深掘り回もビデオへ。自動化の先に待つのは「アカウントBAN」?
おちつきAIラジオの金曜日の深掘り回が、この回からビデオポッドキャストになりました。これまで週2回の配信のうち片方だけがビデオで、かねりんさんは編集負荷の問題で深掘り回までは手が回らなかったと話します。
かねりんさんによれば、ビデオ化に踏み切れたのはClaude Code ── Anthropicが提供する、ターミナル上で動くAIコーディングツール。指示を出すとコードの作成や修正、作業の自動化を進めてくれますのおかげです。ショート動画も試しに作ってみたらできてしまったといいます。
もうClaude Codeのおかげよ。
いけると思って。もうショートもだってできちゃったもん。
しぶちょーさんは、かねりんさんが自動化を狙いすぎて、SNS投稿までAPIで無理やり回した結果、シャドウバンされる未来が見えると茶化します。かねりんさんも「よくわかってるね、僕のこと」と返し、冒頭から二人らしい掛け合いが続きます。
ビデオ映えの話では、しぶちょーさんが間接照明を入れようかと言うと、かねりんさんは「間接照明より前にアフロでしょ」と返します。しぶちょーさんは、マイクは千円のものでいいと言ったら絶対ダメだと言われたのと同じで、アフロもドン・キホーテの安物ではダメだと応じ、こだわりの大切さで話を締めました。
もうすぐ1周年。「千回回らなかったら終わり」から始まった番組
しぶちょーさんが切り出したのは、おちつきAIラジオがあと3か月ほどで1周年を迎えるという話です。二人が出会ったのは前年7月中旬のイベント「ポッドキャストミキサー1.0」で、そのあとすぐに番組を立ち上げ、9月に配信を始めました。
始めた当初、二人は「3か月やって千回再生に届かなかったら終わり」と話していたそうです。かねりんさんによれば、最近は2000回以上再生されるエピソードも増えてきました。
最近2000回以上回ってるエピソード増えてきたよ。
しぶちょーさんは、リスナーから「番組を聞いてこれを知って、これをやりました」と言われることが多く、それが番組を作るうえでありがたいと話します。G検定に合格したというリスナーもいたそうです。
特にこのね、今AIで一番落ち着かないような、この時代において、行動変容を一歩踏み出すみたいなことの背中を押せてるっていうのは、すげえいいなと思って。
しぶちょーさんは、ここ最近とにかく忙しいとこぼします。IT系企業のポッドキャストへのゲスト出演や、AI系コンペの審査員・広報の仕事、AIガジェットのレビュー依頼などが次々に舞い込んでいるといいます。
本業を止めて有給を使い、そのしわ寄せを残業と夜の作業で埋める日々を、しぶちょーさんは「盤面以上のテトリスを無理やり詰め込んでいる」と表現しました。それでも番組のベースは、このおちつきAIだと強調しています。
G検定オフ会から単独イベントへ。10月3日に決まった理由
もともと番組では、リスナーと一緒にG検定 ── 日本ディープラーニング協会が実施する、AIやディープラーニングの基礎知識を問う検定試験。エンジニア以外のビジネスパーソンも多く受験していますを受け、その後にオフ会をしようと呼びかけていました。しぶちょーさんは、9月の試験に向けてもう勉強を始めてほしいと改めて伝えます。
ところが、G検定の試験日がものづくりのイベント「Maker Faire」と重なっていることを、しぶちょーさんはリスナーからの指摘で知りました。そもそも結果発表は試験当日ではありません。
受けてきましたじゃなくて、結果どうでしたよみたいな話もしたいから。
そこで、G検定の結果がわかったタイミングで、1周年記念イベントを兼ねたオフ会を開くことになりました。日程は10月3日の土曜日、13時から17時、場所は東京の予定です。
参加資格はコミュニティ会員に限らず、G検定を受けていないリスナーでも参加できます。第1話の公開は9月23日だったとかねりんさんが確認し、時期もちょうどいいと二人は喜びます。
しぶちょーさんにとっては、これが初めての「単独イベント」でもあります。主催イベントの経験は豊富でも、番組単独での開催はしたことがなく、単独でやれたこと自体が一つの箔になると話しています。
箱が先か、人数が先か。目標は「100人」でいいのか?
