怖い先生との出会いから始まったジャズ
番組MCのパンチしょーへーさんは、今回のテーマを「ロック×ジャズ 異なるジャンルをメインに踊る理由とは?」と紹介します。
Akaneさんはロックダンスをテーマパークダンスや専門学校で学ぶ一方、ジャズダンスにも取り組んでいます。まずはジャズとの出会いから話が始まりました。
Akaneさんによれば、ジャズは専門学校の強制教科でした。1年生の基礎を担当する先生との出会いが、その入り口だったといいます。
その先生は、とてつもなく厳しく、怖い存在でした。1年生の8割ほどの授業まで、一度も踊らせてくれなかったといいます。
授業の中身は、基礎の形づくり、身体作り、ストレッチばかりでした。Akaneさんは「さすがにおもんない」と感じていたと振り返ります。
怖さの内容は、ダンスの出来というより、態度や取り組み方、遅刻など、人としての振る舞いへの叱りだったといいます。
だから、第一印象とか、この喋りだけで、ダンスを見る前の喋りだけでも人は判断されるよみたいなことも言われました。
人見知りだろうが、声が元々小さいだろうが関係なしに、ハキハキ喋って大きい声を出せば、その後の踊りの見え方も全然違ってくるから、という感じでした。
その先生は元々テーマパークダンサーだったこともあり、話し方や振る舞いが踊りの見え方に直結するという指導だったと考えられます。
初めて踊れた日に、全部がつながった
1年生の最後の頃、ようやく初めてのコレオが出されました。米津玄師の「Lemon」の曲で踊らせてもらったといいます。
やっと踊らせてもらえた、という喜びで、いつもの振り付けよりなんか思い入れが半端なくって。
その授業の最後に、先生がソロで踊りました。その踊りにAkaneさんは心を動かされます。
すごく難しいことをしてるとかじゃないんですけど、その先生が1年かけてやってくれた体作りを、何十年も自分でやってる、頼もしい踊り方をしてたっていうか。
この瞬間に、Akaneさんは「大切なことをずっと教えてくれたんや」と気づいたといいます。厳しかった基礎の意味が、一度に腑に落ちた場面でした。
この先生との出会いが、ジャズを好きになるきっかけになったとAkaneさんは話しています。
専門学校では2年間その先生の授業を取り続けたほか、ほかのジャズの先生の授業にも多く通いました。20ほど取れるダンス教科のうち、半分弱をジャズに使ったといいます。
感情を押しつけないジャズへの惹かれ方
Akaneさんは、ジャズは人によって雰囲気や踊り方が変わりやすいジャンルだと説明します。バレエのような基礎はありつつ、絶対的な正解が少ないといいます。
つま先を伸ばすのが一応の認識だけど、振りによってはフレックス、踵が出てる状態っていう時もあって、感情によって形を変えられる自由さが楽しかったっていうか。
一方で、Akaneさんは顔で踊る「感情ダンサー」は個人的に好きではないと話します。
その先生も顔が悲しいじゃなくて、私たちに背中を見せてるけど、すごく切ない背中を醸し出してる、手の指先でとかみたいな踊りをする人でした。
泣き顔のような強い感情を正面から向けられると、受け手の気持ちがそこまで追いついておらず、逆に冷めてしまうことがあるといいます。Akaneさんが惹かれたのは、感情を押しつけないジャズでした。
専門学校で教わった先生たちには、そうした押しつけ型の人がいなかったため、自分の好みとも合っていたと振り返ります。
形があるからこそ面白いロック
続いて、ロックダンスの魅力に話が移ります。Akaneさんは、ロックは世界共通で形がある程度決まっているジャンルだと説明します。
100パー自由ができない不自由な感じやけど、でもその中で自由に遊んでる感じが、私はまだそこまで行ってないですけど、見ててすごく面白いってなって。
Akaneさんは、一歩間違えるとダサいシルエットになるからこそ、それをどれだけかっこよくできるかという試行錯誤が楽しいと話します。
MCのパンチしょーへーさんも、肘の角度や手を広げる幅など、ミリ単位のシルエットでかっこよさが変わるのがロックの魅力だと同意します。
絶対的な正解が少なく、感情によって形を変えられる自由さが魅力
形が世界共通で決まっているからこそ、その制約の中で遊ぶ面白さが魅力
自由に踊るために、もう一度基礎へ
専門学校時代、Akaneさんは「これが個性だ」と自由に踊っていました。しかし卒業後、ジャンルの境目をめぐって言われることが増えていきます。
お前はロッカーなん?ジャズなん?ってめっちゃ言われる時があったり、ロッカーっぽくない踊りしてるよねとか、ジャズっぽくない踊りしてるよねとか言われてました。
