今年最後の速報回、トピックは「地味」でいい?
「おちつきAIラジオ」の2025年最後の配信は、収録日が2025年12月29日深夜の速報回です。通常の深掘り回とは別に、最新のAIトレンドをスピーディーに紹介する枠として位置づけられています。
しぶちょーさんとかねりんさんは、番組が無事に年を越せることをまず喜び合います。かねりんさんは「何も確約された未来なんてない」と返し、1年続けられたことへの実感をにじませています。
今週のニュースについて、しぶちょーさんは「ぶっちゃけそんなにない」と切り出します。前年の年末はOpenAIの発表が相次いだものの、今年は目立つ発表がなく、地味なトピックが4つあるという説明です。
なんだかんだ(トピックが4つも)あるじゃん。
いや、一個一個ちっちゃいのよ。
しぶちょーさんは、4本のニュースを軽く紹介したあとに今年の反省会をしようと提案します。速報回は、ニュースと雑談の両方を含む構成で進んでいきます。
NotebookLMが表形式に対応、何が変わる?
1本目は、GoogleのNotebookLM ── Googleが提供するAIリサーチツール。ユーザーが登録した資料(ソース)をもとに、要約や質問への回答、音声解説などを生成しますが表形式の出力に対応したというニュースです。しぶちょーさん自身、紹介しながら「超マニアック」と笑っています。
しぶちょーさんの説明では、NotebookLMは大量のテキストやデータを入れて独自のデータソースを作り、その中を検索しながらAIに回答させられるツールです。これまでもポッドキャストの自動生成やプレゼン資料の作成ができましたが、今回スプレッドシート形式の表を作れるようになりました。
かねりんさんは「スプシ作れなかったの?逆に」と意外そうに反応します。しぶちょーさんによると、新機能は入れたソースを整理して自動で表を作るもので、ユーザーが細かく指示するというより、少しだけ指示を添えられる程度だといいます。
対象はまずProとUltraのユーザーで、数週間かけて全ユーザーに展開すると記事に書かれている、としぶちょーさんは紹介しています。
画面を開いたかねりんさんは、右側のボタンがいつの間にか増えていることに気づき、並んでいる機能を読み上げます。
しぶちょーさんは、データソースをたくさん入れるツールだからこそ表でまとめたいという需要がある、と新機能の狙いを読み解きます。ただし、どこまで正確にまとめてくれるかは「ちょっと定かではない」とも付け加えています。
かねりんさんは、NotebookLMの中のモデルがGemini 3 Proなのかを尋ねます。しぶちょーさんは「おそらくそうだとは思う」としつつ、NotebookLM用にチューニングしたものの可能性や、Flashを併用している可能性にも触れました。
同じ質問をGeminiとNotebookLMの両方に投げると、似ているのに微妙に違う答えが返ってくる、というのがかねりんさんの実感です。しぶちょーさんは、NotebookLMは大量のデータを読みに行っているので内部処理は同じではないはずだ、と答えています。
NotebookLMは基本的にネット検索をしませんが、ネット検索の結果をソースとして追加する機能はあります。しぶちょーさんは、入れたソースに対して回答するという点がこのツールの大きな特徴だと強調しました。
ソース300個に「機械工学便覧」を丸ごと入れたら?