会場はまだ押さえておらず、しぶちょーさんは「卵が先か鶏が先か」の状態だと言います。会場が決まらないと募集ができず、箱代が決まらないと参加費も決められないからです。
かねりんさんはGoogleフォームで希望者を募ることを提案しますが、イベント経験の多いしぶちょーさんは、事前アンケートの数字はあまり当てにならないと慎重です。それでも、指標がまったくないよりはいいという点では二人の意見が一致しました。
しぶちょーさんは逆に、大きな箱を先に借りて「背水の陣」で臨むやり方もあると言います。番組は毎回1500〜2000人に聞かれているので、全員来れば千人規模になる、という冗談も飛び出しました。
十人二十人でやりました。なんかオフ会ですねって感じ。単独イベントっていう、その響きたるや、やっぱ百は欲しいよな。
比較対象として、ポッドキャストミキサーは多くの人気番組が集まってもチケット50枚だったこと、別のAI系ポッドキャスト「ながらAI番組名の表記」の単独イベントの規模などが話題に上ります。神戸開催だったミキサーと違って東京なら、としぶちょーさんは100人を目標に据えました。
かねりんさんは、何をやるイベントなのかで人は集まると言い、リスナーからアイデアを募って、コミュニティのメンバーも「共犯者」として一緒に作ろうと提案します。
公開収録では意味がない?リスナーが話すライトニングトーク案
イベントの中身について、かねりんさんがまず挙げたのは「配信しない話」です。後半は全部クローズドにする、握手会をする、といった案も出ました。
しぶちょーさんは物販のリベンジ、G検定の表彰式、その場で相談に答える「おちつきAI目安箱リアル」などを挙げたうえで、双方向のコミュニケーションが大事だと話します。いつもの公開収録をしても、聞いているのとあまり変わらないからです。
そこでかねりんさんが「リスナーさんからの発表会」を提案すると、しぶちょーさんがライトニングトーク ── 5分程度の短い持ち時間で、テーマに沿ってやったことや考えを発表する形式。LTと略され、エンジニア系のイベントでよく行われますはどうかと応じ、方向性が一気に固まりました。
俺たちが喋ってるの聞くだけっていうのなんかあんま面白くないもんね。喋ってほしいよね。
しぶちょーさんは、すごい人でなくていいと強調します。「2か月前からAIを触ってこんなのができた」「G検定を受けてこうなった」といった体験記で十分で、テック寄りにしすぎる必要もないといいます。
かねりんさん自身も、AGILab団体名の表記の忘年会で、準備なしで話したのが初めてのLTだったと振り返りました。
二人が前で話し、リスナーは聞く。普段の配信を聞くのとあまり変わらない
リスナーがLTで発表し、二人がツッコむ。参加者同士の交流も生まれる
かねりんさんは、ステージから見上げるスタイルは嫌だと言います。みんなの椅子の隣に座っているような、フラットな場にしたいという思いがあるそうです。
「100人いたぜ」は古い?人数より濃さを選んだ理由
交流を中心にするなら、100人は多すぎるのではないか。話し合ううちにしぶちょーさんがそう気づき、かねりんさんも「100人いたぜ」という達成感は少し古いのではないかと続けました。
なんかその「百人いたぜ」ってなんかちょっと古くない?っていう気もして。
かねりんさんは、人数目標を掲げると「来てください」という数字稼ぎのお願いがずっと続き、番組の趣旨と違ってしまうと指摘します。しぶちょーさんも、赤字を避けるためのイベントならともかく、この番組でそこに心をすり減らすのはもったいないと同意しました。
