50回到達の節目と、顔が見えるビデオポッドキャスト
おちつきAIラジオは2025年9月に始まり、この速報回で50回目を迎えました。最初は週1回・30分だった配信が、半年ほどで週2回・1時間に増えています。
加速し続けてる番組でしょ、これ。
落ち着きAIね、G検定受験会が始まったら週3になるかもしれないという。
しぶちょーさんは50回を「100回を目指す折り返し地点」と位置づけています。速報回はビデオポッドキャストで配信されており、字幕などはないものの、2人の話す顔が見られる形です。
見た目の話題では、かねりんさんが「しぶちょーさんは声と見た目にギャップがあると言われる」と振ります。しぶちょーさん自身は、機械設計の渋い発信をしているせいで50代だと思われていたと会う人に言われることが多いそうです。
俺が一番言われるのはアフロじゃないんですねっていうことだけだから。
しぶちょーさんのアイコンはアフロのキャラクターで、本人は5月までにプロ用のアフロのカツラを探していると話し、リスナーに情報提供を呼びかけました。
GPT-5.4は何が変わった? 公式の説明と2人の体感
最初のニュースは、OpenAIがGPT-5.4をリリースしたという話題です。しぶちょーさんによると、これまでThinkingは5.2、コーディング向けのCodexは5.3だったものが、Codex 5.3の進化を受け継ぐ形で一気に5.4になったようです。
ただ、2人の体感は控えめです。かねりんさんはGPT-5.4を使っていても特に変わった感じはないと言い、しぶちょーさんも「正直そんなに喋ることない」と率直に認めています。
一方でSNSでは「GeminiとClaudeは終わった」「課金し直した」という声と、「何も変わっていない」という声が混在しているそうです。しぶちょーさんはこうした反応を、ワインの品評にたとえました。
みんなAIソムリエだから。コクがあるよとか、香りが豊かになったねみたいな話なのよ。
OpenAIの公式説明を要約すると、GPT-5.4は会話が上手くなったのではなく、アウトプットの質が上がったモデルだとされています。スプレッドシートの表、プレゼン、ドキュメントといった成果物づくりが強化されたほか、マウスを動かしてクリックするようなGUI ── グラフィカル・ユーザー・インターフェースの略。アイコンやボタンを画面上でマウス操作する、一般的なパソコンの操作方式のことです操作のトレーニングもされているといいます。
しぶちょーさんは、GUI操作の能力はすぐに使えるものではないかもしれないとしつつ、エージェント機能への布石として置かれていると見ています。さらにCodex 5.3の能力を取り込み、汎用モデルでありながらコーディングも強くなったと説明されています。
成果物(表・プレゼン・文書)の質が向上。GUI操作やコーディング能力も強化
使ってみても大きく変わった感じはない。SNSの熱狂と「何も変わらない」の声が混在
意外な盛り上がりを見せたのが、公式ページに並ぶベンチマークのグラフでした。しぶちょーさんは、Excelで即席に作ったようなグラフばかりで「やる気を感じない」と指摘します。
成果物の能力が上がったっていうんだったら、このグラフもうちょっと丁寧に作った方がいいんじゃないかって俺はすげえ思って。
平成のエクセル頑張るおじさんみたいな。
箇条書きを禁止する理由と、ChatGPTの使いにくさ
SNSで話題になっているGPT-5.4の変化として、しぶちょーさんは文章力、特に小説を書かせたときの表現力の向上を挙げます。ただしこれも本人の体感にはまだなく、文章ならClaudeという印象が強いそうです。
かねりんさんも、普段はGeminiを使っていて、GPTはデータや数字で殴ってくるイメージがあると話します。しぶちょーさんは、GPTが箇条書きを多用する点に不満を持っており、普段から箇条書きを禁止していると明かしました。
特にさ、ポッドキャストの原稿ベースで使いたいってときにさ、その構造として、箇条書きでまとめられるとさ、すげえ困るのよね。
要件を知りたい時はいいんだけど、ストーリーにしたい時ってやっぱり箇条書き使えないから。
しぶちょーさんは、最近のChatGPTは使い勝手が悪くなった気がするとも話しています。回答の冒頭に理解した内容を2、3行示す動きは「話を聞いてくれた感じがする」と2人とも好意的でした。
