そもそも歩合給とはどんな給与制度か
インセンティブと聞いて多くの人が思い浮かべるのが歩合給です。吉田さんによると、相談で寄せられるインセンティブの内容も、ほとんどが歩合給に関するものだといいます。
歩合給とは、売上や個人の営業成績といった成果に連動して、比例するように給与額が決まる制度のことです。
なんか営業の方が取り入れているイメージが多いですよね。
不動産の営業とか、生命保険の営業とか、そういった営業職の方とすごく相性がいい給与制度で。
たとえば売上2000万円を出したら、その3分の1を給与として返すといったルールをあらかじめ決めておき、売上や成績に応じて自分の給与が決まります。
歩合給は誰に向く制度で、誰にはハードルになるのか
自分がやった分だけ稼ぎたい、成果に応じて給与が決まるほうが嬉しい、という人には歩合給がよくマッチします。一方で、合う合わないははっきり分かれるとも吉田さんは話します。
たとえば経験のない業界へ転職する場面で「歩合給です」と提示されると、多くの人は応募しづらいと感じます。
自信満々な人じゃない限り、ちょっと何か稼げなかったらどうしようとか思いますよね。
だからこそ、歩合給を求人で出しても人が集まらないこともあり得ます。自社がどういう人を欲しいのかに合わせて、歩合給を取り入れるべきか判断する必要があると吉田さんは指摘します。
成果を出せば給与が上がると考える、自信のある人。営業職などと相性がよい
稼げなかったらどうしようと不安を感じる人。未経験業界への応募をためらいやすい
歩合給だけにすると起きる「個人プレー」の問題
個人の営業成績だけで給与が決まるシンプルな歩合給には、デメリットもあります。まず出てくるのが、従業員それぞれが個人プレーに走るという問題です。
人間、自分が一番可愛いっていう考えになりそうですよね。
会社は組織である以上、営業で成果を出す人だけでなく、バックオフィスや総務を担うメンバー、やりたくない仕事を率先して引き受ける人がいて初めて全体のパフォーマンスが最も高くなります。
ところが歩合給だけにすると、儲かる仕事しかやらないと選り好みする人が出てきます。その結果、誰もやりたがらない仕事が先送りにされ、放置されてしまう可能性があります。
個人プレーを防ぐ2つの給与設計
この偏りに対して、会社としてはいくつかの対策が考えられます。1つ目は、部署ごとに給与制度を分ける方法です。
営業部門は歩合で決め、バックオフィスや管理部門は固定給を基本に賞与を組み合わせる、いわゆる一般的な給与制度にする形です。
2つ目は、会社全体の成果が良くなったら従業員に還元する手当を作る方法です。個人の成果だけで会社全体の成果が決まるわけではない、という考え方が土台にあります。
全部まとめての目標を定めて、そこにみんなで一丸となって向かっていこうっていう、そういう仕組みを作るといいですよっていうことですね。
たとえば全体の利益が一定額に達したら賞与をいくら出すと決め、その賞与原資を営業と管理部門で分配していく方法があります。
残業時間を使った「チーム一律手当」で業務を平準化する
吉田さんがとくに紹介するのが、業務の偏りそのものを手当で防ぐ設計です。
一例として、チーム全員の残業時間が30時間未満だったら、全員に一律1万円の手当を出すという仕組みが挙げられます。
この設計だと、ある人が月の前半で20時間も働いていて、このままでは30時間を超えるのが明白な場合に、周囲のスタッフがその人の仕事を引き受けるようになります。
私がやりますよみたいな話になって、全体として業務が標準化される、平準化されるっていうポイントがあるんです。
つまり、残業を減らすという別の利益によって、チーム全体で業務を分け合う環境が生まれるというわけです。
残業代を減らすっていう、そっちのコストを下げることによっての利益を生むっていう考え、確かにあるなっていうふうに思いました。
お金だけでなく「気持ち」の面から見たチーム作り
吉田さんは、金銭面だけでなく、組織である以上は気持ちの面もすごく重要だと話します。
みんなが定時で帰るなか、遅くまで一人で仕事をするのはいい気持ちがしません。吉田さん自身にもそうした経験があるといいます。
安田さんも、朝4時や5時に一人でオフィスにいた早朝ラジオの経験を振り返り、寂しさ手当があればと冗談交じりに話しました。吉田さんは、実際に早朝勤務手当をつけている会社もあると応じています。
まとめ
歩合給は成果に見合う報酬で意欲を引き出せる一方、個人プレーや業務の偏りを招きやすい制度です。部署ごとの制度設計や、チーム全体の成果・残業時間に連動する手当を組み合わせることで、一丸となって働ける環境をつくれると吉田さんは解説しました。
- 歩合給は成果に比例して給与が決まる制度で、自信のある営業職と相性がよい
- 歩合給だけにすると、個人プレーや儲かる仕事の選り好みが起きやすい
- 営業は歩合、バックオフィスは固定給+賞与と、部署ごとに制度を分ける手がある
- 全体利益に連動する賞与や、チームの残業時間に応じた一律手当で業務を平準化できる
- 離職率を下げるには、お金だけでなく孤独感などの気持ちの面にも配慮することが大切