かねりんさんが、NotebookLMにソースを300個も入れて本当に動くのかと尋ねると、しぶちょーさんは上限が300になった瞬間に試したと答えます。
あのね、あるのよ。(NotebookLMに)入れたいやつが。
しぶちょーさんが入れたのは、6000ページほどある『機械工学便覧』です。紙で全巻そろえると自宅の本棚が埋まるほどの分量ですが、1万円でPDF版が出ていて、以前に購入していたといいます。
全部をNotebookLMに入れたところ、ソースの数はちょうど300になりました。ファイルが細かく分かれていたためで、1ソースに入るサイズまでPDFを結合すれば300にはならなかったはずだ、としぶちょーさんは補足しています。
機械のことを調べたかったりする時に、そいつ(NotebookLM)に聞けば大体ちゃんと機械工学便覧の内容を元に引っ張ってきてくれる。
しぶちょーさんは、下手な技術ブログから情報を取るより「全然正確」だと評価します。かねりんさんは「百科事典的に使える感じ」と受け止めました。
元刑事のかねりんさんは、この使い方は警察の現場にも使えると毎回思う、と話します。しぶちょーさんも、回答の根拠となるソースが示され、元データを自分で確認できる点を利点に挙げています。
かねりんさんは、判例の全データを入れれば、現場で少ない知識のまま判断するより十分役立つのではと続けます。しぶちょーさんが刑事ドラマの資料室のような場面を例に出すと、かねりんさんは、警察の資料は基本が紙で、データ化はこれからという段階だったと振り返りました。
ソース数の上限がさらに増えるかという問いには、しぶちょーさんは「300あれば十分じゃない?」と答えます。1ソースに入る容量も大きいので、その最大量を300個分持っている個人はほとんどいないだろう、という見立てです。
生成AIでネットが汚れたら、何を信じればいい?
機械工学便覧の話から、しぶちょーさんはネット上のブログ情報が「超汚染されてる」という問題に話を広げます。数を打つために質の低い技術ブログが量産されている、というのがしぶちょーさんの実感です。
何調べてもさ、ああ出た出た、生成AIのアウトプットですかみたいな。これだったら自分でChatGPTに聞くぜみたいなものがめっちゃ出てくる。
そのため、しぶちょーさんは信頼できるデータを見たいときに、手元の本や自分が持っているデータに頼るようになったといいます。NotebookLMはそうした場面で「すげえ輝く」と最近よく感じているそうです。
かねりんさんが「信頼できるのは本みたいになってくんだ」と返すと、しぶちょーさんは本に加えて「その人が言っている情報なら信用できる」という人物にひもづく情報を挙げます。文章のコンテンツがあふれた結果、信頼できる人を見つけて追うことが大事になっている、という指摘です。
かねりんさんが「信頼される情報源になってよ」と振ると、しぶちょーさんは二人でそこを目指そうと返します。かねりんさんの方向性として挙がったのは、最近の口癖でもある「言語化ハラスメント」でした。
言語化ハラスメントだね。来年の目標は。
ハラスメントを目標に掲げる人初めて見たかもしれないな。
かねりんさんは「ハラスメントっていうのはそちら側の言い分」とおどけ、しぶちょーさんは「言語化は大事だと思います」とまとめて、1本目のニュースを締めくくりました。
5時間の音声、文字起こしツールは自作できる?
かねりんさんは、NotebookLMに5時間ほどの音声を入れたら文字起こしできるのかと追加で質問します。今のところ5時間規模だとMANUS ── タスクを自律的に実行するAIエージェントサービス。調査や資料作成などを任せられ、利用量に応じてポイントを消費する仕組みですしか手段がない、というのがかねりんさんの悩みです。
しぶちょーさんは、NotebookLMで5時間は無理ではないかと答え、MANUSならできてもポイントを大量に消費するだろうと話します。そのうえで提案したのが、バイブコーディング ── AIに自然言語で指示を出しながら、雰囲気(vibe)でプログラムを作っていく開発スタイル。コードを細かく書けなくてもツールを作れるとされますで文字起こしツールを自作することでした。
何それ。何そんなことできる。そんなことできるの?
しぶちょーさんが挙げたのは、無料で使える文字起こしツールのWhisperです。OpenAIが出したものだとしぶちょーさんは記憶していて、「間違ったらごめん」と断りを入れています。
しぶちょーさんによれば、自分のパソコンのGPUを使ってローカル環境で動かせば、料金をかけずに文字起こしができる可能性があります。かねりんさんのMacBook Proなら動くのではないか、という見立てです。
細部が崩れた文字起こしでも、原稿としてNotebookLMなどに入れて正しく書き換えてもらえばよい、というのがしぶちょーさんの考えです。
かねりんさんは、しぶちょーさんに作ってもらうと「永久に素人AIになっちゃう」ので、年末年始に自分で作るから手ほどきしてほしいと頼みます。ただ、しぶちょーさんは話しながら、環境構築が必要かもしれないと気づき、Google Colabなら無料でいけるかもしれない、と一度持ち帰りました。
最終的に二人は「文字起こしツールを作るの巻」を番組のネタにしようと決めます。しぶちょーさんは、毎週2回配信しているのでネタはいくらあってもいい、と前向きです。
ChatGPT Atlasの脆弱性、「完全に解決されない」は危険信号?
