AIから離れたかった回のテーマ設定
この回は朝、仕事に行く前の収録として始まります。
JIntaroさんは、最近あまりにAIに囲まれすぎていると話します。SNSも自分の見たい情報しか入ってこず、仕事でも何をするにもAIになっているといいます。
何するにしてもAI、AI、AIってなっちゃってるんで。AIから全力で離れたテーマにしたいと思ってるんですけど、多分今日も最終的にはAIのお話になるんじゃないかなと思っています。
そのうえで、今日のテーマは「人にものを説明する」ということだと切り出します。
前回は「自分の伝えたい言葉で話すか、相手の理解できる言葉で話すか」という話でした。今回はそれよりもう少し抽象的で、説明や進言、アドバイスそのものの難しさに踏み込むといいます。
ただ説明するだけなら勉強会のようなものでよいけれど、それによって相手の考えを変える段階になると、一気に難易度が上がると話されています。
韓非子「説難」と進言のハードル
JIntaroさんは、中国の古典では孫子ではなく韓非子が好きだといいます。その韓非子の中に「説難(ぜいなん)」という章があると紹介します。
この章では、王様に何かを進言することがどれほど難しいかが書かれていると説明します。
昔は、少しでも王様の意に沿わなかったり、結果が出なかったりすると、容易に首を切られたといいます。進言によって不利益を被る者に暗殺されることもあったそうです。
だからといって、ただ相手を気持ちよくさせればよいわけでもありません。相手を気持ちよくさせても、王様が愚かなことをすれば国ごと滅びてしまうからです。
国を守らねばという思いと、あと自分が死んではいけないっていう部分で、多分昔の人たちは今のコンサルタントの人たちの百倍、千倍ぐらい頭を使ってたんじゃないかなと思うんですけど。
相手の「真意」に合わせる難しさ
進言の第一のポイントは、相手の真意に合わせることだといいます。相手に合わせることそのものではなく、相手が本当に思っていることに合わせるのが大事だという指摘です。
人間には裏表があります。表向きは社会のためと言いながら本心ではお金を稼ぎたい人もいれば、お金を稼ぎたいと言いながら実は社会貢献したい人もいると話されています。
言葉どおりに合わせてしまうと、本意とはずれてしまい、相手に「違うな」と思われてしまいます。
一方で、建前で社会貢献を掲げる人に「金を稼ぎましょう」と稼ぎ方を教えると、その人は表向きは「君の話は聞けない」と跳ね除けつつ、裏ではアイデアだけ盗んで荒稼ぎするような現象が起きうるといいます。
そうなると進言する側には得がなく、アイデアだけ盗まれて終わってしまうと話されています。
情報という商品の特殊さと、依頼側に必要な「一から三」
アイデアが盗まれる話の延長として、相談や進言における情報の扱いの難しさが語られます。
本来、依頼主は「わからないから聞く」立場のはずです。すでにわかっていることを確認のために聞くのは、安心のためのお金を払っているだけだといいます。
望ましいのは、仮説を立てて試したがうまくいかない、というように課題がある程度整理された状態での依頼だといいます。逆に「よくわからないけどうまくいかないから助けてくれ」という状態だと、まず整理の重要性から入らねばならないと話されています。
ようわからんけど、あの、うまくいってないっぽいから助けてくれ、アンパンマンみたいな、そういう感じだと、すごく、まずはそこの整理の重要性みたいなところから入らないといけなかったりとかしますね。
さらに、そもそも整理ができていないと、コンサルが解決したことが正しかったのかを依頼主自身が評価できず、良くなったのか悪くなったのかすらわからなくなると指摘します。
ここでJIntaroさんは、情報という商品の特殊さに触れます。情報は手に入れるまで価値がわからず、逆に手に入れてしまうと、もう同じ情報にお金を払う必要はなくなるといいます。
例えとして、YouTuberが過去の動画をまとめてブルーレイで売っても、すでに無料で見られるので買われにくい、という例が挙げられます。
だから進言する側は、いつ・どこまで情報を出すかで迷います。窓口の人に全部話すと、アイデアがその人の意見として社内に回り、そのままパクられる恐れもあると話されています。
そのうえで、依頼主に求められるのは、問題の解決能力そのものではなく、「一から十」のうち「一から三」くらいはわかっている状態だといいます。
一から三教えてもなんかポカーンってなっちゃって。で、いいから解決してよって言われるんだけど、いやいや、そこじゃねえしみたいな話にはなっちゃうのかなって思うんですね。
知ることではなく「知った後」が難しい
