自分のディレクションは73点だと思っている
そのおハガキには、「ナムラさんも業界でトップにいると思う」とも書かれていました。いやいや、それは全くありえないんです。
私、自分のディレクションのスキルって、大体73点ぐらいじゃないかとずっと思っているんですよ。
80点は行かないと思います。いろんな人にお会いさせていただいて、その差を考えると、まあこれくらいだろうなと。
私はただ単に長くやっているだけで、適当に喋るのが上手なのかもしれませんけど、他の人よりは多少そういう仕事をしてきた、というだけなんですよね。
自分が見えるのは「10点のレンジ」の中だけ
この73点という話には、昔、仕事上の先輩から言われたことが元になっています。
0点から100点まであるとして、自分が見える範囲って、その10点刻みのレンジの中だけなんですよ。
例えば50点台にいると、50点から59点あたりの見通しは利くんだけど、それより下も上も、実はなかなか見えづらいんです。
私が73点と言えるのは、80点や90点の、私にとって圧倒的だという人にお会いしたことがあるからなんですよね。
でも、比較する相手に会っている数が少ないと、「まあ俺これぐらいできるぜ」みたいな感じになっちゃう。
そういう人は多分、今いる10点のレンジの、なんとか9点目にいるんですよ。29点とか49点とか59点とか。
で、一個上に上がった瞬間に、「あれ、すごい人ばっかりいなくね?」ってなるんです。これは私も何度も経験しています。俗に言う井の中の蛙ですよね。
社内で比較しても、あんまり意味がないと思う
だから、会社の中で誰ができるできないと比較しているのは、正直ちょっと小さいなという気がするんです。
もちろん何人ぐらいの会社かわからないから言えることですけどね。ただ、千人の制作会社ってまずないですし、百人以上でもそんなにあるわけじゃない。
数十人の会社の中ですごくできると思っていても、世の中にはできる人が本当にいっぱいいます。もう絶望したくなるほどいるんですよ。
私も最初に勤めた会社も次の会社も、社内で自分がどれぐらいできるかはよくわからなかった。
でも、SNSを通じて知り合った同業のすごい人たちと比べて、ああ自分はまだまだだなと思っていました。
比べる相手は、社内じゃなくて外にいるんですよね。隣の芝は青く見えるので、外の人を見ると「この会社に行ってみたいな」と思ったりもするんですけど。
ただ、飲んだりSNSで言っていることって、大体いいことしか言わないんですよ。その裏で苦労していることや、悩んでいることは見えていないだけで。
会社って基本的にどこも何かしらの欠陥があります。全方位で全員にとって完璧な会社は、多分ないと思うんです。
物足りなさは、スキルの外側にあるかもしれない
もし今の会社で「すごくできる人がいなくて物足りない」と感じているなら、こんな仕事をしているんだから自分がそうなればいい、と私は思います。
それに、その物足りなさって、組織の中だけで考えなくてもいいんじゃないかなと。
もし品質や自分のスキルのことで言っているなら、世の中のすごい人をネットでもいいから追いかけたらいいと思うんですよ。
私は「プロフェッショナル 仕事の流儀」のDVDを持っていて、ウェブの仕事じゃなくても「こんな風に仕事ができたらいいな」と思える人が何人かいます。
マーケターの方だったり、デザイナーの方だったり、あるいはイチローさんとか。そういう方々が仕事にどう向き合っているかを見るんです。
あと、20歳ぐらいだと組織を変えるのは難しいと思うかもしれないけど、二桁人数の制作会社なら、部長でも課長でも社長でも、「こういう仕事がしたい」「こう変えたら良くなるんじゃないですか」と言った方がいいと思うんですよね。
それで会社の環境が変わって、自分がやらせてもらえることが変わっていく。考えることは、ものを作るスキル以外にもいっぱいあるはずなんです。
作るスキルを上げることだけを考えていると、その物足りなさにぶつかる。29歳とか30歳って、ちょうどそういう節目になるだろうなという気はします。
私の仕事のモチベーションはどこにあるか
じゃあ私の仕事のモチベーションはどこにあるか、というと、自分にとって目標になる人がいるから、なんですよ。
業界の中にも、目標にする人が3人ぐらいいます。全部同い年か上の人ですけどね。
あとはさっきの「仕事の流儀」のように、多分会うこともないだろうけど、こういう気持ちで仕事をしたいなと思える人たちがいる。
そういう人たちがいるから、私はまだ全然頑張れているんじゃないかなと思うんです。
ちょっと熱っぽく語ってしまいましたけど、無理して転職を考えなくても、今はまだ全然いいんじゃないかと私は思います。
まとめ
社内に圧倒的な人がいないと感じるのは、多分いまが一つの節目だからなんだと思います。いまの時点で私が言えるのは、比べる相手も、目標にする人も、社内じゃなくて外に探してみたら、というくらいのことです。
- 自分が見えるのは10点のレンジの中だけで、一個上がると景色が変わる
- 社内で誰ができるかを比べるより、外にいるすごい人を追いかける方がいい
- 物足りなさは、作るスキルの外側にある課題のサインかもしれない
- 目標になる人がいることが、私にとっての仕事のモチベーションになっている