2本目は、OpenAIがChatGPT Atlasのインジェクション対策について説明し、「完全に解決されることはまずない」と述べたというITmediaの記事です。ChatGPT Atlasは、OpenAIが出したAI搭載ブラウザです。
しぶちょーさんは、プロンプトインジェクション ── AIへの入力に悪意ある指示を紛れ込ませ、本来の設定を無視させて情報漏えいや不正な操作を引き起こす攻撃手法ですを「注入されて個人情報を吐き出しちゃうような攻撃」と説明します。かねりんさんは即座に「アウトじゃん」と反応しました。
しぶちょーさんは、記事のタイトルの付け方がよくないと考えています。プロンプトインジェクション対策はAtlasに限らず完全には解決できないもので、ハッキング対策と同じく、攻撃と防御の「いたちごっこ」だからです。
じゃあしょうもない煽り記事のタイトルつけてんだこいつ。
しぶちょーさんによると、記事で紹介されているのは、OpenAIが12月22日に示したAtlasのプロンプトインジェクション対策です。攻撃は巧妙に進化し続けるので完全な解決はまずないとしたうえで、さまざまな対策を講じているといいます。
その対策の一つが、仮想の攻撃者を作り、強化学習 ── 試行錯誤の結果に報酬を与えることで、AIがより良い行動を学んでいく機械学習の手法ですで自ら攻撃し自ら守るループを回し、セキュリティを高めていく方法です。ユーザー側の対策としては、必要がなければログアウトすることなどが挙げられています。
しぶちょーさんは、通常のブラウザなら勝手に個人情報を出すことはないが、AIを搭載していると自律的に情報を出してしまう攻撃があり得る、とAIブラウザ特有のリスクを説明します。AIのハルシネーションがなくならないのと同じく、プロンプトインジェクションとも戦い続けることになる、という見方です。
かねりんさんが「ユーザーの承認ボタンを押さないとダメにすればいいのでは」と提案すると、しぶちょーさんは、承認ボタンを出さずにパスワードだけ教えてくれという攻撃が入り、AIがそれに反応してしまうのがインジェクションだと答えます。
しぶちょーさんによれば、AIのセキュリティ対策は基本的に入り口と出口の2か所でブロックする仕組みです。
入り口で検知
入力されたプロンプトが攻撃を意図していないかをチェックしてブロックする
出口で検知
AIが出そうとしている内容に個人情報などが含まれていないかをチェックして止める
両方を突破
2つのブロックの両方を抜けられると、情報が出てしまう
攻撃用のプロンプトも、AIとやり取りしながら試行を重ねて攻撃力を高めていくものだといいます。守る側も同じように対策を重ねるため、しぶちょーさんは「本当にいたちごっこ」と表現しました。
ほぼほぼ結構高いセキュリティは保ってるとは思うんだけどね。1個脆弱性が見つかると、多分どんどん抜かれるよみたいな。
AIブラウザ戦線、OpenAIとGoogleの勝負はどうなる?
かねりんさんは「AIブラウザはもう尻すぼみじゃないの?」と問いかけます。しぶちょーさんの答えは、Googleが本格参入してきたら終わりだと思う、というものでした。
しぶちょーさんの読みでは、OpenAIがインジェクション対策の正解を見つければ論文として公開するはずです。そうなればGoogleがその知見を取り込み、自社のブラウザに搭載して「これでいいね」となってしまう、という筋書きです。
OpenAIもそれは分かっているはずで、どうするのか。しぶちょーさんは、今回のニュースには含まれていないと断ったうえで、ChatGPTの検索に広告を表示させるという話があったことに触れます。
しぶちょーさんが考えるもう一つの道は、ブラウザ機能は諦め、ChatGPT上の検索に広告を出してマネタイズするパターンです。実質的に検索エンジンとしてGoogleと同じ土俵に立つ、という見方になります。
Atlasについては「とりあえずやってみた」段階で、本気でどこまで作り込むかは定かではない、としぶちょーさんは見ています。AIブラウザは出るたびに触るものではなく、落ち着いて見ていてよい、というのが二人の結論です。
一方でしぶちょーさんは、話題作りのために新しいAIブラウザをがっつり使うAI系インフルエンサーも大事だと話します。そうした人たちの使用感から、どんなものかを理解できるからです。かねりんさんは「犠牲になってもらって、賢く落ち着いていきましょう」と締めました。
同じ質問を2回入力すると精度が上がる、は本当?
