「お金を増やす」より「不安をなくす」が本当のニーズ
この回のテーマは「お金の不安をなくす方法」です。玉置さんは、SNSでよく見る節約法や増やし方より、根っこにあるのは別のニーズだと話します。
お金を増やす方法みたいな話は出てくるんですけど、お金に関する不安をなくしたいっていうのが、実は一番大きなニーズなんじゃないかと思うんですね。
玉置さん自身、最初の会社を失敗し、20代前半は借金返済生活を送っていました。金額はざっくり数億円だったと明かします。
その返済生活を3年ほど続けた24歳の頃、玉置さんはある決意をしたと言います。
若い頃は「稼ぎたい」「リッチになりたい」という無邪気な気持ちがあったものの、お金と真剣に向き合うほど、一番嫌なのはお金に関する不安そのものだと気づいたそうです。
玉置さんは、お金が死ぬほどあっても「まだ足りない」「不安だ」と思っていれば幸せではない、と話します。逆に、お金の不安がなくなれば、それだけで幸せになれると考えています。
この回で語られるのは、宝くじが当たらなくても、収入が2倍にならなくても楽になれる考え方です。しかも実際にやってみると、お金も増えていくと玉置さんは言います。
資産ではなく「フロー」で目標を持つ
玉置さんがまず挙げるステップ1は、「どうなりたいか」を明確にすることです。あればあるほどいいと思っていると、一生ゴールしないと指摘します。
岡島さんも、漠然と「100億円欲しい」といった目標は、ほぼ「ないのと一緒」になってしまうと応じます。
ここで玉置さんは、多くの人が持つ目標の型に注目します。「2000万貯めたい」「FIREしたい」といった目標は、資産として止まっているお金を見るストック型だというのです。
一方で、私たちの生活は止まっていません。玉置さんは、お金と幸せを考えるならフロー型の目標を持つほうが健全だと言います。
いくら持ちたいかではなくて、どういうそのフローの生活がしたいかっていうことを目標にした方が、現実的、具体的に考えやすいんですよね。
たとえば月に100万稼いで120万出ていく生活は赤字で苦しい。でも月50万稼いで40万出ていき、10万ずつ余裕が増える生活なら状況はまったく違います。
収入と支出のレベルは、そのまま「どこに住み、何を食べ、余暇に何をするか」という生活のイメージにつながります。だから逆算して、どんな仕事をすべきかも見えてくると玉置さんは説明します。
そして、宝くじが当たらない前提に立てば、自分でコントロールできるのは収入と支出だけ。玉置さんは、お金の話は収入と支出をどう設計するかというシンプルな話に落ち着くと言います。
「悩む」を「考える」に変える
玉置さんは、この設計の話を「考える」と「悩む」の違いにつなげます。岡島さんは、考えるは前に進む行為、悩むは停滞しているだけ、と整理します。
現状がちゃんと把握できていなかったり、目標が曖昧だったり、その現状と目標の間のステップが現実的に考えられないから、モヤモヤするとか悩むっていう状態になっちゃう。
逆に、自分がどういう支出をして、どういう収入が欲しいかだけを考えるなら、悩む要素はほとんどないと玉置さんは言います。それだけでも漠然とした不安は減るというのです。
目標を持つ最大のメリットは、欲望に方向性を与えられることだと玉置さんは話します。目標のないお金への欲望は、際限のない「ずっと喉が乾いている状態」だからです。
欲望を持つことは悪いことじゃないんですよ。でも欲望にゴールとか方向性を与えてあげて初めて、その気力とか頑張るエネルギーになっていく。
支出は「投資・消費・浪費」で仕分ける
目標をフローで捉えると、話は収入と支出に戻ります。玉置さんは、支出を「節約術」でひとくくりにせず、3つに分けて考えることを勧めます。
未来の選択肢や可能性を増やすための支出
今の生活を成り立たせるための支出
投資でも消費でもなく、使った後に後悔する支出
玉置さんは、浪費だと思ったものは節約すればいいが、投資や消費を削りすぎるのはやめたほうがいいと話します。
投資を減らすと、将来の自分の収入をつくる道が閉ざされたり狭くなったりします。消費を切り詰めすぎれば、今の自分が頑張れなくなってしまいます。
今の私が頑張らないと未来はないんですよ。今の私が頑張れるぐらいの消費はしないとダメなんですよね。
大事なのは、漠然と使うのではなく予算を決めて使うことです。玉置さんは、事業では当たり前の感覚だと言い添えます。
