数百のアルトコイン、勝負はもうついた?
暗号資産の世界では、これまで数百といわれるほど多くのアルトコインが登場してきました。大塚さんによると、そのうち今も残っているのは数十個ほどで、だいぶ勝負がついた状態だといいます。
大きく使われているのがイーサリアムで、次に使われているのがSolanaだと大塚さんは説明します。Solanaは、ある意味でイーサリアムを代替するものだといいます。
なんかよく聞くんですけど、Solana。そのWeb3詳しそうな人たちがよく単語出してるなってX見て思ってたけど、全然知らないんですよ。それ何なんですか?
西山さんはSolanaという言葉自体はよく見かけるものの、中身は知らなかったと切り出します。ここからSolanaとは何かという話が始まります。
統制されたSolanaと、自由なイーサリアム
大塚さんはまず、イーサリアムがプログラミングできる暗号資産だという前提を振り返ります。その上で、イーサリアムにはいい面と悪い面があると話します。
いい面は、オープンソースのプロジェクトとしてみんなで改善していける点です。一方で、それぞれが良いと思う方向に動くため統制が取れず、同じようなことを別々の人が並行してやってしまうなど、非効率になっていると大塚さんは指摘します。
それに対してSolanaは、あまり自由にやるのではなく、一定の方針にしまってやっていこうという考え方のプロジェクトだといいます。
それに対して、じゃあちゃんとプロジェクトをそんなに自由にやるんじゃなくて、一定の方針にしまってやっていこうという感じでやってるのがSolana。
バージョンアップの方針も、Solanaでは一定の人たちが決めて進めていくため、次にどうなっていくかが見えやすいと大塚さんは説明します。そしてもう一つの特徴として、スピードをすごく優先する姿勢を挙げます。
オープンソースでみんなが自由に改善する。統制が取れず非効率になりやすい面がある。
一定の方針・一定の人たちで進める。方向性が見えやすく、スピードを優先する。
NFTブームでイーサリアムが詰まった話
Solanaがスピードを重視する背景として、大塚さんはイーサリアムが一時期すごく遅くなった時期があったと振り返ります。西山さんが処理速度のことかと確認すると、大塚さんはそうだと答えます。
これは以前の回で話したNFTの時代に起因するといいます。NFTが登場し、みんなが欲しがってイーサリアム上で大量に送ったり受け取ったりしたため、処理量が急増しました。
大塚さんによると、処理しきれるほど高性能化する前に大量に送ってしまったため、いつになっても届かないような状況が一時期起きたといいます。西山さんは「詰まっちゃうみたいな」と言い換えます。
詰まっちゃって順番待ちになっちゃった。そうなると、このやり方じゃなくて、もっと早く送れる方法ができるんじゃないのっていうことを提唱する人がいて。
この「もっと早く送れる方法」を提唱するプロジェクトの一つがSolanaだと大塚さんは説明します。ただしスピードが速い代わりに、イーサリアムでできたことができない面もある特化型として発展してきたといいます。
スピードは正義。SuicaとSolanaの共通点
西山さんはスピードの重要性を、日常の決済体験にたとえます。開くたびにログインを求められる各種PAYはめんどうだと感じる一方、Suicaは一瞬でピッとできるので結局使ってしまうと話します。
なんとかPAYとかいっぱいあるじゃないですか。毎回開くたびにログイン求められたりとか、なんかページたどり着かなくて決済するまで時間かかってめんどくせーとか思うんですけど、Suicaはもう一瞬でピッてできて。
大塚さんも、お金を送るという意味では速く届くことが大事だと応じます。届いたか心配になったり、やりとりのたびに時間がかかったりすることは、不安でありコストにもなると話します。
そうした不安やコストを解決したのがSolanaという技術であり、その上でさまざまなアプリケーションが出てきたと大塚さんは説明します。
Solana上で個人が発行するコインとVALU
Solana上でできることは、基本的にイーサリアムと同じようなものだと大塚さんは言います。たとえば、そのプラットフォーム上で自分のコインを発行できるサービスがたくさん出てきました。
大塚さんは一例として、日本では法的に難しいと前置きしつつ、海外で10代の個人が「pump.fun」のようなプラットフォーム上で自分の名前のコインをいきなり発行するケースを挙げます。
