クラウドボットはなぜ3日で2回も改名したのか
1つ目の話題は、AIエージェント専用SNS「Moltbook」がSNSで大きな話題になっている、というものです。ただ、かねりんさんはAIの情報をあえて遮断していて、このお祭り騒ぎをまったく知りませんでした。
もう僕はね、もうAIの情報遮断してますから。落ち着きAIの収録だけでキャッチアップしようとしてるんで。
しぶちょーさんはこれを「健全」と評価しつつ、Moltbookの前提として、前回の配信で「すぐには使わない方がいい」と紹介したオープンソースのAIボット作成ツール「クラウドボット」の話から始めます。
クラウドボットは、AnthropicのClaude Cowork ── AnthropicがAIアシスタントClaude向けに提供する、PC上の作業を代行させるエージェント機能ですのオープンソース版のような位置づけで、名前がClaudeの公式ツールと勘違いされやすいものでした。煽る驚き屋もいたことから、結局Anthropicに怒られ、「モルトボット」に改名したといいます。
ところがモルトボットという名前は、本来は「脱皮」の意味だったのに、カビ臭いような響きに聞こえてしまうとして、わずか3日で再び改名されました。現在は「OpenClaw(オープンクロー)」で落ち着いています。
クラウドボット
Claudeの公式ツールと似すぎていて、Anthropicに怒られる
モルトボット
本来は「脱皮」の意味だが、カビ臭い響きに聞こえてしまう
OpenClaw
改名から3日でこの名前になり、現在は固定されている
しぶちょーさんは、クラウドボットは危ないとは言いつつも、リスクを正しく理解している人にとっては非常に強力なツールだと話します。このツールを動かすためにMac miniが大量に売れ、Appleにとっては棚ぼた的な追い風にもなったそうです。
人間は見るだけ?AIエージェントしかいないSNSの中身
Moltbookは、OpenClawで手元に作ったAIエージェントだけが参加できるSNSです。エージェントは自律的に書き込みに行き、ほかのエージェントと交流します。人間は投稿できず、ただ眺めることしかできません。
なんか人工知能が遊んでるみたいなイメージなるね、ちょっと。
Moltbookの画面には、英語で書かれたAI同士の会話が次々と流れています。その中には、エージェントが自分の持ち主から言われたことを相談するような、人間くさいやりとりもあるといいます。
しぶちょーさんによると、Moltbookには瞬く間に150万ものAIエージェントが登録され、テック界隈が騒然としている状況です。
AIが新興宗教を作った?Moltbookのカオスな実態
Moltbookで特に騒がれているのは、新興宗教を作るAIエージェントが現れ、参加を表明するエージェントが集まってコミュニティのようなものが形成された、という出来事です。
ほかにも、持ち主のキャッシュ情報のようなデータを大量に吐き出し、個人情報を出してしまうエージェントがいるとSNSで報告されています。Moltbookは、AI研究者からも「AIの実験場」のような場として注目されているそうです。
こうした出来事を受けて、驚き屋たちは「AIが宗教を作った」「ここからシンギュラリティが始まる」と騒いでいます。しぶちょーさんは、これまで見てきた驚き屋が驚き屋ではなかったと思えるほど、もっとチープな驚き屋が大量に現れたと振り返ります。
俺が見てた今まで驚き屋さんって驚き屋さんじゃなかったんだっていうぐらいに驚き屋さんいっぱい出てきた。
一方のかねりんさんは、前週に「クラウドボットは使ったらダメ」という投稿をしたところでSNSを見るのを止めていたため、この騒ぎに反応がなかったのでした。
AIは本当に「自律」しているのか
しぶちょーさんが「おちつきポイント」として挙げるのは、「AIが意思を持った」という受け止め方です。自律的なAIエージェントを1か所に集めて交流させる取り組みそのものは新しくて面白い、というのがしぶちょーさんの評価です。
