ゲスト回で改めて感じた「腹をくくる」と「変化」
この特別編は通常回とは別に、3.5回として急遽収録されたものです。前々回・前回に迎えたエイトスクリエイトのShotaさんとの回を振り返るところから始まります。
テーマはダンスと映像、そしてキャリアの問題でした。パンチショウヘイさんが要約として改めて感じたのは、やり方や考え方が多様化しても、結局は「腹をくくる」ことに尽きる、という点だと話されています。
ダンスを生業にして生きていく覚悟こそが、ひと握りのプロフェッショナルへ進む最大の第一歩であり、最大のポイントだと語られます。
ダンスで生きていくだと広すぎるので、自分がどういうダンスで、どういうダンサーとして生きていくのかを深掘りしていくことが必要なんだろうなと思いました。
もう一つのメッセージが「変化」です。日本には一つの道を脇目も振らず極めるべきだという価値観があり、変化にネガティブな印象を持つ人が多いのではないか、と指摘されます。
しかし技術も世界も多様化する今、変化はむしろポジティブに捉えられるものだといいます。Shotaさんはダンサーから映像へキャリアを変えましたが、それまでのダンスや価値観が消えたわけではありません。
むしろダンサーとして培った考え方が映像の仕事に強く反映され、その人ならではの魅力につながっている、と受け止めています。「腹をくくる」「目標」「変化」の3つが、聞き手自身にも当てはまる学びだったと振り返られました。
令和の現代人が抱える4つの課題
ここから本題です。「令和時代はダンスの時代」として、なぜダンスが爆発的に普及しているのかを深掘りしていきます。
時代背景として大きいのは、コロナ、スマホ、SNSだといいます。スマホとSNSの登場で、自分で調べなくても新しい情報がどんどん流れ込んでくる時代になりました。
一方でコロナは、コミュニティの大切さを教える出来事でもありました。人はコミュニティがなければ孤立し、強いストレスを感じてしまう、という気づきです。
ところがSNSは人とつながれる反面、深くつながる機会を減らしたのではないか、と語られます。さらに他人との比較が増え、自己肯定感が下がりやすくなったといいます。
過激な動画や主張の強い動画がバズで伸びるので、こうあるべきだ、これが常識だよねというところが流れ込んでくる。他人と一緒じゃなきゃいけないと半強制されている感覚に陥ってしまう。
身体面でも、スマホは指先一つで頭を動かし続ける一方、椅子に座ってスワイプするだけで時間が過ぎてしまいます。体をほとんど使わずに「活動している」状態になりやすいと指摘されます。
これらをまとめると、令和を生きる現代人は「情報過多・運動不足・孤独・承認不足」という課題を抱えている、という整理になります。
ダンスは「メンタルの総合処方箋」
パンチショウヘイさんは、これらの課題を解決する「総合処方箋」としてダンスの魅力が詰まっているのではないか、と考えを共有します。
まず、ダンスは体を動かす運動でありながら、感情を外に出す点が単なる運動とは違うといいます。音楽に気持ちを乗せて体を動かすことが、心身ともにメンタルのリセットにつながる気がすると語られます。
次に挙げるのが、踊っている間はスマホを見ないという点です。60分や90分のレッスン中は、基本的にスマホから離れることになります。
その時間はダンスと音楽に集中して、自分の表現に集中できる。現代においてのデジタルデトックスの一つ、メンタル処方箋の一つにつながっているんじゃないかと思います。
3つ目は、練習すればするほど上達が実感できることです。技だけでなく、音楽に乗るリズムトレーニングも、やればやるほど上手くなっていくといいます。
「私はリズム感がない」という大人の受講者は多いものの、リズム感は練習で身につくテクニックの一つだと語られます。
日本人がリズム感ないなんてそんなことないので、むしろ日本全国どこでも盆踊りとかダンスをやるカルチャー、ダンスと親和性の高い民族だと思うんですよね。
成長の実感と、SNSへの二次利用
現代は、自分が成長した証を得るのが難しいと指摘されます。学生ならテストの点で成長が見えますが、大人になると評価は目に見えにくくなり、AIが代わりに作業をこなす時代も近づいています。
