YouTube発の事業を応援する「投資村」というイベント
冒頭で西野さんは、2つのイベントの告知をしています。1つ目は9月19日に川口こん音楽と森の美術館で開催される「投資村」という番組の公開収録です。
発想のきっかけは、今のYouTubeへの違和感でした。既存のサービスを売るための動画は多いものの、YouTubeから始まった事業はほとんどないと西野さんは感じています。
ドキュメンタリー形式でお届けしようとすると、再生回数のために喧嘩や説教のコンテンツになりがちだと指摘します。志願者はポンコツな方が動画的に「美味しい」という構造も生まれてしまいます。
なんかそこから何も始まってないなと思ってるんです。YouTubeから始まった事業とかって全然ないなと。
そこで西野さんは、再生回数ではなく「その会社が動かしたお金」に光を当てる方向を選びました。挑戦したいがお金がない人が挑戦できる世界をつくる、という狙いです。
仕組みはこうです。志願者が事業を提案し、西野さんや事業投資型クラウドファンディングの代表らが話を聞く。オチや説教は不要で、興味を持った人が事業投資型クラウドファンディングのページに飛んで支援する流れです。
もう1つの告知は、翌週9月26日に大手町三井ホールで開催される「セキュリテフェス2026」です。創業25年を記念したイベントで、西野さんの基調講演も予定されています。
参加者は経営者だけでなく、セキュリテでプロジェクトを立ち上げている人、投資家、そうした挑戦に興味がある人など幅広いといいます。チケットは3500円です。
プペルのDVD&Blu-ray発売が決定
本題は嬉しい報告から始まります。映画『えんとつ町のプペル〜約束の時計台〜』のDVD&Blu-rayの発売が決定し、前日に情報解禁と予約がスタートしました。
この話は突然出てきたものではありません。西野さんがこの映画をサブスク配信しないと宣言した時から、裏ではDVD・Blu-ray化の話が動いていたといいます。
ただし大人の事情で公言できず、質問されても「可能性としてあるかもね」と留めていました。この作品は今後10年間、劇場で上映し続ける方針です。
配信はしないですけど、DVDとかBlu-rayはどうなんですかって聞かれた時は、いや、そっちはちょっと可能性としてあるかもねっていうことに留めていたんです。
DVDを出してもイベント上映の集客は減らない
発売にあたり、DVDやBlu-rayが手元にあると10年続けるイベント上映の集客にマイナスなのでは、という意見が寄せられました。しかし西野さんは、その影響はあまりないと踏んでいます。
理由は、購入するコアファンの行動にあります。手元にDVDがあっても、劇場という特別な体験には足を運ぶだろうという読みです。
アーティストの曲をダウンロードして曲を聴くだけならいつでもできるはずのファンが、それでもライブに足を運ぶじゃないですか。
そのレベルのファンは、DVDを持っていようがいまいが、近くで応援上映があると聞けば行く。だからDVDが集客を止める理由にはならないと考えています。
一方で、NetflixやAmazon Primeで見たという層は、そもそもイベント上映には来ないと西野さんは言います。彼らは映画を「情報」として咀嚼しているからです。
だからこそサブスク配信はしない。配信で見せてしまうと「もう見たから大丈夫」となり、その層を取り込めなくなるためです。
つまり、サブスク配信をしないという前提の上でなら、DVDのリリースとイベント上映の継続は両立できる、というのが西野さんの読みです。
NetflixやAmazon Primeで済ませる。イベント上映には来ない。だからサブスク配信はしない
DVDを持っていても劇場に足を運ぶ。だからDVD発売とイベント上映は両立する
映画館は情報ではなく体験を売る場所
DVDを出す以上、イベント上映はこれまで以上に体験を提供する必要があると西野さんは考えています。ここで語られるのが、音量への強いこだわりです。