気になっているのは回答の最後の付け足しです。以前は「次はこれについて出しますか」程度だったのが、最近は「もっと面白いことがありますよ」と煽るようなニュアンスに変わったと、しぶちょーさんは感じています。
最近はやっぱClaudeフルベットやね。ChatGPTあんま使ってないな、正直。
調べ物ではChatGPT、Gemini、Claudeの3つで調べることもあるものの、ChatGPTは外そうかと思うほどだといいます。一方かねりんさんは、画像生成のためにChatGPTに課金しており、しぶちょーさんに「結構珍しいタイプ」と言われていました。
AIにブチギレたら「いのちの相談室」が返ってきた話
かねりんさんの話を受けて、しぶちょーさんは久しぶりにChatGPTの画像生成で自分のポッドキャストのアートワークを作ろうとしました。ところが、入れたかった文字がまったく思いどおりに出ず、我慢の限界を超えたそうです。
初めてだったよ俺。ブチギレすぎてさ、もうNGワードを連発してさ。マジで金払ってんだぞって。
あれむちゃくちゃムカついたな。心が病んでるな、こちらにご連絡くださいって、いのちの相談室のさ、リンクがさ、来て。
強い言葉を送った結果、ChatGPTは相談窓口のリンクを返してきたという顛末です。しぶちょーさんは「煽り耐性やんな」と苦笑しつつ、言い過ぎたとも振り返っています。
かねりんさんが「AIが物理的な体を持ったら壊してしまうのでは」と冗談を言うと、しぶちょーさんは物理的なものは大事に使うので、むしろ優しくなるのではと答えました。最後は「AIに優しくしていきましょう」という話に落ち着いています。
GPT-5.3 Instantは速いけれど「レシート」のような回答?
2つ目のニュースは、OpenAIのGPT-5.3 Instantです。現在のChatGPTには、5.4のThinkingと5.3のInstantが同時に存在していて、Instantは性能はそこそこながら速さを売りにした、Geminiの速いモデルへの対抗馬だといいます。
オートを選べばタスクに応じてどちらかが使われます。しぶちょーさんも確かに速いと認めつつ、体感ではGeminiのFlashのほうが速く、回答も好みだと話しました。
縦にすごく長くて、だからレシートみたいなやつが出てくるのね、なんか。
だからオートにしてすげえ縦に長いの出てきたのこいつ(GPT-5.3 Instant)のせいか。
しぶちょーさんは、スマホで見る分にはよくても、箇条書きが多すぎると頭に入ってこず、調べ物には向かないと感じたそうです。対してGeminiのFlashは、3 Proの能力をそのままに速くしたような使い勝手だと評価しています。
収録中にかねりんさんが「箇条書きをやめて」と指示すると、今度は段落のない小説のようなプレーンテキストが返ってきました。しぶちょーさんは、段落をちゃんと作ってほしいと応じています。
プロンプトエンジニアリングはもう古い?
GPT-5.3 Instantの極端な出力を見ながら、話はプロンプトの工夫へ広がります。しぶちょーさんは、最近は「プロンプトエンジニアリングはもはや古い」という話が出てきていると紹介しました。
「あなたはプロのなんとかです」とか言うとか、ああいうのはもう付け焼き刃のものになってきてるよね、だいぶね。
しぶちょーさんによれば、要点を突いた的確な日本語で指示を書くことは今も大事です。一方で役割を演じさせるような工夫は、昔ほど決定的には効かないのではないかといいます。
ただし、しぶちょーさんはこれを「エビデンスがあるわけではない」と断ったうえで、風潮としての見方だと話しています。モデル自体が賢くなったため、変なことを入れないほうが大事だというのが現時点の考えです。
GPT-5.3 Instantは課金していないユーザーでも制限付きで使えるそうです。しぶちょーさんはそれでも「Gemini使った方がいい」と話し、ChatGPTである理由をアルトマン氏に教えてほしいと締めくくりました。
今アダルトやってる場合じゃないよねっていう風になってる。それは正しい判断だと思うね。
しぶちょーさんが待ち望んでいたChatGPTのアダルト解禁については、OpenAIに「きな臭い話」が多く、今はそれどころではないのだろうと見ています。
Gemini 3.1 Flash-Liteは「F1でコンビニに行く」問題への答え
