あわら温泉の歴史を伝えるLPは、なぜ「歩くこと」で締めるのか
この回は、月1回ほどだった収録ペースが追いつかず、10月に2回目の収録として急きょ行われました。季節の変わり目で寒暖差が大きく、土田さんは風邪気味だと話しています。
本題は、前回の収録で出た「あわら温泉のLPをたくさん作ればいい」「ホテル八木で作ってしまえばいい」という話の続きです。土田さんはその後、早速LPのデモを作ってきました。
土田さんによると、このLPの狙いは、あわら温泉の歴史的な背景を観光客に伝えるだけでなく、地元の人にも再認識してもらうことにあります。
(前回は)あわら温泉の歴史的な背景を、観光客の皆様と、当然地元の皆さんにも再認識いただけるものを作ったらどうだって話をさせていただきまして。
LPの構成は「そもそもあわら温泉はどうできたのか」から始まり、名所の紹介、街としてのつながり、街の背景へと進みます。デザインはまだざっくりとした段階だといいます。
土田さんが最も大切にしたのは、読んだ人に実際に街を歩いてもらうことでした。あわら温泉の特徴は静かに街を歩けることだと考え、その点をフィーチャーしてLPを締めくくっています。
八木さんはこのLPを率直に「素晴らしい」と評価しました。旅館のホームページは恐竜博物館や東尋坊、一休寺のような有名な観光施設は網羅していても、地元そのものに焦点を当てたページはなかなかない、というのが八木さんの見立てです。
一度は不要と思われたホームページが、AI時代に再び重要になる理由
八木さんは少し前まで、LPやホームページはもういらないのではないかと考えていました。ところがAIが発達したことで、一周回って「AIにどう読み込んでもらうか」という観点から、ホームページが再び必要だと感じているといいます。
ちょっと前までは本当にこのLPとかホームページってもういらないんじゃないかって思ってたんですけど、やっぱりこのAIが発達してきて、一周回って。
土田さんは、一次情報を載せる場としてのホームページの役割が重要になっていると説明します。情報の根本的なところを持つホームページは、AIからの評価が上がるようだという話です。
そのうえで土田さんは、今のホームページのままではなく、AI検索で見つけられやすい構成や文章を考えるタイミングに来ているのではないかと話しています。
特に変わるのは、ホームページで何を伝えるかです。これまでは自分たちの思想を伝えるホームページが多かったものの、これからは検索に対してずばりそのキーワードが入っているかどうかが大事になる、と土田さんは見ています。
自分たちの思想やこだわりを伝えるページが中心
検索されるキーワードがきちんと入った、一次情報としてのページが大事になる
土田さんは、今回のあわら温泉のLPも、こうしたAI検索の視点で作ると非常に良いのではないかと考えています。八木さんも「間違いない」と同意しました。
「宿から案内がなかった」という声に、旅館はどう応えるか
街を歩いてもらうLPの話から、八木さんは直近に届いたお客様アンケートの内容を明かします。地域イベントヨルモードについて、宿から全く案内がなかったという指摘でした。
(アンケートで)その全然宿から案内がなかったみたいな。で、その街との関わりに積極性が見られないみたいなご意見をいただいて。
八木さんは、決して街との関わりに消極的なわけではないものの、そう見られてしまったことに非常にモヤモヤしたと話しています。
ただ、案内を増やせば解決する話でもありません。チェックイン時はもともと案内する量が多く、そこにイベント情報まで口頭で加えると、話すスタッフの負担が大きくなります。紙で配れば配布物も増えてしまいます。
さらにホテル八木のコンセプトは「気兼ねなく、心地よく」です。お客様に過ごし方を積極的に提案するのではなく、各自に好きに過ごしてもらうスタイルのため、案内役は用意していても、聞かれたら答える接客になっています。
(案内人は)決して聞かれたら答えるんですけど、めっちゃ積極的に案内に行く接客ではないので。
土田さんに「どうするといいのか」と問われた八木さんは、難しいと感じつつも、こうしたLPがあればアクセスしてもらえるかもしれない、と解決の糸口を見ています。
