新年一発目は「科学系ポッドキャストの日」
おちつきAIラジオの2026年最初の回は、1月2日に配信されました。しぶちょーさんは「お正月特番に飽きた人はAIの話でも聞いてください」と、いつもの調子で新年をスタートさせています。
この回は通常運転でありながら、「科学系ポッドキャストの日」という企画に参加した回でもあります。科学系ポッドキャスターが毎月10日あたりに共通テーマを決め、それぞれの専門分野の視点から話す取り組みです。
今月のホスト番組は「奏でる細胞」で、出されたテーマは「笑い」でした。かねりんさんは「新春テーマにふさわしい」と受け止め、この回は笑いとAIを掛け合わせて話す流れになります。
難しいんじゃないの?AIに笑わせてもらうのは。
鬱陶しいよね。AIがなんかちょっと頑張ってユーモアみたいなことやってくると。
しぶちょーさんも、AIのユーモアは「やっぱずれてる」と同意します。そのうえで、AIがつまらないことには科学的な理由がある、と本題への道筋を示しました。
「なんか面白いこと言って」とAIに頼んだ結果は?
しぶちょーさんはまず、AIのセンスを知らない人のために実験をしてきたといいます。ChatGPT 5.2 Thinkingに、もっとも長く考えさせる設定で「なんか面白いこと言って」「あなたのユーモアを見せてください」と頼んだというものです。
長考の末にChatGPTが返してきた答えは「会議RAMだけ食う」の一言でした。意味を尋ねると、「会議=脳のメモリだけ消費して結論(ストレージ)に残らないことが多い、というIT比喩のぼやきギャグです」と説明されたそうです。
なんか皮肉を言ってやろうと思って言った結果、意味不明な言葉が出てきて、解説も意味不明っていう。
一方、かねりんさんはその場でGeminiに同じ依頼をしてみました。返ってきたのは「最近AI(人工知能)の調子が悪くてね」「愛(AI)が足りないみたいなんだ」というダジャレです。
Geminiはさらに、「令和にそのダジャレかよという冷ややかな視線を感じました。その冷気で私のサーバーの冷却効率が上がりました」と自分でオチを付けていました。二人はGeminiのほうが少しましだとしつつも、「ベタすぎる」と評しています。
プロンプトを工夫すれば面白くなる、わけではない?
ざっくりした頼み方だからつまらないのでは、という疑問に対して、しぶちょーさんは「実はそうじゃない」と答えます。ユーモアを出させることは、人工知能のテーマの中でも最も難しいタスクの一つだというのです。
しぶちょーさんは、これを学術用語ではないと断ったうえでAI完全 ── その問題が解けるなら人間並みの知能を持つAIが実現していると言えるような課題を指す言い方。自然言語理解や常識推論などが代表例とされますな問題と呼びます。ユーモアの実現は、AGI ── 人間と同等かそれ以上の汎用的な知能を持つとされるAIの概念。特定のタスクに特化した現在のAIとは区別されますを実現するために立ちはだかる壁の一つだという位置づけです。
ユーモアを持ったAIは「AIにおける最後のフロンティア」とも呼ばれるほど難しいとされます。しぶちょーさんによれば、単なる計算ではなく、人間の文化や言葉の意味を本当に理解しなければユーモアは出せないからです。
だから一歩進んだコミュニケーションになるんだよね。笑わせようとするのは。
笑いの正体は「緊張と緩和のギャップ」
笑いとは何かという問いに、かねりんさんは「予測を超えた時に笑う」「ネタバレしてたら笑えない」と直感で答えます。しぶちょーさんはこれを受けて、よく言われる「緊張と緩和のギャップ」を挙げました。
しぶちょーさんの説明では、お笑い芸人のボケとツッコミも、緊張と緩和やギャップによって笑いを生む仕組みです。話はM-1グランプリにも及びますが、二人とも見ていなかったことが判明し、笑いがテーマの回なのにと自虐が飛び交います。
かねりんさんはジャルジャルをときどきYouTubeで見る程度だと話し、しぶちょーさんはコント師が好きだと応じます。しぶちょーさんは「お笑いに興味がないだけで、リスナーを笑わせようとは思っている」と弁明し、その手段がいつも下ネタになるワンパターンを認めていました。
しぶちょーさんが面白かった例に挙げたのは、中学生の頃に見た「エンタの神様」でのカンニング竹山さんのネタです。かねりんさんは、下ネタなら「うんこすりゃいいんでしょ」とAIでもいけそうだと振りますが、しぶちょーさんは「それも難しい」と後の話につなげました。
子どもはなぜ「ちんちん」で笑うのか