JIntaroさんは、「一から三」の部分は問題解決能力というより、問題を知っているかどうかだと整理します。
そして、何かを知ること自体はそれほど難しくないといいます。難しいのは知った後にどうするかだという指摘です。
これをこうしたらいいらしいですよって。ふーんっていうのは、まあぶっちゃけ誰でもできて。で、ふーんってなった後に、それと自分の今置かれた状況を照らし合わせて、この情報は使えるけど、この情報をうちに適用したらあかんなみたいなのを分けて考えて、じゃあこれやってみるかみたいなののプロセスが一番難しいし。
知った止まりでは何のリターンもなく、知るコストだけがかかって利益は得られないといいます。
ここから、コンサルの使い方への実務的な示唆が語られます。「教えてください」というところまでを依頼すると費用がかさむ。知ること自体は今やほぼノーコストなので、その先の「うちだとどれを使い、どう進めるか」まで組めていると効率よく使えるといいます。
今やほぼノーコスト。情報を得るだけなら誰でもできる。
自分の状況と照らし合わせ、使える情報を選んで行動に移すプロセス。ここが最も難しい。
逆鱗と、進言する・しないの取捨選択
韓非子の話に戻り、人にものを説明するときの一番の難しさは「逆鱗に触れないこと」だと話されます。
逆鱗がどこにあるかは、仲が良ければわかっても、初対面ではわからないこともあります。だから進言する側は事前のリサーチが重要で、話すときも逆鱗に触れないかを常に意識していると話されています。
ここまでの難しさが、いったん整理されます。依頼主の真意に合わせること、情報を全て出せば損をし、何も出さなければ解決しないこと。そのあいだで進言者は判断を迫られます。
さらに、進言する側も「ここが問題だ」と気づくことは無限にあるといいます。問題を知り、解決案が思いついたうえで、それを言うか言わないかという取捨選択が残ります。
今言っても混乱するだけだと思えば黙り、一方で、たとえ混乱や反感を招いても言わなければ組織が終わると思えば言う。相手のスタンスや能力、余裕によって、その線引きは変わると話されています。
つまり、たくさん知っていて問題解決能力が高い人が、そのまま有能なコンサルタントになるわけではないという結論に至ります。
AIは「言われたことだけやる良いコンサルタント」か
最後に、話は結局AIへと戻ります。人に進言するスキルは人間的に見えて、実はAIのほうが得意なのではないかとJIntaroさんは考えます。
今のAIは、要請されたものに対して解決案を出す仕組みです。何も要請していないのに勝手に問題を解決することはしないといいます。
何も要請してないのに、なんか「台所に洗い物を溜まってたんで洗っときましたよ」みたいな。それは多分やってくれなくって。
何も言われていないのに勝手にやると、場合によっては破壊的な行動につながるため、当面はブロックがかかるはずだといいます。この「要請なしには解決しない」姿勢が、むしろ賢いと評価します。
理由は、要請してくる依頼主はそもそもある程度問題を解決できているからです。逆に、何を要請すればいいかもわからない人は、問題解決能力が高くないといいます。
そこで能動的に「三枚溜まったら洗うようにしましょう」と提案して実行しても、プロセスのほとんどを提案者が担ってしまいます。すると依頼主は提案者に強く依存し、「提案者なしでは何もできないお人形さん」になってしまうと指摘します。
これは良い依頼主とコンサルタントの関係ではない。解決するのはあくまで依頼主がベストで、欲しいのは行き詰まったときのアイデアや揺さぶりであって、答えそのものではないといいます。
その意味で、言われたことだけをやる今のAIのスタイルは、すごく良いコンサルタントだと感じると話されています。
なんか「もう勝てなそうです」っていう、すごい後ろ向きな発言をして、今日は長くなってしまったので、これぐらいにしておきたいと思います。
まとめ
人にものを説明し、進言することは、韓非子の時代から難しいテーマでした。相手の真意に合わせ、情報の出し方を見極め、逆鱗を避けながら、言うか言わないかを判断する。そのうえでJIntaroさんは、答えを与えず要請に応える今のAIの姿を、むしろ良いコンサルタントのあり方として捉えています。
- 進言の難しさは、相手の言葉ではなく真意に合わせる点にある。
- 情報は出しすぎれば損をし、出さなければ解決しない、という板挟みがある。
- 知ること自体は難しくなく、知った後にどう行動するかが最も難しい。
- 問題を知り解決案があっても、言うか言わないかの取捨選択が残る。
- 解決するのは依頼主が理想で、AIの「要請に応えるだけ」の姿勢はその点で優れている。