観光客は何があれば街を歩くのか?目的別にLPを分ける発想
八木さんは、土田さんがホテル八木に泊まって歩こうとしたとき、何があれば歩くのかを尋ねます。土田さんの答えは「目的による」でした。
土田さんによると、純粋に楽しみたい人には、お店などのハード的なものを散策コースにしたほうが楽しめます。一方で今回のLPは、歴史的な背景やあわら温泉そのものを知ってほしいという狙いで作られています。
誰でも好んで行くもんじゃないと思うんですよ、おそらく。
せっかく来たんだから、そこを知ってほしいと。知りたいなと思う数も一定数いると思いますので、そこに響くためのLPだと思うんですね。
そこで土田さんは、LPを目的ごとに複数作る案をあらためて示しました。イベント向け、街を本当に楽しむバージョン、静かに過ごすバージョンなどが、それぞれあってもいいのではないかという考えです。
お店などのハード的なものを散策コースとして見せる
あわら温泉の成り立ちや歴史的背景を伝える(今回の試作LP)
八木さんは、「あわら温泉」で検索したときにホテル八木が作ったLPが表示され、あわら温泉を知るためにホテル八木が見つけられる流れにならないかと想像します。土田さんは、その可能性はゼロではないと答えました。
ただし土田さんは、本来なら組合などが発信するのが一番だとも指摘しています。八木さんはそれに同意したうえで、まず自社でやってみて反応があれば広げればいいと考えています。
八木さんの考えでは、各旅館がそれぞれ薦めるLPをたくさん作ることで、あわら温泉の情報にバリエーションが生まれていきます。
LPにガイドツアーの申し込みを組み込む、次の一手
八木さんから土田さんへのリクエストは、LPにツアーの申し込み口を付けることでした。八木さんはヨルモードの企画として自らガイドするツアーを行っており、これを継続してLPから申し込めるようにしたいと考えています。
このヨルモードの企画で私がガイドしてるツアーがあるので、これをこのまま継続して、その申し込みフォームみたいなのをちょっとここに載っけていただいて。
ツアーの申し込み口は、別ページにリンクするのではなく、試作LPの中に組み込む形が希望です。「歴史に寄り道」と書かれた箇所を「詳しく知りたい方は」のような導線に差し替え、新たなLPは作らずにまずはフォームへ飛べる形にする案が出ました。
残る課題は予算感と写真です。デモ版の写真はさまざまなサイトから取ってきたもので、著作権の確認が必要になります。
八木さんは、県の観光連盟がフリー素材をダウンロードできるサイトを用意していると話します。土田さんは承認制だったはずだと補足し、ホテル八木の施設として申請すれば取得できるかもしれないため、場合によっては八木さんに依頼することになりました。
ガイドツアーについても動きがあります。翌週の月曜日に、あわら市からの依頼でFBC(福井放送)からガイドの取材を受ける予定だといいます。
八木さんのツアーには食べ歩き1品付きのプランが組み込まれており、お店にはガイド専用のセットを作ってもらえないか相談中です。季節ごとに内容を変えることもできそうだと、八木さんは期待しています。
土田さんがガイドの詳細を求め、八木さんが資料を渡して一緒に詰めていくことになり、この回は締めくくられました。
まとめ
土田さんが試作したあわら温泉のLPをきっかけに、AI時代のホームページの役割から、旅館としての街の案内のあり方、ガイドツアーとの連携まで、具体的な次の一手が見えた回です。
- AIの発達により、地域の一次情報を載せるホームページやLPの重要性が一周回って高まっている
- AI検索で見つかるには、思想よりも検索されるキーワードがきちんと入っていることが大事になる
- チェックイン時の案内量や「気兼ねなく、心地よく」のコンセプトとの両立から、LPが街の案内を補う手段になりうる
- 街歩きのLPは目的別に複数作り、各旅館がそれぞれ発信することで情報のバリエーションが広がる
- 試作LPには八木さんのガイドツアーの申し込みフォームを組み込み、写真の著作権確認を進めることになった