最初は「うるせえ」と思っていたものの、Akaneさんは考え直します。自由に踊る前に、一度型にはまる必要があると感じたのです。
Akaneさんはこれを料理にたとえます。調味料を目分量でかけるにも、元の目安の量を知らなければ、味がごちゃごちゃになってしまうという説明です。
甘い方が好きやから甘いやつを多くやろう、みたいなことができるのは目安を知ってるから。じゃあ一回ドストレートなところを学びに行かなあかんなって思って。
そこでAkaneさんは、卒業後にインストラクターをするだけでなく、自分もレッスンに通って学び直すことを選びました。
専門学校時代
「これが個性だ」と自由に踊っていた
卒業後
ロックなのかジャズなのかと問われ、踊りが定まらない時期を経験
気づき
自由にする前に一度型にはまる必要があると考える
学び直し
自分もレッスンに通い、基礎を固め直すことを選ぶ
MCのパンチしょーへーさんは、Akaneさんがロックにもジャズにもしっかり通い続け、それぞれの上の世代ともコミュニケーションを取っている印象があると話します。フラフラしているのではなく、足をつけながら少しずつ独自の世界が見えてきていると評しています。
ジャンルの境目はない、というダンス観
26歳になったAkaneさんに、今後どうなっていきたいかを尋ねます。Akaneさんは、周りが言うほど自分の中にジャズとロックの境目はないと答えます。
ロックの中でも今日は激しい系がいいぜ、でも今日はちょっとソウル系のしっとり系がいいなみたいな、気分ぐらいの差なんですよね。
だからこそ、周りが難しくないかと言うほどの意識はないといいます。これからも、やりたい踊りを続けていくつもりだと話します。
このまま継続的にやりたい踊りをし続けると思うし、ジャズとかロック以外になんかハマった踊りがあれば、多分それも私は学びに行くと思う。
ただし、レッスンで教える以上、基礎は持っておく必要があるとも付け加えます。だからこそ、これからも学びには行くという姿勢です。
生徒と保護者へ、そして踊り続ける宣言
Akaneさんは、担当する生徒や保護者へのメッセージを語ります。ジャズのクラスには、他ジャンルも習っている器用な子が多いといいます。
上の人からしたら一つのジャンルに絞れって言われるかもしらへんけど、今の時代いろんなジャンルを踊れる器用なダンサーも増えてきてるんで、自分の好きなジャンルを学んで突っ走ったらな、って思います。
一方で、器用に踊るとふわふわした踊りになる時も来るので、学ぶものはちゃんと学んでほしいとも話します。
ロックのみを習う子については、一つのジャンルに絞ることも素晴らしく、その子たちにしか出せないロックらしさがあると述べます。他ジャンルを多くやる人には出せないものだといいます。
自分がしたいダンスをそのまましたらいいと思うし、楽しいって踊るジャンルを学んで、学ぶからにはちゃんと理解するまでは続けてほしいですね。基礎練おもんないと思わずに。
保護者へは、子供が習いたいと言うときは背中を押し、あれこれ言わずに少しほったらかしてやる方がいいと伝えます。そうすることで子供は縛られずに進めるという考えです。
最後に、番組恒例の「宣言」をAkaneさんはMCに求められます。
80になったおばあちゃんでも、首でノリを、音楽に乗ってるっていうぐらいファンキーなおばあちゃんになるのが夢なので。
Akaneさんは、自分の好きは流行とともにコロコロ変わってきたと認めます。そのうえで、それが今の自分の好きなダンスなのだと思ってついてきてくれたら嬉しいと語りました。
MCのパンチしょーへーさんは、GRAFFYが掲げる「一生ダンサー宣言」とも重なる締めくくりだと受け止め、前編と後編を通じた総括になったと話しました。
まとめ
Akaneさんは、ロックとジャズという異なるジャンルを、自分の中では境目のないものとして踊ってきました。厳しい先生との出会いで基礎の意味を知り、自由に踊るためにもう一度基礎へ戻った経験が、その姿勢を支えています。
- ジャズとの出会いは専門学校の厳しい先生で、初めて踊れた日に基礎の意味が一度に腑に落ちた
- Akaneが惹かれたのは、感情を押しつけず背中や指先で表現するジャズだった
- 自由に踊るために、卒業後あえて基礎へ戻り、自分もレッスンに通い直した
- 本人の中ではジャズとロックに境目はなく、やりたい踊りを続けていく姿勢を持つ
- 宣言は「好きと思えるダンスを踊り続ける」こと。生徒には突き詰めることを、保護者には後押しを求めた