予算がないと自分のお金の使い方がいいか悪いかも全然わかんないですよね。
そこで玉置さんは、何にどうお金を使うかという方針を一度棚卸しし、自分のお金の判断軸を言語化することを勧めます。多くの人はこれを言葉にしていないと言います。
「これは投資だから」の言い訳をどう見抜くか
岡島さんは、自分の判断軸はだいぶ粗いと打ち明けつつ、「ストレスを減らすものは節約しない」「未来につながるものに7〜8割入れる」といった感覚を語ります。
玉置さんは、浪費の典型は衝動買いだと言います。冷静になると「いらなかった」「高すぎた」と後悔するものです。
岡島さんは、これに対して自分なりの対策を紹介します。店でいいと思ったものはその場で買わず、一度持ち帰るというルールです。
お店で見つけていいと思ったものを買わない。帰って1週間悩んで、欲しかったら買う。すると浪費率が下がる気がしてますね。
一方で玉置さんは、投資の判断には落とし穴があると指摘します。何でも「これも投資だから」という投資という名の言い訳が浮かびやすいのです。
玉置さんが投資かどうかを見るときの視点は、本当に未来の選択肢が増えているか、自由に動ける幅が増えているか、というものです。
もう一つ、玉置さんが挙げるのが「お金で時間を買えているか」です。たとえば移動をタクシーに変えるだけで、集中して仕事ができる時間が確保できる場合があります。
さらに玉置さんは、節約思考になると「なくすお金」ばかり見てしまうと言います。高いと直感的に感じるとき、人は失うお金しか見ていないのです。
それを払わないことで逃す未来っていうのを見ないといけない。今この機会に投資をしないと、これだけ逃すよねっていうところを冷静に見れるのかどうか。
玉置さんの判断軸の中心にあるのは、「これで自由が買えるか」という問いです。お金は自由のための燃料だと考えているそうです。
お金の使い方と自己評価を切り離す
判断軸の中で玉置さんが一番やめたほうがいいと言うのが、お金の使い方と自己評価を結びつけることです。
高いものを身につけているからすごい、無駄遣いしていないから偉い。そうした評価を、自分にも他人にも当てはめないことが大事だと話します。
あの人はブランド品を身に着けているから、すごいお金持ちですごい人なんだ、みたいなところって、いや、別にお金を持っているかもしれないし、好きなブランドを身に着けているかもしれないが、以上じゃないですか。
岡島さんは、人が本当にそれで気持ちよくなれるなら、それはその人にとっての「消費」に当たる場合もあるのでは、と問いかけます。
玉置さんも同意し、自分の例を挙げます。肌に触れる下着には数万円かけるが、その上に着るTシャツは800円ということもあるそうです。
肌に触れるものっていうののストレスがすごく減るから、私にとっての大事な消費だったりするわけですよね。でも人から見える洋服は安くてもいい。
玉置さんは、人の目ばかり気にして無理にいいものを買うのはやめたほうがいいと話します。そもそも、ほとんどの人は他人の身につけているものの値段など気にしていないからです。
むしろ、収入に見合わない消費は不信につながることもある、と玉置さんは言います。大事なのは良し悪しではなく、自分の価値観に見合った予算感を持ち、支出を自分でコントロールすることです。
体験で「これだけでいい」を思い出す
玉置さんは、人が不安に思う原因はコントロールできないものだと言います。だからコントロールできている状態のほうが不安は減ります。
消費をゼロにはできませんが、玉置さんは定期的にある実験をしていると明かします。小さな民泊を1週間ほど借り、スーツケース一つで暮らすのです。
私のミニマムな生活に必要なものっていうのは、実はスーツケース1杯分もないっていう当たり前のことに気づくんですよ。大して不自由でもないですよ。
そうして日常に戻ると、生活の「贅肉」に気づきやすくなり、判断軸がリセットされると言います。「どこまで生活費を抑えられるか」をゲーム感覚で試すこともあるそうです。
頭で考えても自分を動かすのってすごい難しくって。体験って一番自分を説得しやすいんですよね。
玉置さんは、苦しい節約を強いる必要はないとしつつ、一度体験しておくと、日常で「これはいらない」「これは浪費だった」と気づけると話します。
「1週間ざっくり振り返り」で不安を消す
コントロール感を持つために、玉置さんが勧めるのが振り返りです。ただし家計簿を細かくつけるとめんどくさくて続かない、と釘を刺します。