そのコインが面白いと価格が急上昇し、発行した本人が高値で一気に売り抜け、価格が終わる。大塚さんはそんな動きが起きていると話します。
前VALUっていうやつで、あのヒカル、YouTuberのヒカルがやったやつじゃないですか。めっちゃ売って高くなったとこに売り抜けて全員損したみたいな。
大塚さんは、VALUは「ちょっと早かった」「未来だった」と評します。その未来が去年、一昨年ぐらいから流行してきたと振り返ります。
エンジニアフレンドリーが生んだ成長率
Solana上ではコインの売買や送金が頻繁に起こるため、速さが欠かせません。そうしたプロジェクトが次々に立ち上がり、Solanaにはエンジニアが集まっていると大塚さんは説明します。
Solana側もエコシステムを支援し、作ってくれればSolanaを渡すといった形で環境を整えていったといいます。大塚さんは、これが遊べるものへと広がっていったと話します。
大塚さん自身は、この点を主観的な話だと前置きしつつ、イーサリアムがメインで来たため、これを超えるものはないだろうと見ていたと打ち明けます。
なんていうか、(Solanaの)成長率がすごいなっていうのはあって、ここは結構自分の中で暗号資産やってて読み違えたなって気はしますよね。
西山さんがそんなに便利なのかと尋ねると、大塚さんは手厚さを挙げます。Solana上でプロジェクトを作ろうとしたとき、最初はエンジニアもわからないものですが、ハッカソンなどで手厚くサポートして教えてくれることが多いといいます。
大塚さんは、エンジニアフレンドリーに教えてもらって成功体験を積むと、そのプラットフォームを好きになり、次もそこで作ろうとなると説明します。早めに成功の体験を積ませることが人の育成や成長に重要だという見立てです。
世界中で頻繁にハッカソンが開かれていることが、いいエンジニアの獲得につながっているのではないかと大塚さんは話します。
歩いて稼ぐSTEPN、Solclanaを感じさせないUX
具体的なアプリケーションとして、大塚さんは前述の個人発行コインに加え、少し前に流行った「STEPN」を挙げます。歩けば歩くほどトークンがもらえるサービスです。
大塚さんによると、STEPNはSolanaベースでできています。数多く試される中でヒットが出てくる一方、面白いのはSolanaで動いていると利用者にはわからない点だといいます。
普通に歩いたらトークンがもらえて儲かるみたいなコンセプトでやっているから。ああいう感じでアプリケーションのレイヤーは、あんまり(ブロックチェーンを)感じさせないものが出てくると、UXも普通に今まで通り使える。
もしSTEPNがイーサリアム上で動いていたら、遅くて進まないなど、いろいろな問題が起きただろうと西山さんは推測します。大塚さんも、だからこそ開発者がSolanaを使ったのではないかと応じます。
一方のイーサリアムは金融へ。DeFiサマーの熱狂
Solana系は、小さなアプリケーションが出ては消えていくものが多いと大塚さんは話します。細かくまでは見ていないと断りつつ、その傾向を挙げます。
一方でイーサリアムは、より金融ライクな方向に進んでいるといいます。お金を運用したり、預けておくと金利がもらえたりと、金融を置き換えていく形です。
大塚さんは例として、イーサリアムをあるプラットフォームに預けておくと4パーセントの金利が戻ってくるような仕組みを挙げます。さらにすごいものだと、イーサリアムの金利に加えて、プラットフォームが出すトークンももらえるといいます。
こうした仕組みが乱立したときに起きたのが「DeFiサマー」だと大塚さんは説明します。その夏の時代に、金利で大きく稼いだ人が数多くいたと振り返ります。
西山さんが「そんなおいしい話はないと聞いた」と疑問を示すと、大塚さんはその通りだと認めます。最初は良くても、みんなが自分のところに来てほしくて高金利をつけ始めると話します。
でもやっぱそれって無理な高金利出してるから破綻してしまうっていうところがやっぱあるんですよね。
大塚さんは、イーサリアムが金融的な進化を遂げている一方、Solanaはみんなが使う便利なアプリケーションの方に使われていると整理します。ただし、本当の大ヒット製品が出ているかというと、まだみんな模索しているのが正直なところだといいます。
金融ライクな方向へ。運用・金利など、金融を置き換えるサービスが中心。DeFiサマーの舞台にもなった。
みんなが普通に使う便利なアプリケーション寄り。小さなアプリが出ては消える動きが多い。
CoinbaseのBaseとYCが狙う、起業家の空白
