中小企業の社長の歩き方──「必死」が揶揄される世界を次の世代に渡してはいけない
西野亮廣エンタメ研究所を運営する西野亮廣お笑いコンビ・キングコングのメンバー。絵本作家、映画プロデューサーとしても活動し、CHIMNEY TOWNの代表を務める。さんが、西野さんの朝礼で映画の舞台挨拶ツアーの最中に語った回です。「必死じゃん」「惨めだ」という声に対し、中小企業の社長が足で稼ぐことの意味と、挑戦者の必死さが揶揄されてはならない理由を訴えました。その内容をまとめます。
タビオ×プペルのコラボソックスの紹介
冒頭では、映画の舞台挨拶でイオンシネマイオングループが運営するシネマコンプレックスチェーン。全国のイオンモール内に展開されている。を訪れた際に見つけた、タビオ靴下専門の日本企業。「靴下屋」ブランドで全国に店舗展開し、国産靴下のメーカーとしても知られる。とのコラボソックスが紹介されました。ルビッチのワンポイント刺繍が入った靴下で、子供用・お父さん用・お母さん用と複数のカラーバリエーションがあるとのこと。
異常に可愛いです。大人の方もこれ、おじさんがこれ履いてるとめっちゃイケてる
デニムにスニーカー、ワンポイントでプペルの靴下という組み合わせが非常にかわいいそうで、音声では伝わらないからとにかく見てほしいと熱弁していました。気になる方はこちらのリンクからチェックできます。
「必死じゃん」という声が毎日飛んでくる
現在、映画『えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜2026年春公開の映画。西野亮廣が製作総指揮を務めるCHIMNEY TOWN制作のアニメーション映画で、前作『映画 えんとつ町のプペル』(2020年公開)の続編。』を届けるために全国の映画館を回っている西野さん。兵庫で5ステージ、大阪で8ステージ、京都で4〜5ステージと、3日間で18ステージをこなすという壮絶なスケジュールです。30分の一人喋りが8回なので、1日だけで約4時間のワンマンショーに相当します。
こうしたどぶ板営業もともとは政治家が選挙区を一軒一軒回る地道な選挙活動を指す言葉。転じて、足を使って地道に顧客や支持者を獲得する営業手法全般を意味する。・草の根運動を続けていると、ネット上から毎日のように批判が飛んでくるといいます。
映画のランキングでトップ10に入るような作品の監督やプロデューサーは、表立ってこのようなどぶ板営業をしていません。そこと比べれば「必死に見えるだろうし、惨めにも見えるだろう」と西野さん自身も認めています。
大企業と中小企業の決定的な差
ここで西野さんは「これは自分のための言い訳ではない」と前置きしたうえで、構造的な事実を共有しました。社員が何百人・何千人もいるディズニーウォルト・ディズニー・カンパニー。世界最大級のエンターテインメント企業で、映画・テーマパーク・メディアなどを幅広く展開。やハリウッドの大手スタジオ、ドラえもん(シンエイ動画『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』などの国民的アニメを制作するアニメーション会社。テレビ朝日グループ。)、集英社『週刊少年ジャンプ』をはじめとする漫画誌や書籍を発行する大手出版社。ONE PIECEなど世界的ヒット作を多数抱える。、テレビ局などとは、そもそも一つの作品にかけられる広告宣伝費が桁違いに異なるということです。
社員 数百〜数千人
潤沢な広告宣伝費
全国メディア露出
社員 14〜15人
限られた宣伝予算
社長が足で稼ぐ
CHIMNEY TOWN西野亮廣が代表を務める会社。絵本・映画・イベント・オンラインサロンなどのエンタメ事業を少人数で運営している。は社員14〜15人の小さなベンチャー企業。同じ映画館の棚に並んでいるからこそ「同じ土俵にいる」と錯覚されがちですが、使えるリソースの規模はまったく異なるのです。
同じ棚に商品が並んでるからちょっと紛ってしまうかもしれないんですが、一つの作品にかけられる広告宣伝費が全然違ったりするんですね
この声が「全国の中小企業の社長さん、小さなベンチャー企業の社長さん、個人事業主さんに向かわないように」と、自分だけの問題ではないことを強調していました。
社長が地べたを這う理由
まだまだ小さい会社は、まず社長が足で稼ぐしかない──これが西野さんの主張の核心です。潤沢な資金や信用に支えられて大きな広告を打ち、「港区でワインを傾けながら戦略を語る」ことができれば確かにかっこいい。でも、それができていないのは誰のせいでもなく自分の力不足であり、それでもなお社長には守るべきものがあると語りました。
ブランド品も高級車も港区女子も要らない。自分のことはどうだっていい。スタッフとその家族、スタッフと過ごした時間や思い出、そして子供たちの未来──それを守るために「ボロをまとって、臭くなって、ゴミ人間をやっている」のだと力を込めました。
守るべきもの
スタッフ・スタッフの家族・作品・子供たちの未来
使えるリソース
大手のような広告費・人員はない
唯一の方法
地べたを這いずり回ってでも、泥水をすすってでも、社長が足で稼ぐ
「必死」が揶揄される世界を渡してはいけない
ここからは「中小企業の社長」だけでなく、「すべての挑戦者」の気持ちを代弁するパートに移りました。自分が作った作品や商品のお客さんの呼び込みに声を枯らす姿がバカにされる世界を、次の世代の子供たちにそのまま渡してしまうのは「絶対にダメだ」と断言しています。
パン屋さんがパンを一生懸命売るなんて当たり前の話じゃないですか。焼肉屋さんが集客に声を枯らすなんて当たり前の話じゃないですか
パン屋がパンを売る。焼肉屋が集客に声を枯らす。親が熱で苦しむ子供を抱えて夜中に病院に駆け込む。どれも「当たり前」のことであり、その必死さが揶揄されていいわけがない──西野さんはそう畳みかけました。
これは自分個人のケンカではなく、これから挑戦する人や、挑戦のただ中で周囲の声に押し潰されそうになっている人の背中を押すための「代理戦争」だと位置づけました。だからこそ「絶対に負けちゃダメだよね」というのが、この回の結論です。
まとめ
この回は、映画の舞台挨拶ツアー中に収録された、西野さんの率直な「覚悟表明」でした。言い訳と捉えられるのが嫌であえて言ってこなかったことを、同じ立場で戦う人たちのために言葉にしたのが今回のエピソードです。
大企業と中小企業ではリソースがまったく違う。だからこそ社長が自ら泥臭く動くのは、みっともないことではなく「それしか方法がない」という構造的な必然です。そして、その「必死さ」が揶揄される世界を次の世代に渡さないために、「絶対に負けちゃダメ」──それが西野さんの結論でした。
- CHIMNEY TOWNは社員14〜15人の小さなベンチャー。大企業とは広告宣伝費もリソースも桁違いに異なる
- 中小企業の社長には「足で稼ぐ」以外の選択肢がない。それは力不足の結果であっても、守るべきスタッフや家族がいる以上、やるしかない
- 自分が作った作品を一生懸命売ることは当たり前のこと。その「必死さ」が揶揄される世界を次の世代に渡してはいけない
- これは個人のケンカではなく、すべての挑戦者の背中を押すための「代理戦争」。だから絶対に負けちゃダメ
