女の子が通る「薄紫色」とモフの人気
冒頭は、煙突町を舞台にした作品に登場するキャラクター「モフ」の話題から始まります。
モフは現在のちむにぃタウンで人気ナンバーワンのIPキャラクターになっていて、西野さんの頭の何割かは常にモフのことになっているといいます。
街を歩くと目に入ってくるのが、モフの色であるピンク寄りの薄紫色だと西野さんは話します。
そして小学校低学年くらいまでの女の子が身につけているパーツに、この薄紫色が高い割合で使われていることに気づいたそうです。
なんかね、女の子って薄紫色通るんですよ。
モフのグッズを出すと、女の子はそれを身につける傾向があるといいます。ベルトループやキーホルダー状のぬいぐるみを、薄紫色ごと身につけるのだそうです。
一方で男の子が身につけているものには、薄紫色はあまり見られないと西野さんは対比します。
モフの色はそこを狙って決めたわけではないものの、結果的に今の人気の一因になっているのかもしれない、というのがこの話の着地点です。
歩きながらの公開収録と、川口の美術館の告知
ここで西野さんは、朝に歩きながらダラダラ喋りたいと思い、公開収録という形にしていると説明します。
お知らせとして、ちむにぃタウンが運営を預かる川口こども音楽と森の美術館で、7月31日と8月15日にビアガーデンを開催することを紹介します。
河口湖の湖畔で沈む夕日や富士山、ライトアップされた美術館を見ながら過ごす時間そのものに豊かさがあると語ります。
さらにこの2日は経営者や投資家など、周囲のそうした人が集まる日でもあるため、川口周りでエンタメを仕掛けたい人にも来てほしいと呼びかけます。
そして本日よりチケット発売として、7月31日に同美術館で「毎週キングコング」の公開収録が決まったことを発表します。
公開収録は幕張メッセ以来だといい、二人で向き合って喋る番組なので公開収録に向いていないのではと迷っていたと明かします。
チャンネルってもう二人で向き合って喋ってるからさ、途中お客さんのことガン無視で喋ってるじゃない、どう考えたって。
ただし美術館には200席ほどのホールがあり、その規模ならいつも通り向き合って話せると考えたそうです。
公開収録は7月31日16時から、ビアガーデンの前に行われると案内されます。
AI時代に価値が出る「アンカー」とは
咳を挟みつつ、西野さんは本題であるAI時代の話に入ります。
結論として挙げたのが「アンカー」です。AIで生成できないもの——土地、時間、プロセス、思い出、癒着といったものを絡めていかないと、あらゆるエンターテインメントは淘汰されると語ります。
そしてこのアンカーの価値が、今めちゃくちゃ上がっていると強調します。
多くのクリエイターを見ていると、このアンカーを絡めずにやっている人が少なくないと西野さんは指摘します。
なんかもうAIが最先端だみたいな感じで、ものを作って発信されてる方いらっしゃるんですけども、僕目線からすると結構危ない。
AIそのものに体重を乗せるやり方には、あまり未来がないと考えているそうです。
地面を絡めるちむにぃタウンのエンタメ
ちむにぃタウンが最近やっていることは、完全に地面を絡めたエンタメだと西野さんは言います。
川口こども音楽と森の美術館は、その場所に行かないと体験できない地面そのものです。
「毎週キングコング」も公開収録という形で地面と掛け合わさり、河口湖観光や富士山観光ついでに立ち寄れる人の流れの中にコンテンツを置く発想だと説明します。
これまでちむにぃタウンがやっていなかったビアガーデンも、あの景色の中でやるからこそ価値が出てくるといいます。
従来、土地を持つことは固定費がかかり経営的に重いと考えていたそうです。しかし西野さんは、その考えを見直したと語ります。
誰も見ていないPR費を毎月かけるぐらいだったらば、毎月土地代を払ってる方が幾分いいだろう。
こうした理由から、今は積極的に場所を取りに行っているとのことです。
星空ウォークが教えてくれた「場所に働いてもらう」発想
場所への興味の原点として、西野さんは昨年夏の「ミュージカル えんとつ町のプペル」での試みを挙げます。
KAAT神奈川芸術劇場の床を全部はがし、そこに10万発の照明を仕込んで星空や星の海を作ったといいます。
本編で星空が広がるのは、煙が晴れるラストのわずか1〜2分だけでした。その一瞬のために10万発を仕込んだそうです。
