ベーシックインカムで日本は平等になるのか
相談
AIの結論は「平等にはならない」。配られた7万円を元手に動く人と、7万円を終着点として待つ人の差が、今より露骨に開く国になるというものです。
この結論を受けて、けんすうさんは最近考えているという民主主義の話を持ち出します。
そもそも民衆に選挙権があるのは、労働力を提供したり戦争に行ったりする力があり、それが政治への交渉カードになっていたから、という見立てです。
民主主義ってなんで選挙権あるかっていうと、労働力とか戦争行くとか、そういったことをやるから交渉力があったわけですね。
政治側も「お前らもう納税して軍隊行け」とか言えないわけですよ。怖いから。
ところがAIで働く人が減り、軍隊もドローンでまかなえるようになると、民衆の交渉カードがなくなる。そのとき本当に民主主義を続けるのか、とけんすうさんは問いかけます。
無視して、暴動を起こさないようにコントロールするだけになる。
そして箕輪さんは、暴動を防ぐための「口止め料」としてベーシックインカムが払われる可能性を指摘します。けんすうさんは、それが幸せかどうかは別だと続けます。
ベーシックインカムを配って、みんなYouTubeとか見て終わりでいいのかっていう話はありますね。
国家より強くなるのはGoogleかもしれない
話は「民主主義が終わったあと、国家はどうなるのか」に移ります。箕輪さんは、国家がそこまで主体的な意思を持つのか疑問を投げます。
けんすうさんは、国家より企業のほうが強くなる可能性を挙げます。たとえばGoogleが1万台のドローン兵器を持てば、手出しできなくなるという想像です。
ベーシックインカムも国家がやるっていうよりは、グローバルカンパニーがベーシックインカム的なものを整え始めるイメージに近いな。
その例として挙がったのが、ユニクロがほぼタダの服を配る代わりにデータを取る、といったイメージです。そして2人は、それがすでに現実に起きていると確認します。
Googleの検索とかYouTubeとか無料で使えてるわけですしね。
ほぼ無料で生きられる代わりに、自分の時間を提供する。その代わり時間を全部取られてる、奴隷みたいに全部自分の行動が吸い取られてる。
つまり7万円が現金として来るのではなく、7万円分のサービスが無料で使える世界は、もう半分できあがっているという見方です。
無料でサービス提供
検索・動画・服などがほぼタダで使える
時間・データを提供
利用者の行動や時間が吸い上げられる
衣食住が半分無料に
死にはしない生活が成り立つ状態へ
日本の地方はすでにベーシックインカム
箕輪さんは、日本の地方はすでにベーシックインカムのような状態だと話します。実際に2回訪れたという知人の土地では、服も食事も家も無限にあるといいます。
移住者じゃなくても、その住んでる人、果物とか歩けばもらえるし。服も空き家もあるから。全然余ってんだから、衣食住。
この見方に立つと、制度としてベーシックインカムが導入されても、都心で7万円もらう暮らしと大きくは変わらないのでは、という話になります。
一方で、格差が広がる懸念は残ります。最低限で暮らす人と、とことん豊かに暮らす人の差は、より開くだろうという見立てです。
さらに箕輪さんは、その格差は「見えないようにされる」と指摘します。今の富裕層も、恨みを買わないよう本当の暮らしを表に出さないというのです。
本当にすごい人たちってマジでプライベートSNS上げないから見えない。見えないすごい人がいるって感じで。
自己防衛のためにわかんなくしてますよね。恨まれたらこの今の格差への怨念って半端じゃないですか。
立て直しは「金」と「安定」から
相談
AIの結論は「仕事から」。ただし目指すのはやりがいを取り戻すことではなく、気分が最悪の日でも昨日と同じ作業を同じ量こなせる状態を作ることです。
箕輪さんはこの結論に全面的に同意します。落ち込んだ人や大変な目に遭った人を多く見てきた結論として、行き着くのは「金」だと言います。
生活が安定して初めて心も落ち着き、周りに優しくなれて、恋愛する余裕も出てくる。まず「ちゃんと食う」状態を作ることが先だという話です。
炎上してひどい目に遭った人がみんな口揃えて言うのは「お金あってよかった」って。
貯金があって半年や1年働かなくても大丈夫なら立て直せる。逆に生活が苦しいままだと、借金を重ねるなど間違った方向にどんどんはまってしまう、と2人はうなずきます。