3本目は、SNSで話題になった論文の紹介です。LLMに質問するとき、同じ質問を2回続けて入力するだけで回答精度が上がるという発見が報告されました。SNSでは「大事なことは二度言いましょう」という形で広まっていたといいます。
しぶちょーさんは、Xで話題になるときはキャッチーな部分しか伝わらず、重要な部分が抜け落ちていると注意を促します。論文そのものをLLMに入れて訳してもらうなど、原典を確認するのがよいという立場です。
しぶちょーさんが挙げた最も重要な前提は、この研究が推論能力を持たないLLMに限定されていることです。シンキングモードではなく、すぐに答えを返すタイプのモデルが対象になっています。
テストに使われたモデルは、Gemini 2.0 Flash、GPT-4o、Claude 3 Haiku、Claude 3.7 Sonnet、DeepSeek V3と、どれも少し前のものです。かねりんさんが「昔じゃん」と言うと、しぶちょーさんも、今の5.2世代の非推論モデルで同じ結果が出るかは「正直わからん」と答えています。
それでも論文では劇的な改善が報告されています。しぶちょーさんが紹介した数字は、Gemini 2.0 Flashでの結果です。
質問1回の入力: 回答精度21%
同じ質問を2回入力: 回答精度97%
しぶちょーさんは、API料金が安いという理由で古い軽量モデルをシステムに組み込むケースもあるので、そうした場面では使えるテクニックかもしれないと話します。
効く理由について、しぶちょーさんは、2回聞かれることで推論モデルと似た動きが起きるらしいと説明します。一度答えたものについてもう一度聞かれるので、擬似的な再確認のプロセスが生まれ、重要な情報に改めて注意が向くという仕組みです。
最初からシンキング回しゃいいじゃん。
しぶちょーさんも「まあそう」と認めつつ、2回入力はシンキングより回答が速いという利点があると話します。推論モデルで2回繰り返しても、もともと精度が高いので98点を99点にする程度で、コストや時間に見合わない可能性があるといいます。
しぶちょーさんのまとめでは、この論文は、プロンプトを2回繰り返すだけで応答速度を落とさずにLLMを賢くするという、実用的でコストパフォーマンスの高いテクニックの紹介です。論文と呼べるのか分からないほど短いテクニック紹介だ、とも話しています。
問題は、「推論能力を持たない」という前提がSNSで省略されていることです。今のChatGPTに同じことを2回入力すればすごくいい回答が来る、という驚き方は間違った驚きだ、としぶちょーさんは指摘しました。
お茶とコーヒーで「驚いていいか」を判定する新ルール
論文の話を受けて、かねりんさんは「驚いたやつ全部引用リツイートしていってよ」と言います。ただ、特定の人への攻撃には興味がなく、正しい情報を知りたいだけだ、とも付け加えました。
そこでかねりんさんが思いついたのが、角が立たないよう2種類の絵文字を決めて「驚いていい投稿かどうか」を示すアイデアです。例として挙がったのがお茶とコーヒーでした。
なんかリスナーさんわかるじゃん、それで。ホッと、ホッとするじゃん。
話し合いの中で、コーヒーは「ちょっと苦い」注意が必要な投稿、お茶は安心して読んでいい投稿という意味に整理されていきます。
注意が必要な投稿。次の速報回などで解説する候補になる
そのまま読んでいい、安心な投稿
参加方法は、X上で気になった投稿のリプライ欄に、番組公式アカウントへのメンションと「#おちつきAI」のハッシュタグを付けるだけです。二人が見に行き、引用ポストで判定を返します。メンションを基本にし、あとで検索で拾えるようタグもあるとよい、という形に落ち着きました。
かねりんさんは、投稿者本人への攻撃的な引用リツイートではなく、リプ欄にそっと付けてもらう形がいいと話します。しぶちょーさんも、「この人がこんなことを言っていた」と晒すような巻き込み事故はやめたいと同意しています。
しぶちょーさんは、リスナーが宣伝しなければいけないという負担を背負わずに番組を広めてもらえる、お互いにwin-winの仕組みだと評価します。AI関連の投稿におちつきAIのリプライが付いていれば、それを見て番組を知る人もいるかもしれません。
発明してしまいました、年末に。
36歳の誕生日と、速報回・深掘り回の二本立て
