なぜ人は「やろうと思っているのに」動けないのか
この回のテーマは「行動」です。玉置さんによると、行動できない理由ややる気が起きないという話は、Twitterでもポッドキャストでも人気があるといいます。
その背景にあるのは、多くの人が抱える共通のもどかしさです。
皆さんやっぱり、なかなかやろうと思っているのに行動ができないっていうシチュエーションの方が多いんじゃなかろうかと思って。
ポッドキャストなどで積極的にインプットしている人ほど、「やった方がいいこと」「やりたいこと」がどんどん積もっていきます。
すると同時に、やろうと思っているのにできていないという罪悪感も積もっていく、と玉置さんは指摘します。
やらなきゃいけない気がするから休めないみたいなことで、土日もなんか仕事したいなと思ってぼんやりして過ぎていく。最悪の時間の使い方をしてましたね。
岡島さんは、やらなきゃという気持ちだけが先立ち、かえって動けなくなる状態を「MPが切れている」状態と表現します。呪文を唱える魔力が尽きている、というイメージです。
そのモードに入ったら、無理やりジムに行くっていう行動条件を組み込むことが成功したので、ジムに行くと疲れそうで逆にMPが回復するんですよ。
時間そのものより、動くための気力が残っているかが大事だという実感が語られます。
AIに聞いた「行動できない理由」21個
玉置さんは、なぜ人は動けないのかをAIとディスカッションしたと話します。人が動けない理由を網羅してほしいと頼んだところ、21個ほどが出てきたそうです。
そこには、思考や認知の問題だけでなく、感情の問題も含まれていました。
- 完璧にできないからやらない完璧主義
- 何をすべきか具体的にわかっていない曖昧さ
- タスクの難しさや所要時間を実際より大きく感じる
- 失敗したくない、人からどう見られるか怖い
面白いのは「成功への恐怖」という理由もあることです。うまくいった後に責任が発生したり、変化した先が未知だったりするため、成功そのものが怖くなる、という心理です。
未知が怖いので、成功するのも怖い。どうせ無理だと思ってるっていう心理的な問題から、疲労とか睡眠不足とかストレスでできないっていう問題まである。
もう一つ大きいのが「動機・意味の問題」です。やった方がいいとは思っていても、「なぜ自分がやるのか」まで腹落ちしていないケースです。
早起きした方がいい、運動した方がいい、いろいろやった方がいいことっていっぱいあるじゃないですか。それを自分が腹落ちするぐらいのなぜに落とせているか。
玉置さんは、多くの「やりたいこと」は、どんなに疲れていても自分を突き動かすぐらいの動機にはなっていないのではないか、と話します。
さらに、結果が出るまで時間がかかることも腰が重くなる理由です。たとえば今からフランス語をマスターするといった目標がそうです。
かかるコストに対して得たいものがむっちゃライトじゃないですか。できたらいいなで、むちゃくちゃ重いことはなかなかできないですよね。
開始のトリガーや期限が決まっていないこと、スマホが目の前にあってつい触ってしまう環境も、動けない理由に含まれます。
行動する理由はたった6個しかない
行動できない理由が21個あるのに対し、玉置さんが「人が行動する理由」を挙げてもらうと、6個しかなかったといいます。
第一位は「痛みから逃げる」です。失う、苦痛、締め切り、罰則といった痛みが、行動を生む最大の理由だと語られます。
罰があるとか、すごい痛い思いをするとか、お金が減るみたいな。そういう痛みがある時が、行動する理由の第一位なんですよ。
第二位は「快楽・報酬」です。達成による承認やお金、地位などが得られることが行動につながります。ただし、痛みの方が2倍強いといいます。
飴と鞭なんですけど、鞭の方が2倍効くんですって。でも本当は鞭と飴なんですよ。
3位以降は、痛みや快楽に比べると力が弱いと二人は評します。
岡島さんは、成長や好奇心が満たされる喜びを大きく感じるタイプだと話しつつも、正直なところ目の前の痛みの方が動けそうだと認めます。
たまにショート動画みたいなものが流れてきて、離れられない時が結構あるんです。MPが切れかけてる時とか。
最後の6番目が、この番組が繰り返し扱ってきた「仕組み」です。習慣化されていて必ず動くもので、意志の力を使わない点が強みだといいます。
デフォルトは「行動できない」。責めないことから始める
行動できない重い理由が21個あるのに、行動する理由は6個しかなく、しかもいくつかは意識の高さを前提とします。
そのため玉置さんは、私たちのデフォルトは「圧倒的に行動しない」側にあると整理します。行動しない理由は無意識に常時発動し、行動する理由は少なく条件付きです。
基本、私たちはむちゃくちゃ行動するのが難しいっていうのを、デフォルトとして考えていった方がいいと思うんですね。
この認知が大事だと玉置さんは強調します。タイムラインでは行動できている人ばかり目立ちますが、動けない人はわざわざ書かないだけだといいます。
行動してない人はわざわざ書いてないので、みんな行動できてるように見えるんですけど、あれ嘘ですからね。
だからこそ、できない自分をダメだと責める必要はないと二人は話します。罪悪感はそれだけでMPを減らし、さらに行動から遠ざけるからです。
岡島さんは、生き物として無駄なエネルギーを使わない設計になっていると考えれば納得だと応じます。行動する時は、いわば向かい風に向かって歩くようなものだといいます。
欲張らず「本当にやること」を絞る