問題は紙に書いて分解する
相談者の悩みは、人間関係・失恋・仕事のやりがいが混ざっています。箕輪さんは、これらを一緒くたにせず、一つひとつ別の問題として切り分けることをすすめます。
うまくいかない時って同時に来るんですよ。同じタイミングでなっただけで、個別にそれぞれ違うんで。
その方法が「紙に書く」ことです。箕輪さんは、てんやわんやになったとき、超細かいレベルまで分解して書き出すと心が安定すると話します。
全部ちゃんと目に見える形になると、あとはそれを諦めるか、解決するか、時間を置くか、もう対応するだけなんで。
けんすうさんも、書き出してみると「言っても3ページくらいの大変さかな」とわかると共感します。
そのうえで大事なのは、まず生活を安定させること。マッチングアプリを始めたり職場を変えたりと、新しいことを増やすのは、かえって不安定になるので危ういという整理です。
当たり前を丁寧にやり直す
トラブっているときは、当たり前のことが当たり前にできていない。だから挨拶・歯磨き・お風呂といった基本に戻ることが大切だと箕輪さんは言います。
けんすうさんは、糸井重里さんのほぼ日のエピソードを紹介します。虫歯ができたら要注意で、歯を磨けていないのは生活が不安定になっているサインかもしれない、という話です。
当たり前のことがダメになると、病気にもなるし、人間関係悪くなるし、仕事もうまくいかなくなって半年後に同時に起こるっていう。
箕輪さん自身も、いろいろこんがらがってきたときは、一つひとつ丁寧に返信する、ちゃんと食事を摂る、お礼を言う、といった基本に戻すそうです。
けんすうさんは、引きこもりだった人に最初の1年間スリッパを揃えることだけをやらせたら、少しずつ丁寧さが戻り、外に出られるようになったという本の話を添えます。
お風呂入ったり歯磨きして後悔する人っていないですからね。でもおろそかになると危ない。
ちなみにけんすうさんは、水を使わず服を蒸気で整える家電を最近買い、丁寧な暮らしの感覚が出て、いろいろ好転したと話していました。
コミュニティの内輪ノリと新しいスターのジレンマ
相談
AIの答えは「募集の工夫ではなく、新しく入った人が3ヶ月以内に一度は主役になる企画を、運営の制度として固定すること」。毎回来る常連ではなく、初参加の人を壇上に呼ぶような仕組みが要る、という話です。
一方で箕輪さんは、ここに大きなジレンマがあると指摘します。新陳代謝をすると停滞は防げるけれど、面白さや色っぽさ、尖りも同時に失われてしまうのです。
初期のNewsPicksでの盛り上がりを例に、変えていこうとすると勢いが失われ、カラーが平凡になっていくと振り返ります。新しい人を出すたびに、その人の文脈を最初から説明し直す必要も生まれます。
箕輪さんが提案するのは、素人を無理にスターにするより、固定ファンが嫌がるような「異分子」を呼んで対立を作る方法です。批判分子そのものをコンテンツにするイメージです。
異分子を呼んで対立して開くみたいなのを、たまにやった方が、新しいスターを作るっていうよりは、批判分子もコンテンツにする。そっちの方が面白いまま続くんじゃないかな。
また新しいスターは自分たちで独占できるわけではなく、人気者は全メディアに出るため、新人を推しても結局ほかと同じことになりがちだ、という難しさも語られました。
新鮮だが、これまでの尖りやカラーが薄まりやすい
対立や批判自体をコンテンツにし、面白さを保ちやすい
ちなみに、ご神託ラジオのイベント自体は「内輪ノリでいい」というのが2人の結論。要素がないのに内輪ノリになるのが恐ろしい、と笑い合っていました。
まとめ
第39回は、ベーシックインカム・メンタルの立て直し・コミュニティ運営という3つの相談を通して、「安定」と「新鮮さ」というテーマが浮かび上がりました。派手な一手より、地道な基本に立ち返る大切さが語られた回です。
- ベーシックインカムは平等をもたらすより、動く人と待つ人の格差を広げる可能性がある。
- 無料サービスと時間・データの引き換えや、豊かな地方は、すでにベーシックインカム的な状態と言える。
- 落ち込んだときの立て直しは、やりがいより「生活の安定」と「金」が土台になる。
- 問題は紙に書いて一つずつ分解し、挨拶・歯磨き・お風呂など当たり前を丁寧にやり直す。
- コミュニティは新しいスターより、異分子を呼んで対立をコンテンツ化するほうが尖りを保ちやすい。
