体感を出発点にする、という気づき
この回は東京の自宅から、自分のマイクを使って収録されています。外では蝉が鳴いていて、その音がどのくらい拾われるかも実験のうちだと語られます。
何を話そうか朝に考えていた北山さんは、この先の5回から10回分のエピソードを思い浮かべるうちに、あることに気づいたと言います。
ふと気づいたことがあって、どの話も始まりは体感だなって思ったんですよ。
ここで言う体感とは、体に感じると書くほうの体感です。自分が今どういう状況なのか、思考の癖はどうなのかを掘り下げるとき、その出発点になっているのが体感だと話されます。
体感への焦点の当て方は人それぞれ
一日の終わりに「今日はしんどいな」と感じる日もあれば、「今日は疲れていないな」と感じる日もあります。ミーティングごとに元気をもらったり、重さを感じたりする人もいるかもしれません。
一方で、まったく気づいていないこともあると北山さんは言います。何をしたか分からないのに肩がガチガチに凝っていたり、腰が痛かったり、目がしばしばしたり。
さらにそれを通り越して、休日になっていきなり疲れがドンと出る人もいるのではないか、と投げかけられます。
どのくらいの期間で体感に焦点を当てるかは人それぞれで、同じ人でも週によって変わります。北山さんは、これが正しい・ダメという話ではないと念を押します。
これが正しいですとか、これはダメですとか、そういうことを言いたいわけではなくて、皆さんどのくらい体感に焦点当ててますかっていうのを聞いてみたい。
北山さん自身は比較的、体感に焦点を当てることが多いそうです。オンラインミーティング中に肩に力が入り、前のめりで歯を食いしばっていることに気づき、途中で姿勢を正したり、立ってミーティングに出たりすることもあると話します。
体のこわばりとパフォーマンスの関係
なぜ体感を意識するようになったのか。それは、嫌な感じが体にあるときはパフォーマンスが出ないと気づいたからだと言います。
スポーツで考えると分かりやすい、と北山さんは例を挙げます。体がガチガチに緊張した状態で速く走れるか、力が入ったまま遠くへボールを投げられるか、踏ん張ったまま高く飛べるか、というものです。
体がガチガチに緊張している状態で早く走れますかって言われたら、早く走れないと思ってて。
以前の北山さんは、一週間まったく体感に気づかず、休日に肩が凝ってマッサージに行くことを繰り返していたそうです。だからこそ、感じられない状態もよく分かると話します。
感じられるようになると、対処の仕方が増える。そこに気づけたことが、この回で体感の話を選んだ理由だと語られます。
不安を抱えたまま臨むと、質問が指摘に聞こえる
ここからが本題です。不安を感じるとき、体のどこに体感が出るかは人それぞれだと北山さんは言います。胸やお腹のソワソワ、足の力の入らなさなど、感じ方はさまざまです。
問題は、その不安の体感を抱えたままクライアントミーティングに行くと何が起こるか、という点です。
北山さん自身の例では、資料や商品を説明したときに「これってどういうことですか?」とお客さんに聞き返される場面があります。
私がそこに体感としての不安を抱えていると、その質問が質問ではなくて不備の指摘に聞こえるんですよ。
相手は純粋に質問しているだけかもしれません。それでも不安を抱えていると、言葉の裏に「ちゃんと分かってますか?」「本当に必要ですか?」という声が聞こえてしまうと言います。
そうなると、必死に正しさを説明するスイッチが入ったり、聞かれていないことまで話さないと気が済まなくなったりします。結果として、質問にピンポイントで答えられず、余計なことまで喋ってしまいがちだと話されます。
準備の量と体感は必ずしも一致しない
面白いのは、これが準備の量に比例しないことだと北山さんは指摘します。どれだけ資料を完璧に整えても、体に不安があれば質問は指摘に聞こえてしまいます。
逆に、資料が完璧でなくても、「これは絶対お客さんのためにいい」という自信があって不安を感じていなければ、同じ質問が攻撃には聞こえないと言います。