かねりんさんが普段リアルイベントに行かないのは、あまり面白いと思っていないからだといいます。だからこそ、自分が行ってよかったと思えるイベントにしたいと話します。
やっぱリアルじゃなきゃ絶対にこれはできなかったなっていう、なんか濃密な人間関係とか、そこで知り合った人となんかめっちゃ仲良くなっちゃったみたいなことじゃないかな。
しぶちょーさんは、来た人の行動変容や、つながりが増えて少し幸せになることを成果にするなら、人数は指標にするべきではないと結論づけました。ただし、千人の応募があれば大きな箱が必要になるので、興味の度合いを測るアンケートは取ってもいいとしています。
単独イベントの響きにふさわしい100人を目標にする
人数は指標にせず、濃い交流ができる規模にする
ハッカソンは成り立つのか。参加者全員にLTを課す案
かねりんさんに聞かれ、しぶちょーさんはハッカソン ── チームでその場で開発し、作ったものを発表するイベント形式。ハック(開発)とマラソンを組み合わせた造語ですとライトニングトークの違いを説明します。
その場でチームを組み、実装して作ったものを見せる。時間がかかり、それだけで1つのイベントになる
やってきたことを短く発表する。まとまった資料で取り組みを見せられる
しぶちょーさんは、イベントの1企画としてハッカソンをやると中途半端になりがちで、アイデアを出すだけのアイデアソンではAIの企画としては物足りないと話します。
一方かねりんさんは、他人がClaude Codeでどう作っているかを見られる機会として、自分も参加してみたいと言います。かねりんさんがClaude Codeを使い始めたのは、ポッドキャストミキサーの登壇前にしぶちょーさんがVS Codeを操作している画面を見たのがきっかけでした。
あれがなんかもう行動変容につながったもん。あれで半年間ギャーギャー言われてやんなかったClaude Code入れたもん。
しぶちょーさんは、作業の瞬間を見るのもいいが、体系的にまとめた発表でも同じ効果は得られると言い、ライトニングトークでまかなえると考えました。
そこから「参加者全員にLTを1つ持ってきてもらう」という案が生まれます。テーマを3つほど決め、持ち時間などの最低限のルールだけ設けて、あとは自由に発表してもらう形です。
しょぼいんですけどとか言いながらさ。もうそれが大事じゃん、一歩がさ。
ただし、10人が5分ずつ話すだけで1時間かかります。人数が増えると全員の発表は難しくなるという課題が残りました。
予選をビデオポッドキャストに。ツッコミ役は二人
時間の制約への答えとして、かねりんさんが提案したのが「予選」です。現地で発表する人を選ぶ前に、参加希望者全員とリモートで一度発表会をする案で、しぶちょーさんはさらに、その予選自体をビデオポッドキャストとして配信してはどうかと広げました。
しぶちょーさんは、ほかのポッドキャストではあまり見たことのない、面白いリスナーとの交流の仕方になるといいます。一方でかねりんさんは、みんなに前で一言ずつでも話してほしいと言い、1分枠や10分枠など時間の長さを選べる形も検討されました。
発表への関わり方として、二人がこだわったのはツッコミです。ただし二人がツッコミ始めると時間内に終わらないため、「3分話して2分ツッコむ」ような質疑の時間を設ける案に落ち着きました。
一年で君たちどんぐらい落ち着いたかちょっと見せてみなさいよと。
しぶちょーさんは、普段は番組から受け取っているリスナーに、今回は「こっちにインプットをくれ」というコンセプトがいいと話します。二人がリスナーになり、みんながMCになる「MC交代回」のようなイメージです。