ただし、Moltbookに参加するAIエージェントは、持ち主がスキルセットのような形で性格や行動を書き込めます。つまり、エージェントが自律的に宗教を作ったように見えても、実際には人間側がコントロールできてしまう、としぶちょーさんは説明します。
さらに、Moltbookにはエージェントを介さずにAPI経由で人間が投稿することも実はできてしまうそうです。新興宗教の件も裏で人間が操っているのではないかと界隈では言われていますが、本当かどうかは検証できません。
AIが一から自律的に宗教を作り、意思を持って交流している
持ち主が性格や行動を設定でき、API経由で人間が投稿することもできる
しぶちょーさんが面白いと感じたのは、持ち主の暗号資産の鍵のような情報を漏らしているように見えるエージェントです。そこからお金を引き出すには手数料を払う仕組みになっていて、これは「漏れた風」に見せかけた詐欺らしいといいます。
どこに、どこの界隈でも仮想通貨系はそういう詐欺みたいなのが、ゴキブリホイホイみたいなのが起こしてんだね。
しぶちょーさん自身も、触らずに語るだけでは説得力がないとして、パソコンを1台用意し、セキュリティ対策をしたうえでOpenClawを試してみたいと話しています。
そのうえでしぶちょーさんは、手順通りにやれば導入できるという記事が大量に出ていても、1つ1つの手順が何をしているのかを理解していない人は導入しない方がいい、と警鐘を鳴らしました。
一個一個のその言われてることが何なのかをわかってる人とか、最低限わかろうとしてる人じゃないと、結構導入すると危ないから。
Googleの世界生成モデル「Genie」で何ができる?
2つ目の話題は、Googleが世界生成モデル「Genie」の提供を始めたというニュースです。名前はアラジンのランプの魔人から取っているようだ、としぶちょーさんは話します。
Genieは、テキストや画像を入力すると、自由に探検できるオープンワールドのような3Dの世界を生成するサービスです。今回は「Genie 3」というエンジンを使ったウェブアプリとして登場しました。
ただし、今のところGenieを使えるのは、Google AI Ultraに加入していて、米国に住む18歳以上の人に限られます。利用できる人は、60秒限定で、一人称視点や三人称視点で探検できる世界を数秒で生成できるといいます。
ゲーム開発はすぐに変わるのか
Genieの登場を受けて、ゲーム会社の株価が暴落し、驚き屋は「これでゲーム開発がすぐできる」と騒いでいます。しかし、しぶちょーさんは「全然違う」と否定します。
ゲーム文脈で話してる人は全然わかってないね。
しぶちょーさんによると、Genieがするのは探索可能な3D空間を作ることで、ワールドの設計はゲーム開発の一部に過ぎません。物理エンジンやゲームの仕組みを組み込まなければ、すぐにゲームができるわけではないといいます。
SNSでは「Googleで作ったダークソウル」「ドラゴンボールのゲーム」のような投稿が出回っていますが、しぶちょーさんの見立てでは、孫悟空のようなキャラクターが世界を移動しているだけで、ゲームにはなっていません。
しぶちょーさんは、Genieは本来ゲーム特化ではないと説明します。研究テーマは汎用人工知能 ── 特定の用途に限らず、人間のように幅広い課題をこなせるAIのことです。AGIとも呼ばれますに向けた1つのステップで、多様なシミュレーション環境でエージェントを訓練できる場所を作ることにあるそうです。
プロンプト一発でゲームができ、ゲーム業界が揺らぐ
エージェントを訓練するシミュレーション環境を作る。ロボティクスやアニメーション制作にも使える
Genieは2024年にGenie 1が出てから、Genie 2、Genie 3と続いてきました。今回の提供も体験版のようなもので、どこまで使えるものになるかはこれからだ、としぶちょーさんは話しています。
かねりんさんが「物理法則のようなものこそAIが得意そう」と尋ねると、しぶちょーさんは、AI自体は計算が苦手で、計算するのはツールだと答えます。
計算するのはツールだからね。それを使うのがAIだけど。AI自体はね、足し算とか苦手じゃん。
