Google Mapで星が高くても、人は本当に行くのか?
前回の放送で八木さんと土田さんは、観光連携には情報が足りないと話していました。一方で、情報を作り込みすぎてポータルサイトのようになるのはつまらない、という点でも意見が一致していました。
今回、八木さんが切り出したのは、Google Mapのような便利なツールへの違和感です。周辺のお店はすぐに表示され、星の数や写真から人気がありそうなこともわかります。
今まあ確かにGoogleMapとか便利なものあるじゃないですか。便利で、瞬時でその周辺のところとかパッと出てくるんですけど。
いや、情報はあるんですよ。なんか人気っぽいよっていう話になると思うんですけど。でも、「行くかな?」って。
八木さんによれば、星や写真といった情報があっても、それだけで足を運ぶとは限りません。自分の感性に何かが引っかかったときに、初めて「行くかもしれない」と思えるといいます。
八木さんのこの問いかけが、今回の話全体の出発点になりました。情報の量ではなく、心が動くきっかけをどう作るかという問題です。
「人のポータルサイト」と偶然の出会い
八木さんの問いを受けて、土田さんは思いつきだと断ったうえで、あるアイデアを出します。一般的な観光ポータルサイトは、食べる・体験する・泊まるといった施設の紹介で構成されています。八木さんは、あわら温泉ではその軸を全部「人」に振ってしまえばいいと提案しました。
(あわら温泉の場合、)そこを全部人に振っちゃう。人のポータルサイトみたいにしちゃう。
土田さんが描くのは、紹介する人の笑顔が並び、その人の視点から「ここに行くといい」と伝えるサイトです。時にはしかめ面の人がいてもいい、とも付け加えています。
八木さんはこの案に強く賛同しました。長野の白馬などに同様の取り組みがあることに触れ、八木さんたち自身もJR芦原温泉駅で、人のおすすめを掛け合わせる「観光マッチングガチャ」を手がけてきたと話します。
そのうえで八木さんが課題に挙げたのは、そうした情報への「アクセスのさせ方」です。スマートフォンで細かく探し回り、実際に出かけるまでたどり着くのは、旅行者にとってかなり大変だと考えています。
現地の人の会話で思いもかけないお店とかお土産物屋さんを紹介してくれたみたいなのは、多分これからどんどん価値になっていく。
八木さんが価値を感じているのは、宿に泊まったからこそ知る情報や、スタッフや地元の人との会話で生まれる偶発的な出会いです。検索で何でも見つかる時代だからこそ、こうした偶然が旅の喜びになっていくと話しています。
LPを100施設分作るとAIに見つけてもらえる?
偶然の出会いの話を受けて、土田さんは前回も話題にしたLPを改めて推します。たとえばLP ── ランディングページの略。1つの商品や施設、テーマを1ページで紹介するWebページのことで、広告や検索からの入口として使われますを100施設分作れば、それらの施設がAIの回答に引っかかりやすくなるのではないか、という考えです。
土田さんは、すべての施設がそのまま羅列されるとは思わないとしつつ、「あわら温泉でおすすめの場所」と尋ねられたときに何かがヒットするはずだと見ています。八木さんも、AI対策としてLPを作っておくことはとても大事かもしれないと同意しました。
土田さんはこの取り組みを、デジタル化の一環として温泉地全体で進めてもいいと話します。隣の坂井市が町としてDX化を推奨していることも例に挙げました。
八木さんは、隣町が検索で見つけてもらえれば、泊まる場所としてはあわら温泉が選ばれるという構図があり、あわら温泉側はある意味で便乗させてもらっていると話します。
一方で土田さんは、三国温泉でリブランディングの動きが始まっていることを紹介しました。土田さんによれば、三国温泉の動きはあわら温泉と競争するのではなく共生を目指すものですが、まだ歴史が浅い三国温泉をどう発信するかに取り組み始めているところで、今後は三国側に泊まる人も増えていくかもしれないといいます。
隣町の発信に便乗する形でも、泊まる場所として選ばれてきた
