同じ住之江区から生まれた「世界初」の掛け算
今回のメインテーマは、人形劇×ストリートダンス×イマーシブという舞台公演です。7月18・19日に、踊り場Cue企画として人形劇団クラルテとグラフィがコラボする内容だと紹介されています。
この掛け算について、昇平さんはおそらく世界初のエンターテインメントが生まれたのではないかと話します。
チーム住之江と名乗る理由は、クラルテもグラフィも同じ住之江区にあり、歩いて数分の距離だからだそうです。
公演はほぼ完売しているものの、アーカイブ配信も企画しているため、興味がある人に向けて紹介したいとのことです。
人形劇団クラルテとの出会いと、その歴史
コラボのきっかけは、グラフィに通う子どもの保護者だったイバッハさんとの出会いでした。イバッハさんはクラルテの関係者であり、曲を手がける作曲家でもあると紹介されています。
出会ったのは2022年頃で、まだコロナが完全には明けておらず、エンタメ業界にも影が残っていた時期だったそうです。
同じ住之江という縁で「面白いことができたらいい」と盛り上がった話が、実際に実現したという流れです。
クラルテは1948年発足の人形劇団で、第二次世界大戦後の大阪の焼け跡から生まれたと説明されています。
2026年で創立78周年を迎える、全国でも老舗の人形劇団だそうです。
昇平さんは、絵本「パンどろぼう」の舞台人形劇を見に行った経験にも触れます。満席で子どもの笑い声が広がり、大人も楽しめる舞台だったと話します。
グラフィ、踊り場からしたら畏れ多い、本当に歴史ある人形劇団様と、この同じ住之江っていうよしみでご協力していただいて、一緒に作品を作らせていただくきっかけになっています
「星の王子さま」を3回続けて上演する理由
クラルテとのコラボで上演しているのが「星の王子さま」で、今回が第3回目になります。
この作品は、聖書に次いで世界で2番目に翻訳されている出版物だと紹介されています。昇平さん自身は正直知らなかったと率直に語ります。
本やYouTubeの解説を見ても、時系列が飛んだり主人公が誰かが分かりにくかったりと、中身は難しいと話します。
それでも3回続ける理由は、現代社会に必要なメッセージが込められていると感じているからだそうです。特に出演する子どもたちや先生たちに響いてほしいという思いがあります。
物語は、飛行機の故障でサハラ砂漠に不時着した飛行士が主人公で、そこに王子さまが現れる構成です。王子さまは、自分の星に残してきたわがままなバラのことを語ります。
王子さまが巡ってきた星として、威張り散らかす王様、称賛を求めるうぬぼれ屋、恥ずかしさを忘れるために飲む酔っ払いなどが登場します。
まずこの3つだけでもめっちゃ今っぽくないですか。今の社会問題にめっちゃ当てはまりそうな
さらに、火をつけては消すことを毎日繰り返す点灯夫の星も登場します。勤勉だけれど自分の時間がなく、何のために生きているのか悩むが仕事だから辞められない、という星だと説明されています。
舞台では6つの星が登場し、大人がやっている矛盾を映すような星々を巡る展開になっています。
物語の核心は、地球で出会うキツネが伝える「大切なものは目に見えない」というメッセージだと語られます。結末はお楽しみとして取っておくとのことです。
デジタルな社会だからこそ、目に見えない部分が大事だというメッセージを、観客だけでなく出演するダンサーにも知ってほしいと話します。
真逆だからこその化学反応
昇平さんは、人形劇を生で見たのは小学校ぶりくらいだったと振り返ります。
人形劇には引き込まれる不思議な魅力があると言います。角度や俳優の動き一つで、人形が醸し出す思いが変わり、見る人の想像力を掻き立てる点が魅力だそうです。
この角度でこうだから、この人形はこういうふうに思ってるんだろうとか、その掻き立てられる想像力みたいなところが人形劇の魅力としては非常に強いなというのがありました
一方でダンスは、外に対してのエネルギーをアグレッシブに見せるパフォーマンスが魅力だと語ります。今回はジャズだけでなく、ロックダンス、ヒップホップ、ブレイキン、タップなども掛け合わせているそうです。
人形劇とダンスは相反する魅力を持つからこそ、正反対だからこその化学反応が生まれると話します。
角度や動き一つで想像力を掻き立てる、内へ引き込む力