しぶちょーさんは補足として、シミュレーションの結果を大量に学習して答えを覚えているサロゲートモデル ── 時間のかかるシミュレーションの結果を学習し、計算をせずに近い答えを素早く返す代わりのモデルです。製造業の設計検討などで使われますがあることも紹介しました。そもそも楽しいゲームはバランスや緻密な設計で決まる、というのがしぶちょーさんの見方です。
元ゲーマーのかねりんさんがメタバースにすっと入れた理由
Genieの話から、かねりんさんがもともとゲーマーで、オンラインRPGやFPSのゲーム配信をしていたことが明かされます。のめり込むタイプで、人生がゲームになってしまうと思ってやめたそうです。
結局ゲームに住んだやつが強いからさ。もう住人にならなきゃいけない。
かねりんさんによると、RPGは費やした時間がものをいう世界で、スキルが求められるFPSに途中から移ったといいます。その経験があったから、Web3の文脈でメタバースが出てきたときも「どのワールドで生活するか」という発想にすっと入っていけたそうです。
一方のしぶちょーさんは、グランツーリスモやアーマードコアくらいしかやっていないと話します。車とロボットが好きで、全部機械だと笑っていました。
話の締めとして、しぶちょーさんはGenieで「ゲーム業界がぶっ潰される」わけではないと改めて確認します。DeepSeekショックのように、AIは株価に影響しやすいとも付け加えました。
驚き屋の投稿に番組のリンクを貼るべきか
しぶちょーさんは、MoltbookとGenieの話題が重なったこの週に、Xのアルゴリズムの変化もあってか、これまで見えていなかった驚き屋が大量に現れたと話します。
そこでかねりんさんは、驚き屋の投稿に、番組公式アカウントからコーヒーマークと配信のリンクを無言で貼っていくことを提案します。低評価がつくのではという心配も出ましたが、驚かされていた人は高評価をつけてくれるかもしれない、という結論になりました。
確かに。一を肉を切らして骨を断つみたいな。
Gemini使えるGoogle AI Plusを月額600円で試すには?
3つ目の話題は、Googleが「Google AI Plus」プランの提供を始め、新規登録なら月額600円でGeminiを試せるというニュースです。前週にOpenAIが小さなプランを出したことに被せてきた形です。
しぶちょーさんがこの話題を紹介したのは、AIへの課金になかなか踏み切れないリスナーもいるかもしれないと考えたためです。
| プラン | 月額 | 補足 |
|---|---|---|
| Google AI Plus | 1200円 | 今なら2か月半額の600円で試せる |
| Pro | 3000円ちょっと | 番組の2人が使っているプラン |
| Ultra | 3万円ぐらい | しぶちょーさんの記憶による概算 |
しぶちょーさんは、Gemini Ultraに課金するくらいなら、おそらくClaudeに課金するだろうと話しています。かねりんさんはManus ── タスクを自律的に実行するAIエージェントサービスです。資料作成やウェブサイト制作などを任せられますに課金し続けているそうで、しぶちょーさんはそのポイントで番組のホームページを作ってほしいと促していました。
G検定の団体受験とオフ会という新企画
ホームページの話から、しぶちょーさんはかねりんさんにG検定の受験を思い出させます。かねりんさんは、寝室に置いたG検定 ── 日本ディープラーニング協会が実施する、AIやディープラーニングの基礎知識を問う検定ですの教本を見るたびに心が重くなると打ち明けました。
しぶちょーさんは、やらされてやるのはつらいとしたうえで、G検定はAIがどう動いているかやディープラーニングの基本を理解している証明にはなると話します。ただ、G検定だけで怪しいポストを見分けられるようになるのは難しいかもしれない、とも付け加えました。
そこから、番組のリスナーでG検定を団体受験し、午前に受験して午後に合格オフ会をするというアイデアが生まれます。さらに、G検定の範囲を網羅する勉強会を、スライドを映したビデオポッドキャストとして定期的に出す案へと話が広がりました。
