終わらせないプロモーション──西野亮廣が語る"損切りしない"という選択
西野さんの朝礼にて、西野亮廣さんが映画『えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜』のプロモーションを「終わらせない」と決めた理由を語りました。前作で強制終了に至った2つのきっかけ、本の売上に見る"損切りの合理性"、そしてそれでもなお今回は終わらせない方がいいと考える根拠まで、その内容をまとめます。
モフぎゅうぎゅう展、残りわずか
映画『えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜』の公開と並行して、原宿・ハラカド東急プラザ表参道「ハラカド」。2024年にオープンした原宿エリアの複合商業施設。の3階で開催中の「モフぎゅうぎゅう展」。CHIMNEY TOWN西野亮廣が代表を務めるエンターテインメント企業。絵本・映画・イベント等を手がける。のポップアップショップとしては異例の盛り上がりを見せていますが、4月22日で終了となります。
この企画が生まれた経緯がユニークです。映画キャラクター「モフ映画『えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜』に登場するキャラクター。白と紫の色味が特徴的なぬいぐるみが大人気商品に。」のぬいぐるみが大量に届く予定で、倉庫を借りるかオフィスが埋まるかという状況だったそうです。そこで西野さんが「そのぎゅうぎゅう感、むしろ見たくない?」と発想を転換。企画立案から実行までわずか10日という超急ピッチで実現しました。
モフがいっぱいぎゅうぎゅうにいるって、なんかキモくてもう恐怖でおもろくない?
床にも壁にもモフを敷き詰め、来場者が歩く床の下にもぬいぐるみを入れるため、人が乗っても大丈夫な強度の透明クリアケースを急遽手配したとのこと。週末には子どもたちが殺到する人気ぶりで、白と紫の色味やぬいぐるみが大量にいるビジュアルが原宿の街と相性抜群だったようです。
なお、4月19日(日)14:30〜15:30には、モフぎゅうぎゅう展会場にて映画のB2ポスター手渡し&モフのイラスト入りサイン会が開催予定。整理券制で並ばずに参加できるとのことです。詳しくはこちら。
また、大阪など他地域での開催を望む声もあるそうですが、今回は施設側からのオファーがあって実現した企画のため、CHIMNEY TOWN側から積極的に展開する予定は今のところないとのこと。ただし、今月末頃にCHIMNEY TOWNが「常設の箱」を持つという大きな発表が控えているようです。
舞台挨拶と「朝映画」の新しい試み
映画のプロモーションとして、全国各地での舞台挨拶が続いています。直近のスケジュールとしては、4月20日に神奈川(横浜ブルク13、T・ジョイ横浜、TOHOシネマズ川崎)、4月22日に東京(TOHOシネマズ錦糸町・日本橋・上野)、4月24日に千葉(イオンシネマ幕張新都心、TOHOシネマズららぽーと船橋・市川コルトンプラザ)での登壇が予定されているとのことです。
さらに興味深いのが「朝映画」という新しい取り組みです。平日の早朝など、そもそも人が映画館に来にくい時間帯に西野さん自身が劇場に行き、来場者を「おはようございます」と迎えるというもの。4月17日(金)朝9時の回で渋谷HUMAXシネマからスタートし、18日・19日も同劇場に在館予定。グッズ購入者との写真撮影やサイン、雑談を上映前後に行うそうです。
前作のプロモーションが終わった2つの理由
ここからが本題です。昨日の愛知県での舞台挨拶の合間に、プロデューサーの福山さんが楽屋に訪れ、今後の進め方を話し合った際、「前作のプロモーションってどうやって終わったんでしたっけ?」という話題になったそうです。
振り返ってみると、前作のプロモーションが終わった理由は2つありました。
先輩に叱られた理由が「お前は残された人間の責任を取らない気なのか」というものだったことが、西野さんの心に刺さったそうです。自分だけの人生ではないという自覚から、足を止めざるを得なかった。そして独立直後は、在籍時に決まっていた予定を消化しながら、その年の12月に控えていたミュージカルの制作へと移行していったとのことです。