かねりんさんは、献立をAIに作ってもらって家事が楽になった、というようなありふれた話でもいいと付け加えました。しぶちょーさんは、変わったという話を聞くとモチベーションが上がり、それが2年目につながると言います。会場は段差のないフラットな空間がいいとして、コワーキングスペースなども候補に挙がりました。
来た人にとってのリターンは何か。「来たら成功」の設計
かねりんさんは、成功の条件をどう置くかをしぶちょーさんに問います。リアルで飛び回っていないかねりんさんにとって、外に出てイベントに行くのはハードルが高く、行った分のリターンがないと思うからイベントが嫌いなのだそうです。
行った分のリターンがないと思ってるから、俺イベント嫌いなの、やっぱり。
しぶちょーさんの答えは「来たら成功」でした。発表の準備をして会場に来るまでの過程で、すでに行動が起きているからです。
場に立つっていうことをやってもらう。で、その場があるからこそ、なんかやっ-今まで実はやってなかったことをやってみようっていう形になると思うし。
しぶちょーさんは、そういう場を提供できること自体がリターンになると考えています。それをいかにハードル低く、面白く、やる気になるように設計するかが二人の責任であり、おちつきAIらしさを出す部分だと話しました。
人数のイメージは、全員に発表してもらうならマックス30人ほどに修正されました。しぶちょーさんによれば、AGILabの忘年会やポッドキャストミキサー2.0で常時会場にいた人数もそのくらいだったといいます。
イベントを3か月で立ち上げる大変さを前年に学んだしぶちょーさんは、まず会場を押さえる必要があると言います。かねりんさんはコミュニティにスレッドを立て、メンバーに手伝ってもらう考えです。
アクキー一本勝負からの脱却。ぬいぐるみ、目覚まし、落ち着き鉛筆
グッズについて、しぶちょーさんのハードルは低めです。以前のポッドキャストウィークエンドにアクリルキーホルダーだけで挑んだ反省から、それ以外のグッズが出れば成功だと話します。
ぬいぐるみを欲しがる声があった一方、マグネットはアクキーと同じジャンルだと却下されました。オリジナルのハードウェアは量産できないため、既存のプロダクトを使う方向で考えます。
かねりんさんが挙げた、二人の声で起きられる目覚まし時計には、しぶちょーさんが「キモい」と反応します。それでも、ポッドキャスト好きには声フェチの人が多いという点で二人は一致しました。
しぶちょーさんは、在庫を持たずに作れるSUZURI ── デザインを登録すると、注文ごとにTシャツやマグカップなどを製造・発送してくれるオリジナルグッズ作成サービス。在庫を抱えずに販売できますから始めることを勧めます。
AIを使うときに使うグッズという切り口では、マイクやイヤホンが挙がりました。そこでかねりんさんが出したのが、逆の発想の案です。
たまにはフィジカルに文字書こうよ。
AIから少し離れて落ち着く「落ち着き鉛筆」やノートとペンに、しぶちょーさんも乗り気です。以前考えていたお茶は割高になるため、湯呑みやタンブラーのほうが現実的だという話になりました。
「AIを使っていません」を売りにしない。名言Tシャツの誕生
かねりんさんはデザインでいつも詰まるといいます。以前しぶちょーさんに勧められてChatGPTで試したものの、うまくいかなかったそうです。しぶちょーさんは、参考になるデザインを画像で入れて構図を寄せるなど、マルチモーダルを使うべきだと助言しました。
しぶちょーさん自身のSUZURIのグッズは、実はすべてデザイナーに依頼したものです。こだわりではなく、たまたまそうなっただけだといいます。
我々がさ、そのなんかAIを使ってないことを売りにするのは違うなっていうのがすごいあるから。