新ルールで盛り上がった直後、日付が変わってしぶちょーさんの誕生日だった12月29日が終わります。しぶちょーさんは、ルールが生まれた瞬間はまだ誕生日だったはずだとして、36歳の誕生日プレゼントとして受け取ったと喜びました。
かねりんさんは、ポッドキャストの相方と誕生日を迎えるのは「エモい」と話し、毎週会うたびにしぶちょーさんが可愛く見えてきたと冗談めかします。しぶちょーさんも、毎回かねりんさんからどんなリアクションを引き出そうかワクワクしていると返しました。
かねりんさんは、自分は速報回のほうがテンションが高いと自己分析します。深掘り回はしぶちょーさんが用意した台本というレールがあり、雑談の余地が少ない一方で、速報回はフリートークの要素があり、発明が生まれる余地があるからです。
確かにな。大事だよな、この二本立てね。
かねりんさんは、始めたばかりの時期は勢いでいろいろ手を広げ、1か月ほどで息切れすることがよくあると話します。そのうえで、速報回を始めてもちゃんと続いていることに驚いています。
しぶちょーさんは、続けられた理由として二人の努力に加え、毎週5〜6個のトピックが出てくるAI業界の「異常さ」を挙げました。新ルールは概要欄の一番上に書いておくことになり、しぶちょーさんは毎週火曜日に「お焚き上げ」をすると笑っています。
政府のAI投資1兆円、どこに流れていく?
4本目は、1週間以上前のニュースとして紹介された、政府がAIに1兆円を投資する方針です。基盤モデルの国産化とフィジカルAI ── ロボットや機械など、現実の物理世界で動作するAIの総称。センサーで状況を捉え、実際に体を動かして作業を行いますの実装を目指す内容だといいます。
しぶちょーさんの説明では、首相がAIを政府の中にも取り入れていくとし、そのために国産LLMの開発を強化すること、そしてトレンドワードでもあるフィジカルAIに力を入れることを宣言しました。フィジカルAIは今後番組でも取り上げる予定だそうです。
かねりんさんは「僕らの番組にも投資してもらえないのかね」と冗談を飛ばします。しぶちょーさんはメディア枠はないだろうとしながらも、1兆円はさまざまな補助金の形で降りてくるはずだと見ています。
しぶちょーさんは、自分たちが使えるかどうかは別として、国がどんなことをサポートしようとしているのかは追っていきたいと話します。お金の流れを見て、中抜きがあれば騒ぐべきだという話にもなり、そうした投稿もコーヒーマークの対象になりそうです。
しぶちょーさんは、この投資が国産LLMやフィジカルAIの分野で多くの活動を後押しすると見ています。来年は、驚いている人がいたら落ち着いてもらう、という番組の役割を果たしていきたいと話しました。
これ大丈夫?驚いていいの?っていうね。その人が感じる苦味みたいなもんだよね。
Spotifyのおすすめから届いたリスナーの声
4本のニュースを終え、後半は「おちつきAI反省会」として、#おちつきAIのタグが付いたXのコメントを紹介するフリートークに移ります。
12月27日のコメントには、「私がAIについてまさに落ち着いていない頃に、Spotifyのおすすめで番組を知りました」「しぶちょーさんの実際に使ったレビューなどを聞けて本当にためになります」と書かれていました。
かねりんさんは、Spotifyのおすすめに番組が出てくることに驚きます。二人ともアナリティクスをあまり見ていないため、おすすめ経由で番組を知った人は意外と多いかもしれない、としぶちょーさんは話しています。
しぶちょーさんは、こうした流入を戦略的に増やしたいと話し、その一つが先ほどのX作戦だと位置づけます。効果測定なら施策を1つずつ試すほうがよいものの、並行していろいろ走らせていきたいという考えです。
次に紹介されたのは、以前の「おすすめAI書籍5選」の回へのコメントです。書籍『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』や、アンドロイドを普及させると失業者が増えるという漫画を見て、自分のFAの仕事の存在意義に悩んだ、という内容でした。
そのコメントは、回の最後のかねりんさんの叫びに共感したとも書いていました。かねりんさんが話した「ひらめきや人間らしさ、外れ値であれ」というメッセージです。
AIに「AとBどっち?」と聞いた瞬間、何が起きる?
