生配信への移行とVoicyの課題
この回は、起きて5分ほどで「面白そうだ」と勢いのまま収録ボタンを押した、寝起きの公開収録として始まります。
西野さんは最近、あらかじめ録音するよりも生配信の方が「今っぽい」と感じ始めていると話します。理由は、リスナーのコメントを読み上げる双方向のやり取りにあります。
この双方向のやりとりがあった方が、人っぽいじゃないですか。AIっぽくないじゃないですか。
話題は、投げ銭(スパチャ)が届いたことをきっかけに、Voicyの今後へと向かいます。
西野さんは、Voicyがどこかで収益を作らなければならないという課題を以前から気にかけていると言います。
Voicyってどっかでお金作んなきゃいけない。それはVoicy社も作んなきゃいけないし、パーソナリティも、Voicyでお金作れる場所になってないと、パーソナリティさんも離れていくと思うんですよね。
その上で、パーソナリティ同士で集まってVoicyの未来を考える合宿をやりたい、という思いも語られました。
チムチケが回り始めた話
続いて、CHIMNEYTOWNが2025年3月に立ち上げた独自のチケット販売サービス「チムチケ」が、最近うまく回り始めたと報告されます。
きっかけは、イベントでチケットを売り続けるたびに販売手数料を払い続けるのがもったいない、という発想でした。
自分たちが利用するやつ、定期的に利用するやつはもう自分たちでやっちゃおうみたいな感じで、すぐ独立するんですよ、僕らは。
リスナーからは「日程順に表示してほしい」「探すのが大変」というコメントが寄せられました。
西野さんは、通常のチケット販売サイトと違い、チムチケでは「どこでどんなイベントをやっているか」をスクロールして探す動きが起きていると指摘します。
チムチケはチムニータウン周りのイベントをやってるから、チケット販売サイトの中でサーフィンがあるんですよね。
さらに、チムチケには西野亮廣講演会や、一般の人が主催するえんとつ町のプペルの上映会のチケットも並びます。
つまりチムニータウン以外の人の応援もできる場になっている、という点をこの文化の良さとして挙げ、見やすく整理すると約束しました。
美術館をスポンサー型に変える
3つ目の話題は、CHIMNEYTOWNが運営を引き継ぎつつある川口音楽と森の美術館のビジネスモデル改革です。
西野さんがまず気になったのは、館内のコンテンツの少なさでした。コンサートホールもオルガンホールも、一部の時間しか稼働していなかったといいます。
美術館なのに稼働していない時間があることに、西野さんは違和感を覚えます。
モナリザって24時間365日働いてるわけじゃないですか。稼働してない時間なんかないじゃないですか、美術品とか。
もう一つの問題は、ミュージアムショップの商品とコンテンツの割合でした。コンテンツが少ないのに商品ばかり多く、物産展のようになっていたと指摘します。
一方で、それでも来館者は途切れず流れていました。西野さんはそこにポテンシャルを見いだします。
人は流れてるわけですから、お客さん来続けてるわけですから。これはちゃんとテコ入れをすると伸びるなと思ったんですよね。
最初に手をつけたのはグッズ売り場です。売れていない商品を3〜4割間引いても売り上げは変わらないと見て、空いたスペースにコンテンツを入れる方針をとりました。
地下1階を「西野亮廣展」とし、絵本の原画やコマ撮りアニメーションの美術セット、AI映像の最新作などを展示。物販ではなく展示スペースに転換しました。
そのうえで、展示に「マンスリースポンサー」を付けたのが今回の要です。1か月14万円ほどのスポンサー枠は、向こう2年分がすでに完売したといいます。
同じ手法をオルガンホールにも展開します。館内に大量にあったオルゴールを集め、照明を落として床を黒く張り替え、「夜のオルゴールの森」を練り歩く作品に仕立てました。
この作品「千年砦」のマンスリースポンサーは17万6000円で、募集からわずか2日で20か月分が売れたと報告されました。
商品を間引いた分だけコンテンツが増え、売り上げも上がる。西野さんはこの仕組みに手応えを感じていると話します。
グッズ販売中心。商品数は多いが売れ残りもあり、稼働しない空き時間やコンテンツ不足があった
売れない商品を間引き、空いたスペースを展示に転換。作品にマンスリースポンサーを付けて収益化
クリエイティブに集中するためのCFO
4つ目は、CHIMNEYTOWNに新たにCFOが加わったという話です。
西野さんは、自分はクリエイティブに集中したいため、お金の心配をしたくないと語ります。CFOには守りと攻めの両面の判断を任せる考えです。
財布が枯渇してきたらここを捨てて、余裕が出てきたらここに投資した方が投資対効果でかい、そういう攻めと守りの判断をしてもらおうと思って。