しぶちょーさんは、「化学調味料不使用」のように「AI不使用」を売りにする風潮が苦手だと話します。かねりんさんは、AIを使ったかどうかをあえて明かさないのも面白いと提案しました。
方向性を変えたのは、イベントTシャツは日常使いできるおしゃれなものより、振り切ったほうがいいというしぶちょーさんの考えです。かねりんさんは、前にしぶちょーさん、後ろにかねりんさんの顔写真が大きく入ったTシャツを提案します。
そこから、ビデオの印象的なシーンを切り出し、セリフと一緒に載せる「名言Tシャツ」の案が生まれました。SUZURIなら最低ロットもないので、たくさん出しておいて、欲しい人が欲しいシーンを買えばいいという結論です。かねりんさんは早速SUZURIのアカウントを作ることになりました。
ZOOMでいいのでは?現地でしか生まれないもの
かねりんさんは、現地ならではの体験価値をつけたいと話します。しぶちょーさんは、二人も話すターンをゼロにはせず、かねりんさんがClaude Codeの使い方を教えるような講座もありうると言いました。かねりんさんはすでに人に教えていて、「めっちゃ助かります」と言われているそうです。
あなたもこのポッドキャストの一部なんです。
日常的に聞いている番組は右から左に流れがちなので、イベントはリスナーに「自分もこの番組の一部だ」と自覚してもらう時間にしたい、というのがしぶちょーさんの考えです。
会場探しについては、AIに調べさせることはできても、値段や空き時間までは正確に出てこないとしぶちょーさんは言います。東京は相場が高いので、知り合いのつてをたどるほうがいいという点で二人は一致しました。
移動費も会場費もかかるなら、ZOOMでいいのではないか。かねりんさんのこの問いに、しぶちょーさんははっきりと答えます。
やっぱ熱、熱量なんだよな、なんか現地って。その雰囲気とか、その人が持ってるその喋り方の機微とか、本当に思いみたいなものって、なかなかやっぱZOOMになると伝わらないというか。
話している人と聞いている人の1対1の双方向。熱量が削ぎ落とされ、タイミングのロスや聞き漏らしもある
隣の人に話しかけられる360度の場。偶発的なつながりや、特定の人にだけ話しかける機会が生まれる
かねりんさんはこれを「セレンディピティ ── 思いがけない偶然から、価値ある出会いや発見を得ること」と言い換えました。しぶちょーさんは、ウェブ登壇は広がらないが、リアルは必ず何かにつながってきたと話します。
行く直前はめんどくさい。それでもリアルに行き続ける理由
かねりんさんは、外に出て人と話すのは1〜2か月に1回ほどで、自分にとっては一大イベントだといいます。対してしぶちょーさんは、その週も明日、明後日、明々後日と人と話す予定が詰まっていました。
意外なことに、イベント好きのしぶちょーさんも、行く前はめんどくさいと感じているそうです。
わかる?友達と遊びに行く瞬、その一瞬の、なんだろう、一時間前とかにドタキャンしたくなる気持ち。
で行くとめっちゃ楽しいね。行ってよかったと思う。
しぶちょーさんにとって、知っている人のいないVoicyの周年イベントも、行く瞬間はめんどくさいものでした。それでも実際に出会いがあり、年に1回しか会わない人とも話の続きができるといいます。
しぶちょーさんは、めんどくさいという壁を越えた先に、また行きたくなるほどの「行ってよかった」があると話します。登壇というミッションがあるイベントならなおさら腰は重くなりますが、そういうイベントのほうがいいと考えています。