外へのエネルギーをアグレッシブに見せる発信力
ストーリーシーンは人形劇の引き込む力で、盛り上がるシーンはダンスの発信力で見せる。この異なる見せ方のコラボレーションに強く魅力を感じ、当初1回の予定だった公演を恒例にしたいと願って続けているそうです。
今回初の試み、イマーシブ演出
第3回の新しい試みが、イマーシブ演出です。イマーシブフォート東京などで話題になった形式だと紹介されています。
観客全員が同じ体験をするわけではなく、同じ角度で同じことを経験できる人がいない点が、この掛け算での大きな特徴だと話します。
本当は見に来てほしいところですが、すでに完売しているため、ぜひ動画で見てほしいと呼びかけています。
ダンサーの選択肢を増やすための企画
この企画には、子どもたちに競争以外のダンス表現を知ってほしいという思いがあります。バトルやコンテストといった競争ではない、エンターテインメントとしてのパフォーマンスを経験してほしいとのことです。
今回は外部の子どもたちもオーディションで参加しています。
さらに根幹にあるのが、グラフィの先生たちへのメッセージです。特にオールドスクールなど、こうした舞台を経験していない先生も、チャレンジとして呼んでいると話します。
昇平さんは、ダンサーが食べていける世界を作るきっかけにしてほしいと考えています。ダンサーの中でしか仕事をしたことがない人も多いという印象を語ります。
外部の人と仕事をした経験の有無で、立ち振る舞いや言い方、クライアントワークに大きな差が出ると感じているそうです。
ダンサーが偉いとか、ダンサーじゃない人が偉くないとか、そういう話ではなく、みんなで何かを作っていこうとしている現場で、一歩俯瞰して自分がどういう役割でここにいるんだと考えられる人は、仕事として見た時に信頼感が発生してるなと感じます
こうした感覚は経験するしかないという考えから、生徒や先生にきっかけを渡したいという思いで、クラルテに頼んで3回目を実現したそうです。
Reinaさんが別の仕事につながった事例
具体的な事例として、グラフィの先生であるレイナさんの話が紹介されます。第1回でジャズのパートに出演した先生です。
クラルテとの折衝の仕方、言葉遣い、気遣い、クリエイティブの部分での仕事ぶりが素晴らしく、昇平さんもクラルテ側も高く評価したそうです。
その結果、レイナさんは「星の王子さま」をきっかけに、クラルテから別の仕事の依頼を受けることになりました。「パンどろぼう」の振り付け・演出として入ってほしいと声がかかったと語られています。
この事例は、ダンサーに新しい仕事を生み出せた瞬間であり、自分の考えとクラルテが感じていた部分の答え合わせにもなったと話します。
若いダンサーは、そうした世界を知らないだけだと考えているそうです。スクールオーナーとして、次に繋げていってほしいという思いで企画に取り組んでいます。
新しい舞台を、次のきっかけに
公演に向けて、月曜からグラフィホールに劇団オライが仕込みを入れているそうです。脱出ゲームや迷路ができそうなほど、ワクワクする構造になっていると話します。
公演チケットは完売していますが、今回初の試みとしてオンライン配信を予定しています。イマーシブという性質上、一人称視点で広角カメラを使い、現場にいるような臨場感の体験動画をアーカイブ配信していきたいとのことです。
昇平さんは、同じ住之江の縁から新しいエンターテインメントが作れたことに感謝を述べ、これを奇跡だと表現します。
その奇跡や感謝を、子どもたちやグラフィの先生たちに還元し、これから歩む道のきっかけにしてほしいという思いを語りました。
まとめ
同じ住之江区という縁から生まれた人形劇×ストリートダンス×イマーシブの舞台は、真逆の魅力の化学反応であると同時に、ダンサーの選択肢を広げるための企画でもありました。作品づくりと未来づくりの両方が込められた回でした。
- 人形劇団クラルテとのコラボは、同じ住之江区の保護者との出会いから実現した
- 「星の王子さま」を3回続ける理由は、現代社会に必要なメッセージを子どもや先生に届けたいから
- 人形劇の引き込む力とダンスの発信力という真逆の魅力が化学反応を生む
- 企画の根幹には、競争以外の表現を知り、外部との仕事を経験してほしいというダンサーへの思いがある
- 公演は完売のため、一人称視点のアーカイブ配信を予定している