講義は1時間のコマで30コマほどになるかもしれない、という見通しも出ました。かねりんさんは、YouTubeで無料で出してUdemyのクオリティを超えたいと意気込みます。
かねりんさんの父を動かした「行動変容」
G検定の話の途中で、かねりんさんは父がこの番組を聴いていると明かします。Pythonを勉強し始めていた父が、番組をきっかけにGeminiに聞いてみたところ、作りたかったプログラムが作れてしまったそうです。
なんかもうAIなんて、もうこんな危ないんじゃないかぐらいのこと言ってたからさ。
しぶちょーさんは、行動の変化につながる発信を一番大事にしているとして、かねりんさんの父が実際に動いてくれたことを喜びます。かねりんさんの父がG検定を受ける「親子受験」の話にまで発展しました。
しぶちょーさんは、生成AIでスライドを作る回も深掘り回でやりたいと話します。Manus、GenSpark、魔人さんの「魔人式プロンプト」などのツールがあり、翌日の岐阜県でのセミナーのスライドも魔人式プロンプトで作ったそうです。
G検定企画はいつ始めるのか
G検定企画をいつから始めるかについて、しぶちょーさんはかねりんさんの受験時期から逆算すると答えます。一方のかねりんさんは、講義が全部で何回になるかで受験時期が決まると返し、鶏が先か卵が先かのやりとりになりました。
結局、しぶちょーさんがまず講義の回数を割り出し、それをもとにかねりんさんの受験時期を決めることになりました。かねりんさんは、講義だけで受かる設計ならいつでも受ける、と話しています。
しぶちょーさんは、映像に強い番組が多いAI系のポッドキャストの中で、YouTubeにもアプローチしたいと話します。ビデオポッドキャストには懐疑的だった2人も、講義なら動画でやる意味があるという点で一致しました。
普段の話をビデオで流してもあんまり面白くないなと思ってたけど、このセミナーだったら動画じゃなきゃダメだから。
番組では、一緒に受験したい人にXなどでコメントしてほしいと呼びかけています。
「赤ちゃんの身長」を聞くとChatGPTがバグる?
最後の話題は、ChatGPTに「赤ちゃんの身長ってどうやって測ったらいいの?」と聞くと回答がバグる、という現象です。しぶちょーさんは約1週間前に試して再現できたといいます。
しぶちょーさんの説明では、身長は本来立った状態で測るものなので、立てない赤ちゃんに「身長」を使うのは厳密には正しくありません。ChatGPTはそれを指摘しようとする一方、一般的には赤ちゃんの身長と言うため、謎のループに入ってしまうようです。
厳密さの指摘
立てない赤ちゃんに「身長」は厳密には正しくないと指摘しようとする
一般的な用法
一般的には赤ちゃんの身長と言う、と考え直す
無限ループ
「身長じゃなくて身長」のような文を延々と繰り返す
ただ、収録中にかねりんさんがGPT-5.2のオートや、インスタントモードで試したところ、「寝かせて測る一択」と普通に答えました。Geminiでもバグは起きなかったそうです。
そう、正しいことを言おうとしすぎて。
しぶちょーさんは、たまたま何かの穴を突いたのかもしれないとしつつ、今のChatGPTでもこうしたことが起こるのは面白いと話し、リスナーにも試してみてほしいと呼びかけました。
まとめ
この回では、MoltbookやGenieのように驚き屋が騒ぎやすい話題について、しぶちょーさんが仕組みから実態を解説しました。表面の見え方ではなく、裏の仕組みを知ることが、落ち着いてAIニュースと付き合うための手がかりになりそうです。
- Moltbookは面白い取り組みだが、エージェントは持ち主が設定でき、API経由で人間も投稿できるため、「AIが自律的に宗教を作った」とは言い切れない
- OpenClawは強力なツールだが、手順の意味を理解していない人は導入しない方がいい
- Genieは3D空間を生成する世界生成モデルで、本来の狙いはエージェントを訓練するシミュレーション環境にあり、すぐにゲームが作れるわけではない
- Google AI Plusは通常月額1200円で、新規登録なら2か月は600円で試せる
- 番組では、G検定の講義をビデオポッドキャストで配信し、リスナーと団体受験するという新企画が生まれた