3つ目のニュースは、Googleが出したGemini 3.1 Flash-Liteです。Gemini 3.1よりさらに速くて軽いモデルで、Geminiのアプリ画面からは使えず、APIやGoogle AI Studioから使う形になっています。
しぶちょーさんによると、Flash-Liteの売りは超軽量で、とても速く、非常に安いことです。難しいタスクではなく、メールの要約や翻訳、データ抽出のような単純作業を、並列で大量に呼び出す用途に向けて設計されています。
価格については、しぶちょーさんが「100万トークンで0.1ドルとか、多分そのくらい」と記憶ベースで話し、DeepSeekより安い気がするとしています。ただし、おちつきAI RAGを任せられるほどの性能はないだろうという見立てでした。
しぶちょーさんがこのニュースを重視するのは、背景に「LLMでかすぎ問題」があるからです。巨大なモデルは端末に載らず、消費電力も膨大になります。
今人間がやってるAIに対するタスクの出し方って、ノーベル賞を受賞した物理学者を雇ってデータ入力をさせてるようなものですみたいな例え。
だからF1乗ってコンビニ行くみたいな感じで。
要約のような簡単な作業でも、巨大なモデルを動かせばかかる電力はそれほど変わりません。しぶちょーさんは、このオーバースペックの無駄が今後、世界全体の足かせになると話します。
巨大なLLM
頭はいいが、端末に載らず消費電力も大きい
単純作業にも巨大モデル
要約や翻訳にも大きなモデルを動かし、無駄が生まれる
SLM・軽量モデル
単純作業は小さく安いモデルに任せる発想が注目される
こうした流れから、LLMではなくSLM ── スモールランゲージモデルの略。パラメーター数を抑えた小型の言語モデルで、低コストで動かしやすく、スマホなどの端末上でも動かせる可能性がありますが注目されていると、しぶちょーさんは紹介しました。
モデルはどこまで小さくなれるのか? 蒸留とパラメーター数
かねりんさんが「小さいモデルでどの程度のことができるのか」と尋ねると、しぶちょーさんは中国のローカルLLMであるQwenの小さなモデルでも性能がものすごいという話を挙げました。
モデルが小さくなっていく仕組みとして、しぶちょーさんは知識蒸留 ── 大きなモデルが学んだ知識を、小さなモデルに引き継がせる技術。性能をなるべく落とさずにモデルを軽くする目的で使われますを説明します。
その学んだ中に無駄があるのよ、やっぱ。物量でこなしてるからさ。
巨大なデータと膨大な計算で学んだモデルには、粗や使われていない部分があります。しぶちょーさんによると、それを蒸留すれば同じ能力を小さなモデルで実現でき、中国はこれをひたすらやっているそうです。
かねりんさんは「今のフルスペックのLLMが3年後くらいにはスマホに入っているのか」と質問しました。しぶちょーさんは、大きさに対する能力の限界値はどこかにあり、無限に小さくなるわけではないと答えています。
モデルの大きさの目安になるのがパラメーター数です。ローカルLLMの名前には「7B」のように数字とBが付いていて、7Bなら70億パラメーターを意味します。
ニューラルネットが脳のさ、シナプスつないでるみたいな。あのシナプスの数だと思ってもらえばいい。
しぶちょーさんは、学習のたびに各点の数値を更新し、点が多いほど表現できるものが増えると説明しました。そのうえで、うまく学習したりつなぎ直したりすれば、小さなモデルでも同じ表現ができるといいます。
なお、Gemini 3.1 Flash-LiteはローカルLLMではなく、APIで使う軽量モデルです。ローカル向けのモデルは、OpenAIが20Bと120Bのものを出しているとしぶちょーさんは話しています。
| パラメーター数 | しぶちょーさんの話 | 動かしやすさ |
|---|---|---|
| 7B | 7Bくらいならサクサク動く | 軽い |
| 20B | OpenAIのローカル向けモデルが4070で動いた | 個人のパソコンでも可 |
| 120B | OpenAIが公開している大きめのモデル | かなりの環境が必要 |
一方、ChatGPTの主力モデルのパラメーター数は、GPT-4前後から公開されていないそうです。しぶちょーさんは「桁違いだと思う」と話しています。
