クオリティよりポジションの時代
ChimneyTownとして次に力を入れたい事業はいくつかあるのですが、僕が会社の命運をかけていると言えるのは、やっぱり美術館です。
なぜここまで力を入れるのか。それは、今はもう誰もが発信するようになって、クリエイターがものすごく増えたからです。
もう80億人がクリエイターと言っても過言ではない。この時代に何が大切になってくるかというと、クオリティよりもポジションなんですよ。
もちろんクオリティは絶対に必要です。ただ、その上で、何者で、どこで活動していて、どこに根を張っているのか。「○○といえばこの人」になれているかどうか。そこを取らなきゃいけないと思っています。
そう考えたときに、渋谷にオフィスを構えている場合じゃないなと思ったんですね。
お客さんがいる場所で働く
それで、ChimneyTownのメインの機能は河口湖に引っ越そう、と決めました。オフィスと売り場を離さないという考え方です。
お客さんがいるところで働くと、お客さんがどんな顔をしているのか、何に興味を持っていて、何に飽きてしまったのかが、見てわかるわけじゃないですか。
昨日もここでミーティングをしていたんですけど、窓を開けたらお客さんがいる。「あっちの方に人が流れてるな」というのがわかるから、ミーティングの精度も上がるんですよ。
『河口湖 音楽と森の美術館』には、まずは年間20万人をコンスタントに動員するところから始めます。今年は18万人ぐらいかなと思いますけど、来年以降はいけそうかなと。
それだけの人の動きのデータが毎日取れるのは、やっぱり大きい。今はインバウンドが3割から4割ぐらいで、特に台湾からのお客さんが本当に多いですね。
日本発のエンタメカンパニーで、観光を押さえないわけにはいかないと思うんです。日本の才能って、エンタメ、食、そして観光ですから。富士山を押さえているのも、どう考えても強い。
だからここには、ChimneyTownとして最大の投資をするんじゃないかなと思っています。
子供エンタメを見下していた自分を反省した話
もう一つ力を入れたいのが、子供エンタメです。実はこれ、少し前まで僕は後ろ向きな見方をしていたんですね。
舞台エンタメって何層かに分かれていて、特定の出演者のファンが客席を埋めるインフルエンサー集客の舞台や、ご家族が我が子を見に来る子供エンタメがあります。
僕はそのどちらにも懐疑的で、自分がやるのは「箱にファンをつける」ことだと思っていました。誰が出ていようが関係なく、ChimneyTownのエンタメだから見に行く。それを作るんだ、と。
集客としてはこれが一番難しいんです。だから僕はそこに体重を乗せてきました。去年の夏のミュージカル『えんとつ町のプペル』も、出演者を発表する前にチケットを売っていたくらいです。
ただ、その考えが変わる出来事があって。ミュージカル『えんとつ町のプペル』でルビッチ役をやっていた小笠原栞奈さんから連絡があって、彼女が出ている子供エンタメを見に行ったんです。
僕は正直、栞奈さんしか出演者を知らなかった。でも、緊張しながらステージに立つ子供たちを見ていたら、「あいつら練習したんだよな、頑張ってるよ」と思って、気づいたら惜しみない拍手をしていました。
子供エンタメも、ご家族エンタメも、絶対になくなることはないし、これで救われている人がいる。それを否定しちゃダメだなと、ちょっと反省しましたね。
だからChimneyTownとしても、ここを仕掛けていこうと思っています。今年の12月に動きがあるので、また改めてご案内します。
世界最大の祭りを作りに行く
イベントについても、個人的にかなり実現の確度が高いと思っているプロジェクトがあります。
3日くらい前にミーティングをして、そこで完全に覚悟を決めたんですけど、世界最大の祭りを作りに行きます。
何をもって世界最大かというと、シンプルに動員数です。動員数で世界一を取りに行くということですね。
今年は3、4万人ぐらいからのスタートですが、最終的には100万人ぐらいを動員する祭りを、あと5年ぐらいでいけるんじゃないかと思っています。
隠しても仕方がないので白状しますけど、狙っているのはハロウィンです。実はこれ、映画『えんとつ町のプペル』を書き始めた2013年頃から、13年ぐらい狙ってきたことなんです。
今年でリリースから10周年ですし、この辺でどんと仕掛けようかなと思っています。
下の世代に「もっとでけえことやれ」と発破をかける理由
採用についても、若手にはもうゴリッと行けやと思っています。順番待ちとか声をかけられ待ちなんてしていないで、自分から手を挙げてほしい。
以前、クリエイティブキャンプのときに、フェイフェイという後輩と鹿児島で飲んでいて、だんだんムカついてきて「お前もっとでっかいことやれや」と説教したことがあるんです。
「俺だったらこの距離に西野がいるんだから、ChimneyTownを買収するとか乗っ取るぐらいのことをやるぞ」と。酒の席でおっさんに説教されるの、嫌ですよね。でも、それくらいの気概を持てということです。
なぜそんなことを言うかというと、僕にはいつか見ている夢があるからです。
今はあらゆるエンタメプロジェクトに、原作、脚本、製作総指揮みたいな形で入っています。でも最後の最後は、自分が全くタッチしていない、とんでもないスケールのエンタメを、ただのお客さんとして見に行きたいんですよ。
子供の頃、川西のダイエーの駐車場にプロレスのリングが組まれて、「何が起こるんやろう」とワクワクしながら見に行った、あの時間に戻りたい。
普通にチケットを買って見に行って、見終わった後に飲みに行って「あそこああやったな」と話す。そういうお客さんをやりたいんです。
そのためには、どんどん下の世代に渡していかなきゃいけない。僕にできるんだから、下の世代はもっとできるはずですから。
そういうやつがいたら、ぜひChimneyTownに入ってほしい。DMください。
最後にお知らせを一つ。映画『えんとつ町のプペル~約束の時計台~』の上映イベントに全国の子供たちを招待したいというクラウドファンディングを立ち上げました。よかったらご支援いただけると嬉しいです。
それでは素敵な一日をお過ごしください。じゃあまたね。
まとめ
ChimneyTownが次に力を入れるのは、河口湖の美術館、子供エンタメ、世界最大の祭りです。クオリティよりポジションの時代に、お客さんがいる場所で働きながら、最後は下の世代に渡していきたいと考えています。
- 今の時代はクオリティよりポジションが大切。だからお客さんがいる河口湖に会社ごと引っ越す
- 見下していた子供エンタメも、実際に見て「これで救われる人がいる」と考えを改めた
- 動員数で世界最大の祭り(ハロウィン)を、あと5年で100万人規模を目指して作りに行く
- いつか自分がタッチしないエンタメを客として見たいから、若手に「もっとでけえことやれ」と発破をかけている