向かい風の中を進むのだから、まずは本当にやることを絞った方がいい、と玉置さんは提案します。なけなしの力を、数少ないものに集中させる発想です。
語学もAIも読書もイベントも、やった方がいいことは無数にあります。それを全部やっているように見える人もいますが、と岡島さんが言うと、玉置さんはこう返します。
いるように見えるだけです。できるとすると、本当にそういうすごい特殊な能力者だと思った方がいい。絞りましょう、まず。
玉置さんは、お金でパーソナルトレーナーをつけるような例も、行動する理由である「習慣・環境」を強制的にセットしているだけだと説明します。それをお金で買っているのだ、という見方です。
そのうえで、動機・意味の問題を問い直すことを勧めます。得られるものとコストのバランスが取れているのか、ふんわり「やった方がいい」ことは無理に行動しようとしない方が健全だといいます。
岡島さんは、早起きを意識的に「やらない」と決めて寝たいだけ寝ている一方、週5でジムに通う習慣は苦なく回せていると話します。やることとやらないことを分ける実例です。
たくさん買いたかったのに買えなかったって思う人ってあんまりいないじゃないですか。それよりも、自分が選んで買ったものを買えてよかったじゃないですか。
行動も買い物と同じで、全部を自分のものにはできません。一個だけでも選んでちゃんと自分のものにすることに喜びを感じるよう、捉え方を変えた方がいい、と玉置さんは話します。
動けない理由を潰し、行動する理由を足す
どうしてもやりたいことがあるなら、なぜ自分が行動しないのかの解像度を上げるとよい、と玉置さんは言います。AIに相談すれば、自分が引っかかっている理由を教えてくれるはずだといいます。
自分の一段深い気持ち、たとえば「失敗を怖がっている」「何をすればいいかわかっていない」がわかったら、それを一つずつ潰していきます。そのうえで行動する理由を足していく流れです。
やらない理由のマイナスを減らして、やる理由のプラスをちょっとずつ増やすみたいな、すごい地味な作業をやって初めて行動するになる。
行動する理由を足す方法として、玉置さんは「人工的なペイン」を挙げます。痛みから逃げる力の方が飴より2倍強いという理屈からの発想です。
たとえば「今日から英会話を勉強します」と宣言することは、恥ずかしさという社会的ペインを自分で招く設計です。できなければ罰金を払う、といった方法も同じ仕組みです。
ただし宣言には向き不向きがあります。岡島さんは宣言しがちなタイプだと話しつつ、過去に達成できずペインを受けた経験から、失敗に慣れて効きにくくなった面もあると振り返ります。
負け癖がついちゃうと、もう効かないじゃないですか。どうせ負けるからみたいになって。
だからこそ、どの理由が自分に効くかを見極めることが大切だと二人は話します。承認欲求で頑張れる人もいれば、成長や使命感が刺さる人もいて、そこは加点ポイントになります。
小さな成功と睡眠で、行動の土台を整える
小さなことで成功体験を積むと、行動しない理由の中にある「失敗の恐怖」が減っていく、と玉置さんは指摘します。少しずつ勝ち慣れしていくイメージです。
認知の問題として大きいのが、タスクの難しさや所要時間の過大評価です。登る前の山は高く見えても、登り始めれば道を進むだけになる、というたとえで語られます。
対策として、玉置さんは以前から勧めている「10分だけやる」と決める方法を挙げます。過大評価が等身大に戻り、動けない理由が一つ減るからです。
それをやる前のウダウダしてる時間が、実際にタスクをやった時間の何倍かみたいなこと、全然ありますね。
今日からできることとして、玉置さんは睡眠を強く勧めます。睡眠不足では行動量は絶対に増えないといいます。
結局、疲れた脳でいろいろ考えて行動の率が下がるよりは、たくさん寝て行動力をぐんと上げて挑んだ方がいいですよね。
岡島さんが、10時間寝てしまう自分を怠惰だと感じていたと明かすと、玉置さんは、経営者の中で最も睡眠エリートだと自覚した方がいいと励まします。寝不足の状態を責めるより、しっかり寝て挑む方が合理的だという話です。
動けないのが普通と知れば、行動する人に近づく
岡島さんは、この回の要点を「行動する理由は少なく、行動しない理由は多く、行動できないのが普通」だと整理します。この前提を理解すると、絞る・見直すといった具体的な行動が取れるようになります。
玉置さんは、自分の行動を「ダメだ」と否定する気持ちは役に立たないと断言します。今日からそれをやめよう、というのがこの回のメッセージです。
自分の行動をダメだなダメだなって思うのは、全く意味がないと思ってるので、それを今日からやめましょうよって話ですよね。
動けない自分を責める時間を減らすことが、結果的に行動できる人に近づく第一歩になる、という結論で締めくくられます。
まとめ
行動できない理由が21個、行動する理由が6個という非対称を知ることから、この回は始まります。動けないのが普通だと受け止め、責めるのをやめたうえで、やることを絞り、動けない理由を潰し、睡眠などの土台を整えていく順番が語られました。
- 行動できない理由は21個、行動する理由は6個。人はデフォルトで動けない
- 行動する理由の最強は「痛みから逃げる」で、快楽・報酬の2倍効く
- できない自分を責める罪悪感はMPを減らし、さらに行動から遠ざける
- なけなしの力を集中させるため、本当にやることを一つに絞る
- 動けない理由を一つずつ潰し、宣言などで行動する理由を足していく
- 睡眠不足では行動量は増えない。しっかり寝て挑む方が合理的



