📝 エピソード概要
本エピソードでは、世界的な免疫学者・坂口志文先生の生い立ちから、研究の道へ進むまでの軌跡を辿ります。哲学や美術に傾倒していた青年が、大学紛争という激動の時代を経て、いかにして免疫学の「自己と他者を区別する」という哲学的な美しさに魅了されたのかが描かれます。未知の臓器とされていた「胸腺」の重要性と、坂口先生が人生を捧げることになる自己免疫疾患研究の原点に迫る内容です。
🎯 主要なトピック
- 坂口志文のルーツと少年時代: 滋賀県長浜市に生まれ、哲学者の父と医師家系の母のもと、学問や美術に親しみながら育った背景を紹介します。
- 京都大学入学と精神科医への志向: 哲学的な関心から精神科医を目指し京大医学部へ入学しますが、激しい大学紛争の中で目標を見失い、悶々とした学生時代を過ごします。
- 免疫学との運命的な出会い: 免疫の「自己を守りつつ時に攻撃する」という二律背反な仕組みに哲学的美しさを見出し、臨床ではなく研究の道を選びます。
- 胸腺(きょうせん)研究の歴史: 1960年代まで「役割のない器官」とされていた胸腺が、ジャック・ミラーらによって免疫の中枢であるT細胞の成熟に不可欠だと判明した過程を解説します。
💡 キーポイント
- 免疫への哲学的アプローチ: 坂口先生は免疫を単なる「異物排除のスイッチ」ではなく、自己と他者を区別する「複雑で美しいメカニズム」として捉えています。
- 自己免疫疾患への挑戦: 自分の体が自分を攻撃し、放置すれば死に至ることもある自己免疫疾患を、医学的介入が必要な最重要課題として研究テーマに据えました。
- 胸腺とT細胞の関係: 骨髄で生まれたリンパ球の一部が胸腺で教育され、一人前の「T細胞(Thymus-derived cell)」として全身へ送り出されるという、免疫システムの根幹が明かされました。
- 研究者としての決断: 愛知がんセンターの西塚先生らによる「胸腺摘出による自己免疫疾患」の論文に衝撃を受け、京大大学院を中退してまで最前線の研究室へ飛び込む情熱が描かれています。
