一人旅と村上春樹の話から
三連休、樋口さんは日曜から月曜にかけて一人旅に出かけたそうです。アクアラインの手前、川崎あたりの渋滞に巻き込まれ、4時間ほどかかったと話されています。
それでも朝早く出て海辺で本を読み、のんびり過ごしたとのこと。久しぶりの一人旅がとても良かったと振り返ります。
好きだし、私ビジネス陽キャなので、一人の時間がすごく大切なタイプなんですよね。何がしたい?って聞かれたら一人旅ですね。
読んでいたのは村上春樹の新作でした。大学時代によく読んでいたものの、当時のテンションでは読めなくなってきたと感じたそうです。
結構大学生の頃から好きで、めっちゃ読んでたんですけど、当時のテンションでは読めてない感じがしましたね。またか、みたいな。
戸部さんは一人旅で『海辺のカフカ』を持って四国に行った思い出を語ります。たまたま四国が舞台だったことで、強く印象に残っているそうです。
AIに作業を丸投げした失敗事例
本題は「AI時代の業務フロー設計の重要性」です。樋口さんの会社では、一人ひとりにAIのアカウントを渡し、業務でも積極的に使う方針を取っていると話されています。
最初の事例は、ストアレコードを導入している大手の顧客で、売上データの登録を代行したときのことです。店舗数が多く、CSVファイルが1500ほどに分かれるほどの量になっていました。
樋口さんは自分なら一日かからず終わると考えていましたが、担当メンバーは二日、三日経っても終わりそうにありませんでした。状況を確認すると、原因がわかったそうです。
メンバーは、AIにブラウザでChromeを開かせ、対象ページに移動し、CSVを一つずつアップロードさせようとしていました。1500ファイルすべてを、この方法でやろうとしていたのです。
一個一個です、1500ファイル。AIにその指示を出すのに、ChromeとAIをつなぐのに時間がかかってしまってと言われたんですけど、僕が想定してたのは全然違ったんですよね。
樋口さんが想定していたのは、AIにPythonのコードを書いてもらい、ページを立ち上げてファイルを登録する一連の流れを自動化することでした。要件を一度定義すれば、AIはそのコードを書けます。
その方法に切り替えたところ、作業は一瞬で終わったそうです。何をAIにどう任せるかを考える設計力が、いかに大事かを実感した事例だと話されています。
決定的な処理と非決定的な判断の切り分け
戸部さんは、以前この番組でAIを「めちゃくちゃ優秀なド新人」と表現していたことに触れます。やり方をちゃんと教えないとうまくいかない点が、まさにその通りだと話されています。
樋口さんによると、AIには同じ作業でも一つひとつ考えて動いてしまう特徴があります。同じインプットでもアウトプットがブレることがあり、手順が決まった作業でも時間がかかってしまうのです。
AIの特徴として、同じ作業でもいちいち考えて作業しちゃうんですよね。手順が確実に決まっているような処理は、生成AIよりも普通のコードとかRPAの方が得意だよねっていう。
似た話として、ストアレコードから取得したデータをスプレッドシートに入れる作業もあります。当初はAIが毎回どのセルに入れるか考えてしまい、うまくいかなかったそうです。
そこで、データを取得する部分はAIに任せ、書き込む部分はPythonのコードで処理するよう分けたところ、劇的に速くなったと話されています。
インプットが同じなら結果が必ず同じになる作業。コードやRPAが得意
同じインプットでもアウトプットがブレる判断や設計。生成AIが得意
丸ごと全部を丸投げするのではなく、考える部分と、繰り返しでコードが得意な部分を分けることが大事だと、戸部さんも受け止めています。
請求書登録に見る三段階のフロー
樋口さんの会社では、ストアレコードへのデータ登録を請け負うBPO的な業務も行っています。自動取得できない請求書などを、品目のルールに沿って登録するニーズがあるためです。
この業務でも、ルール決めの工夫がありました。過去に登録したことがある請求書は、前例に沿って同じ品目で自動登録できるよう、AIにコードを書かせています。
一方、過去に登録したことがない請求書は、内容や品目、説明文を見てAIが判断し、仮登録を行います。登録後は、人間にSlackで通知が届く仕組みです。
人間はその登録を見て、問題がなければルールブックに追加するようAIに伝えます。問題があれば修正し、その理由も伝えて、修正後のものをリストに入れてもらいます。
過去の請求書
前例に沿ってコードで決定的に自動登録
初めての請求書
AIが内容を判断して仮登録し、Slackで人間に通知
人間の確認
問題なければルール化、問題があれば修正して理由を伝える
戸部さんは、一度ルール化できたらコードに任せ、新しいものは人間が確認する工程を入れる点に注目します。AIと人間だけでなく、AI・コード・人間がそれぞれ得意な役割を持つ形だと整理しています。
設計から相談する使い方
樋口さんによると、AIとコードの処理をイコールだと捉えている人も多く、その切り分けは感覚として難しいそうです。「そもそもコードって何でしたっけ」というところから始まることもあります。
生成AIは非決定的でアウトプットがブレる一方、大量のデータを読み込む処理やコードを書くことは得意です。どこをコードにし、どこを人間が判断するかの切り分け自体も、実は得意だといいます。
思い込んでAIにこれをやっといて、というよりは、こういう業務で最終的にこうしたいんだけれど、どうやるとうまくいくかね、という相談からした方が、うまくいくかもなと思いました。
戸部さんは、そもそもAIで何ができそうかを考えられること、使っているからこそ何をさせるか思いつけることが大事なのだろうと受け止めています。
トークンコストという新しい論点
組織で使う上ではコストの話も出てきます。樋口さんの会社ではチームプランで管理者として上限を設定しており、コストが細かく見える化されています。
今回の失敗に気づいたきっかけも、このコスト表示でした。AIに一つずつ手作業で登録させていたことで、すごい金額が課金されていたのを見て、切り分けの話が必要だと気づいたそうです。
間違った任せ方をしちゃうと、時間がかかるだけじゃなくて費用まで増えちゃうから。多くの企業さんが直面しそうというか、もうしてるのかもしれないですね。
樋口さんは、AIのトークンコストが人件費に置き換わっていくと考えています。一方で、逆にトークンコストの方が高くなる未来もあり得るとし、今後も考えていくべきテーマだと話されています。
本当に一瞬で、雑にお願いするとボーンって行っちゃうんで、それはびっくりしましたね。
樋口さん自身、どこまでAIに任せ、どこをコードやRPAで処理し、どこを人間が判断すべきかは、触りながらでないとわからないと話します。AIを使った業務フロー設計の第一人者になりたいという思いも語られました。
まとめ
今回は、生成AIに作業を丸投げするのではなく、決定的な処理はコードやRPAに、非決定的な判断はAIに、最終確認は人間にと役割を切り分ける業務設計の重要性が語られました。トークンコストという新しい論点も含め、AIをどう使いこなすかが問われる時代のヒントが詰まった回でした。
- 生成AIに定型作業を直接やらせると、遅くなるうえ費用も膨らむことがある
- 手順が決まった処理はコードやRPAに任せ、判断や設計をAIに任せると効率が上がる
- 過去例はコードで自動化、初回はAIが仮登録し人間が承認する三段階フローが有効
- AIのトークンコストは人件費に置き換わりうる新しいコスト論点になる
- AI・コード・人間の役割を設計できる力が、今後価値を発揮する
