いつもと違う「おちつきAI相談会」で何を話すのか
この回は、いつものAIニュース解説ではなく、しぶちょーさんとかねりんさんが番組そのものについて相談し合う「おちつきAI相談会」として始まります。
しぶちょーさんが冒頭で切り出したのは、少し矛盾した悩みでした。話す会のはずなのに、普段のポッドキャストでかねりんさんと十分に会話できていない、というものです。
意外とポッドキャストの収録って、AIをテーマにしながら教える、答える、質問するみたいな形式だから、かねりんの意見とか、これからどうしようみたいな話を全然できてないなと思って。
そこで今回は、番組に関わる相談事をしぶちょーさんが持ち込み、かねりんさんの意見を聞く形で進めることになりました。人生相談ではなく、あくまで番組の未来についての公開ブレストです。
開発が止まった「おちつきAIラグ」、モチベーションが上がらない理由
最初の相談は、番組が公開しているツール「おちつきAIラグ」についてでした。番組で話した内容を原稿として組み込み、検索できるようにしたものですが、いま開発が止まっているといいます。
仕組み自体は一応できていて、話した内容から該当箇所と秒数を拾ってくることはできる、としぶちょーさんは説明します。ただ、データの更新が止まり、精度も上げられていない状態でした。
止まっている理由について、しぶちょーさんはモチベーションが上がらないからだと率直に打ち明けます。精度を上げても、その先にワクワク感が見えないというのです。
例えばこれ今後精度が上がったところで、なんかワクワク感があんまないのよね。
精度を60点から90点に上げても、爆発的にいいものになるゴールが見えてしまっている。だから手をつけられなかった、としぶちょーさんは分析します。単体で存在するツールとしては微妙で、番組のホームページの一機能としてなら生きるのに、という問題意識でした。
すでにある「Poddy」を見て下がったモチベーション
かねりんさんは、番組の中だけで完結せず、ポッドキャストを横断的に検索できるほうがワクワク感があるのでは、とアイデアを出します。
ここで聞けばもうポッドキャスト全部検索できますみたいなさ。横断的に拾ってこれますだったらみんな使いそうじゃない。
ところが、それに近いサービスはすでに存在していました。しぶちょーさんが挙げたのは、けんすうさんが開発している「ポッディー(Poddy)」です。
ポッディーは、ポッドキャストをIP化し、再利用しやすくするためのプラットフォームだといいます。要約や検索ができ、コメントもつけられる仕組みで、おちつきAIラジオも登録してもらったそうです。
これを見たから俺が、さらに落ち着きAIラグの開発のモチベーションが下がった。
自分たちのラグは、このポッディーの完全下位互換になってしまう。しぶちょーさんはそう感じ、単体のツールではなく、番組としてまとまった形で作りたいと考えていました。
神アイデア「おちつきAI目安箱」はどう生まれたか
ラグをどう作り替えるかの議論から、かねりんさんが判定機能のアイデアを出します。気になるニュースを入力すると、番組が「落ち着き度」を判定する、というものです。
入力して、このニュースどうかなって言ったら、このAI(が)支部長(と)かねりん(の代わりに)判定する。
一定のスコアを超えたものだけを実際に番組で取り上げる、という一次審査の仕組みにもつながります。ここで話題になったのが、リスナーがメンションしづらい心理でした。
みんなさ、メンションしないじゃん。やっぱ嫌じゃん、メンションするのって。あんな公開の場所でさ、ペッてこんな貼ってさ。
そこでしぶちょーさんが名づけたのが「おちつきAI目安箱」でした。URLを匿名で投げ込めて、落ち着き度のスコアが出て、投稿が一覧で溜まっていくという構想です。
判定はリサーチさせずに、いいモデルのLLMにプロンプトを持たせて評価させれば十分だろう、としぶちょーさんは技術的な見通しを語ります。3つのモデルに多数決的にスコアをつけさせる案も出ました。
さらにかねりんさんは、他の人が投げ込んだモヤモヤが下に溜まって見える形を提案します。ただの投票箱ではなく、人が見に来る場所になるという発想でした。
いろんな人がモヤモヤしてるやつが下に溜まってって。世の中の人はこんなところにモヤモヤしてんだなみたいな。
投稿されたモヤモヤを二人が解説して落ち着かせていけば、番組の当初の目的とも一致する。しぶちょーさんは「目安箱ありです」と、このアイデアを採用しました。
現状
番組内容を検索できる「おちつきAIラグ」。精度は上げられるが先が見えてモチベーションが上がらない
気づき
横断検索は「ポッディー」がすでに実現。単体ツールでは差別化しにくい
転換
リスナーが匿名でニュースを投げ込み、落ち着き度を判定する「目安箱」に作り替える
狙い
投稿が一覧で溜まり、番組のネタ収集にもなる参加型の場にする