Solanaに加えて大塚さんが伸びていると挙げるのが、Coinbaseが作ったBaseというプラットフォームです。昨年の韓国のブロックチェーンウィークでも、Baseのコミュニティの人が多く出てきていたと話します。
Baseには、知名度のあるCoinbaseのサポートがあります。そのため、Base上でアプリケーションを出そうという動きが起き、エンジニアフレンドリーなAPIも多く出ていると大塚さんは説明します。
大塚さんは、若い人にはこうした領域に大きなチャンスがあると強調します。スタートアップを育てるYCombinatorも、こうした領域への出資を明言しているといいます。
BaseとYCombinatorで一緒にそういうプログラムを作って、Base側が技術的なサポートをします。YCombinatorがお金的なサポートをします。
大塚さんは、今足りていないのは起業家そのものだと指摘します。だからこそ、すごいチャンスだと考えていると話します。
事業が失敗しても残る、第一人者という価値
西山さんは、業界人が少ないなら今入れば最先端の人になれるのではと問いかけます。大塚さんは、事業として成功を目指すべきだとしつつ、仮にうまくいかなくても価値があると答えます。
最先端を走っていれば、その分野の第一人者になれます。さらに、まだ何者でもなかった時期の人たちとのつながりができることを、大塚さんは若い人にとっての大きな価値だと話します。
大塚さんは、今ならBaseなどに関わることで、そのCEOをやっている人にも直接会えるフェーズまで来ていると言います。若い人はこうしたチャンスをつかんだ方がいいという考えです。
Solanaが伸びた時期も、若い人たちが最初に取り組んだから伸びたといいます。その時に参入した人と今入る人とでは、得られるものがだいぶ違うのではないかと大塚さんは話します。
AI時代の若手はSolanaへ?言語の壁と気合
西山さんは、今AIをやっている人がSolanaに来たらどうかと提案します。大塚さんは、AIを使ってSolana上で何かを開発するのが適切だと応じ、AIはツールに近いと位置づけます。
大塚さんは、日本でやっている人が本当に少ないことをチャンスとして挙げます。ソラナ領域やベース領域はアメリカでは競合が多い一方、日本にはいないからこそチャンスだといいます。
日本って逆に(起業家が)いないからこそチャンスだなと思うので、そういう人はやっぱ日本からも出てきた方がいいなと思いますけどね。
Solanaに取り組む人について、大塚さんはクリプトが好きな人と、Solanaの技術がいいと思っている人が多いと話します。若手では、学生上がりの人と、暗号資産の会社で働くうちに自分でプロジェクトをやりたくなった人の二択が多いといいます。
西山さんは、かつてのIT革命時のような若い象徴的存在がいないのではと投げかけます。大塚さんも、Solanaに限らずそうした人はいないと認めつつ、だからこそチャンスだと繰り返します。
難しさとして大塚さんが挙げるのは、やりとりがすべて英語であるという言語の問題です。西山さんは、逆に今はAI時代だからそこを突破できるのではと応じます。
大塚さんは、やる気があれば他のことは意外となんとかなると話します。西山さんが「何も言ってないように聞こえる」と突っ込むと、大塚さんは共同創業者の和田さんとの間でも、大変なときは「気合ですね」で乗り越えてきたと明かします。
大塚さんは、気合という合意だけしておいて、あとは確かに何も言っていないと笑いつつ、それでもなんとかなってきたと振り返ります。回の締めくくりとして、若手でも気合さえあればいけるという話でまとまりました。
まとめ
この回は、イーサリアムの処理速度問題から生まれた高速チェーンSolanaと、その伸びを支えたエンジニアフレンドリーな文化を軸にした雑談でした。技術の違いだけでなく、日本の若手にとっての空白とチャンスにまで話が広がりました。
- 残ったアルトコインは数十個で、イーサリアムとSolanaが中心。Solanaは一定の方針で進め、スピードを優先する
- NFTブームでイーサリアムが詰まったことが、速く送る仕組みを提唱する動きにつながった
- Solanaの伸びの背景には、ハッカソンなどで手厚く教えるエンジニアフレンドリーな文化と、早めの成功体験がある
- イーサリアムは金融ライクなDeFi方向、Solanaはブロックチェーンを感じさせない便利なアプリ方向へ進んでいる
- CoinbaseのBaseとYCの支援もあり、起業家が少ない日本の若手には第一人者になれるチャンスがある