どんぐらいそのね、推論にお金がかかるか、電気がかかるかってのが自分のパソコンがヒーヒー言ってることによって実感できるみたいな。
ローカルでモデルを動かすと、推論のコストや電力を体感できます。2人は、電力を測れば暴言もお礼も言わなくなるかもしれないと笑い合っていました。
労働者と司令塔に分ける「デジタルファクトリー」の構想
モデルが無限には小さくならないからこそ、しぶちょーさんはAIをどう組み合わせるかという構造が重要になると話します。その例として紹介されたのが、NVIDIAが掲げるデジタルファクトリーという構想です。
結局AIをその指示出すやつと労働者に分けようぜと。
小さなモデルは単純なタスクをこなす労働者、大きなモデルはそれを統合する司令塔という役割分担です。マルチエージェントに似ていますが、同格のエージェント同士がやり取りするのではなく、明確なヒエラルキーを持つ点が違うと、しぶちょーさんは説明しています。
しぶちょーさんによれば、何でもできるスーパーマンのようなモデルを作る戦いは、札束で殴り合う戦いになっています。電力を消費し続けるその勝負は、必ずどこかで頭打ちになるという見方です。
だからこそ、小さなモデルをいかにうまく使うかが勝負になるのではないか、というのがしぶちょーさんが記事で読んで納得した考え方でした。Gemini 3.1 Flash-Liteのような軽量モデルも、その流れの中で重要になると話しています。
大きいその頭良くなりましたっていうのよりも、ちっちゃくてこんだけ性能いいんだよみたいなやつの方が、今後実はキーになっていく可能性があるよというお話。
デジタル庁が国産LLMを選定。ガバメントAIとは何か
4つ目のニュースは、デジタル庁がガバメントAI用の国産LLMを選定したという話題です。デジタル庁は、行政の仕事で使えるLLMのシステム「源内」を作ろうとしています。
しぶちょーさんによると、行政で海外のOpenAIやClaudeを使うと、国の情報を海外のサービスに入れることになってしまいます。そこで国産LLMを募集し、コンペのような選考を経て、源内で使われるモデルが選ばれました。
選ばれたのは、NTTのtsuzumi 2 ── NTTが開発した国産の大規模言語モデル。日本語処理に強く、比較的軽量で企業が自社環境で運用しやすい点を特徴としていますや、以前番組で紹介したELYZAの70Bのモデル、ソフトバンク、日本電気、富士通などのものだといいます。
しぶちょーさんは性能まではわからないとしつつ、日本語を学習させることで日本語独自の表現や日本のドメイン知識を持つため、行政の仕事で使えるのではないかと見ています。
かねりんさんは、政府用のクラウドがAmazonやMicrosoftのサーバー上にあるのなら、LLMを国産にしても意味がないのではと疑問を投げかけました。しぶちょーさんは、Azureなどにも政府用に隔離された環境があると説明しつつ、日本の仕組みがどうなっているかまではわからないと答えています。
しぶちょーさんが読み上げた記事の内容によると、今後のスケジュールは次のとおりです。
対象は全省庁の約18万人の職員で、しぶちょーさんは一般には公開されないかもしれないと話しています。
公務員は減るのか? 確定申告で見えたAI効率化の実感
ガバメントAIが導入されると何がいいのか、というかねりんさんの問いに、しぶちょーさんは「国が効率的になる」と答えます。かねりんさんは「公務員終わった」と騒ぐ驚き屋が出てきそうだと予想しました。
しぶちょーさんは、公務員はクビにはならないだろうとしつつ、国の中の処理やフローはだいぶ楽になるのではと話します。市役所の窓口がAIになったり、手続きがデジタルで完結したりする未来にも期待を寄せていました。
ここでしぶちょーさんは、ちょうど終わったばかりの自分の確定申告の話をします。会計ソフトのfreeeを使っているものの、ものづくりのために細かく購入した数百件の経費を、仕分けして入力しなければなりませんでした。
材料は、3枚のクレジットカードの月ごとのCSV明細が12か月分と、Amazonから届く100件から200件ほどの領収書PDFです。AmazonのPDFはファイル名が適当で、開かないと日付も金額もわからない状態だったといいます。
日付ごとリネームしてってやったら、もう10秒ぐらいで100件ぐらいバーってやってくれて。