非エンジニアでも爆速。AIで番組ホームページを作る
ラグも目安箱も、結局は番組の公式ホームページが必要だという話につながります。しぶちょーさんは最近、自分のポッドキャスト「ものづくりのラジオ」のホームページを作ったばかりでした。
一発でほぼポーンって感じ。
一発じゃないけど、細かいとこは調整したけど、一日もかかってないよ。
使ったのはReplit ── Webブラウザ上でコードを書いて、そのまま公開までできる開発環境。番組ではラグ制作でも使っており、データベースを持つような処理に向いているとされていますで、VibeCoding ── AIに自然言語で指示しながらコードを書いてもらう開発スタイル。プログラミングの専門知識がなくても、対話しながらアプリやサイトを作れますで作ったといいます。
作り方のコツは、参考にするサイトの構成を真似することでした。しぶちょーさんは、レンさんとエマさんのポッドキャスト「サイエントーク」のホームページをReplitに入れ、その構成に寄せたたたき台を出させたそうです。
(サイエントークの)ホームページって、ポッドキャストのホームページだから、なんか必要なもの全部含まれてるのね。
そのうえで、いる項目といらない項目を取捨選択し、必要なものを足していく。歩んできた沿革や実績、コミュニティ、問い合わせなどを載せると、しっかりした番組に見えるといいます。
なぜポッドキャストにホームページが必要なのか
しぶちょーさんが強調したのは、ポッドキャストにこそホームページが要る、という気づきでした。SpotifyやYouTubeのリンクを渡しても、普段使わない人には何のことか伝わらないというのです。
落ち着きAIですって番組やってますって言って、Spotifyのリンクとか渡しても、Spotify普段使わない人って何これ?ってなるじゃん。
YouTubeのリンクを渡しても、再生数が二十数回や三十数回では「趣味でやってるのね」と受け取られてしまう。いろんなプラットフォームがあることを理解してもらいながら番組を知ってもらうには、ホームページが一番いい、としぶちょーさんは語ります。
リスナー向けというより、ポッドキャストを知らない人への名刺代わり、という位置づけです。しぶちょーさんは、3年以上ポッドキャストをやってようやくその必要性に気づいたと振り返ります。
逆にないことによって結構機会損失してたなっていうのが感じたからさ。
ホームページの方針についても議論が及びます。リスナーではなく、お堅い相手やおじさん世代を意識した「営業資料」寄りの作りが良さそうだ、という方向でまとまりました。
かねりんさんは阿部寛のサイトのようなレトロなデザイン案も出しますが、しぶちょーさんは、古いブラウザ風はかえってテック感が出てしまうと指摘します。番組名やサムネの緩さとバランスを取り、緩さを出しつつしっかりしたページを目指すことになりました。
コンピューティングリソースがしっかりしており、データベースを持つラグのような本格的な仕組みに向く。料金はドル建て
ホームページ程度なら十分。Manus上で相談しながら進められ、画像もその場で生成して貼ってくれる。料金はクレジット制
Manusで作り、来週の収録までに公開する
環境の使い分けも話題になりました。しぶちょーさんはラグ制作でReplitを使いましたが、ホームページ程度ならManus ── Monica社が開発した、Webブラウジングや複雑なタスクを自律的に進めるAIエージェント。スマホからも指示でき、画像生成なども組み合わせて作業を進められますで十分だといいます。
Manusの利点として、相談自体はManus上で気軽にでき、修正はステージング環境で行ってからデプロイで本番に反映できる点が挙げられました。ただし、修正を重ねるほどクレジットは削られていきます。
なるべくやっぱ最初から、そのいいたたき台で。
コツは、最初のたたき台をChatGPTで作り込んでからManusやReplitに渡すこと。そうすればクレジットの無駄を減らせる、としぶちょーさんはアドバイスします。
話が具体化する中で、しぶちょーさんが持ち出したのが「納期」でした。ケツを決めないと一生終わらない、というのです。
ケツ決めないとさ、終わんないのよね、一生。
この一言を受けて、かねりんさんが来週の収録までにホームページを持ってくると宣言します。深掘り回の最後で「できました」と発表する、という具体的な目標が決まりました。
来週の収録に持ってきますよ、じゃあこれ。
ドメインについても、しぶちょーさんは`.ai`を提案しますが、かねりんさんが調べると1万6000円ほどと高額でした。読みやすさも考え、ハイフンを入れた`.com`が無難だろう、という結論に落ち着きます。
共著でAI本を出す。二人しゃべりのポッドキャスターとして