かねりんさんの「人間らしさ」の話を受け、しぶちょーさんは、自分の番組でも話した、ある本の内容を紹介します。AIに判断を任せるのはかなり危ない、という指摘です。
しぶちょーさんが挙げた例は、AとBで迷っていて、自分はBがいいと思いつつAIに聞いてみる場面です。そこでAIが「Aがいい」と答えると、人はAを選ばざるを得なくなるといいます。
本に書かれていたのは、2つの心理的なバイアスが重なるという説明でした。
AIに聞く
自分はBがいいと思いつつ、AIに判断を求める
損失のバイアス
自分を信じてうまくいった場合より、AIの判断に逆らって損した場合のほうが心理的に重い
責任転嫁のバイアス
AIが選んで失敗すれば「AIだから仕方ない」と思えるが、自分で選んで失敗すると強く後悔する
AIに引っ張られる
AIの一票が2〜3票分の重さを持ち、逃れられなくなる
AIにどっちがいいかなって聞いた時点で、もう自分で判断できなくなっちゃうっていう。
しぶちょーさんはさらに、そもそも自分で決められる人はAIに聞かないので、AIに聞こうと思った時点ですでに取り込まれている、とも話します。かねりんさんはこれを「トリプルパンチ」と表現しました。
では聞いてはいけないのか。しぶちょーさんの答えは、聞いてはいけないわけではないが、AIの一票は一票以上の重さがあるという視点を持っておくべきだ、というものです。
かねりんさんは「一応聞いとくか」となってしまうのが普通だと率直に話します。しぶちょーさんも、AIに反対されて怖気づいた経験があると明かし、それこそが罠だと認めました。
しぶちょーさんは、判断の確度を上げたいときはGemini、ChatGPT、Claudeの3つに同じ質問をするといいます。ところが3つともBと答えると、もう逃れようがなく、実際にBに取り込まれたこともあるそうです。
そのさ、タバコのパッケージにめちゃめちゃ害がありますって書いてあるようなのと一緒でさ。反対が正しいことも十分ありえます的な。
答えではなくヒントをもらう「死亡前死因分析」とは?
