワークではエアコンも使うため、光熱費が大きく上がります。吉田さんはまず、原理原則から答えます。
業務にかかる費用、仕事で必要なものを買ったといった場合の費用負担は、当然会社が負担しなきゃいけないんです。
増加した光熱費は、本来仕事をしていなければかからなかった費用です。その原則で考えれば、会社が負担すべきという回答になります。
就業規則しだいで「自己負担」もアリという例外
ただし、これはケースバイケースだと吉田さんは付け加えます。就業規則で明確にしておけば、労働者の負担にしても問題ないといいます。
就業規則に、この費用に関しては労働者の負担ですよというのを明確にしておけば、労働者の負担にしても問題ないんですよ。
例として挙げられたのが制服です。就業規則に「制服を買うときは自己負担」と書いてあり、それに基づいて従業員が費用を負担している、という整理になっているはずだと説明します。
就業規則に書いてある以上、それはスタッフと会社の約束であり、契約の一部になります。つまり、その契約に基づいて費用を負担してもらっている、という話になります。
どこまでが仕事分?光熱費が難しい理由とリモートワーク手当
一方で、光熱費は特に難しい論点だと吉田さんは指摘します。仮に月の光熱費が1万円だったとして、そのうちどこまでが業務分で、どこからがプライベート分なのかがわからないからです。
内訳出ないですからね。
そこで、資金的に余裕があり、リモートワークに一定額を出したいと考える会社が使うのが「リモートワーク手当」です。
リモートワーク手当を例えば月5,000円とか、1日につきいくらという形で支払って、それが実質光熱費に充当されていますという整理で、従業員から不満が出ないようにしています。
安田さんは、この手当を光熱費だけでなく、より広く捉える見方を示します。会社勤めならボールペンなどの備品を使えますが、在宅では自分のものを使う場面が出てきます。そうした細々した経費も含めて考える、という発想です。
消耗品のボールペンや消しゴム、鉛筆といったものに充当されるので、そこに関しては負担してくださいというのは違法ではないです。
光熱費より重要?リモートワークに潜む機密情報の危険
ここで吉田さんは、手当や光熱費の話よりも重要な論点があると切り出します。
そのリモートワーク、大丈夫ですか、というのはリスナーの皆さんに聞きたいんですよ。
リモートワークってそんな危険なものなんですか。
物理的な危険は少ないものの、まず出てくるのが機密情報の漏洩リスクです。家で作業する以上、情報が漏れないかという問題が生じます。
会社から貸与されたパソコンなら退職時に返却するため、漏洩リスクは減ります。一方、プライベートのパソコンではデータが残りやすいため、吉田さんはやめた方がいいと話します。
さらに必ず確認してほしいのが、住まいの環境です。ルームシェア自体は違法ではありませんが、パソコンの画面や持ち帰った書面が第三者の目に触れる状況になりかねません。
独立したスペースがあるかというのは、必ずリモートワークをやるときに確認した方がいいと思います。
熱中症も会社の責任に?見落とされがちな安全配慮義務
機密情報だけでなく、物理的な危険も潜んでいると吉田さんは続けます。その背景にあるのが「安全配慮義務」です。
吉田さんは、建設現場の「安全第一」の看板を例に挙げます。あれは現場の出入り者への啓発であると同時に、会社が安全管理をしているという証拠づくりの意味もあるといいます。
これをリモートワークに置き換えると、環境を確認しないまま働かせるリスクが見えてきます。
実はリモートワーク環境にエアコンがなくて、熱中症になりました、会社が10時間連続でぶっ通しで働かせていた、となったら、これって会社の責任が少し問われるんじゃないですかという論点が出てきてしまうんです。
いきなりリモートワークを指示されても、環境が整っているかはわかりません。だからこそ、リモートワークできる環境かを十分に確認した上で開始することが重要だと吉田さんは強調します。
リモートワークの向き不向きと、その解消法
安田さんは、リモートワークには向き不向きがあるのではと投げかけます。吉田さんも同意し、だらしがない人はサボってしまいやすいと話します。
もう一つの問題が孤独です。一人で作業するケースが多く、精神的に病みやすい面があります。その解消策として挙げられたのが、オフィス感を出すツールです。
会社の考え方によっては、一体感が出ないという理由で週1回は出社する、特定の部署はリモートにしない、といった線引きをするところもあります。
- だらしがない人はサボってしまいやすい
- 一人作業が多く、孤独で精神的に病みやすい
- 解消策としてバーチャルオフィスや、週1出社などの線引きがある
最後のアドバイスは「リモートに適性のある人を採用しよう」
これからリモートワークを取り入れる会社、すでに取り入れている会社へ向けて、吉田さんが最後に挙げたアドバイスは明快でした。
リモートワークには向いている人と向いていない人がいます。一人だと心が病んでしまう人なら、リアル出社の会社の方がいいという判断になります。
機密情報の観点でも同じです。社会保険労務士法人のようにマイナンバーを扱う仕事では、ルームシェア環境では特に難しいといいます。だからこそ、採用の時点で適性を見極めることが重要だとまとめられました。
まとめ
リモートワークの光熱費は、原則として会社負担ですが、就業規則しだいで自己負担にもできます。実務ではリモートワーク手当で対応する例が多い一方、話の本題は手当よりも、機密情報・安全配慮・適性という見落とされがちな論点にありました。
- 増加した光熱費は原則会社負担だが、就業規則で明確にすれば自己負担も可能
- 内訳が出しづらい光熱費は、リモートワーク手当で充当する整理が現実的
- プライベートPCの利用やルームシェア環境は、機密情報漏洩のリスクになる
- 安全配慮義務があり、劣悪な在宅環境での長時間労働は会社の責任が問われうる
- 孤独対策や向き不向きも踏まえ、リモートに適性のある人を採用することが重要






