今日のテーマは「目標」
今回の思考調律のテーマは「目標」です。会社での目標設定や、年明けに立てる「今年こそは」という決意など、私たちは日常的に目標と向き合っています。
1年の半分が過ぎたこのタイミングで、年初に立てた目標がちゃんと進んでいるかを問いかけるところから話は始まります。
目標通りに進むのは難しいものです。試行錯誤しているのにうまくいかない、しっくりこないという人も多いと河原さんは話します。
特に「こう変わりたい」という目標があるのに、取り組んでいてどこか噛み合わない。今回はそんな人に向けた回です。
変われる人は目標から「上手にズレる」
目標を立てるとき、多くの人は理想の自分をイメージし、そこから逆算して行動を設計します。大きな目標に向けて小さなところからコツコツ積み上げていくやり方です。
ここで河原さんは、目標を立てるうえで大事なことがあると切り出します。それは、本当に人が変わるときには、立てた目標が途中で変化していくということです。
変わっていく人たちの共通点があるんですよ。何かというと、当初立てた目標とか目論見から上手にずれていけた人、そういう人が結局のところ自分のありたい姿に到達できているということなんですね。
これは多くの人の変化を見てきた中で共通している事実だと、河原さんは言い切ります。目標が変わってしまってもいい、むしろそれが変化の証だという発想です。
感情を記録する「カエルバEQ」というプログラム
このメカニズムを説明するために、河原さんは自社が企業向けに提供しているEQ開発プログラムを例に挙げます。
このプログラムは「カエルバEQ」と呼ばれ、みんなで変わっていくことを目指す3か月の場です。
まず参加者は、自分たちのパーソナルミッションをもとに、3か月後にどういう状態でいたいかという目標を立てます。そのうえで感情の記録をつけ、感情と出来事の関係を観察していきます。
一見地味な作業ですが、河原さんはこれを本質的なプログラムだと考えています。自分の感情を捉える習慣をつけることで、本当に喜べること、楽しいと思えること、逆に手放した方がいいものが見えてくるからです。
こうしたプロセスを歩むと、途中で「あれ、最初の目標はなんか違うかも」と思える瞬間が出てきます。この気づきに到達できるかどうかが、変われるかどうかの分かれ目だと河原さんは話します。
世界の見え方を決める「レンズ」という概念
この「なんか違うかも」を、河原さんは「レンズ」という概念で説明します。
眼鏡や眼球そのものがレンズであるように、人はそれぞれのレンズを通して世界を見ています。二人のカメラマンが同じ対象を撮っても切り取り方が違うように、人はそれまでの経験や価値観からできた自分だけのレンズで世の中を見ているのです。
そしてこのレンズは、自分の理想像を投影しやすい性質を持ちます。価値観がレンズのベースになっているため、未来の理想の自分を見るときにもレンズの影響を色濃く受けるのです。
ただし、このレンズは強いバイアスになっていることもあります。よい方に働けば自分を形作る武器になりますが、今後の自分には必要ないパーツも含まれていることが多い、と河原さんは指摘します。
このものの見方は果たして今後の自分に必要なんだろうかっていう、そういったレンズのパーツみたいなものも含まれることが結構多いんです。
この手放した方がいいバイアスに気づけるかどうかが、本質的な変化の鍵になります。
レンズを調整して目標を書き換える
プログラムではまず1か月間、感情の記録を通して自分のパターンに気づいてもらいます。
嬉しいと感じるトリガーや、しんどいループに陥る入り口、そしてその背後にある思い込みに気づいていくのが最初のステップです。
自分のレンズに気づくと、最初に立てた目標がそのレンズと直結していることが見えてきます。そこで、このレンズをこのまま持ち続けていいのかを考えるようになります。
すると、残した方がいい価値観と、ブレーキになっているバイアスを切り分けられるようになります。不要なバイアスはいきなり0にはできませんが、少しずつ影響を絞っていくことが大事だと河原さんは言います。
調整したレンズで目標を見直すと、「過去の自分には必要でも、今の自分には合わないかもしれない」という部分に気づけます。そしてニュートラルになったレンズで自分を見つめ直すと、本当に求めていた変化が見えてくるのです。
そこをはめた瞬間に「これだ」っていう感覚になります。しっくりくる感覚、腹落ちがきます。そうすると、なんか噛み合わないなと思ってた行動が、徐々にではあるけれども噛み合い出す、そんなことが実際に起きてくるんです。
当初の目標を見直してみる
なかなか変われないと感じる人は、当初立てた目標を見直してみるといいかもしれません。
その目標は過去の自分が大事にしていた価値観で作られていないか。人の言葉や周りから与えられたもので歪んでいないか。今後は必要ない要素が含まれていないか。そう問い直すことで、目標の中のエラーに気づけると河原さんは話します。
思考調律は行動を調律するだけでなく、そもそものゴール設定をずらし、見直していくことも含みます。今の自分、あるいは近い将来の自分が求めるレンズから見て、その目標が本当にフィットするのかを見直すことをおすすめする、という言葉で締めくくられました。
まとめ
本当に変わる人は、最初に立てた目標から上手にズレていきます。自分の価値観でできた「レンズ」に気づき、残すものと手放すものを切り分けて調整することで、本当にありたい姿へ目標を書き換えていけるのです。
- 変わっていく人は、当初の目標から上手にズレて、ありたい姿に到達している
- 人はそれぞれの経験や価値観でできた「レンズ」を通して世界と目標を見ている
- レンズには武器になる価値観と、ブレーキになるバイアスの両方が含まれる
- 不要なバイアスはいきなり0にせず、少しずつ影響を絞っていくのがコツ
- 調整したレンズで目標を見直すと「これだ」という腹落ちが生まれ、行動が噛み合い出す