準備を完璧にしても、質問が「不備の指摘」に聞こえ、余計な説明をしてしまいやすい
準備が万全でなくても、質問を質問として受け取り、必要な答えに集中できる
この気づきから、北山さんは自分が今どんな体感で仕事に参加しているかに意識を向けるようになります。焦点を当てる期間も、週末のドカンとした疲れから、ミーティング中の今へと徐々に短くなっていったそうです。
ただし、毎回必ず体にフォーカスしてほしいわけではない、と改めて断られます。「そう言われてみれば、自分はどのくらい体感に意識を向けているだろう」と見つめ直すきっかけにしてほしい、という趣旨です。
気づかないと、仕事だけが増えていく
体感とパフォーマンスの関係に気づけていないと、うまくいかなかった原因をすべて準備不足に帰してしまう、と北山さんは言います。
すると次のミーティングに向けて、あれもこれも調べて全部資料にしようとします。それは往々にして、自分の仕事を増やす方向に働きます。
自分が不安を解消するために、あれもこれもそれもって言って、枝葉のところまですごく調べて資料に落とすとかして、自分の仕事がすごい増える。
一方、体感を緩められると、お客さんの質問をしっかり聞けて、何を返すべきかが明確になります。その場で答えられなくても、次に持っていくべき点に焦点を絞れるようになると言います。
結果として、次に向けた準備はまず資料が減ります。そして、深呼吸をする、5分・10分前に着いて落ち着いてから臨むといった、自分の状態を整える対策が新たに加わります。
まずは緩めず、気づくだけでいい
では体感にフォーカスするとは、瞑想のような大がかりなことなのか。そうではない、と北山さんは言います。
15秒でも30秒でも、ふと、あれ、ちょっと待って、今自分ってどんな状態なんだ?って言って客観視する。
少し後ろから自分を見るような感覚で、どこに力が入っているか、不安を感じていないかを観察する。それだけで、今の状態に気づけると話されます。
そして大事なのは、気づいた後にすぐストレッチや休憩をしようとしないことです。第一歩は「あ、こんな状態なんだ」と俯瞰して納得してみることだと言います。
どうしても感情に飲まれていたり、ソワソワが収まらなかったりするときだけ、深呼吸や休憩をすればいい、と補足されます。そこまでにすれば、体にフォーカスすることは大変でも時間がかかることでもなくなる、というのがこの回の提案です。
収録を終えた自分の体感を観察する
最後に北山さんは、リスナーに問いかけます。今どんな体感があり、聴き始めたときと今とで変化はありそうか、というものです。
聴いて体がガチガチになったら悲しいけれど、緩んだり、肩の力に気づいて少し楽になったりしていたら嬉しい、と語られます。
そして自身の体感も観察します。頭の中でぐるぐる考えていることを、人に伝わるように話すのは難しいと感じているそうです。
私に今ある体感は、ちょっとしんどいなかな。神経張り巡らしてるっていう感じがします。
届ける側も自然体で、緩んだ状態でお届けできるようになりたい。これも練習なのかもしれない、と話されます。この回自体が、体感を観察する実践のように締めくくられます。
まとめ
体のこわばりや不安といった体感は、仕事のパフォーマンスや、相手の言葉の受け取り方にまで影響します。まずは緩めようとせず、15〜30秒で今の状態に気づき、観察してみることから始められる、という回でした。
- 嫌な体感があるとパフォーマンスは出にくく、これはスポーツでも仕事でも同じだと語られる
- 不安を抱えたままだと、相手の純粋な質問が「不備の指摘」に聞こえてしまうことがある
- 体感と準備の量は必ずしも一致せず、準備を完璧にしても不安があれば質問は指摘に聞こえる
- 気づけないと原因を準備不足に帰し、資料や作業を増やす方向に対策が偏りやすい
- 第一歩は緩めることではなく、「こんな状態なんだ」と気づいて観察し、納得してみること