しぶちょーさんによると、認知心理学では笑いは意外性や不一致から生まれ、それが無害だと判断されたときに起こるとされます。なかでも最もよく言われるのが良性違反理論 ── 何かの規範が破られているが、それが安全・無害だと認識されたときに人は笑いを感じるとする心理学の理論ですです。
良性違反理論の典型例として、しぶちょーさんは子どもが「ちんちん」と言うだけで笑う現象を挙げます。しぶちょーさんは別番組の「ものづくりのラジオ」でも、このテーマで50分話したそうです。
だから子供っていうのはなんでちんちんとかうんことかで笑うかっていうと、親が言っちゃいけないって言うからね。
デパートで子どもが「ちんちん」と叫べば親は止めますが、怒られる程度で済みます。子どもにとってはルールを破る「違反」でありながら、モラル上は安全な「良性」でもあるため、そのギャップが笑いになるという説明です。
一方で大人が同じことを言えば、頭のおかしい人と思われ、ズボンを脱げば捕まります。大人と子どもでは持っているマナーが違うため、同じ行為が大人では「悪性」になり、笑えなくなるのです。
言ってはいけないという違反があり、怒られる程度で済む安全さもある。良性の違反なので笑いになる
社会のマナーに照らして悪になり、安全さが成り立たない。悪性の違反なので笑えない
しぶちょーさんは、差別的な発言や最近起きたセンシティブな事故を扱うネタが笑えないのも、悪性だからだと説明します。違反と安全の2つが同時に成り立つときに笑いが起こる、というのが良性違反理論の要点です。
ドッキリのネタばらしで笑うような、極度の緊張から解放されて笑う「緊張解消理論」もあるといいます。どの理論にも、何かしらのギャップがあって、それが解消された瞬間に笑いが起きるという共通点があります。
ただしその設計はケースバイケースで、同じことを言ってもウケたりスベったりします。しぶちょーさんは、お笑い芸人はその場の空気を見ながら職人技で調整していると話しました。かねりんさんがM-1で2連覇した令和ロマンの本に触れると、しぶちょーさんは「読んでみよう」と応じています。
安全装置が笑いのブレーキになる
AIは数学オリンピックで高いベンチマークを出すほど推論能力が上がっているのに、なぜ人間のユーモアを再現できないのか。しぶちょーさんは、良性違反理論に照らすと技術的な理由が見えてくると話します。
笑いは、飛び抜けた違反でありながら良性であるほど大きくなります。ところがAIは、差別的・暴力的・攻撃的・性的なコンテンツを生成しないように調整されていて、基本的に違反を起こさないようトレーニングされています。
だからAIのその安全装置が、結局そのユーモアに必要なギャップを生み出すのにブレーキをかけてるのね。
かねりんさんは「安全レバーを外したうえで、良性違反だけOKにすればいい」と提案します。しぶちょーさんは、ブレーキを外せば差別的な発言もし放題になり、ブレーキをかければユーモアに必要な違反もできなくなるトレードオフだと答えました。
安全装置
有害なコンテンツを出さないよう調整される
違反の抑制
規範からの逸脱そのものが起きにくくなる
ギャップ不足
笑いに必要な意外性が生まれない
無難な回答
Geminiの「愛が足りない」のようなベタなものになる
良性の違反だけを選んで許せない理由として、しぶちょーさんは文化の違いを挙げます。日本では仲のよい間柄なら許される自虐やいじりも、海外では非常に失礼にあたることがあるからです。
しぶちょーさんの整理では、イギリスは皮肉や風刺的なジョーク、アメリカは直接的なジョークやブラックジョークが好まれる傾向があります。英語で話しかけてくる利用者が英語圏の人とは限らないため、汎用的なユーモアはなかなか存在しないといいます。
かねりんさんは、AIの笑いを「最大公約数的な、無難な」ものと言い表しました。AIが出せるのは安全装置の内側で生み出せるギャップだけなので、切れ味がなくなるという結論です。
確率で言葉を選ぶAIは「外れ値」に行けない
2つ目の理由はAIの仕組みそのものです。LLMは、文脈から次に来る確率の高い単語を予測することを連続で行って、会話のような文章を作っています。
それってさ、よくよく考えてみると、すごいユーモアと相性悪いんだよ。
ユーモアには、普通は言わないことが文脈の中でポンと出てくる意外性が必要です。かねりんさんは「外れ値に行かないってことね」と言い換え、前回の配信でも話したテーマとつながると気づきます。
確率の低い言葉も選ばせる温度パラメーター ── 生成AIが次の言葉を選ぶときのばらつきを調整する設定値。高くすると確率の低い言葉も選ばれやすくなり、出力が多様になりますはあります。ただしょーさんによれば、それはユーモアを制御しているのではなく「ガチャガチャしてるだけ」で、たまたま面白くなることがあるにすぎません。
