なぜ「断る」は苦手なのか
今回のテーマは「断る」です。断るのが得意ではないという人は多いかもしれません。
河原さん自身も、かつては断ることがとても苦手だったと話しています。
断るのがすごく苦手でした。「やっぱり角が立つんじゃないか」「嫌だな」と思ったりして、結果的に断れずに、その後ストレスが溜まる。断り切れずに人間関係でちょっとした波が立つ経験も実際ありました。
転機になったのが、専門にしている感情知能EQとの出会いです。自分と他者の感情を見直す中で、断ることへの解像度が上がっていったと言います。
さらに新規事業の立ち上げや会社の経営を経験する中で、断ることが人よりだいぶ上手になったそうです。今では社長として、メンバーが断りづらい案件を代わりに断りに行くこともあると話しています。
小さな違和感が自己効力感を削っていく
そもそも人はなぜ断りづらいのでしょうか。断っても大きなことは起きない、そういう場面はたくさんあります。
一つ一つは取るに足らないように見えます。けれど、小さな頼まれ事や気が乗らないことが積み重なると、変化が起きるといいます。
ちっちゃい頼まれ事だったり、自分が気が乗らないことが積み重なることによって、だんだんと人は自分自身で何かを決定しているという感覚が削がれていって、結果的に自分の思考の軸が保てなくなる。
そこから、自分では何も決められていないのではないか、自分の人生を生きれていないのではないか、という自信の低下につながることが多いそうです。
だからこそ、一つ一つに感じる小さな違和感を無視しないことが前提として大事になります。やりたい、気が乗らない、絶対に嫌だといった感情を、まずはそう感じた自分ごと受け止めることを勧めています。
タスクを書き出して感情でラベルづけする
その上で、引き受けざるを得ない状況はどうしてもあります。今回伝えたいのは、そのときの思考の持ち方です。
まず提案されるのが、頼まれたことや抱えているタスクを一旦すべて書き出し、一覧化することです。
どれだけの「やらなきゃいけないこと」「やるべきと思っていること」が自分の中にあるのかを、まず見つめるのが第一歩だといいます。
そして一つ一つを見ながら、それがポジティブなのか、ネガティブなのか、ニュートラルなのか、自分の感情を感じ取ってメモに残していきます。
「should」を「can」に置き換える
一覧はまず、ぜひやりたいこと、つまりwantと、やるべきこと、つまりshouldに分けられます。
ここからが核心です。shouldの一覧を、canという言葉に置き換えてほしいと言います。
canっていうのはできるっていう意味ですね。できるってどういうことかって言ったら、自分がやろうという気持ちになったらできるっていうことなわけです。
shouldは選択権が自分にない言葉ですが、canはやるかやらないかの選択権が自分にある言葉です。
たとえば「あるクライアントの仕事を受けるべきである」というshouldは、「受けることができる」というcanに書き換えられます。
その瞬間、人はcanとcannot、つまり「やれる」と「やれない」という二つの選択肢を持てるようになると説明されています。
やるべき。選択権は自分になく、人が決めたことをただやる状態
できる。やるかやらないかの選択権は自分にあり、いつでも選び直せる状態
canと共に生きると自由になれる
cannot、つまり「やることはできない」と思うものは、一旦やらないという選択肢を持ってみればいいと言います。
一方、canという選択肢を持ったものは、実はやった方がいいことだったりします。しんどさやネガティブな感情を伴うこともありますが、canと定義した瞬間、常にcannotという選択肢を持ったまま続けられます。
canと定義した瞬間に、皆さんはそのタスクに対してcannotという選択肢を常に持ったまま続けることができるんです。
頼まれ事をshouldではなくcanで測る習慣をつけると、「引き受けることもできるが、引き受けない選択肢も常に持っている」という状態でタスクに向き合えます。これはshouldでやるよりずっと自由だといいます。
わかりやすい例が、いま勤めている会社との向き合い方です。「働くべきである」と解釈するのか、「働くこともできるし、働かないこともできる」と考えるのか。
どっちがパフォーマンスが上がるかっていったら、絶対に後者なんです。なぜなら、あなたはそういった局面において、会社というものを自分の意思で選び直しているからです。
思考をずらすことが調律の第一歩
shouldをcanに書き換えた瞬間、それは人が決めたことから自分の選択へと変わります。続けるも自由、続けないも自由という権利が手に入ります。
この転換をすると、やるべきだと思っている様々なことに対する見方が変わっていきます。少し思考をずらして物事の捉え方を変えることが、思考調律の大事な第一歩だと語られています。
その一つ一つを見た時に、shouldという言葉で解釈するのではなく、canという言葉に置き換えてみる。ぜひそんな思考実験を試してみてください。
まとめ
断りづらさの背景には、小さな頼まれ事の積み重ねで削られる自己効力感があります。タスクを書き出し、「should」を「can」に置き換えることで、続けるも辞めるも自分で選べる自由な状態に近づけるという回でした。
- 断れずに小さな違和感を積み重ねると、自分で決めている感覚が削られていく
- まずはタスクを書き出し、want(やりたい)とshould(やるべき)に分ける
- shouldをcan(できる)に置き換えると、canとcannotの選択肢を持てる
- canは選択権が自分にあり、いつでも辞められる自由と自己効力感を保てる
- shouldをcanに置き換える思考のずらしが、思考調律の第一歩になる