代わりに提案するのが、レシートやオンラインの購入履歴を使い、1週間分だけ雑に振り返る方法です。長い期間ためると大変で続かないため、あえて短くします。
振り返った支出を、投資・消費・浪費に分けてみる。すると、ダメージが小さいうちに反省でき、取り返しがつくと玉置さんは言います。
「ちょっとこれ浪費だったかな」とか、すごく短いタームで反省できるので。自分のそのお金の使い方の癖っていうのもわかりますし、大体1週間でこれぐらい使うんだってことがわかってくる。
1週間の相場がつかめると、細かい家計簿がなくても「予算に対して今どれくらい残っているか」が感覚的にわかり、足りなくなる不安が減っていきます。
玉置さんは、この作業もAIを使えば楽になると話します。購入完了メールを取ってきてもらったり、レシートの写真から分類してもらったりできるからです。
さらに玉置さんは、年末には1年のお金の振り返りをするといいと勧めます。通帳の残高や大きな買い物から、投資・消費・浪費にいくら使ったかを見て、来年を設計するのです。
岡島さんは「気づけそうで嫌だな」とこぼしつつ、自分が投資・消費・浪費にどう配分しているかを、これまで振り返ってこなかったことを認めます。
AI時代に、収入の不安をどう見るか
ここまでコントロールしやすい支出の話が続きましたが、玉置さんは収入についても触れます。もっとも確実なのは、自分に投資して稼いでいくことだと言います。
自分の教育的な資産、人脈、そして良い習慣。玉置さんはこれらを資産と捉え、若く柔軟なうちに形成しておくほうがいいと話します。
玉置さんが挙げるのは、育児も介護もなく、健康で働ける時間があるという時期の希少さです。それがいつまで続くかはわからないため、可能なら投資に振り向けたほうがいいと言います。
一方で、育児や介護の最中の人、心身に問題がある人には無理に勧めない、とも玉置さんは付け加えます。
収入の不安について、玉置さんはAIの時代を見据えた見方を示します。能力そのものはAIのほうが優れているからこそ、人間に残る仕事があると言います。
そういう時にやっぱり人間に仕事が残ってるとすれば、ちゃんとコミュニケーションが取れて気持ちよく働ける人ですよね。
玉置さんは、特殊なスキルよりも、気持ちよく人と仕事ができる基本的な部分が磨かれていることが大事だと言います。前回話した「教養を身につけること」もその一つです。
だから将来の収入に、むやみに不安を持つ必要はないと玉置さんは話します。知識ではなく、自分なりの世界観を持ち、自分なりの問いを立てられることが必要になるからです。
不安を「モンスター」にしないために
玉置さんは、消費のミニマムラインを知っているだけで不安は減ると言います。収入がどうなっても、いくらまでなら耐えられるかがわかっていれば楽だからです。
それくらいだったらまあなんとかなるなって思えていれば、逆にチャレンジもできるでしょうし。
特にフリーランスや起業を考えるなら、自分のミニマムラインを知らないと危ないと玉置さんは注意します。
玉置さんは、この回全体を貫く考えとして、考えないこと・見えないことが一番不安を作ると語ります。自分で決め、自分でちゃんと見て、お化けをなくしていくことだと言います。
岡島さんは、これを「考える」と「悩む」の関係で整理します。悩みが多いのは、ない課題に対して思考が空回りしているから。だから、目で見て考えれば前に進むというわけです。
玉置さんは最後に、少なくとも支出は自分が決済しているのだから100%コントロールできるはずだ、と背中を押します。だからこそ、まずはそこを見ていってほしいと締めくくります。
まとめ
この回で玉置さんが伝えたのは、お金を増やす前に、まず不安を「コントロールできるもの」に変えるという発想でした。資産ではなくフローで目標を立て、支出を投資・消費・浪費に分け、短い周期で振り返る。その積み重ねが、漠然とした不安を小さくしていきます。
- お金の一番のニーズは「増やす」より「不安をなくす」ことにある
- 目標は資産(ストック)ではなく、収入と支出のフローで立てると具体的に考えられる
- 支出は投資・消費・浪費に仕分け、浪費だけを削り、投資と消費は削りすぎない
- お金の使い方と自己評価を切り離し、自分の価値観に合った予算感を持つ
- 1週間単位でざっくり振り返り、コントロールできる状態にすれば不安は減る