三国温泉のリブランディングなどで宿泊客が分かれる可能性があり、違った意識で取り組む必要がある
こうした状況を踏まえて、八木さんは、あわら温泉もこれまでの「便乗」の意識とは違う意識で取り組む必要があると述べます。八木さんの答えははっきりしていました。
あわら温泉そのものを1枚のLPに
土田さんが次に出したのは、前々回のリブランディングの話を発展させた構想です。個々の施設ではなく、あわら温泉そのものをLP化するという提案でした。
土田さんが考えるLPは、過去・現在・未来をひとつのストーリーとして見せるページです。県外から来る旅行者も読めるものにしつつ、できれば地元の人にこそ見てほしいと話します。
(あわら温泉の)成り立ちを、もうお年を召した方は(知って)いらっしゃると思うんですけど、若い方ってよく思ってないと思うんですよ。
過去
昔はこういうことがあった、という温泉地の成り立ち
現在
その土台があって、今こうなっているという姿
未来
これからこうしていきたい、という方向性
共通意識
町として同じ認識を持つ
土田さんが目指すのは、過去から未来までの物語を、町の共通意識にすることです。地元の人に、いい意味でのプライドを持ってもらうことを狙っています。
八木さんは最高のアイデアだと評価しつつ、すぐに「誰がやるのか」と問いかけました。そして八木さん自身が、ホテル八木でやればいいのではないかと答えます。土田さんもそれで全然いいと応じ、ホテル八木として、八木が語れるあわら温泉の歴史LPを作ってしまおうという方向にまとまりました。
公式noteとLP、両方で発信するとどうなる?
話はさらに、ホテル八木が最近始めた公式noteへと広がります。番組内の話によれば、ホテル八木の公式noteは新しく入ったスタッフが書いていて、AIが参照する情報源としてnote ── 文章や画像を投稿・販売できる日本のメディアプラットフォーム。個人だけでなく企業の公式アカウントも多く運営されていますの比重が高いことも意識したうえで、個人ではなく公式のアカウントにしているといいます。
ただ、あわら温泉の歴史というテーマをスタッフに渡しても、すぐには書けないだろうという見方も示されました。ネットやAIで調べても一般的な薄い内容しか出てこないため、そこからどう深掘りできるかが鍵になるという話です。
つあさんは、どうせやるならnoteよりLPを作るほうがいいという立場です。これに対して八木さんは、両方作ればいいと提案しました。
書くのは多分その個人の主観がめちゃ寄ってくるし、LPのは綺麗にまとめたページっていう風になるので。
スタッフが書くため、個人の主観が強く出る読み物になる
歴史や物語を綺麗にまとめた1枚のページになる
最後に土田さんは、以前八木さんが話していた「地元の人に地元を愛してほしい」という思いに触れます。あわら温泉の成り立ちをもう一度紐解くことは、そうした思いに応える町づくりにもなるのではないかと話しました。
八木さんは「だいぶひらめいてきた」と応じ、LPの構想を膨らませて、次回改めて詳細を話し合うことを約束して、この回は締めくくられています。
まとめ
検索やAIで情報がすぐ手に入る時代だからこそ、人との会話から生まれる偶然の出会いや、地域の物語が観光の価値になっていく。八木さんと土田さんの思いつきのやり取りは、ホテル八木があわら温泉の歴史を発信するという具体的な企画にまで進みました。
- 星の数や写真だけでは人は動かず、感性に引っかかるきっかけや現地の人との偶然の出会いが価値になっていく
- 施設ではなく「人」を軸にしたポータルサイトという発想が、JR芦原温泉駅の観光マッチングガチャなどの取り組みとつながっている
- LPを数多く作ることは、AIに見つけてもらうための対策になりうる
- 三国温泉のリブランディングなどを背景に、あわら温泉も便乗の意識を改めて自分たちの強みを考える必要がある
- あわら温泉の過去・現在・未来をLPと公式noteで発信し、地元の人の誇りにつなげる構想が次回に持ち越された