かねりんさんは、AI系のイベントで開発者とピースして写真に写る人を見て、何がしたいのかと思っていたと明かしました。しぶちょーさんは、生で質問できることや、ほかの人の質疑を聞けることに価値があると返します。
しぶちょーさんは、誰とでも会えばいいわけではなく、会いたい人がいるなら会いに行けばいいと言います。二人は、リアルでの収録もしたいという話になりますが、東京駅近辺の公園は人が暮らしていて収録に向かないとしぶちょーさんは笑いました。
アニメで号泣するかねりんさん。鎧をまとう「防御S」の性格
イベントでは「泣きたい」と言い出したのは、かねりんさんでした。最近アニメを見て泣いたという話に、映画で泣いたことがないというしぶちょーさんは驚きます。
俺結構泣くんすよ。
俺さ、映画とか見て泣いたことない。
かねりんさんが号泣したのは、ヴァイオレット・エヴァーガーデン ── 京都アニメーションが制作したアニメ作品。手紙の代筆を仕事にする少女の物語で、感動作として知られていますです。周りから見るように勧められ、見て号泣したといいます。
しぶちょーさんは、かねりんさんが「作り物ですわ」と言っていそうだと思っていたので意外だったと話します。かねりんさん自身は、繊細な心を鎧でガチガチに固めているのかもしれないと自己分析しました。
かねりんさんは、自分は「防御スキルがS、攻撃スキルがSSS」だと言います。ゼロイチで思いつきを形にする突破力がある一方で、リスクが一気に見えてしまい、すべて潰さないと気が済まないそうです。
本当はトリプルSの攻撃で行きたいけど、防御スキル高い人ってあんまいないから。
経営者仲間からは、人格の切り分けなどにリソースを取られすぎて本来のパフォーマンスが出ていない、統合すれば楽になると指摘されたそうです。かねりんさんは「バレてる」と受け止めていました。
カネリンモードという「戦闘服」。ビデオに映る負荷と慣れ
しぶちょーさんは、かねりんさんがビデオに映るときは決まった服を着て帽子をかぶり、「カネリンモード」になることに気づいていました。これまで、音声だけの深掘り回に切り替わるときは上着を脱いでいたそうです。
だからそれはちょっと疲れるんだよね。カネリンの戦闘服で出てくみたいな。
かねりんさんは人目がとても気になるといいます。会話中も「ちゃんと聞いている顔をしなきゃ」と考えてしまい、会話に集中できないほどです。外に出るのもビデオに映るのも、カネリンモードで出ていかなければならない負荷がかかりますが、しぶちょーさんのおかげでビデオには慣れてきたと話します。
かねりんさんは、スーツを脱いだらただのおっさんになるという思いから、キャラが染み込むまで同じ服を着続けているといいます。一度出したら元に戻れない「不可逆のこと」ができないのは、サンクコスト ── すでに支払って取り戻せない費用や労力のこと。それを惜しんで判断が偏ることをサンクコストバイアスと呼びますのせいかもしれないとも話しました。
かねりんさんは約2年前まで名前も過去も出していませんでしたが、出してからはだいぶ楽になったそうです。年齢などは今も非公開で、初対面で聞かれて断ると拒絶のように受け取られるという葛藤も明かしました。
かねり何歳だったんだろうって思いながら死にたい。
しぶちょーさんは、個人情報を知らなくても人となりは理解できるとわかったと言い、無理に明かさなくていいとかねりんさんに伝えました。
本名の一部が入った「カネリン」と、紛らわしい「しぶちょー」
しぶちょーさんがずっと気になっていたのは、これだけ情報を隠しているのに、なぜハンドルネームに名字の一部が入っているのかという点です。かねりんさんの答えは、最初はこんなに大きくなると思っていなかった、というものでした。
最初キャラ作る時ってこんなに大きくなるとか思ってないのよ。