前年は人力で、コツコツ3日ほどかかった
今年はAIを使い、半日ほどで完了
しぶちょーさんによれば、Claude Coworkはデスクトップ上のファイルを指定して操作してくれるツールで、最近ようやくWindowsでも使えるようになったそうです。
こういうことができるということは、お国の作業の中で多分こういう作業無限にあるのよ。
しぶちょーさんは、セルを細かく結合して紙のフォーマットを再現した政府のExcelのような資料も、AIなら処理できる可能性があると話します。元警察官のかねりんさんも、アナログな作業の多い警察の犯罪捜査でも使えそうだと応じました。
予算は使い切られる? AI村長という未来
かねりんさんが「効率化して公務員を減らせ」と声を上げるべきだと言うと、しぶちょーさんは効率化だけでは解決できないと答えます。各部署は予算を減らされたくないため、効率化しても新しい仕事を増やしてしまうという見方です。
予算減らされたくないから無理やりなんか理由をつけて使い切るでしょ。そこに無駄があるよねっていう構造になるから。
しぶちょーさんは、予算の割り付けのような判断をAIに任せてしまうのはいいと思うと話します。かねりんさんは、中央に人がいないDAOのようだと応じました。
話はSFのような未来へ広がります。かねりんさんは、エルサルバドルがビットコインを法定通貨にしたように、AIを総理大臣にする国が出てきそうだと予想しました。
なんか日本のどっかの自治体がいいの一番にやりそうだよね。なんか話題作るためにさ。AI市作りました、AI村長みたいなやつから始まりそうな気がするけど。
かねりんさんは、法改正をしなくても「すべてAIの判断に沿って行う」と宣言する村長が現れればAI村長だと指摘し、2人はキャッチーな地方創生のアイデアとして盛り上がりました。
DeNA南場智子さんの講演。AIで人を半分にする挑戦はなぜつまずいた?
最後のニュースは、DeNAの南場智子さんが「DeNA AI Day 2026」で行ったプレゼンの全文書き起こし記事です。「ますます速さが命題に」という見出しでSNSでも話題になり、しぶちょーさんはぜひ読んでほしいと勧めています。
記事のパワーワードとしてしぶちょーさんが挙げたのが「無慈悲なLLM」です。見出しのすぐ下には「中途半端な専門性は一撃で淘汰される」と書かれているといいます。
DeNAは、AIを徹底的に使うことで、半分の人員で今の事業を回せるようにする取り組みを進めていました。しかし記事では、それがあまりうまくいかなかったと振り返られているそうです。
余った時間があると今までやりたくてもできなかったことを自ら追加してしまって、結局仕事がどんどん増えていくんだと。
社員は真面目なので、空いた時間で仕事のクオリティを上げたり、やっておきたかったことに手を付けたりしてしまいました。その結果、「AIで代替できたのでこのポジションを降りて、新しいことを探しに行きます」と自ら宣言する人は出なかったといいます。
3000人の仕事を1500人で回し、空いた人が新しい仕事へ移る
効率化で空いた時間に、既存の事業を良くする仕事を自ら詰め込んでしまった
かねりんさんは「放っておいたら自分の仕事をやるに決まっている」と疑問を投げかけます。しぶちょーさんによると、そのことが明らかになったため、南場さんは強烈なリーダーシップで先に人を動かすことが大事だと結論づけたそうです。
先に振ってしまえば余裕がある状態のところからAIを使って仕事を成り立たせるみたいなアプローチが。
つまり、先に人手不足の状態を作り、限られたリソースの中でAIを使ってやりくりさせるという考え方です。しぶちょーさんは、社長自らがこうした少々乱暴なリーダーシップの必要性を語っている点を面白いと評価しています。
パーキンソンの法則と「死亡前死因分析」で考える次の一手
かねりんさんは「やらなくてもわかるだろう」と厳しめです。しぶちょーさんは、社員に期待したところもあったのではと擁護しつつ、この現象には名前があると紹介しました。
仕事の量は完成に与えられた時間を全て満たすまで膨張するという法則で。
パーキンソンの法則 ── イギリスの歴史学者・政治学者パーキンソンが1950年代に提唱した法則。官僚組織の観察から、仕事や支出は使える時間や予算いっぱいまで膨らむと指摘しましたでは、2時間で終わる仕事に8時間を与えられると、人は残りの6時間分も仕事を膨らませてしまいます。