AIに判断を任せないための使い方として、しぶちょーさんが紹介したのが、自分がよく使っているという死亡前死因分析 ── プレモータム分析とも呼ばれる手法。計画を始める前に「失敗した」と仮定し、その原因を洗い出して事前に対策を立てますです。
しぶちょーさんの説明では、新しいチャレンジを始める前に、最悪の失敗をするとしたら何か、その原因は何かを考えます。最悪のシナリオから逆算して、そうならないように取り組みのストーリーを組み立てる、昔からある考え方だといいます。
本来この手法は有識者を集めたミーティングで行うものですが、AIにさまざまな人を演じさせれば擬似的にできる、としぶちょーさんは話します。「死亡前死因分析」という言葉を使わなくても、上の手順どおりに頼むだけでよいそうです。
今からやる判断に対してネガティブなことを指して、どうすればいいかっていうのを自分で判断するっていうヒントをもらってるだけだから。
AかBかで迷う場面なら、Aを選んで後悔する内容と、Bを選んで後悔する内容を書き出してもらい、それを見て自分で決めるという使い方もできる、としぶちょーさんは提案しています。
かねりんさんは、しぶちょーさんが自分の問いに対して「ちゃんと回答を持ってきてる」と感心します。しぶちょーさんも、事前に用意していたわけではなく話しているうちにつながったと話し、二人は「雑談いいね」とうなずき合いました。
「速報回なのに1時間半」の声と、国産LLMへの応援
コメント紹介の続きで、しぶちょーさんは12月23日の前回速報回への「速報回なのに相変わらず脱線で約1時間半」という声を読み上げます。ほかにも「全部聞いた。長いけど面白いので時間を感じさせません」という感想が届いていました。
しぶちょーさんは、自分でも番組を全部聞き直すと明かし、時間をかけて作っている深掘り回より速報回のほうが面白いと感じることがあって「すげえ悔しい」と話します。
俺はすごい時間をかけて深掘り回を作っているんだけど。
かねりんさんは、自然なラリーの良さがあるのではと分析します。しぶちょーさんは、深掘り回は情報が多くないと深掘りにならないので難しいとしながらも、作り方を見直してバランスを取っていきたいと話しました。
次のコメントは国産LLMについてでした。「耳にしつつもどこか他人事だった国産LLM」を気にかけるきっかけになり、関連団体をXでフォローしつつ話題にすること自体が応援になる気がしている、という内容です。
しぶちょーさんは、ChatGPTの新機能だけでなく、日本の取り組みを取り上げることが大事だと受け止めます。政府の1兆円投資もあり、来年は「我が国回」が多くなりそうだとも話しました。
最後に紹介されたのは、しぶちょーさんが「ナノバナナ」を「ナドバナナ」と発音しているのが気になる、というコメントです。鼻の調子が悪かった時期ではないかと言いながら挑戦したものの、途中でまた「ナドバナナ」になり、かねりんさんがリスナーにジャッジを委ねる一幕もありました。
分割キーボードとHHKB、どっちが正解?
AIとはまったく関係ない話として、しぶちょーさんはかねりんさんに分割キーボードを買ったかを尋ねます。かねりんさんは買っておらず、けんすうさんに勧められるほど抵抗したくなると笑います。
しぶちょーさんは、自分は分割キーボードを買ったものの、届くのは3月だと明かします。以前も分割キーボードを使っていて、今はHHKB ── Happy Hacking Keyboardの略。PFUが販売するコンパクトな高級キーボードで、静電容量無接点方式の打鍵感で知られますに戻しているそうです。しかも無刻印の真っ白なモデルです。
しぶちょーさんがキーボードにこだわる背景には、HHKBの関係者が語ったという「キーボードは鞍である」という言葉があります。
どちらも道具で、必ず寿命が来て去っていくもの
どちらも道具との接点(インターフェース)。体に合ったものを使い続けることが大事
しぶちょーさんの説明では、カウボーイは馬が死んでも鞍だけは自分のものを使い続けます。同じようにパソコンが替わっても、接点であるキーボードは自分の体に合ったものにこだわるべきだ、という考え方です。
40%キーボードから自作の分割へ、体が汎用性を失った話
しぶちょーさんは、HHKBでキーボードの大事さを知り、どこでも同じキーボードを使いたいと考えるようになったと、これまでの遍歴を語ります。
40%キーボードは数字キーもないほど小さく、しぶちょーさんはノートパソコンの上に置いてまで使っていました。ただ小さいぶん肩がキュッとすぼまり、プレーリードッグのような姿勢で疲れるといいます。
そこでしぶちょーさんは、肩幅の位置に手を置ける分割キーボードにたどり着きます。当時は40%の分割を売っている店が見つからず、自作キーボードのキットを買って自分でハンダ付けしました。