フォロワーゼロで始めた配信が伸びてから、あわてて後追いで情報を消していったそうです。名前は後から変えられないので、無防備な最初の考えがずっと残るとかねりんさんは話します。
しぶちょーさんも同じで、小学校から使っているハンドルネームに理由はないといいます。職場では本物の支部長がいるので、「支部長さん」と呼ばれると反応してしまい、紛らわしいそうです。
話は商標登録にも及びました。しぶちょーさんは、特許のように広く権利を取る知財戦略には弁理士のノウハウが必要だとしたうえで、商標くらいならAIに聞けばできそうだと話しています。
映画で泣いたことがない。しぶちょーさんが涙を流した2回
脱線に気づいた二人は、「イベントで泣きたい」という話に戻ります。かねりんさんの鎧をみんなで脱がすことを一つのテーマにしよう、としぶちょーさんが提案しました。
対照的に、しぶちょーさんは人当たりがいいのに、よく「意外と冷たい」と言われるそうです。映画で泣くのは何に対する涙なのか、と首をかしげるしぶちょーさんに、かねりんさんは感情移入ではないかと答えます。
しぶちょーさんが自然に涙を流したのは、中学の中体連の最後の試合のあと、厳しかった先生にほめられたときだけだといいます。それ以来、目をつついたとき以外は涙を流していないかもしれないそうです。
揺れは動いてるよ。
心は動いていても、涙腺にまでは届かないというのがしぶちょーさんの感覚です。喜びへの共感は強いものの、悲しみや感動の感情は「まだ赤ちゃん」だと表現しました。映画やドラマもほとんど見ず、見るのは車が好きだからという「イニシャルD」くらいです。
アニメやドラマで号泣し、毎月のように泣く。10年後を想像しただけで涙ぐむ
映画で泣いたことがなく、喜びへの共感は強いが、悲しみや感動では泣かない
10年後に抱き合って泣けるか。出役として見つけた自信
かねりんさんは、10年後に番組が大きくなっている姿を想像しただけで涙が出てくると言います。しぶちょーさんは、10年やれば感動するだろうが、やる前の想像では感動できないと返しました。
その予想できないからさ、その十年ってさ、今んとこその推論できないから。
「AIみたいなこと言うなよ」とかねりんさんがツッコみ、この会話は番組を振り返る話へと進みます。かねりんさんは、このおちつきAIでできなかったことは他でもできないと思うほど、番組を大事にしていると話しました。
しぶちょーさんも、ひとりでポッドキャストを続けて壁を感じていたところ、おちつきAIでは「支部長」というキャラクターに自分を乗せられるようになったと言います。リスナーからも、これまでと雰囲気が違うと言われるそうです。
やっぱね、こうかねりんに素を引き出してもらってるというか、なんかここだったら出しても大丈夫だなっていう。
かねりんさんは、最近ようやく「自分が出役として出て、リアルタイムのトークをサバイブすることが自分の価値だ」と自信を持てたと話します。同じ時期に始めたほかの対談番組の中で、うまくいって残っているのはこの番組だけだったからです。
サウンド・アーキテクトのAvivさんに、素人を二人集めても面白くならない、面白いのは「かねりんマジック」だと自覚しろと言われたことも転機でした。今では、自分が出る番組しか作らないと決めているそうです。
好きなもの出してきてください。そこに俺生でぶっ込みますみたいな。
二人の役割分担は、AIのコンテンツをしぶちょーさんに任せ、かねりんさんが受け手として引き出すという形です。打ち合わせもほぼせず、生の対話に価値があると二人は話しました。
本田宗一郎でうるっと。「楽しいだけ」の2年目では成長がない?