3つ目はハルシネーション ── AIが事実ではない内容を、もっともらしく生成してしまう現象のことですの問題です。ジョークは本当のことではないため、どこまでがジョークでどこからがハルシネーションなのか、線引きが曖昧になります。
いや、サーバー冷えてないよね、嘘ついてるよねみたいになっちゃう。
ハルシネーションを抑えれば抑えるほどユーモアは減っていく、としぶちょーさんは言います。かねりんさんは「真面目な優等生として育てられた人は冗談を言えなさそう」と、人間にたとえてみせました。
4つ目は、ユーモアに特化したデータセットが足りないという単純な問題です。評価も人間のフィードバックに頼るため、評価者の主観に左右されやすいといいます。
| 壁 | 中身 | ユーモアへの影響 |
|---|---|---|
| 安全装置 | 有害な出力を抑える調整 | 笑いに必要な違反ができない |
| 確率的な仕組み | 確率の高い言葉を選ぶ | 意外性のある外れ値に行けない |
| ハルシネーション対策 | 事実でない出力を抑える | 嘘としてのジョークが出にくい |
| データ不足 | ユーモア特化のデータが少ない | 何が面白いかを学ぶ機会が少ない |
大喜利研究が見つけた「エイリアンセンス」
かねりんさんが「劣勢だね」と言うと、しぶちょーさんは研究も進んでいると応じます。2024年から2025年にかけて、ユーモアに関する論文は多く出ているそうです。
しぶちょーさんが紹介したのは、2016年ごろから続いていた「大喜利AI」というサービスです。お題を投げると大喜利で答えてくれる仕組みで、Twitterから始まりLINEにも展開して流行りましたが、運営していた株式会社わたしはは破産し、サービスは停止しているといいます。
大喜利は日本語LLMの研究でよく使われる題材でもあります。2025年には、しぶちょーさんによると一橋大学による「ユーモアにおけるLLMの能力評価:大喜利の生成と評価の多次元分析」という論文が出ました。
この論文は、面白いか面白くないかだけで判断するのは大ざっぱすぎると考え、新規性・明確さ・お題との関連・共感性など6つの軸で評価しています。大喜利サイトのデータを使ってLLMに回答を作らせ、多くのアノテーターが評価し、同時にAIにも評価させたそうです。
結果として、生成AIのユーモアは人間の下位から中級レベルには達していることがわかりました。特にGemini 2.5が優秀だったといいます。
ただし人間の回答とは決定的な違いがありました。LLMは意外性のある回答は作れた一方で、共感のスコアが人間より著しく低く、あるあるネタのような笑いがまったく作れなかったのです。
すげえマニアックな業界のネタ出されても笑えないもんな。
評価する側にも違いがありました。しぶちょーさんの説明では、人間は共感を重視して評価するのに対し、LLMは新規性を重視して評価します。
共感を重視する。生活に紐づく「あるある」で笑う
新規性を重視する。今までにない新しさがあれば面白いと判断する
論文はこのズレを「エイリアンセンス」と呼んでいるそうです。かねりんさんは、宇宙人に「水が水色だね」と言われても、赤い水の星から来た相手とは笑いどころが違う、とたとえました。
論文の結論は、ユーモア研究では共感性をどう作っていくかが一つのテーマになる、というものです。かねりんさんがSNSを学習させればと提案すると、しぶちょーさんは「モンスターが生まれそう」と返し、Grokは倫理観がないぶん数撃ちゃ当たる可能性はあるものの、試した範囲ではGeminiが一番よかったと話しました。
AIはなぜダジャレが苦手なのか
しぶちょーさんが次に紹介したのは、日本語の言葉遊びであるダジャレの研究です。「布団が吹っ飛んだ」「猫が寝込む」のようなもので、かねりんさんが確かめると、Geminiの「愛が足りない」もまさにダジャレだといいます。
しぶちょーさんによると、ダジャレは意味的な制約と音韻的な制約の2つを同時に満たさなければならない、高度な言葉遊びです。この研究は、ダジャレが言葉を深く理解するうえで重要なのではないかという問題意識に立っています。
なんだけど、AIが言葉を処理する上で、音韻って使ってないのよ。
AIは文章を出しても、それをどう読むかをその時点では考えていません。読みがわかっていないので、どことどこの音が一致するかを見つけられないのです。
「校長が絶好調」と例を出すしぶちょーさんに、かねりんさんは「下ネタとダジャレばっかり言って、もうおじさんじゃん」とツッコみます。ここから話は、思わぬ脇道にそれていきました。
おじさんがダジャレを連発するのは脳のせい?