損切りの合理性──8万部を10万部にする最適解
西野さんは、プロモーションを終わらせることの合理性も十分に理解しています。その説明に使われたのが、本の売上の例えでした。
8万部の本を10万部まで持っていく時の最適解は、新作を出してヒットさせることなんですよ
サイン会や即売会を地道に積み上げて8万部を10万部にするより、新作をヒットさせて過去作が検索・重版される波を起こす方が、はるかにインパクトが大きい。つまり、「損切りして次に向かう」ことは、一旦損切りされるコンテンツ自身にとっても合理的な判断だというわけです。
地道に数千部ずつ上乗せ。労力の割にインパクトが小さい
新作ヒット→過去作が検索される→重版。インパクトがはるかに大きい
それでも「終わらせない」という判断
損切りの合理性を理解した上で、西野さんが出した結論は「今回は終わらせない方がいい」というものでした。
今回は、前作でプロモーションが終わった2つの理由──体を壊すことと、事務所退所に伴う混乱──のどちらも存在しません。しっかり食事を摂り、パーソナルトレーナーもつけている。すでに自分の会社の社長として動いているため、独立に伴うゴタゴタもない。つまり、続けようと思えば続けられる体制が整っているのです。
西野さんはこの状態を「意外と厄介」とも表現しています。どれだけヒットした映画でもどこかでフェードアウトさせて次に向かうのがセオリー。しかし、プロモーションとリターンが見合わなくなっても続けられてしまう環境は、逆に判断を難しくするという認識です。
前作:体調崩壊+事務所退所で強制終了。外部要因が「やめどき」を決めてくれた
今作:健康管理◎、自分の会社で活動中。強制終了の要因がなく、続けようと思えば続けられる
この話を相方の梶原さん梶原雄太。お笑いコンビ「キングコング」の相方。YouTubeチャンネル「カジサック」でも活動。にしたところ、「本屋さんが本を置いてくれなくなったら本って売れないよね」と返されたそうです。つまり、流通が止まれば届かなくなるのでは、という現実的な指摘です。
それに対する西野さんの答えが、この回のハイライトでした。
流通を他者に依存している限り、プロモーションにはいつか終わりが来る。しかし、自分たちで「箱」──つまり流通の拠点──を持てば、その制約から自由になれる。今月末に発表予定のCHIMNEY TOWN常設拠点の話とも重なる、非常に一貫した戦略です。
一般的なプロモーション
流通(劇場・書店など)が「置く/置かない」を決める → いつか終わる
今回は「強制終了」の要因がない
体調管理◎ / 事務所問題なし / 続ける意志がある
自分たちの「箱」を持つ
流通を自社で保有すれば、プロモーションを自分たちの判断で続けられる
まとめ
今回の放送は、映画プロモーションの「やめどき」について、前作の経験と合理的思考を踏まえつつ、「それでも今回は終わらせない」という結論に至る過程が語られた回でした。
「損切りして次に行く」ことの合理性を十分に理解しながら、それを超える戦略──流通を自前で持つことで終わりの概念そのものをなくす──を提示しているのが印象的です。CHIMNEY TOWNの常設拠点開設という具体的な動きとも連動しており、単なる精神論ではなく、仕組みで裏付けられた判断であることが伝わってきます。
- モフぎゅうぎゅう展は4月22日で終了。企画立案から10日で実現した急造イベントが大ヒットに
- 前作のプロモーションが終わった理由は「体調崩壊」と「事務所退所」の2つだった
- 8万部→10万部の最適解は「新作を出す」こと。損切りは合理的な判断である
- しかし今回は強制終了の要因がなく、続けられる体制が整っている
- 「自分で本屋さんを作れば本は売り続けられる」──流通を自社で持つことで、プロモーションを終わらせない戦略へ
- CHIMNEY TOWNの常設拠点が今月末に発表予定。「終わらせない勝負」を支える具体的な動き