しぶちょーさんは、喜怒哀楽のうち怒りも悲しみも出さず、感情は「喜び」と「エロ」の2パターンくらいだと笑います。それでも最近、1度だけうるっとしたことを思い出しました。
それはポッドキャストで、本田宗一郎の死後に友人でソニー創業者の井深大さんが書いた『わが友 本田宗一郎』を朗読したときです。本田宗一郎が大好きなしぶちょーさんは、急に饒舌になりました。
それはね、いい本だから映画化してほしいけど、それが映画化したらちょっともしかしたらうるっとするかもしれない。
かねりんさんは、部活も3年間を費やした先の涙だったことに注目し、苦労して我慢して頑張った先なら泣けるのかもしれないと考えます。楽しいだけではいけないのかもしれない、というのがかねりんさんの見立てです。
しぶちょーさんは、G検定の受験会のプレゼン準備が自分の負荷になると答えます。かねりんさんは、毎日楽しく話しておしまいでは成長がないとして、番組のマイルストーンを置きたいと提案しました。
候補にはフォロワー数、再生回数、ランキング、お便りの数、リアルイベントで何人泣かせるかなどが挙がりました。しぶちょーさんは、お便りの数は優しさでカバーされてしまうと懸念しますが、かねりんさんは、目標にしなければ呼びかけもしないので来ない、と返しています。
物語に入り込めない理由。サピエンス全史と「物語化批判」
かねりんさんは、目標をチームで一緒に乗り越えていく物語が大事だと考えています。一方でしぶちょーさんは、本はよく読むものの実用書ばかりで、物語はあまり読まないそうです。
朝井リョウさんの『イン・ザ・メガチャーチ』については、しぶちょーさんも70%ほど読み進めていて、共感できると話します。かねりんさんは、課題映画『母性』を10人ほどで見て語り合う会を開く予定だと明かしました。
かねりんさんは、ユヴァル・ノア・ハラリさんのサピエンス全史 ── 人類の歴史を、虚構や物語を共有する力という視点から描いた世界的ベストセラーを引き合いに出します。小柄で非力なホモ・サピエンスが生き残ったのは、物語を紡いで教訓を伝える力があったからだ、という話です。
物語を紡ぐ力
ホモ・サピエンスは物語で教訓を後世に伝え、生き残った
物語への熱狂
今も人はアイドルなどの物語に自分を投影して熱狂する
番組の物語
二人とリスナーが一緒に乗り越えていく物語がなければ、大きな番組にはならない
物語ですよ、この番組は。
しぶちょーさんは、自分の物語は紡いでいる気がするが、人の物語には入り込めないと言います。さらに、最近『物語化批判の哲学』という本を読んだばかりで、物語を否定するモードに入っているのかもしれないと明かしました。
「何者かになりたいは呪いだ」という内容の本で、少し思想は強めだが悪くなかったそうです。かねりんさんは『イン・ザ・メガチャーチ』で中和しておいてと返し、正反対の二人の対話はここで一区切りとなりました。
AIの話だけでは届かなかった部分。脱線し放題の回の締め
しぶちょーさんは、1年やってきて知らなかったお互いのパーソナルな部分が見えたと振り返ります。いつもはAIをテーマに話しているので、その先にいる本人にまでは届いていなかったというのです。
やっぱそのAIの話してるばっかりじゃダメだね。
エンディングでかねりんさんは、コミュニティでの記録も「物語の一部」だと話し、しぶちょーさんが泣ける物語を作ろうと呼びかけます。しぶちょーさんは、AIに「僕が泣ける部分を教えて」と聞いてしまいそうだと笑いました。
収録は2時間半、深夜3時近くに及びました。二人は、10月3日のイベントの募集やアンケートについて、お便りフォームで意見を集め、次回以降の冒頭で2〜3週間ほど呼びかけていくことを確認して収録を終えています。
まとめ
おちつきAIラジオの1周年記念イベントは、二人が話を聞かせる公開収録ではなく、リスナーが自分の変化を持ち寄って発表し、二人がツッコむ場として構想が固まりました。後半は、涙もろいかねりんさんと泣かないしぶちょーさんという正反対の素顔が見え、番組を「物語」として育てていく2年目の課題も浮かび上がっています。
- 10月3日(土)13〜17時、東京で1周年記念の単独イベントを開く予定で、G検定の結果が出たあとのオフ会も兼ねる
- イベントの中心はリスナー全員参加型のライトニングトークで、番組内での予選をビデオポッドキャスト化する案も出た
- 人数は指標にせず30人規模の濃い交流を重視し、準備して会場に来ること自体を行動変容として「来たら成功」とした
- グッズはSUZURIを使い、番組の名シーンを切り出した名言Tシャツや落ち着き鉛筆などを検討している
- 楽しいだけでは成長がないとして、2年目は共通のマイルストーンを置き、二人とリスナーで乗り越える物語をつくることが課題になった