その点でダンスは、昨日できなかったことが今日できるようになるなど、上達の実感が非常にわかりやすいといいます。これが自己肯定感の向上につながるという見立てです。
さらに、練習の様子を動画に撮ってSNSに上げれば、周囲からリアクションをもらえます。自分の中での成長実感に加えて、他者からの賞賛という形で二次的にも自己肯定感を得られる、というわけです。
上達を実感
昨日できなかったことが今日できるようになる
自己実感
自分は頑張った、と自分の中で肯定できる
SNSに投稿
練習やパフォーマンスの動画を上げる
他者から賞賛
いいねやリアクションで副次的にも肯定感が上がる
他のスポーツにもある要素かもしれませんが、この動画との相性の良さこそ、ダンスがいま普及しているポイントだと語られます。
習い事ではなく「居場所」になるコミュニティ
4つ目の魅力として挙げられるのが、コミュニティに入りやすいことです。昔のダンススタジオは、中の雰囲気や先生の人柄がわからず、門を叩くハードルが高かったといいます。
今はSNSを開けば、スクールや先生のアカウント、生徒のダンス動画などにアクセスできます。どんな先生でどんなクラスなのかがわかりやすく、心理的ハードルが下がっているという見方です。
さらに、同じ先生やジャンルに集まる人同士は、価値観の共通点が多くなります。「こういう音楽が好き」という時点で、マッチングの条件が合っているようなものだと例えられます。
ダンスって習い事じゃなくて、もう居場所になってるのかなっていうふうにも思うところでもあります。
これはスクールだけでなく、ダンスイベントやコンテストにも当てはまるといいます。コンテストには、勝ち負けに関心のない人はまず出ません。より上を目指す人が集まるため、コミュニティのずれが生まれにくいのです。
コロナで断絶したコミュニティが再び求められる中、ローカルコミュニティの復権とダンスの相性はとても良い、と整理されました。
SNS時代と相性が良すぎるダンス
5つ目は、SNS時代との相性の良さです。特にTikTokやInstagramのショートリールが登場したあたりから、爆発的に増えているのではないかと語られます。
ダンスは「見てわかる」「短い尺でも伝わる」「音と組み合わせやすい」「真似したくなる」「投稿しやすい」という特徴を持ちます。中高生でも「踊ってみた」を気軽に投稿できるほど、ハードルが下がっているといいます。
見るだけでなく、自分が参加者側にも回れる点が大きいといいます。ダンスを習っていれば、SNSで見た動画を真似してすぐ踊ることもできます。
自分が見るだけじゃなくて、表現する側に回れる。自己肯定感を上げる側に回れる。
こうした要素が重なり、ストリートダンスは習い事からプロリーグ、シニア層へと広がる「時代の寵児」になっている、と読み解かれます。単にSNSやコロナ明け、K-POPだけでは説明できない背景があるという主張です。
しんどい時こそダンスを
パンチショウヘイさんは、ダンススクール「グラフィ」が掲げる「一生ダンサー宣言」が、まさに当てはまる時代に入っていると語ります。
ダンサーという生き方はプロや子どもだけのものではなく、保護者もシニアも、新しいことを始めたい人にも開かれているといいます。気持ちがしんどい時や悩んでいる人にも当てはまるという考えです。
最後に、この番組はあくまで自身の主観であり、答えは一つではないと断りを添えます。「表裏一体」の別の見方があるはずなので、リスナーからの意見や議論を歓迎したいと呼びかけられました。
まとめ
令和にダンサーが増えている背景を、情報過多・運動不足・孤独・承認不足という現代人の課題と、それに応えるダンスの5つの魅力から読み解いた特別編でした。ダンスを「メンタルの処方箋」として捉える視点が全体を貫いています。
- 多様化する時代でも、ダンスで生きるには「腹をくくる」覚悟と、変化を恐れない姿勢が鍵になる
- 現代人は情報過多・運動不足・孤独・承認不足を抱えやすく、ダンスはその総合的な処方箋になりうる
- レッスン中のデジタルデトックスと、上達の実感が、メンタルのリセットと自己肯定感につながる
- SNSでのアクセスしやすさが、スクールやコミュニティへの心理的ハードルを下げ、居場所を生んでいる
- 見る側から表現する側に回れるダンスは、SNS時代と相性が良く、しんどい時ほど選んでほしい選択肢になる