映画館によっては、ファミリーに配慮して音量をギリギリまで絞ってしまうところがあります。しかし西野さんは、それだと家で見るのと変わらないと指摘します。
なんでお金払って時間払って映画館に行って、家で見れるようなボリュームでやっちゃうんですか。理由聞くと、子供が泣いちゃうから。いや、だったらもう映画館行かないっすわ。
映画館はうるさいもの、ライブハウスもフェスも大音量。そこにファミリーの意見を反映してはいけない、とファミリーエンターテイメントを掲げる西野さん自身が言い切ります。
そこでCHIMNEYTOWNが仕掛けるイベント上映では、東映に対して「家では鳴らせないボリュームでお願いします」と改めて依頼したといいます。
子供が泣いたらそれまで、そういう場所に来たのだから、という考え方です。西野さんは、川西や国際フォーラムでの上映も爆音だったと振り返ります。
では配慮とは何か。音量を絞ることではなく、耳が弱い子にイヤーマフを用意することだと西野さんは言います。実際、幕張メッセで開催する「煙突町の踊るハロウィンナイト」でも、うるさい環境とイヤーマフの用意を両立させています。
祭りや阿波踊りも、子供が泣くからと和太鼓の音を絞ったら意味がなくなる。西野さんは、体験を食べに来ている人に情報を売ってどうするのか、と繰り返します。
上映会の「お土産」として売れ始めたDVD
イベント上映を続けながらDVD・Blu-rayを届けることに、西野さんは「これはおもろいかも」と感じている点があります。それは「イベント上映のお土産」という角度です。
今の時代、DVDはいらないと言われがちです。だからこそ、お土産としてのアプローチが面白いのだといいます。
舞台挨拶で訪れた山口県周南市のシネマヌーベルで、上映終了後にDVD・Blu-rayを予約した客を対象にツーショット撮影会とサイン会を実施しました。すると、たった今見たばかりの映画のDVDを多くの人が買ってくれたそうです。
映画えんとつ町のプペル約束の時計台の上映会のお土産として、映画えんとつ町のプペル約束の時計台のDVDが選ばれてるって話です。
まだ始めたばかりでエビデンスと呼べる段階ではないと断りつつ、かつて絵本の原画展のお土産として絵本が売れた流れが再現されるかもしれない、と西野さんは期待します。
なお、DVDプレーヤーを持たない人に向けて、壁に立てかけるアートとして機能するLP版も制作したといいます。通常版のリーフレットには、西野さん書き下ろしのプペルとルビッチが描かれています。
2027年カレンダーの予約もスタート
最後に、CHIMNEYTOWNの2027年カレンダーの予約が同日スタートしたことも告知されました。全ページ、西野さんが描いたイラストが載っています。
注目は表紙です。最近描いたばかりのプペルの絵を採用しました。ポスター化の要望が多かったものの作る気はなく、代わりにカレンダーの表紙に載せたといいます。
この表紙めくった後は、それ額装して、そのまま部屋に飾ってやってください。
西野さんは、来年のカレンダーの12枚は自信作だと語り、ぜひ手に取ってほしいと呼びかけて放送を締めくくりました。
まとめ
映画『えんとつ町のプペル〜約束の時計台〜』のDVD&Blu-ray発売決定を機に、西野さんが「情報としての映画」と「体験としての映画」を分けて考える戦略を語った回でした。サブスク配信はせず、DVD発売とイベント上映を両立させる読みが、音量や配慮の話を通して具体的に示されています。
- サブスク配信はしないことで「情報として済ませる層」の来場を確保し、DVD発売とイベント上映を両立させる
- コアファンはDVDを持っていても劇場の体験に足を運ぶため、集客への悪影響は小さいと読んでいる
- 映画館は体験を売る場所であり、ファミリー配慮で音量を絞るのではなく、イヤーマフの用意で対応する
- DVDを「イベント上映のお土産」として位置づけ、上映直後に多くの来場者が購入する動きが出始めている
- 2027年のCHIMNEYTOWNカレンダーも予約開始。表紙には最近描いたプペルのイラストを採用している
