渋谷より河口湖の方が集まりがいい
西野さんは最近、興味深い現象が起きていると話します。経営者やクリエイターに声をかけたとき、渋谷や六本木よりも河口湖の方が集まりがいいというのです。
経営者とかクリエイターの皆さんにお声がけした際ですね、渋谷よりも河口湖の方が集まりがいいって話です。
この結果に、西野さん自身もなんとなく納得していると言います。たとえば友人の経営者から、六本木の人気店を予約したから来てほしいと誘われても、行かないそうです。
いや、すいません、ちょっとスケジュールが埋まってまして、とか言っちゃって、僕行かないですよ。
一方で、金沢や河口湖で「面白いことを仕掛けようと思ってるから見に来てくれない、夜飲もうよ」と誘われたら、適当な宿を取ってサクッと行ってしまうと言います。
なぜ河口湖には行きたくなるのか
その理由は、河口湖には六本木や渋谷とは違って「息抜き」という意味合いが含まれるからだと西野さんは考えます。
さらに、東京から離れた場所で待ち合わせた方が、普段とは違う関係性を築けるのではという期待もあると話します。仕事の話だけでなく、もう少し腹を割った付き合いができそうな気がするのだそうです。
これは海外で出会った人となぜか仲良くなってしまう感覚に近いといいます。東京で若手に声をかけられても「頑張ってね」で終わりがちですが、ニューヨークで同じことがあれば「一緒に飲もう」となる、と例を挙げます。
日常からちょっと離れたとこで出会うとですね、すごい仲良くなるみたいな。距離が縮まるみたいなことってあるじゃないですか。
どうせ時間を使うなら、と考えたときに、六本木よりも河口湖に軍配が上がってしまうのだと西野さんは語ります。
僕らが持つ「3つの地図」
この現象を、西野さんは3つの地図という考え方で説明します。まず物理的な距離を表すオーソドックスな日本地図があります。
次に、目的地までの所要時間をベースにした「時間地図」があります。行きやすい場所は近く、行きにくい場所は遠くなるため、日本列島がウニのようなギザギザの形になると言います。
たとえば時間地図では、東京から島原の奥よりも、ハワイの方が近いといったことも起こり得ると説明します。
そして3つ目が、心理的な距離をベースにした「精神地図」のようなものです。世の中には存在しませんが、僕らの心の中には必ずあると西野さんは言います。
目的地までの所要時間をベースにした地図。行きやすさで距離が決まり、日本列島がウニのような形になる
心理的な距離をベースにした地図。親戚が住む場所は近く感じ、誰もいない場所は遠く感じる
物理的にも時間的にも遠いのに、心理的には六本木よりも河口湖の方が近い。そういう場所が存在するという話です。
名古屋はなぜ「遠い」のか
西野さんが今注目しているのは、経営者が最も多く住む東京から、心理的に近い場所です。
たとえば名古屋は、品川から新幹線で一時間半。物理的にも時間的にもそれほど遠くありません。それでも「名古屋集合」で人が集まった試しがないと言います。
なんか遠いんすよね、名古屋って。
収録中には「大阪からも名古屋は遠い」というコメントも届きました。大阪から名古屋は一時間で行けるのに、心理的には遠いというのです。
沖縄は場所として魅力的ですが、飛行機という行為自体の心理的コストが意外と高いと指摘します。天候による欠航リスクがあり、帰ってこられない可能性があるためです。
車で行ける場所なら天候が悪くてもどうにか帰れますが、飛行機は欠航すると次の仕事に穴を開けかねません。継続的に人が集まる拠点として定着させるのは難しいと言います。
河口湖という絶妙な距離感
その点、河口湖は絶妙な場所にあると西野さんは言います。東京から約百キロ、車でおよそ一時間半。遠いと判断するほんの少し手前にあるのです。
遠いって判断するほんの少し手前にあるんです。
車で三時間になると気が重くなりますが、一時間半ならちょっと喋っているうちに着く。この距離感が絶妙だといいます。
ただし、近ければいいという話ではありません。渋谷から吉祥寺までは車で四十分ですが、西野さんは吉祥寺の方が河口湖より遠く感じると話します。好きな街だけれど「よっこいしょ」となるのだそうです。
ここからは仮説だと前置きしつつ、西野さんは脳の分類について語ります。六本木や吉祥寺は「仕事先」として分類され、河口湖に行くことは「旅行」として分類されているのではないか、というのです。
四十代は「誰と組むか」の時代
西野さんは、人生の四十代を「貿易の時代」と呼んでいます。二十代、三十代で築いた資産をどこで売るのか、そしてその資産を使って誰と組むのかが重要になる時代だという意味です。
その例として、ひろゆきさんとヒカルさんが事業のバトルをする番組を挙げます。あの領域になると、ゼロから何かを作るよりも、自分が持つ資産や人脈で誰と組むかがゲームになっていたと語ります。
ゼロイチで何かっていうよりも、自分が持ってる資産、人脈、誰と組むかなんですよね。
だとすれば、ポテンシャルの高い人が自然と集まりやすい場所に拠点を構える方が、新しい出会いや企画が生まれ、次の人を呼び込んでいくと西野さんは考えます。
以前はその場所は東京だと思っていましたが、最近考えが変わったと言います。東京よりも河口湖の方が、心理的に近いという条件を満たしているというのです。
物理的な距離ではなくて、時間的な距離ではなくて、精神的な距離で近いところを押さえると強いよねっていうお話をさせていただきました。
まとめ
西野さんは、人が集まる拠点を選ぶとき、物理的な距離や所要時間だけでなく「心理的な距離」が大きく効くと語りました。河口湖は仕事をするには非日常で、旅行するには近いという絶妙な位置にあり、その距離感が人を集めていると考えられます。
- 渋谷や六本木より河口湖の方が経営者やクリエイターの集まりがいいという現象がある
- 僕らは物理的な地図、時間地図、心理的な精神地図の3つを持っている
- 名古屋は物理的・時間的には近いが、心理的には遠く感じられて人が集まりにくい
- 河口湖は東京から車で一時間半、遠いと判断する少し手前の絶妙な距離にある
- 四十代は誰と組むかの時代であり、心理的に近い場所を押さえることが強みになる