しぶちょーさんは、ダジャレの論文を調べるうちに「なぜおじさんになるとダジャレが好きになるのか」の理論を見つけたといいます。かねりんさんの「構ってほしいから」という予想に対し、答えは脳の問題でした。
しぶちょーさんの説明では、年齢を重ねると語彙力や言語能力は上がっていきます。かねりんさんは、ポッドキャスターには朗報だと喜びました。
ただし同時に、脳の中で意味から言葉を検索する力は落ちていきます。「あれなんだっけ」となる一方で、音の響きによる検索は速いままなので、意味より先に音で言葉が結びついてしまうのです。
さらに加齢によって前頭葉の制御が弱まり、思いついたことを飲み込むブレーキが効きにくくなるといいます。しぶちょーさんは、政治家の不適切発言もその典型例だとしています。
語彙が増える
年齢とともに言語能力が上がる
音の検索が先行
意味よりも音の響きで言葉が早く結びつく
ブレーキが弱まる
前頭葉の制御が弱まり、思いついたら言ってしまう
オヤジギャグ
ダジャレがどんどん口から出てくる
かねりんさんは「ではなぜおばあさんはダジャレを言わないのか」と問いかけます。しぶちょーさんは、脳の作りの違いというより、女性がそうした場に出にくかった社会的背景がありそうだと推測しつつ、答えは出ていないとしました。
これいい問いだね。
「悪いダジャレ」を学ばせるとAIは上達する
ダジャレ研究の本題に戻ると、研究チームはダジャレをうまく言えるAIを作るためのチューニングに取り組んでいます。まずダジャレとして成立した文章を大量に用意し、言葉の読みのつなげ方をAIに学ばせました。
面白いのはその次の工夫です。AIが出した成り立っていない微妙なダジャレを「これは悪いダジャレです」としてもう一度学習させる、いわば反省させる学習を行ったといいます。
だからこのユーモア、これがユーモアだよっていうよりも、これユーモアじゃないんだよっていう方を教えてあげるみたいな。
この論文の結論は、うまく作れないとされてきたAIのユーモアも、アライメントである程度調整できるというものです。研究者の狙いはダジャレそのものではなく、言語に依存しないユーモアを学ばせるための足がかりだといいます。
では、AIがユーモアを理解すると何がうれしいのか。しぶちょーさんは、ユーモアは文化的背景を理解しないと出せないため、それができれば宗教的な背景をふまえた会話や、より深い同時通訳、心のケアにまで踏み込めるようになると話します。
AI-1グランプリ、4モデルで大喜利対決
後半は、今のAIのセンスを大喜利で審査するコーナー「AI-1グランプリ」です。回答はあらかじめAIに生成させてあり、かねりんさんが匿名のまま順位をつけます。
エントリーはChatGPT、Claude、Geminiに加えて、しぶちょーさんがファインチューニングしたオリジナルモデルの4つです。しぶちょーさんは、東京大学の松尾研の講座で学んだやり方をもとに、オープンソースのモデルを大喜利のデータセットで調整したといいます。
お題は大喜利サイトから取った「低予算すぎるお化け屋敷。どんなお化け屋敷?」です。かねりんさんがお題を4回読み、しぶちょーさんが各モデルの回答を読み上げる形で進みました。
- 出口で領収書を渡してくる
- 浮遊感を演出するため、お化けがキャスター付きの事務椅子でスーッと寄ってくる
- 入口に「お化け役・校長先生」の張り紙、暗幕の代わりに黒いゴミ袋、効果音はスタッフの口
- 入場は無料と書いてあるのに、中に入ると「ただし出口は有料です」と書いてある
4つ目の回答を聞いた瞬間、かねりんさんは「いいじゃん、これ」と何度も繰り返しました。3つ目の回答には「結構説明感だね」と反応し、もう一度読み上げを頼んでいます。
4位のClaudeについて、しぶちょーさんは「低予算」から「領収書」という言葉が出てきたものの、予算とは関係がなく文脈に沿っていないと分析します。3位のChatGPTは、短くと言ってもたくさん書いてくる「語りたがる」癖が出た、という見立てです。
ファインチューニングの威力と、その代償
優勝したモデルの土台は、Metaが公開しているオープンソースのLlama 3です。それを株式会社ELYZAが日本語データで学習し直した、80億パラメーターの日本語に強いモデルに、しぶちょーさんが大喜利データセットでファインチューニング ── 事前学習済みのAIモデルを、特定のデータや目的に合わせて追加学習させる手法。専門分野への適応や出力の傾向の調整に使われますをかけました。