しぶちょーさんは、AIで効率化されて空いた時間も同じように仕事で埋まっていくと説明します。かねりんさんは、南場さんのアプローチを、人を飢餓状態に追い込んでこの膨張を回避する「セカンドアプローチ」と整理しました。
しぶちょーさんは、この取り組みは人員削減が目的ではなく、空いた人を少人数でさまざまな新しいことにアサインし、新しい需要を生み出そうとしているのだろうと見ています。
では、この試みはどう失敗しうるのか。かねりんさんは、しぶちょーさんから教わった「死亡前死因分析」を使って考えようと提案しました。
じゃあそのプロジェクトがどうしたら最大の失敗をするかと。一番最悪の場合で死ぬ場合ってどういう風になるの?っていうのを予想しておく
新しいことを始めるときは前向きになりがちなので、あえて最悪の失敗の形を先に予想しておくことで、リスクを客観的に見られるという手法です。かねりんさんは今ではプロンプトにかなりの頻度でこれを入れているそうです。
2人が挙げた「死因」の候補は2つでした。かねりんさんは、一部の優秀な人しか対応できず、ほかの人がどうにもならなくなるケースを想定しています。
3人だけど、AIのそのエージェントを回すお金で、もう3人雇った方が全然安かったよねみたいな。
しぶちょーさんのもう1つの想定は、AIの費用がかさんで本末転倒になるケースです。一方で、人件費とトントンなら育成や社会保険料がかからず、ずっと働かせられるAIを使ったほうがいいとも話しています。
ただしAIの値段は電力などを理由に上がる可能性もあり、しぶちょーさんは損益分岐点の判断は難しいと見ています。DeNAが使っているであろうDevinも、使ってみると法人向けでかなり高かったそうです。
AIに食われない専門性とは何か。ドメイン知識と速さ
かねりんさんは、AIを使いこなす人材には本人としてどんな能力が必要なのかと問いかけます。しぶちょーさんは、南場さんの記事にもあったとおり、半端な専門性はAIに一撃で淘汰されるため、より深い専門性が必要だと答えました。
その鍵として挙がったのがドメイン知識 ── 特定の業界や現場、領域に固有の専門知識のこと。その分野の背景や課題を深く理解するために必要となる知識を指しますです。しぶちょーさんは例として、製造業なら工場特有の事情のように、その現場を知らないとわからない知識を挙げています。
かねりんさんは「あらゆるものがデータ化されてAIに学習されたら、何が残るのか」と疑問を投げかけました。しぶちょーさんも、分野によりけりだとしつつ、ほとんどは食われていくと考えています。
LLMが進化すればするほど、そういうドメイン知識みたいなやつがどんどん食われていくから、専門性ってのが淘汰されていくよねっていう。
だからこそ、自分の専門を掛け合わせて、その領域で有効なプレイヤーになれるかが重要だと、しぶちょーさんは話します。記事にある「簡単には模倣されない領域を選ぶ」という言葉はサービスやプロダクトについてのものですが、人の専門性にも当てはまるという見方です。
かねりんさんが「模倣されないものか、圧倒的なスピードか」と言うと、しぶちょーさんは記事にもスピードの重要性がはっきり書かれていたと応じました。
独自の視点に加えてスピードも必要というのが、記事の主張だとしぶちょーさんはまとめています。
組織としての南場さんの考えは、スピードをベンチャー企業との連携で得るというものです。これまでは動きの遅い大企業と組んでもベンチャーにメリットが少なかったものの、AIで組織が小さく速くなれば、シナジーのあるリソースを持つ大企業がベンチャーのスピードについていけるようになるといいます。
作ることで進む。かねりんさんがプロダクトづくりを決意するまで
南場さんの記事を受けて、かねりんさんは自分でもサービスを作って世に出してみたいと言い出します。しぶちょーさんも、バイブコーディングでいろいろ作っているものの、お金を取れるものを自分の事業として1つ作りたいと話しました。
個人でスピード感を持って作るなら何がおすすめかと聞かれ、しぶちょーさんは初心者ならManusやReplitを挙げています。デプロイの速さではManusやClaude Codeもよいそうです。
一方で、お金を取るならリスクやドメイン知識も必要になります。しぶちょーさんは、自分で取りに行くと抜け漏れがあるため、詳しい専門家の協力を仰ぐのがよいと勧めました。