その一瞬しか体験できないのはもったいないと考え、終演後や休演日に客席を開放する「星空ウォーク」を別チケットで販売しました。
客席の照明を作り込み、お客さんはその空間を歩くだけ。これがチケット完売になったといいます。
客席に働いてもらうっていう発想だったんですね。あの空間に働いてもらうっていう発想だったんですね。
終演後なのでキャストもおらず人件費はあまりかからないのに、チケットは即完売で取り合いになったそうです。
この体験から、場所そのものの強さに手応えを感じ、ついには美術館という場所に働いてもらう段階まで進んだと振り返ります。
千年砦と、タイタニックに乗り遅れたオルゴール
現在の最新作として西野さんが挙げるのが「千年砦」です。
これは絵本や映画のような作品ではなく、お客さんが歩いて回る空間、インスタレーションだと説明します。
千年砦のコンセプトは、世界中の時間を守っている砦です。美術館にある歴史的なオルゴールを一堂に集め、その中を歩く空間作品だといいます。
これまで隅に追いやられていたオルゴールこそが、今誰も作れない価値だと西野さんは気づいたそうです。
これこそが今誰も作れないものじゃん。このオルゴールのビジュアルもそうですけど、このオルゴールの時間。
象徴的な一台として紹介されるのが、タイタニック号に乗り遅れたオルゴールです。
本来タイタニック号の客席に積むはずだったものの、さまざまな事情でギリギリ乗せられなかったのだといいます。
観客からのコメントで、ドイツの職人が納期を守らなかったことが理由だと補足されます。当時は誰かがひどく怒られたはずだと西野さんは想像します。
しかし納期を守らなかったおかげで、そのオルゴールは沈まずに残りました。沈まなかったタイタニックとして縁起もいいと語ります。
この歴史と時間そのものは、AIでは絶対に生成できません。だからこそここでしか体験できない戦い方をもっとすべきだと西野さんは述べます。
手書き・スケッチブックの価値が明らかに上がった
美術館の話を離れ、西野さんはもう一つの実感を語ります。ちむにぃタウンのカレンダーを、最近は手書きで描いているという話です。
同級生で社内で頑張るゲンタさんに「あんたが描きなよ」と言われ、3年ほど前から西野さん自身が手書きで描くことになったそうです。
この手書きの制作過程や写真をSNSに上げたときの反応が、2年前と明らかに違うと西野さんは言います。
手書きとかね、スケッチブックとかね、ボールペン、鉛筆、消しゴムの価値がめちゃくちゃ上がってる。反応がめっちゃいい。
手書きの絵は以前から上げていたものの、当時はここまでの反応はなかったといいます。
今はみんながAIのイラストや動画を見尽くしたため、写真の隅に鉛筆やボールペン、消しゴムが写っているだけで反応がまったく違うのだそうです。
手書きは「AIじゃないですよ」という証明そのものになっているという解釈です。
一方でiPadなどデジタル上に描くと最終的に区別がつかなくなるため難しいと指摘します。だからこそ紙に描く、質量のあるものを絡めることが大事だと語ります。
すごい絵でも2Dのデータだと「AIでいったんじゃないの?」となりますが、スケッチブックと鉛筆と消しゴムで描かれていれば「時間がかかっているな」と伝わり、そこに時間が発生するというわけです。
改めてクリエイターに向けて、AIでは再現できないものを一度発信してみてほしいと西野さんは呼びかけます。2年前とまったく反応が違うはずだといいます。
どれだけ良い絵でも「AIで作ったのでは」と疑われやすい
鉛筆・消しゴムの跡が時間の証明になり、反応が明らかに良い
まとめ
AI表現が日常になった今、価値が移ったのは「AIで生成できないアンカー」だと西野さんは語ります。土地、時間、プロセスといった質量のあるものを絡めることが、これからのエンタメの鍵になるという回でした。
- AIで生成できない土地・時間・プロセス・思い出などの「アンカー」に価値が集まっている。
- ちむにぃタウンは美術館・公開収録・ビアガーデンなど、場所を絡めたエンタメへ舵を切っている。
- 星空ウォークは「空間に働いてもらう」発想で、人件費を抑えつつチケット即完売になった。
- 千年砦やタイタニックに乗り遅れたオルゴールは、AIで再現できない歴史と時間を武器にしている。
- 手書き・スケッチブックの反応は2年前と明らかに変わり、「AIじゃない」証明として価値が上がっている。