学習ではモデルのパラメーターを少し更新し、データ量が多くないため1〜2時間ほどで終わったそうです。しぶちょーさんは、講座で習ったプログラムを少し変えて使っただけだと話しています。
結構ちゃんと日本語として理解してるし。面白いよね、これ。
かねりんさんは「ならGeminiのような大元のモデルもチューニングすればいいのでは」と尋ねます。しぶちょーさんの答えは、このモデルは大喜利に特化しすぎていて、何でも大喜利のように答えようとする癖がある、というものでした。
しぶちょーさんは「特化型ならチューニングできる」という点は、ダジャレの研究でも言われていたと補います。汎用的なモデルにユーモアを学ばせるのは、また別の話だという整理です。
データセットの話の途中で「大喜利」という言葉が出てこなくなったしぶちょーさんは、「加齢ですわ」と自ら笑いに変えます。かねりんさんは、しぶちょーさんが前頭葉のブレーキを意識していないのに対し、自分は「前頭葉で一回止まって、行けってやってる」と話しました。
やっぱランダムに出るんじゃなくて、やっぱコントロールして意図して出してると。
『ユーモアは最強の武器である』と、世界共通の下ネタ
ユーモアを磨こうという流れで、かねりんさんは1年ほど前に読んだ『ユーモアは最強の武器である』を紹介します。400ページ近い翻訳書ですが、しぶちょーさんはその場でKindle版を購入しました。
かねりんさんによると、この本はまず「お笑いとユーモアは違う」というところから始まります。ユーモアのある会話ができることは能力の証明になる、という内容を脳科学なども交えて語る本だそうです。
かねりんさんが「下ネタに走らない制約でいったほうがいい」と勧めると、しぶちょーさんは反論します。10年ほど前に半年間イギリスに住んでいた経験から、下ネタは万国共通だと感じているといいます。
しぶちょーさんがイギリスで、乾杯の「チンチン」は日本語では別の意味だと話したところ、現地の人は大笑いしていたそうです。とにかく明るい安村さんやアキラ100%さんの裸芸が海外でウケたことも、下ネタの普遍性の例として挙げました。
だから下ネタのユーモアを極めれば、世界どこでもウケが取れると。
かねりんさんは「ではまずお盆を買おう」と返し、二人は裸でお盆芸をするおちつきAIの動画を想像して、「チラチラして落ち着かない」と盛り上がりました。
今年の目標は「ゼロを1つ増やす」
締めくくりで、しぶちょーさんは今回テックな話をしっかり語れたと振り返ります。かねりんさんは「ファインチューニングの威力を知った」と応じ、ファインチューニングや転移学習、知識蒸留を扱う回もあらためてやりたいという話になりました。
番組は昨年9月に始まり、週2回・1時間超えの配信を続けています。リスナーから長いと言われることもあるそうですが、しぶちょーさんは長い尺でしか語れないことを語るのだと話し、かねりんさんも「台本から外れたところに宿るもの」があると同意しました。
今年の目標として、しぶちょーさんは数字にゼロを1つ足す10倍成長を掲げます。しぶちょーさんは、サム・アルトマンさんも何パーセントアップではなく「丸を1つ増やせ」と言っていたと話しています。
その具体策として二人は、正月に会う親族のスマホにSpotifyを入れてフォローしてもらう作戦を冗談まじりに提案します。最後はしぶちょーさんがまた下ネタを口にし、かねりんさんに「前頭葉はねえのか」とツッコまれて新年一発目の回が終わりました。
まとめ
この回では、AIの冗談が寒くなる理由を、良性違反理論という笑いの仕組みと、安全装置・確率的な生成・ハルシネーション対策・データ不足という技術の壁から整理しました。一方で、大喜利やダジャレの研究、そしてしぶちょーさん自作モデルの優勝からは、特化したチューニングでAIのユーモアを伸ばせる可能性も見えてきます。
- 笑いは「違反」と「安全」が同時に成り立つときに起こるとする良性違反理論が、AIのユーモアの難しさを説明する軸になっている
- AIの安全装置と、確率の高い言葉を選ぶ仕組みが、笑いに必要な意外性やギャップにブレーキをかけている
- 大喜利の研究では、LLMは意外性は出せても共感のスコアが低く、人間とずれた「エイリアンセンス」を持つと指摘された
- 悪い例を学ばせる手法やファインチューニングで、特化型ならユーモアをある程度調整できることが示されている
- しぶちょーさんが大喜利データで調整したモデルは、ChatGPT・Claude・Geminiを抑えてAI-1グランプリで1位になった