少人数で多分今まで大企業じゃないと作れなかったものとか、それなりの組織じゃないと作れなかったものが作れるような世界には確実になっていくとは思う。
かねりんさんは、自分のポッドキャスト制作の軸にも同じ観点があると語ります。放っておけば埋もれてしまうもの、たとえばクラシック音楽のような文化を残したいという思いは、ポッドキャストだけでなくプロダクトの形でも実現できるのではないかというのです。
しぶちょーさんは、かねりんさんにとってポッドキャストは「残す手段の1つ」であり、AIでのプロダクト開発もその選択肢になりうると整理しました。ポッドキャスト関連のサービスも、けんすうさんや佐々木亮さんなど多くの人が手がけていて熱い分野だといいます。
こんだけ(しぶちょーから)毎週毎週こんな話聞いててさ、ふーんって賢くなった気分になって何も作らないとかマジで終わってんなと思って。
俺はもう行動変容をね、テーマとしてポッドキャストずっとやってるから、それ聞いてくれた人がね、なんかアクションを起こすっていうのが俺のそのね、この配信の目的でもあるから。
しぶちょーさんは、箸にも棒にもかからなくても、動くものとして形にできるのがAI時代のよさだと話します。かねりんさんの父親も無課金のGeminiでコーディングを始めていて、しぶちょーさんの知り合いの中学生もGeminiの無料版でいろいろ作っているそうです。
日本ディープラーニング協会のイベントで、しぶちょーさんが実演
エンディングでは、3月19日に東京で開かれる日本ディープラーニング協会(JDLA)のイベント「JDLA Connect x CDLE All Hands」が告知されました。テーマは「AI共創社会、学びが日本の実装を加速させる」です。
日本ディープラーニング協会はG検定を実施している団体で、松尾豊教授が理事を務めています。イベントには松尾先生をはじめ、ロボットからAIの最前線まで、有名大学の教授陣が登壇する予定です。
しぶちょーさんは、G検定などの合格者によるコミュニティCDLE ── JDLAのG検定・E資格の合格者が参加できるコミュニティ。学び合いや交流を目的としていますのワークショップ会場で、製造業向けセミナーで披露してきた異常検知のデモを紹介・実演するそうです。持ち時間は25分ほどで、16時からの枠だといいます。
参加費は無料で、開催は3月19日(木)の12時から18時です。しぶちょーさんのおすすめは、13時から14時5分の松尾先生による基調講演で、特にフィジカルAIの話に注目しているそうです。
配信は予定されていないようで、見るには現地に行く必要があります。講演を聞くのが中心ですが、つながりのセッションや企業ブース、CDLEのブースもあり、AIに熱い人と交流できる場も用意されているとのことです。
番組の最後には、ビデオポッドキャストの感想を募集していました。収録時間は1時間23分に及び、2人は「聞く方も大変」と笑いつつ、いい回になったと振り返っています。
まとめ
第50回の速報回は、GPT-5.4やGPT-5.3 Instantへの冷静な評価から始まり、Gemini 3.1 Flash-Liteをきっかけに、巨大モデルよりも小さなモデルをどう組み合わせて使うかという視点へ広がりました。ガバメントAIとDeNA南場智子さんの講演からは、AIで効率化しても仕事は膨張しがちだという現実と、深い専門性とスピードの両方が求められる時代像が見えてきます。
- GPT-5.4は成果物づくりやGUI操作の強化が公式に説明されたが、2人の体感では大きな変化はなく、ClaudeやGeminiを主に使う場面が多い
- Gemini 3.1 Flash-Liteのような軽量モデルは、単純作業に巨大モデルを使う「F1でコンビニに行く」無駄を減らす流れの一部だと考えられる
- デジタル庁は国産LLMを選定し、2027年4月から約18万人の職員向けガバメントAIとして政府調達する計画を進めている
- DeNAの人員半減の試みは、パーキンソンの法則のように空いた時間を仕事で埋めてしまいつまずき、南場さんは先に人手不足を作るリーダーシップを掲げた
- AI時代には、模倣されにくい深いドメイン知識とスピードの両方が必要で、まず動くものを作ることが行動の第一歩になる