ところが自作キーボードは寿命が短く、しばらく使ううちに壊れてしまいます。そこでしぶちょーさんは、記号や数字の配置を自分専用にしすぎていたことに気づきました。
俺はあのキーボードでしかキーを打てない体になってしまったと。慣れすぎて分割に。
アルファベットの並びは同じでも、プログラミングでよく使う括弧などの記号をすべて打ちやすい位置に移していたため、ノートパソコンのキーボードもうまく打てなくなったそうです。かねりんさんは、動画編集ソフトのショートカットを極めたような状態だと例えました。
しぶちょーさんは、なるべく汎用的で打ち心地のよいものを使うのが無難だと考え、HHKBに戻ったといいます。それでも無線で完成品の分割キーボードが出たことで、「もう買うしかない」とまた分割に戻ってきました。
かねりんさんが「タイピング速度が1.5倍になるの?」と聞くと、しぶちょーさんは「ならないよ」と即答します。メリットは長時間のタイピングで疲れないことと、左右の間にものを置けるスペースが生まれることだと説明しました。
持ち歩くか、ノートパソコンで完結するか
かねりんさんは、小学生の頃にパソコンを始め、当時流行していたハの字型のエルゴノミクスキーボードを使っていたと振り返ります。しぶちょーさんは、それでもいいが大きいのが難点だと答えました。
かねりんさんは刑事時代、時間との勝負なので職場にもマイキーボードを持ち込んでいたといいます。FILCOの茶軸のフルサイズを何台もそろえ、家でも職場でも同じ環境にしていたそうです。
刑事時代: FILCOの茶軸のフルサイズを複数台そろえ、家と職場で同じ環境にする
現在: 出勤がなく、ノートパソコンだけ持ってふらっと出かけるため、外付けキーボードはお蔵入り
しぶちょーさんは、どちらも「どっちを取るか」の問題だと話します。持ち歩くスタイルでは、キーボードを忘れると仕事ができなくなるからです。実際、会社のデスクトップ用にキーボードを持っていくのを忘れ、先輩に借りたことがあるそうです。
かねりんさんは、極端な方向に振るとデメリットもあると指摘しつつ、分割キーボードを1か月ほど試してみたいと話します。しぶちょーさんは自分の分割キーボードを貸すと申し出ました。
けんすうさんが分割キーボードを強く推していることについて、かねりんさんが「コーヒーマークつけるぞ」とからかうと、しぶちょーさんは自分ならすぐにお茶マークを出せると応じます。AIガジェットの回も来年やりたい、という話でこの脱線は終わりました。
来年の抱負はReplitでバイブコーディング
収録が1時間を超えたところで、しぶちょーさんは、かねりんさんのバイブコーディング回もやりたいと話を戻します。かねりんさんは、何か作りたいと言うだけで終わっている状態だと認めています。
しぶちょーさんが候補に挙げたのはReplit ── ブラウザ上でプログラムを書き、実行・公開までできる開発環境。AIによるコード生成機能も備えていますです。以前会った、Replitの本を書いた佐藤さんの本を買ったので、冬休み中に触ってみるつもりだといいます。
しぶちょーさんが挙げた利点は、ブラウザで動くこと、もともとプログラミング学習用のツールなので中身が見えること、デプロイもできることです。無料部分もあるものの、本格的に使うには課金が必要で、それはどのツールでも同じだと話しています。
Manusよりはちょっとなんかプログラミックだけど良さそうな感じはするから、ちょっと使ってみようかなって思って。
番組の最後には、深掘り回が1月2日の金曜日に配信されること、次の収録は1月5日であることが告げられます。かねりんさんが一瞬「2日に収録するのか」と勘違いする掛け合いもあり、2025年最後の配信は和やかに終わりました。
まとめ
今回の速報回は、地味なニュース4本を落ち着いて読み解きながら、雑談からリスナー参加型の新ルールやAIとの付き合い方のヒントが生まれた回でした。
- NotebookLMは表形式の出力に対応し、しぶちょーさんは信頼できる本や資料をソースとして入れる使い方を勧めています
- ChatGPT Atlasの「完全に解決されない」は、プロンプトインジェクション対策がいたちごっこであることを示すもので、AIブラウザには特有のリスクがあります
- 「同じ質問を2回入力すると精度が上がる」論文は、推論能力を持たない古いモデルに限った話で、SNSではその前提が抜け落ちていました
- 気になるX投稿にメンションと#おちつきAIを付けると、二人がお茶(安心)かコーヒー(注意)で判定する新ルールが始まります
- AIに二択の判断を求めると引っ張られやすいため、死亡前死因分析のように自分で判断するためのヒントをもらう使い方が提案されました