番組の名刺づくりの話から、話題は書籍化へと広がります。しぶちょーさんが「本に書けばいい」と振ったところ、かねりんさんが「おちつきAI本」を提案しました。
しぶちょーさんは、AI本は賞味期限が短いと難色を示します。一方で、賞味期限の長い普遍的な本はあまり面白くならず、企画も通りにくいという出版のリアルも語られました。
AIの本なんてさ、賞味期限がさ、本当にコンビニ弁当ぐらいよ。
それでも、共著という形なら書けるかもしれない、という方向に議論が動きます。しぶちょーさんは、自分の技術本を契約から出版まで丸2年ほどかけた経験を明かしました。1年間、一文字も書き出せなかったといいます。
最初のね、一文字書き出すのめっちゃ大変よ。
書き出せなかった理由は、プレッシャーよりも、長く書き続けなければならないことでモチベーションが続かなかったからでした。そこで共著の価値が浮かび上がります。
お互いにそういうプレッシャーをかけ合えるから、多分普通に書くと思う。
毎週収録している二人なら、収録日ごとに進捗を突き合わせられる。ポッドキャストと同じく、相手がいるから書けるという発想でした。
書籍執筆にラグが効く。散らばったリソースを束ねる
共著本の中身についても具体化していきます。トレンド回ではなく、深掘り回で扱ってきた普遍的なテーマやAIの仕組みを中心にする、という方向です。
AIとあのプライバシーの話は結構書きたいところだね。
ここで、止まっていたラグの話が一気につながります。書籍の執筆に使えるツールとしてなら、ラグの精度を上げるモチベーションが出る、としぶちょーさんは気づきました。
それだったらラグの精度を上げるのもモチベーション上がる。書籍の執筆に使えるから。
散らばっていた番組のリソースを、ホームページと書籍で束ねる。その執筆を支えるツールがラグだ、という全体像が見えてきました。かねりんさんは、この構造を「リソースが散らばっちゃってるんで、それを束ねるのがウェブサイトであり、書籍である」と整理します。
二人は、二人しゃべりのポッドキャスターが共著で本を出す例はあまり聞かない、と気づきます。喋れて、なおかつ書ける人は限られる、と出版社に言われたエピソードも紹介されました。
喋れて書けるっていう人ってちょっと狭まるみたいなこと言ってたな。
ポッドキャスト
毎週の収録で、深掘り回を中心にAIの仕組みや普遍的なテーマを蓄積する
おちつきAIラグ
番組内容を検索できるツール。書籍執筆に使えるとわかり、精度を上げる意味が生まれる
ホームページ
番組の名刺代わり。ラグや目安箱、書籍の情報を束ねる場になる
共著本
番組で話した内容をブラッシュアップし、二人の共著として形にする
出版社への持ち込みと、今年中に一気にやる理由
書籍化を本気で進めるための最初の一歩も語られました。しぶちょーさんによれば、まず必要なのは持ち込み用の企画書だといいます。
最初にね、持ち込みの企画として、その本の価値とか、どういう読者層に訴求するかとか、今そういうジャンルの本がないよねっていう調査のデータみたいなプレゼンはいるのよ。
しぶちょーさんは、出版社の担当者を紹介してもらえる人脈があると話し、企画書のたたき台を作って持ち込むところから始めると具体化します。想定する読者は、番組と同じく「AIを学びたいが何から学べばいいか分からず落ち着かない人たち」です。
発行の目標についても、AI本ならスピードが命だとしぶちょーさんは言います。今年中どころか、それでも遅いくらいだ、という感覚でした。
二人が繰り返し口にしたのは「ゴリゴリやる」という言葉です。一つずつ丁寧に進めるより、勢いのあるうちに一気に形にしたい、という思いが一致していました。
やるなら早くやりましょうか。今年中にいろんなことをもう向こう5年分ぐらいちょっとやろうかなと思ってますね。
淡々と同じことを積み上げるのではなく、変化のための継続を大事にする。二人はこの価値観が一致していることを確認し、変化のための継続という言葉で今後の姿勢を言い表しました。
まとめ
開発が止まっていたツールへのモヤモヤから始まった相談会は、目安箱・公式ホームページ・共著本という三つの企画が、一本の線でつながる形で着地しました。散らばった番組のリソースを束ねる、という視点が、止まっていたラグにも新しい意味を与えています。
- 止まっていた「おちつきAIラグ」は、ニュースを匿名で投げ込み落ち着き度を判定する参加型の「目安箱」として作り替える方向に決まった
- ポッドキャストには名刺代わりのホームページが要る。ManusやReplitを使えば非エンジニアでも短期間で作れる
- ホームページは来週の収録までに公開する、という納期を決めることで動き出した
- 二人しゃべりのポッドキャスターの共著本を目指し、毎週の収録で進捗を突き合わせながら書く構想が生まれた
- ラグは書籍執筆に使えるツールとして再評価され、精度を上げるモチベーションにつながった