採用したのは若手ではなく、西野さんより1つ2つ下の年齢の現役の実力者だといいます。実際にCHIMNEYTOWNの財務を分析してもらい、その仕事ぶりに「プロだ」と実感したと話しました。
なお話の途中では、前日にSNSへ投稿した経営者へのメッセージも紹介されました。うまくいかないと嘆く経営者に向けた言葉です。
西野さんは、経営者はもともと十打数一安打が日常であり、最近うまくいかないと感じるのは疲れているだけだと語ります。だからこそ、しっかり食べて筋トレをして、また絶望と向き合えばいいという趣旨のメッセージでした。
ハロウィンで世界一の祭りを狙う
5つ目は、CHIMNEYTOWNが本格的に取り組むハロウィンの構想です。前日には大阪でイベントのミーティングも行われたといいます。
西野さんは、何かで一度は世界一を取っておきたいと考えており、動員数で世界一の祭りは十分に射程圏内だと話します。
世界一の動員を狙うなら、ホールに人を呼ぶのではなく、すでに人がいる街の真ん中で一気に展開するしかない、というのが基本方針です。
すでに人がいるところの、絶対こんなとこ許可なんか取れないでしょっていうとこでやっちゃって、一気にたくさんの人に届ける。
なぜハロウィンなのか。西野さんは、ハロウィンの面白さは自分が主役になれる点にあると説明します。
つまり最強のIPはキャラクターではなく舞台、すなわち背景だと考えています。
多くのハロウィンイベントがカボチャやコウモリの装飾に終始し、その他大勢に埋もれてしまう。それに対し西野さんは、確実に背景のIPを取りに行くと言います。
この発想は、えんとつ町のプペルを作るときから貫かれてきたものです。西野さんは、名探偵コナンやドラえもんはキャラクターに体重が乗った作品だと例に挙げます。
一方で、キャラクター偏重のIPは、VRのような没入型コンテンツとは相性が悪いと指摘します。
VRゴーグルつけて目の前にドラえもんがいても、テレビやスマホで見るのと何が違うのって話じゃないですか。
そのため、えんとつ町のプペルではキャラクターと背景のパワーバランスを3対7、あるいは2対8に設定したといいます。会社名を「チムニータウン(煙突町)」としたのも、背景を取るためでした。
そして今年の目標として掲げられたのが、具体的な動員数です。すでに鹿児島・霧島市のメインストリートや大阪など、複数の街で同時多発的に展開する計画が進んでいます。
この構想を同時多発的に実現するには、乗ってくれるクリエイターがもっと必要だと西野さんは呼びかけます。将来的には海外の街でも展開したい考えです。
子供たちが立ち上げるCHIMNEYKIDS
最後の話題は、西野さんが「キュンとする」と語ったCHIMNEYKIDSの立ち上げです。
きっかけは、去年ミュージカル『えんとつ町のプペル』でルビッチ役を演じたカンナさんから届いた1通のDMでした。カンナさんと子供2人、あわせて3人でチムニーキッズを立ち上げたいという内容です。
彼らは9月ごろに、えんとつ町のプペルの上映会を子供たちだけで主催・運営することに挑戦したいといいます。
子供たちが自分たちで手挙げて、やるって言ってんだよ。もしかしたら俺が見たかった未来、これかもしんないなと思いましたね。
もちろん、お金回りなど子供だけでは難しい部分は大人が裏でサポートします。それでも旗を振るのは子供たちです。
西野さんは、こうした経験を子供のうちにするかどうかは非常に大きいと語ります。その背景には、自身が運営する「西野亮廣お金の学校」での考え方があります。
いいから商売しろ。ちっちゃくてもいいから一回商売してみろ。買ってもらえなかったっていう経験、その痛みも、なるたけ早いうちに入れとけ。
相手の気持ちを考えなければ商品は売れず、お金を預かるとはどういうことかも早いうちに体で学んでおくべきだ、という考えです。実際に「親のアカウントを借りてメルカリをやってみる」といった宿題も出しているといいます。
そうして学んだ子たちが自分たちでイベントを運営する。西野さんは、これを「いい未来のいい展開だ」と受け止めていました。CHIMNEYKIDSの名前は8月頭ごろから耳にするようになるといいます。
まとめ
寝起きの公開収録という肩の力を抜いた場ながら、Voicyの課題からチケット販売、美術館改革、財務体制、ハロウィン戦略、次世代の育成まで、西野さんの事業の現在地が幅広く語られた回でした。
- 生配信は双方向のやり取りが「人っぽい」と感じ、Voicyの収益化の課題を仲間と考えたいと話す
- 美術館は販売型からスポンサー型へ転換し、商品を間引いた分をコンテンツに置き換えて売り上げを伸ばした
- クリエイティブに集中するため、攻めと守りの財務判断を担うCFOを新たに迎えた
- ハロウィンは「背景(舞台)のIPを取る」戦略で、今年100万人、将来的に毎年1000万人の動員を狙う
- 去年のルビッチ役カンナさんら子供たちが自主運営するCHIMNEYKIDSが、西野さんの理想とする未来として動き出している






